藤襲山で暮らす鬼   作:夢食いバグ

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生きていれば儲けものである、誰が儲けてるかは知らないけど。気にしても仕方がないけどね?


ヒト想わば、夢をカタル

シオとサトウを貰って、庭に混ぜてすこし置くとアリが集まって綺麗にサトウだけを身繕い咥え持っていく。

 

その様子を見るのがとても楽しい。

 

一応白い砂は調味料らしいので無駄遣いは出来ないが、大分暇を潰せる………3日ぐらいずっとそれだけを眺めて減る様子を楽しんでいた。

 

でもサトウが失くなってしまったらしく、アリが寄ってこない……もう楽しめなさそうだ。

 

「さて……散歩にでも行くか……」

 

鬼も大分集まってきて、そろそろ鬼狩りの子供達が来る頃で鬼とかも興奮し危ない時期ではあるが……

 

別に獲物の横取り等をしなければ共食いにはほとんどならないし、人もある程度避けられる。この山にずっといたからある程度の暗黙の規則やそれぞれが集まりやすい場所等肌で分かっている。

 

たぶんこの知識は、食糧を多く得るつまり殺すことに大きく役に立つだろう。だけどわざわざ食らう分以上とっても吐くだけで美味しくもない。

 

つまりわざわざ痛い思いして、狩りに行く必要性を全く感じてない。必要とあらば、遠慮はするつもりは全くないが。

 

「さて……ネズミやらウサギでもあればいいが。」

 

そうやっていろんな所に仕掛けた罠を確認する、ここにいる他の鬼は人の肉ばかりに飢えて代用品を探さないからもともと山にすんでいる鬼が食べられる動物は減らないから食い潰してしまう心配がない。

 

実際、主食を動物にして人を減らしているものなぞこの山では自身しかいないだろう。

 

「おっ一匹……スカよりはいいな。」

 

縄に足をとられじたばたしているウサギが一匹……大きさは子供ではなく成長しきってる。ならこれから赤子も増やさないだろうし逃がす必要もないだろう。

 

折れた刀の先を木と縄で挟んだだけの簡単な刃物でウサギの喉元を突き刺し絞める。死後の直前の痙攣か体が震えていた。

 

かわいそうと思うがまぁ仕方がない、食べなければ生きてはいけないのだから。一滴も無駄にしないように、血は木で作った箱にいれる……干し肉にも出来ない生ものだからしばらくはこれで生活することになるだろう。

 

「今度は別の場所に後で仕掛けることにしよ、たぶんしばらくしないと取れない。」

 

しばらくはここでウサギやらは掛からないだろう、野性動物は勘が鋭いし頭は悪くはない特に自身の危機には……何度も同じ手は通用しないと言うことだが。

 

「……人の血の匂いか……誰か怪我したんかな、鬼がいる場所でもないし。行ってみようかな……」

 

 

「後すこしなのにっ、なんで!なんで!」

 

俺はこの山で6日間でいたんだ、終わりが見えかけていたんだ………

 

「やっとここまできたのに……クソッ」

 

足が抉られ、大量に出血している。飢えた鬼からやっとのことで撒いたがこのまま出血が出血を服とかで抑え一命をとりとめたとしても………

 

この足では、鬼から身を撒くことも戦うことも出来ない………死ぬだけだ……

 

「………………」

 

寒い……鬼に生きたまま喰われるよりは、このまま安らかに死んだ方がいいかもしれない。

 

ごめんごめんごめんお母さんお父さん出来なかったよ……そっちに今逝っちゃうね、早すぎるよね?

 

「うわぁっこれはひどいねぇ……」

 

俺がぼやけた視界で最後に見たのは、

 

白い服を着た鬼だった。

 

 

 

 

「…………?!」

 

二度と目を覚まさないと思っていたが、見たことのない天井だった。俺は布団に入って寝ており、部屋は普通のものとは違い完全に日の光が遮断されていてほの暗い。

 

「服が変わって……いっつぅ……」

 

服があの最後に見た鬼のような白い浴衣に変わっている。すこし体を動かすと酷い痛みが走る。

 

あの世までの長い夢でも見ているのかと思ったが、それは足の喰われて抉れた様子から現実だと認識する……

たがその足には血のにじんだ白い布が縛ってあり止血をしていた、誰かがやったのは間違いがなかった……

 

「刀はどこだ……」

 

足を引きずるように布団から出て周囲に自身が持った刀無いか探すが…………

 

「武器は取り上げられたか……」

 

刀は見当たらない、どうやら武装は許されないようだ……というか本当にここはどこだ?

俺は山にいたはずだ、山に建物があるなんて聞いたことがな……いやあった本当に噂程度の物だが。

 

選別で生き残りたいのであれば、小屋を目指せとそうすると刀を持って山から降りてくるという話だ。

 

「……いろいろ見て回るか……」

 

もしあの鬼の住居だとしたら、きっと何かあるはずだそして俺の刀を早く取り戻さないと……痛む足を抑えながら歩く。

 

まずは刀を見つけないと話にならない。人はあの刀が無いと鬼に歯すらも立たない。

 

「ここがまず一つか。」

 

一つめの部屋を見つけ開ける、そこは雑多に物がおいてあった……木製の農具。

そしていろいろな箱……それを一つ一つ開けてみてみると白い粉が入っていた……人を殺すための毒かもしれない。

 

そのとなりには不自然に塩と砂糖と書いてある袋が置かれている……正直に言えば訳がわからない。

 

出ようそして次の部屋を探そう。

 

「にしても……修復痕が多いな……」

 

注意深く見ると、新しい木と古い木が混在している……何度もダメになった部分を直して棲んでいるのだろう……この山にいる鬼は短命の者が多いはずなのに。

 

「次はここか……」

 

そこには、さまざまな日輪刀が飾られていた………色別に壁に立て掛けられていて素人目から見ても日々の手入れがよくされていることがはっきりとわかった。

 

だが家主は恐らく鬼だぞ……なんで……でも、これは俺の物とは違うが刀はここで手にはいる。

 

俺は立て掛けられてあったものを一つ手に取り振るう、俺がいつも練習していたものとは感覚が違うがないよりはまだいい……

 

「ここにも箱か……まだ痛むか……」

 

中をあけると折れた日輪刀が大量に詰め込まれていた………飾ってあるのは状態のいいものだけということなのだろう……

 

まだ足が痛い、とても走れないだが……不意打ちをすればまだ先は見える……

 

「…………次は……」

 

それ以外にも部屋を見ていったが……明らかにほとんどつかわれていない台所以外は只作っただけのなにもがらんどうなものばっかりだった……

 

「部屋には居ないか……」

 

……部屋はこれですべて見たはずだ、後は外に行っているかこの中を移動しているか……

 

「いやぁ……この刀、波紋が美しいね……乱れ刃が珍しい夕暮れのような赤の色の動きも美しいし……今日の月によくあう。

 

折れてなくて良かったよ……目覚めるまで飾っちゃおうかな……?」

 

いた、最後に聞いた声と一緒だ……

 

そいつが俺の刀を観賞していた。

 

完全に言い方が、刀か何かを趣向とする人のそれであるが鬼である。訳がわからない、人生で一番混乱しているかもしれない。

 

だがここは一番の隙だ逃がすわけにはいかないっ!

 

「(ゆっくりと気づかれないように近づいて首を落とせ。)」




今回はちょっと長めになってしまった。

鬼血術や呼吸を習得など(これから)

  • 鬼血術のみ習得
  • 呼吸のみ習得
  • 両方習得
  • 習得しない
  • チートなど強くなさすぎないように習得

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