クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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今回はメビウス側の話が少しある程度で、直ぐに
アンジュ側の話に移ります。

タイトルから既に物騒ですが
KI☆NI☆SU☆RU☆NA!
(あれ?このネタ前にやったような?)

それでは本編の始まりです!




第31話 裏切りの故郷

 

 

「ここ・・・は?」

 

ヒルダが目を覚ます。辺りを見回してみると、そこには知っている顔が2つあった。

メビウスとミスティだ。

 

「なっ!?メビウス!?それに・・・」

 

「ミスティ・ローゼンブルムです」

 

「・・・なぁヒルダ・・・一体何があった?」

 

メビウスが重い口調で聞いてきた。

 

「・・・あんたらには関係ないだろ・・・」

 

「・・・俺の知っているヒルダは、少なくても

あんな無抵抗で殴られる奴じゃなかった。

一体何があったんだ?」

 

「・・・相変わらずのお節介だな・・・テメェも」

 

「好きなように言え。何があったか話してみろ」

 

「・・・母親に売られたんだよ!ずっと信じてきたのに!想い続けてきたのに!」

 

ヒルダは話した。自分が母に会うために脱走したという事。自分の存在がなかった事にされていた事。自分という存在を拒絶された事。

自分が死のうとさえ思った事も。

 

「そんな・・・酷いこと・・・」

 

「傑作だろ!?笑えよ!全てを信じてたのに!

全てなくなっちまった!哀れだろ!?惨めだろ!?笑えよ!!」

 

「・・・・・・」

 

メビウスは何も言わなかったが、ヒルダの話が終わると、ヒルダの顔を自分の胸に当てた。

 

「おい!なにすんだよ!」「泣け」

 

それは以前、メビウスがナオミにしてもらった事と同じであった。

 

「泣け。そうすれば少しは楽になる。それこそ

死のうだなんて考えなくなるくらいにはな」

 

「離せって言ってんだろ!」

 

ヒルダはメビウスをでたらめに殴った。何発か外れはしたが、ヒットしたパンチも何発かはあった。

だがメビウスは顔色一つ変えずに、黙ってヒルダの顔を自分の胸にあてていた。

 

やがてヒルダも疲れたのかおとなしくなった。

 

「強がるな。それに疲れたろ?今はゆっくり休めよ。なに、ナオミにされた時もそうだった。

こうされた時、なぜか安心できたんだ。

あのとき、誰かに存在を認められた気がしたんだ」

 

その言葉にヒルダの中にあった何かが崩れた。

 

存在を認められた。ヒルダにとっては母に存在を認めて欲しかった。しかし母は自分の存在を否定した。信じてきた。

ずっとずっと信じてきたのに、否定された。

 

「ウッ・・・ウッ・・・ウワアアアアン!」

 

我慢できなくなったのかヒルダは泣きはじめた。

 

二人はただ黙ってそれを受け止めていた。

 

しばらく経つとヒルダも泣き疲れたのか寝息が聞こえてきた。

 

「今日はもう遅い。明日のことを考えてもう寝よう。ミスティはどうする?コックピットで寝るか?それともここで寝るか?」

 

「ここで寝かせてください。まだその方も決して万全とはいえないでしょう。もしマナが必要になったら起こしてください」

 

そう言うとミスティは横になった。しばらくすると寝息が聞こえてきた。

 

メビウスも態勢を崩さずに、ヒルダを包むように眠った。

 

(ヒルダ・・・今はゆっくり眠れ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メビウス達三人が眠りについた時、ミスルギ皇国、いや、神聖ミスルギ皇国では、アンジュとモモカがある場所を目指していた。

 

【バタン!】

 

ドアを開ける。そこはかつてアンジュが所属して

いたエアリア部だった。

 

「久しぶりね・・・アキホ」

 

「ア・・・アンジュリーゼ様・・・」

 

アキホ。彼女はアンジュと同じエアリア部の

メンバーだ。

 

「か・・・髪、切られたんですね・・・似合ってますよ・・・」

 

