クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
今回アンジュは出ません!
今回はメビウスが神聖ミスルギ皇国に潜入して情報を集めながら、調律者と出会う話です!
それでは本編の始まりです!
夜が明けた。メビウス達三人は目を覚ます。
「朝か・・・とりあえずなんか飯でも食うか」
ミスティとヒルダは、近くの水辺で身体を流していた。メビウスはその間にヒルダの服と飯の準備をしていた。昨日ヒルダの着ていた服はボロボロになっていた。
今日もパン二つと水が三人の食事であった。
「さて・・・ヒルダ。お前はこれからどうする?」
朝食が終わり、メビウスがヒルダの方を向きながらたずねる。
「・・・」
ヒルダはそれには答えない。
「もしアルゼナルに帰りたいなら後で俺が連れ帰ってもいい。無論あそこに帰りたくないなら外の世界にいればいい。その時は行き先くらい教えてくれればそこまで送っていくぜ」
「・・・メビウス・・・あんたはなんであそこを脱走したんだ?」
「アンジュを助けるためだ」
その言葉にヒルダが驚く。メビウスは話した。ミスティに話した事と同じ事を。
「・・・なぁ、あたしもそれに連れて行ってくれないか?」
「・・・なんでだ?」
「・・・アンジュを助けたいからな・・・」
意外だった。ヒルダの口からそんな言葉が出るとは、メビウスは驚いていた。
「・・・コックピットに三人かぁ、乗れるかな?」
その返事は付いてきてもいいという返事だ。
「ちなみにヒルダ?ここってどこらへんだ?地元
なんだよな?」
「ここはエンデランド連合だよ」
「じゃあミスルギ皇国までもう少しですね!」
ミスティがそう言う。
「とにかくミスルギ皇国を目指すぞ。早く乗りな」
そう言うとヒルダとミスティはコックピットに乗った。メビウスもそこに入る。多少窮屈になったが
仕方ない。
フェニックスは離陸した。ヒルダはコックピットから外を見ていたが、やがて前を向いた。
過去の思いを捨てるかのように
(じゃあな・・・クソババア)
内心でそう言うヒルダ。そんな彼女の目には涙が
溜まっていた。
しばらく飛んでいるとそろそろミスルギ皇国だと
言われた。とりあえず機体を人目につかないところに着地させる。
「二人はここで待っていてくれ。俺はアンジュの情報がないかどうか調べてみる。飲み食いしたい時はボックスに飯とかが入ってるからそれでしてくれ」
「機体の番って事だな」
もし街中でノーマだと発覚すると、それこそ危険以外の何者でもないのだ。男である以上ノーマだと疑われる恐れはまずないだろう。
そう言うとメビウスは、フェスタの時の服装になり、ミスルギ皇国の街へと足を進めていった。
しばらく歩いたが、やがて街へとたどり着いた。そこは人通りが多く、賑やかな街並みであった。
(ここがミスルギ皇国・・・いや、神聖ミスルギ皇国か)
メビウスは街中をしばらく歩いていたが、周りの人は皆、空間にモニターなどを表示していた。
(あれがマナか・・・人であるための絶対条件・・・)
メビウスは道行く人無差別に話しかけた。理由は簡単だ。かつて、この国で空間に穴が空いた事があるかどうか聞いていた。
すると何名かの人が空いたのを見たと答えた。しかしその穴は少し目を離したら消えていた。さらには穴が空いたという事実もマナに載っていないため、見間違いだと思うと口を揃えて言っていた。
しかしそれらが不特定多数いるという事実は彼にとって一つの結論を出すには十分だった。
(やっぱりモモカさんの言っていた事は本当だったんだ。となると次の問題は、何がそこから来たか・・・)
アンジュの情報は聞かなかった。言い換えれば聞く必要がなかったのだ。
話を聞く少し前、とある場所で人々が群れを作っていた。何事かと思い、その群れの先を見る。するとそれはニュースらしいものだった。
「本日、我々を欺いてきた忌むべきノーマ。元皇女のアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギの処刑が実行されます・・・」
そのあと色々流れていたが、メビウスには聞こえなかった。最悪の事態だった。やはりアンジュは騙されていた。そして捕まってしまっていた。
(・・・こうなると処刑の時に助けるしか手がないな)
その時だった。
「やぁメビウス」
名前を呼ばれて驚いて振り返った。するとそこには見たことのない男がいた。その男は金髪の薄い髪色をしていて、ネクタイもつけていた。
(この男!なんで俺の名前を!)
