クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
今回の話は前回の戦闘から一日が経過しています。
今回はアニメでも漫画でもかなり考えさせられたシーンです。
今回は結構真面目なシーンなのでネタとかそう言う要素はありません。
そのため早く見て欲しいので、前置きはこの辺にしておきます。
それでは本編の始まりです!
「様・・・アンジュリーゼ様・・・アンジュリーゼ様!!」
アンジュは目を覚ます。そこは自分の皇室ベットであった
側には彼女の筆頭侍女であるモモカがいた。
「モモ・・・カ?」
「どうされましたか?酷くうなされて・・・」
(夢・・・だったの。そう、夢を見ていたの・・・酷い夢・・・)
「酷い夢を見たわ。私がノーマだったという夢」
「まぁ!何をを仰るのですか!」
「アンジュリーゼ様は私たちと同じノーマじゃないですか」
その瞬間、モモカの顔がココに変わった。しかも全身血塗れだった。
「!?モモ・・・カ?」
「私も連れて行って下さい・・・魔法の国に・・・」
するとアンジュのベットの上に義眼が落ちてきた。
「目玉が吹っ飛ぼうが片腕吹っ飛ぼうが、戦う本能に血が滾る・ ・・それが私たちノーマだ」
上を向くと、そこには血塗れのゾーラ隊長がいた。
「!!」
次の瞬間、アンジュの意識は覚醒した。
目の前の光景は天井が映されていた。
身体は拘束されていた。どうやら医務室にいるらしい。
そこにはサリア達もいた。
左隣を見るとナオミが黙って俯いていた。右腕には包帯が巻かれていた。
右隣ではメビウスが黙ってその隣を見つめていた。
頭に包帯が巻かれ、さらに体のあちこちにも包帯が巻かれていた。
その隣にはゾーラ隊長がいた。全身に包帯が巻かれ、酸素マスクを口に当てられていた。
メビウスはアンジュに気づくと、「目が覚めたか」と一言言った。
そう言うと再びゾーラ隊長の方を向いた。
「お目覚めか、皇女殿下」
ジル司令が話を切り出す。
「パラメイル5機大破、メイルライダー4名が重症(アンジュも含む)、2名死亡。両者共に遺体すら残っていない。
その上謎の敵は今回は帰ったから良かったものの結果的に危険は去っていない。
全てお前の敵前逃亡がもたらした戦果だ。どんな気分だ?皇女殿下?」
アンジュは黙り込んだ。
「人殺し・・・人殺し!」
「お前さえいなければお姉様がこんな風になることはなかったんだ!」
クリスとロザリーが興奮気味に近づいてくる。
「手は出すんじゃないよ。それでも負傷者なんだから」
マギーが状況を判断してか、そう伝えた。
「ココ・・・ミランダ・・・」
ナオミは決してアンジュを責めはせず、ただ死んでいった二人の名前を呟いた。
同期が死んだのだ。ショックを感じるなというほうが無理な話である。
「なんとか言えよ!人殺し!」
「人・・・殺し・・・?」
ロザリーの言葉にアンジュが首を傾げる。
「ノーマは・・・人間などではありません」
その言葉に全員が凍りつく。
次の瞬間、ヒルダはアンジュに掴みかかろうとした。
しかしその前にアンジュの顔にパンチが飛んだ。
殴ったのはメビウスだった。
あまりにも意外な出来事に全員が動揺した。
「撤回しろ」メビウスはそう一言呟いた。
「私は・・・ミスルギ皇国に帰ろうとしただけです。なにも・・・悪いことなどしていません」
次の瞬間、再びアンジュの顔にパンチが入った。
「本気で言っているのか?」メビウスが先程と同じ口調で問いかける。
「人間でないノーマがどうなろうと・・・私には関係ありません」
次の瞬間、アンジュを拘束していたベルトが外された。