アキホは震えていた。彼女からしたら追放された

はずのアンジュが目の前にいるのだ。

手に持っていたマナランプを落とす。するとそれはマナを失い、光が消えた。

 

「ごめんなさい!助けて!あれはその・・・つい!」

 

アキホはうずくまり、怯えていた。あの日、洗礼の儀で彼女はアンジュに対して化け物だの怪物だの散々な事を言っていた。その仕返しが来ると思っていたのだ。

 

だが、アンジュは違っていた。

 

「私が何かすると思ったの?」

 

アンジュはそう言った。彼女からしたらここにきた理由はエアリアを使うためである。そもそもアキホがいる事自体が予想外でもあった。

 

「安心して、何もする気は無いわ。ただ、エアリアのバイク借りるわ。それとここに来たことは、誰にも言わないでね」

 

「はっはい!言いません!」

 

「どう?モモカ?」

 

アンジュはモモカの近くにあったエアリアに駆け寄る。

 

その時である!

 

アキホは後ろ手でマナを使った。それはエマージェンシーコール。言うなれば110番通報の様なものだ。

 

それをアンジュが見逃すわけがなかった。

 

「そう・・・やっぱり、あなたもそうなのね」

 

「来ないで!化け物!」

 

遂に本性を表した。アキホは逃亡しようとしたが、アンジュに足払いされる。

アキホはバランスを崩して倒れた。

 

直ぐにアンジュはアキホを拘束する。手足を縛り、ついでに口にガムテープを貼り付ける。

 

「行くわよ。皇宮へ!」「はい!」

 

モモカがマナを使い、バイクを起動させた。

ガレージの扉が開き、そこから発進する。

バイクは道の横にある排水溝を移動していた。

 

「アンジュリーゼ様・・・」

 

「大丈夫。わかってたから」

 

「ありがとうモモカ。あなたはあなたね」

 

そういうとアンジュはシルヴィアの事を考えた。

 

(待っててシルヴィア。必ず助けるから!)

 

 

 

街中は警官のパトカーが走り回っていた。

 

あの後、アキホが拘束を解き、通報したからだ。

 

アンジュは排水溝から出ると、物陰に身を隠した。しばらく経ってパトカーが通り過ぎるた。

 

「飛ばしますよ!アンジュリーゼ様!」

 

一気に物陰から外へと飛び出した。近くにいた男と女が驚いていた。

 

(・・・暁ノ御柱)

 

アンジュの視界の片隅に暁ノ御柱が見えた。あそこで起きた出来事がアンジュの中でフラッシュバックする。

 

自分の事をノーマだと公表した兄ジュリオのことを。自分の目の前でマナが砕け散った事を。自分を庇い、銃で撃たれた母ソフィアの事を。アンジュにとって、あそこは今のアンジュの始まりの場所のようにも思えた。

 

「左!」

 

アンジュがモモカに指示を飛ばす。

 

「よろしいのですか?どんどん皇宮から離れていますが・・・」

 

「ええ!このまま進んで!」

 

すると目のが突然眩しくなった。よくみると前にはパトカーが並んでいた。

 

「待ち伏せ!?」

 

アンジュが驚き、バイクを止めた。すると上空から輸送機がライトでアンジュを照らした。

 

「どうします!?アンジュリーゼ様!?」

 

「決まってる!強行突破よ!!」

 

アンジュは銃を目の前のパトカーに向けて乱射した。警官達はマナで自分の身を守る。

その間にアンジュは横道へとバイクを進めた。

 

数台のパトカーは銃弾の雨を浴び、次の瞬間爆発した。

 

「お願いです!絶対捕まえてください!」

 

最後尾のパトカーに乗っていたアキホが警官に泣いてすがる。

 

「ご安心ください!ノーマに逃げ場所などありません!」

 

そう言うとそのパトカーは前のパトカー達の後を追っていった。

 

アンジュと警官達によるチェイスが始まった。

 

アンジュは時折銃でパトカーを攻撃するが、マナの光によってそれらは防がれてしまった。

 

