藤襲山で暮らす鬼   作:夢食いバグ

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いやいない場所で言われても………


お医者様はいませんかー?

夜になり丸々お月様が出てくる。

 

部屋が暗いし鬼になって夜目が効くようになっても暗いから、油を器にいれて紐に火をつけて灯りを灯し外に出る。

 

一番に視野が効くのは、雨の日だ……それなりに明るいのに死ぬ心配がない。木製の手作りの鍬を持って、畑を耕し広げていく……ちょっと最近使う量が多くなってきて足りなくなったのだ。

 

「相変わらず……の用だな。あの泥水からどうにかなったか?」

 

おうちに天狗が来た。

 

「えっまさか直々に首はねですか、猟奇ですかっ!?」

 

「何でそうなるんだ、すこし鬼をここに流したついでに様子を見に来ただけだ。」

 

あーもう島流しするほどの腕前かー、島流しじゃなくて山流しだけども………こっちはまとめて袋叩きでおくられたからなぁ。一応味噌?をみて貰う。

 

「あっ前に言ってたやつ、作ってみた。」

 

「これ只の酷く腐った豆だろ。味噌といったらこの世すべての味噌に失礼だ。てっ臭っ早く捨てろ。」

 

やっぱりなんか違っていたようだ。味見ができないのだから仕方がない、というかしてもよく分からない。

 

「やっぱり来ててよかったな……これでなにか食い物でも作ろうとされたらたまったものではない……あの泥水喰わされたあと山を降りたときに医者の世話になった。」

 

「はじめての料理だったから、勝手が掴めなくてねうん。」

 

いつもは、キュウリやら大根やら川で洗ってそのまま出していたが何かやってみようという気になりやってみて失敗した。

失敗は、成功のもとだというし何度も恨み言言わなくてもいいと思う。

 

とりあえずこの作った味噌擬きは、後で畑に捨て土に混ぜよう肥料ぐらいにはなるだろう。

 

「で………塩と砂糖だけ持ってきた。」

 

「二つとも、とても白い砂だね。ジャリジャリしてる。」

 

天狗のお面の青年は、小さな袋と大きめの袋をこっちに渡した中身を見ると二つとも砂が入っている。二つとも指に唾液をすこしつけ舐めてみるとジャリジャリしてる、これはやっぱり砂のようだ。

 

「砂ではない調味料だ!」

 

「人ってこんなものでやるのかい、まぁいいやどっちがどっちなんだかわからないや二つとも同じに見える。」

 

シオとサトウと分けて言うのだから違いはあるのだろう、同じであれば分けて渡さずに一つの袋で十分なはずだし。

………料理の時に調理せず、渡してもいいかもしれない。

 

「……大きい方が塩、小さい方が砂糖と覚えておけ。あと漢字一文字が塩二文字が砂糖だ………これだけ言ってもお前の場合間違えそうだがな。」

 

「いやぁそれほどでも……」

 

「誉めてはないからな。」

 

誉めてないことはこっちでもわかるけど、そうでもしないと精神面が持たないからだから許して。このサトウとシオっていう砂は物置にでもいれておこうかな容器が違うから自分の食糧の人骨とは間違えないだろうし……

 

「あっ刀持って帰る?折れたのとか新しいのいろいろあるよ、本当に個人的なことなんだけどその天狗の仮面すごいねーおうちで飾りたくなるなー。」

 

「刀は持って帰る。面は手作りだ……掘っ建て小屋たてられるぐらいに器用ならお前が勝手に作れるだろう。」

 

「ケチだなぁー直接とっちゃうぞー。」

 

本当にいいお面だ、刀部屋と同じところに飾ってならべたくなる。そういえばちゃきっと刀を引き抜く音一つした。

 

「首落とすぞ……?」

 

「や め て 泣くよ本気で?」

 

あれは本気で首落とそうとしてた、なんか沸点やけに低くないかな?なんなの鬼だからかな、まぁ鬼殺す人達だしおかしくはないんだろうけど。

 

「分かればいい。」

 

「じゃあ折れた刀一箱持っていくねー、ゆっくりしてて待っててー。」

 

その場の話を切って逃げるように刀部屋に向かう。

あのまま下手に会話を続けていたら首を落とされてもおかしくはないからだ。

 

刀部屋にある折れた刀を詰めた箱は3つ、そのうちの1つを持って渡す。鉄の塊だから当然重いが男は軽々と持っている、人ってすごいなぁ……外にはこんなのがうじゃうじゃいるのだろうか?

 

そう考えると逆に山中は安全なのかもしれない。

 

 

はじめて会ったときからこいつは、可笑しな鬼だった。

 

あの最終選別の時、偶然この掘っ建て小屋を見つけ昼間だったこともあり警戒しながらも体を休めていたときだ。

 

「天狗さんかー?あっお面か、この山で天狗見掛けたことないし……見られたら楽しいのだろうけども。」

 

小屋の中から、物珍しそうな物を見るような目でこちらを見つめていた。

そこにはこの山の鬼の雰囲気では明らかに無かった、喰らおうとする様子や素振りが全く見えなかった。

 

「鬼か!」

 

「鬼だよ?」

 

なんとも不毛な会話である。

 

こんな緩い会話をする鬼と鬼狩りの卵が今いる。

 

「……喰うつもりか?」

 

「そう思うなら、こっちの気が変わらないうちに夜になる前に逃げた方がいいよ?」

 

嘘だ、それははっきりと分かった。

喰うつもりならば、夜のうちに外に出て昼間でも暗い場所で獲物を待てばいいのだ。

 

「……分かった逃げはしない。」

 

「よかったよかった。そんな君にお願いがあるんだ、料理作ってみたんだけど味見してくれないかな?」

 

そうして、腹を下して一日を過ごした。あの味はずっと忘れられない、簡単に言えばドブ以下のヘドロのような味だった。

 

そうして詫びがなにか知らないが七日たつまでひたすらに鬼は慌てていた。そうして体調が治ったとき刀を持たされ下山した……

 

それでまた、塩と砂糖を持って来た。

 

あの鬼は変わらなかった。




基本的には、刀みて楽しんでます。

鬼血術や呼吸を習得など(これから)

  • 鬼血術のみ習得
  • 呼吸のみ習得
  • 両方習得
  • 習得しない
  • チートなど強くなさすぎないように習得

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