そしてメビウスはアンジュの胸ぐらをつかんだ。
「じゃあお前は!ココやミランダが死んだことも!ゾーラ隊長がこうなったことも!俺たちがどうなろうと!全部自分には関係ない!どうなろうと知ったことじゃないって言うのかよ!ふざけんなよ!!」
「そこまでだ。それ以上は医者として認めるわけにはいかない」
マギーが制するかのようにそう言った。
そう言われてメビウスはアンジュをベットに叩きつけた。
「・・・居心地が悪い。失礼する」
そう言ってメビウスは部屋の出口へと向かった。
「待て。お前は話さなければならない。あの機体について。
お前は思い出したはずだ。あの穴から出てきた機体がなんなのかを。それを話す義務がお前にはあるはずだ」
ジル司令がそう言う。皆の視線がこちらに集まる。
「・・・ブラック・ドグマ。記憶を失う前に俺が戦っていた奴らだ。なぜ戦っていたのか、理由は思い出せないがな」
そう言ってメビウスは部屋を後にした。
「サリア、お前を第一中隊の隊長に任命する。働きに期待しているぞ。副長はヒルダとする。それでは解散とする」
「イエス・マム」
そう言うと皆が部屋を後にした。
「・・・イタ過ぎだよ・・・あんた」
ヒルダはアンジュにそう言うと部屋を後にした。
部屋にはアンジュとナオミと意識が戻ってないゾーラが残された。
「ねぇねぇサリア。最後まで生き残ったのはアンジュとメビウスとナオミだったね」
「・・・少し黙ってくれる?」
ヴィヴィアンの無邪気さも今のサリアにとっては不快以外の何者でもなかった。
メビウスは発着デッキへと向かっていった。
フェニックスを見た。そこには戦闘でついたであろう傷跡が多くついていた。
フェニックスに乗り込み、モニターを確認する。
アイ・フィールドのモニターを出す。
それをいじる。するとアイ・フィールドの持続時間が表示された。
両腕合わせて5分程度使えるようだ。使った後は使った時間だけ冷却する必要があるらしい。
(・・・俺はお前の事、なにも知らないな。ファングシステムが使えなくなった理由もわからない。お前も俺の事を知らないのか?)
そう思案に耽ていた。
するとジャスミンが何処かへ何かを運んでいるのが見えた。何故かそれが気になって後をついていった。
「起きろアンジュ」
ジル司令のその言葉にアンジュは目を覚ます。
「石の用意ができたらしい。起きろ、行くぞ」
「石?なんのことです?」
「来ればわかる。ナオミ、確かお前は同期だったな。一緒にこい」
そう言ってアンジュの手をとると、ジル司令は歩き始めた。
ナオミもその後ろを歩き始める。
外は雨が降っていた。
「まさか1日に2つもご入用になるとはね」
「せかして悪かったね、ジャスミン」
「いいって、私も早く弔ってやりたいし」
「お前が運ぶんだ、アンジュ」
そう言ってアンジュに石が二つ置かれた台車を手渡した。
「俺も手伝わせてもらう」
皆が振り返るとそこにはメビウスがいた。
「2人が死んだのには俺にも責任の一端がある」
そう言うと台車を後ろから押した。
「一体どういうつもりだい?」
ジャスミンは真面目な口調で問いかける。
「・・・どうしても考えてしまうんです。
もしもあの時俺が後少し早くあの攻撃に割って入っていたら。
俺はあの攻撃を防ぐ方法があった。
少なくてもアイ・フィールドはあの時点ではまだ起動していた。2人を助けることができたはずだった。
・・・でも実際は2人が目の前で殺されたのを見てるしかできなかった。助けてやれなかった。現実でも、夢でも」
「夢でも?どういうこと?」
ナオミが問いかける。
アンジュが目覚める前の事だ。
(ここはどこだ?)