すると最も距離的に近いパトカーから警官が身体を乗り出した。手は謎のポーズを取っていた。

 

「捕縛結界!?」

 

次の瞬間、その警官の手から、マナで作られたネットが出された。それはモモカを包むと、捕縛した。ノーマであるアンジュはモモカがいなくなると、エアリアのバイクは使えなくなってしまうのだ。

それが狙いなのだろう。

 

「モモカ!」

 

アンジュがそのネットに触る。ノーマである彼女はマナの光を破壊する事ができる。そのためネットも彼女が触れた途端に粉々になった。

 

「モモカ!弾倉!」

 

アンジュは今持っている銃の弾倉をモモカに頼んだ。

 

「マナではなくネットガンを使え!」

 

警官の一人が周りに指示を飛ばす。彼らはネットガンを装備して、再びアンジュ達を狙った。

 

そうしている間にアンジュは銃の弾倉交換を済ませていた。

 

後ろを振り返り、銃を撃つ。しかしマナの光で防がれる。相手側はネットガンを放った。それらを全て避ける。現段階ではアンジュ達は防戦一方であった。

 

さらに空からは輸送機がゆっくり降下してきた。後ろのハッチは空いており、そこから兵士達がネットガンを放つ。しかしそれらもアンジュは避け切った。

 

「舐めるなぁ!」

 

アンジュはそう言うとモモカから手榴弾を受け取った。その安全ピンを口で外すと、輸送機めがけて投げつけた。

 

ネットガンを使うために、高度を落としていた事が仇となり、その手榴弾は輸送機のエンジン部分に

入った。次の瞬間、エンジンは大爆発を起こした。

 

機体制御が取れない輸送機は、隣を飛んでいた輸送機に突っ込むと、二機ともまとめて森の中へと落ちていった。

 

次の瞬間、二機の輸送機は大爆発を起こした。これにビビったのか、パトカーの速度が少し遅くなる。

 

アンジュは加速して、パトカーとの距離を出来るだけ離していく。

 

しばらく走っているとアンジュの目的の場所が見えてきた。それは小さな小川のような用水路であった。

 

「モモカ!突っ込んで!」

 

「ええ!?はい!わかりました!」

 

最初はモモカも驚いていたが、直ぐに意を決して

用水路の上にバイクを走らせる。

 

小さな滝の部分にアンジュ達は突っ込んだ。するとアンジュ達が消えた。

 

後ろを追跡していたパトカー達も突っ込む。しかしその穴は小さく、パトカーのような車では入る事が出来なかった。

 

車は急に止まれないとはよく言ったものだ。

 

その突っ込んだパトカーの後ろから一台、もう一台と突っ込んでいく。無論、それで通る事ができるわけもない。

パトカー達は次々と玉突き事故を起こし、爆発していった。

 

アキホの乗っていたパトカーだけが一番最後尾だったこともあり、事故にならずに済んだ。

 

アンジュ達はその道を進んでいた。

 

「後は道なりに進むだけ!そうすれば皇宮の正面に出れるはずよ!」

 

「知りませんでした。このような道があったとは・・・」

 

モモカは驚いていた。一体この道はなんなのか?

疑問を感じずにはいられなかった。

 

「皇族だけが知っている秘密の抜け道よ。昔はよく、夜はここから皇級の外に遊びに行っていたわ」

 

「まぁ!そんな事してたんですか!アンジュリーゼ様!」

 

モモカは頬を膨らませていた。

 

しばらくすると出口が見えてきた。皇宮を流れる川へとでた。

 

川岸にたどり着くと、バイクを乗り捨てた。皇宮内の探索にはバイクは向いていないのだ。

 

入り口に向かって進んでいると、突然目の前が明るくなった。見てみると、そこには武装した兵士達がいた。

 

「お姉さま!?アンジュリーゼお姉さま!」

 

上のバルコニーから声がした。見てみるとそこにはシルヴィアの姿があった。

 

「シルヴィア!」

 

「助けて!アンジュリーゼお姉さま!」

 