「君と話がしたい。昼食でもいかがかな?」
「嫌だと言ったら・・・?」
「君の知りたい情報を私は知っている。付いてきた方が利口だよ」
メビウスはいつでも戦えるように、銃に手を伸ばした状態で、その男の後をついていった。
少し歩くと、とあるレストランにたどり着き、そこへと入る。謎の男がテーブル席を取る。そこに
向かい合わせで座る。
「好きな物を注文したまえ」
「・・・ビザを一つでいい」
「なら私もそれにしよう」
ウエイターが注文を繰り返し、その後厨房へと去っていった。
「さて、こっちの名前は知ってるようだけど、
そちらの名前を教えてくれないか?」
「これは失礼した。私はエンブリヲ。調律者だ」
「エンブリヲ。お前はなぜ俺の事を知っている?」
調律者という言葉を無視してメビウスは本題を聞いた。
「やはり自分を知らないのは不安か。無理もないがな」
「質問に答えろ。誘ったのはそちらのはずだぞ」
メビウスが若干キレ気味になりながら尋ねる。
「残念ながらそれを私が話す事は出来ない。君にはあるものを渡しに来たんだ」
「あるもの?」
「これだよ。見覚えはないかな?」
そう言うとエンブリヲはポケットからあるものを取り出した。それはアンジュの指輪だった。
「これを君に預けよう。アンジュに返してやってくれ」
「・・・なんでお前がこれを持ってんだよ」
「ジュリオ君からくすねてきたんだよ。さて、君はアンジュを助けに行くんだろ?」
「あぁ、そのつもりだ」
「そうか、この時間にこの場所に来たまえ」
するとエンブリヲは時間と場所の書かれた紙を渡してきた。
「さて、そろそろ注文の品が届くころだな」
すると店員がピザを二つ持ってきた。焼きたてなのかとても熱々で、湯気が立ち昇っていた。
「まずは食べたまえ」
メビウスはピザの端を掴んでそれを口に放り込んだ。熱さが口の中に広がったが、すぐに美味さが伝わってきた。
「・・・結構うまいな」
「気に入って貰えて嬉しいよ」
そう言うと二人は、出されたピザを食べていた。
一通り食べ終わった。
「・・・お前・・・一体何者なんだ」
一息ついて、メビウスが尋ねる。彼からしたら一方的な話を聞かされているのだ。
「自分の事がわからない君に他人の事はわからないだろう。まぁいい、私の詳しいことはアレクトラに聞いてくれ」
「!?」
アレクトラ。その名前をメビウスは知っている。フェスタの日の時、コンピューターで検索した時にある【単語】の出来事内で見つけた名前だ。その名前の持ち主をメビウスは知っていた。
「では会計を済ませてしまうか」
そう言うとエンブリヲはレジへと向かった。メビウスも後をついていく。支払いなどはマナの光で行われていた。
外へと出た。
「じゃあ私はこれで失礼するよ。頑張ってアンジュを救ってみたまえ、メビウス。いや、こう呼ばせてもらうよ」
【矛盾する大罪を繰り返す者よ】
メビウスの耳にその言葉は微かに届いた。次の瞬間、エンブリヲは消えていた。まるで初めからそこにいなかったかのように消えていた。
後にはメビウスだけが残された。
(なんだったんだあいつは・・・)
言いたい事を一方的に言い、気がついたら消えていた。まさに謎としか言えなかった。メビウスは先程のエンブリヲの言葉を考えていた。
「矛盾する大罪を繰り返す者・・・」
メビウスはその言葉にピンと来るものがなかった。これまで自分については思い出したとき、脳内の霧が晴れるような気分だったが、今回はそれがない。
ひとまずミスティ達のところに戻ろう。
今はアンジュが処刑されると言う事実を二人に教えよう。そうすれば、少しは答えが見えるかもしれない。そう思い、メビウスは街を後にした。
フェニックスの元に戻るとそこにはヒルダとミスティがいた。
「メビウス。情報集めはどうだった?」
ヒルダが聞いてくる。メビウスはアンジュが処刑される事を二人に話した。
「そんな・・・じゃあマナの情報は・・・」
「あぁ100パーセント嘘だな。こうなるとマナの
情報はあてにならない。そして今日の処刑の時にしか、アンジュを助けられないだろうな」
三人が少し黙ってしまった。
「そうだミスティ。街の人たちが言ってたけど、エンブリヲって人知ってるか?」
「いえ。そのような名前は聞いたことないです」
「そうか・・・」
エンブリヲの事は二人には黙っておこう。彼からしたらあいつはあまりにも不確定要素が多すぎる。下手に教えても二人とも混乱するだけだと判断したからだ。
「・・・アンジュを救出するのは夜だ。そろそろ準備に取り掛かるか」
そう言うと三人はアンジュを助け出すため、準備を始めた。
「やれやれ、まさか私が他人のおつかいをしなくてはならないとは」
ある場所でエンブリヲは自分の行いを多少嘆いていた。
するとそこにある人物がやってきた。
「おれが行くわけにもいかねぇんだよ。それよりどうだった?メビウスは」
「何。問題ないさ。彼ならきっとアンジュを助けるよ。これまでの彼と同じように」
「そうかい。それはよかった。んじゃあ俺は俺の用意があるから失礼するぜ」
そう言うとその男は来た道を帰っていった。
今回はほぼオリジナル話でしたね!
次回はアンジュ救出作戦です!果たしてメビウスはアンジュを助け出す事が出来るのか!
次回!もしかしたらパラメイルを使った戦闘が書かれるかもしれません!