気がつくと俺はどこかわからないところにいた。
目の前にはココとミランダがいた。
「ココ、ミランダ。ここがどこだか知らないか?」
そう尋ねた次の瞬間、二人が突然崖へと落ちそうになった。
「おい!」
俺は二人に手を伸ばした。
「ねぇメビウス、ナオミにごめんねって伝えて?」
「なに言ってるんだよ!そんなもん自分で伝えろ!」
「ごめんね。メビウス」
2人はそう言うと手から抜け落ち、崖の下へと消えていった。
その直後俺は目が覚めた。
「そう・・・ココとミランダが」
ナオミは黙ってその話を聞いていて、そして何か納得したように頷いた。
「生き残った人間は死んだ仲間の墓を建ててやるんだよ。自分の金で。その子の人生を忘れないためにね。」
「安心しな、あんたの足りない分はツケにしといてやるよ」
ジャスミンがアンジュを見ながらそう答えた。
「ココ・リーブ 」「ミランダ・キャンベル。みんないい名前だね・・・。アルゼナルの子たちはね。死んだ時に初めて名前が戻るのさ。親がくれた本当の名前に」
ジャスミンがどこか懐かしそうに本当の名前を呟いた。
「そういえば。嘆願書はどうなりました?」
運んでいる最中にアンジュがジル司令に尋ねる。
「全て受け取りを拒否されたらしい。皇女アンジュリーゼもミスルギ皇国も知らんとな」
「どういうことです?」
「エマ・ブロンソン監察官曰く、もう無いそうだ。ミスルギ皇国という国は」
「え・・・っ!?」
アンジュが驚いて立ち止まる。
「皇女がノーマだということを隠してたんだ。大方ブチ切れだ国民かま革命でも起こしたんだろう」
「そんな・・・それじゃあお母さまは?お父さまは?お兄さまは?シルヴィアは?」
「知らん、早く行くぞ」
「・・・」
アンジュは無言になり再び台車を再び押した。
その台車を後ろからメビウスが、そしてその隣にナオミが歩いていた。
そして3人は手伝って墓石を設置した。
「ミランダ。よくココの面倒を見てあげてたね。ココも友達の少なかった私とも仲良くしてくれてたし・・・私によく・・・プリン分けてくれて・・・幼年部で・・・3人で・・・メイルライダーになるって・・・夢を話し合って・・・うっ・・・うっ・・・うわぁぁぁぁん!!」
ナオミは目の前に建てられた二人の墓で昔の思い出を話していたが、やがて堪えきれなくなったのかその場に泣き崩れた。
メビウスも手を合わせながら、涙を流していた。
「これから・・・これから私はどうなるのですか・・・どうすれば・・・」
「戦ってドラゴン達を斃す。以上だ」
ジル司令がそう答える。
「何なのですか・・・ドラゴンって、どうして私があんなのと・・・」
「授業を聞いてなかったのか?【ドラゴンを殺す兵器】それが私たちノーマの唯一の存在理由だ」
「ちっ」
メビウスは舌打ちをした。
(授業で聞いた。・・・人間の出来損ない・・・か)
思い出した言葉にとても不快な何かが込み上がるのをメビウスは感じた。
「皇女様としては本望だろ?世界を護るために戦えるんだからねぇ」
「世界を?」
ジャスミンの言葉がアンジュには理解できないでいた。
「ここでノーマの娘たちがドラゴンと戦っているからマナの世界は平和を謳歌できる。平和ボケしたマナの世界は誰にも知られず死んでいったノーマ達が護ってたんだよ。そして今度はお前の番だ」
「しっ・・・知りません!!だって私は・・・ノーマではないのだから・・・」
ジル司令はなにかを取り出した。
「監察官のペンだ。使ってみせろ」
「マナの光よ」
しかしなにも起こらない。
「マナの光よ」
しかしなにも起こらない。
「マナの光よ!」
・・・しかしなにも起こらない。
アンジュは地面に座り込む。
「どうして?今だけは・・・ほんの少しマナが使えないだけで、それだけで・・・」
「それを決めたのは人間だったお前達だろう?」
「マナがほんの少し使えない。そいつがどうなるか決めたのはお前達だろ?そしてそれに従ってお前はここに送られてきたんだ」
その言葉にアンジュはあの日の出来事を思い出す。洗礼の儀の前日。エアリアの選手権の帰りの出来事を。
帰り道、ノーマの赤ん坊が発見された。母親は我が子を必至に守っていた。
「この娘はほんの少しマナが使うのが下手なだけなんです!」
そう言って我が子を守ろうとしていた。
その親子に対して私はなんと言っただろうか?