「アンジュリーゼ!無駄な抵抗はするな!妹の命が惜しいのなら黙って従え!」

 

兵士の一人が拡声器を使ってそう言う。

 

「そんな脅しに私は屈しないわ!必ずシルヴィアを助け出す!」

 

何名かの兵士がアンジュを捕まえようと襲ってきたが、アンジュは全て返り討ちにした。途中モモカも兵士に襲われていたが、それも難なく助け出す。

 

そしてアンジュは残りの兵士達に銃を放った。兵士達はまさか撃ってくるとは予想外だったのか、皆散り散りに逃げていった。

 

妹のいるバルコニーの兵士達も怖気付いたのかシルヴィアをそのままにして皆一目散に建物の中へと入っていった。

 

「シルヴィア!もう大丈夫よ!降りて来て!」

 

「アンジュリーゼお姉さまぁ!」

 

シルヴィアはマナの力で車椅子を浮遊させた。

 

「シルヴィア!」

 

アンジュがシルヴィアへと駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ザク!】

 

アンジュの左腕に冷たい何かが刺さった。それはナイフであった。

 

そのナイフの持ち主を見た。そのナイフの持ち主はシルヴィアであった。

 

「アンジュリーゼ様!大丈夫ですか!?」

 

モモカの心配する声も、今のアンジュには届かないでいた。現状が理解できないでいた。

なぜシルヴィアが私にナイフを刺しているのか?

 

「シル・・・ヴィア・・・?」

 

「馴れ馴れしく呼ばないで!あなたなんて姉でもなんでもありません!この化け物!!」

 

その言葉にアンジュの表情が絶望に染まる。

 

「どうして?どうしてなの!?どうして生まれてきたの!?」

 

そんなアンジュなど御構い無しにシルヴィアがまくしたてる。

 

「あなたさえ生まれて来なければ!お父さまが処刑される事も!お母さまが死ぬ事も!お兄さまが変わってしまわれることも!私が歩けなくなる事も!全部なかったのよ!」

 

「これらの事全て!なかったはずなのよ!あなたさえいなければ!みんなみんな!幸せだったのよ!お母さまを返して!返してよ!この化け物!この化け物!!化け物!!!大っ嫌い!!!!」

 

シルヴィアは泣いていた。だがその涙の奥には、

アンジュに対しての明らかな憎悪と憎しみが込められていた。

 

「シルヴィア様・・・」

 

モモカはただその言葉を呆然と聞いていた。それはアンジュも同じだった。アンジュが膝をつく。

 

「そん・・・な・・・」

 

この時アンジュは自分が騙されていた事に気がついた。全てが嘘だったのだ。初めから全てが。

 

兵士達もグルだったらしい。アンジュ達にネットガンを放つ。アンジュには、もはや避ける気力すらなくなっていた。側にいたモモカもネットガンの餌食となった。

 

「無様な姿だな。アンジュリーゼ。落ちぶれ果てた皇女殿下。その末路に相応しい」

 

シルヴィアとは違う声がした。その声の方を見る。

 

するとそこにはジュリオ・飛鳥・ミスルギがいた。アンジュをノーマだと暴露し、アンジュを陥れた

張本人がそこにいた。

 

「ジュリオ・・・お兄さま・・・」

 

「そうそう。その間抜け面が見たかった。これで誘き出した甲斐があったというものだ」

 

「え・・・?」

 

「さぁ、断罪を始めよう。アンジュリーゼ。お前という罪のな・・・」

 

もはや今のアンジュには、その様な言葉も耳には入らなかった。兵士達がアンジャ達を連れて行く。

 

「クックックッ。はーっはっはっは!」

 

皇宮の庭には、ジュリオの高らかな笑い声が響いた。

 

 

 






アニメの第9話が終わりました。

Q それにしても!このような展開を、一体誰が予測していたであろうか!?(正宗風)

A 前回の話、タイトル、もしくはアニメを見た閲覧者のみさなん。

アニメでもこのタイトルでしたからね。

本来ならヒルダ側の話も同じ回でしてたのでマジであれには驚きましたね。
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