マナの光を否定する存在。本能のままに生きる暴力的な突然変異。今すぐにこの世界から隔離しなければならないと。
その母親はこうも言っていた。
「私がきちんと育てると」
それに私は一体なんと言っただろうか?
ノーマは人間ではないのです。早く忘れなさい。そして次の子を産むのです。ノーマなどではない【正しい子供】を。
母親は我が子を守る最後の足掻きとして哺乳瓶を投げてきた。無論、そんなことをしてもその赤ん坊がノーマであることに変わりなどない。しかし母性故か、母親は最後まで我が子を守ろうとした。
連れ去られていく我が子をその母親は、ただただ泣きながら名前を呼び続けていた。
その夜のことだ。私は自分の母親になんと言っただろうか?
闇が残っていた。なぜ【あんなもの】がこの世にいるのか。
私はノーマの根絶された世界を目指すと言った。
それこそがマナの光で満たされた本当の美しい世界を望むと言った。
洗礼の儀のことを思いだす。
突然暁の御柱から警告音がなり響いた。
お兄様が私がノーマだと暴露した。
それの証拠と言わんばかりにマナの光の結界に触れた途端、その結界が破壊された。
周りの人達は私のことをバケモノだと蔑んだ。エアリア部の部員も。クラスメイトも、洗礼の儀を見にきていた一般人も。
連れ去られる直前、視界の片隅に、あの母親が見えた。まるで私のことを【正しくない子】でも見るかのような目をしていた。
「あぁ全く理不尽なもんだねぇ・・・ココなんてまだ12なのに」
ジャスミンが言った。
その言葉にアンジュは驚く。
「12。シルヴィアと、妹と同じ・・・」
「・・・違う・・・シルヴィアとは違います!だって!だって!」
涙声になりながらもアンジュは否定する。
「ノーマは人間ではない・・・か?」
次の瞬間、ジル司令はアンジュの襟を掴んだ。
「だったらお前は一体なんだ!?皇女でもなく!マナもなく!義務も果たさず敵前逃亡で仲間を殺し!仲間を傷つけたお前は一体なんなんだ!」
「ジル司令!」
後ろから声がした。振り返るとサリアがいた。
「ドラゴンが現れました」
「そうか。立てアンジュ、出撃だ。ナオミ、メビウスお前達もだ」
「イエス・マム」
メビウスはその言葉に力なく返事をする。
ナオミも立ち上がると涙声で返事をする。
しかしアンジュはその場に座り込んでいた。
ジル司令はアンジュの服を持ち、立たせた。
「この世界は不平等で理不尽だ!だから【殺す】か【死ぬ】かそれしかない!!死んだ仲間の分もドラゴンを殺せ!!それができないなら死ね!!」
「では・・・殺して下さい・・・こんなの、辛過ぎます」
「ダメだ」
アンジュの望みをジル司令は拒否する。
「この娘達と同じく戦って死ね。それがお前の義務だ」
「あのっパラメイルは後一機しかありません」
サリアがそう報告する。
「あるじゃないか、それとは別に、例の機体が」
その言葉にサリアは驚く。
「ナオミ、お前は新たなパラメイルを受け取れ。メビウス、お前の機体は既に弾薬の装填も終わっているはずだ。お前達二人は先に行け」
「イエス・マム」
そう言って2人は墓地を後にした。
「さてアンジュ、こっちだ」
そう言うとジル司令はアンジュを連れて行った。その後ろからサリアもついて行った。
次回!遂にみなさんお待ちかねのあの機体が目を覚まします!
それにしても第1話の赤ん坊のノーマは果たしてどうなったんでしょうかね?ちゃんとアルゼナルへと送られたのかな?
なお、本来の予定ではゾーラ隊長も死ぬ予定でした。しかしゾーラ隊長がいると色々とまたオリジナルな展開が開けると思い生存させました。
しかしサリアを隊長にさせるために意識不明という状態です。
果たしてゾーラ隊長はいつ目覚めるのか!