クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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今回から第5章です!

前回の章はあまりにも重い話が多かったと読み直して思いました。

不意に思ったけどこれって一体何章まで続くんだろう。

・・・考えてても仕方ねぇ!とにかく完結を目指すぞ!

それでは本編の始まりです!


第5章 滅びへの微笑
第36話 10年前の思い出


 

 

ミスルギ皇国。皇宮の一室ではシルヴィアが悪夢を見ていた。

 

あの日。アンジュリーゼの処刑される日、突然現れた謎の男が自分を殴り殺す夢だった。

 

「はあっはあっ」

 

身体中から汗が吹き出していた。

 

悪い夢を見た。こういう時、シルヴィアは楽しい事を思い出していた。

 

それはアンジュと馬に乗って遠出をしていた思い出だった。

 

(お姉さまがノーマだとわかってからお兄さまは

変わってしまわれた・・・)

 

(私は・・・たとえお姉さまがノーマだったとしても・・・あの頃が一番の幸せでした・・・)

 

そんな考えが頭をよぎった。それを直ぐに否定する。

 

(・・・あれでよかったんですよね?お兄様!?)

 

シルヴィアはマナで車椅子に乗り、兄ジュリオの部屋へと向かう。

 

部屋の前までいくと扉が少し空いていた。

 

そして中から話し声が聞こえた。

 

「お兄さま?」

 

シルヴィアは扉の隙間から中を覗いた。

 

その光景にシルヴィアは驚きで目が釘付けとなった。

 

「可哀想なジュリオ」

 

「これくらい平気だよ。ママ。でも悔しいなぁ。

悪いノーマを退治できなかった」

 

「あなたはよくやったわ。ジュリオ」

 

「本当に!?僕よくやれた!?嬉しいなぁ。母上は僕の事全然褒めてくれなかったんだよ。

いっつもアンジュリーゼの事ばっかりエコヒイキしてたんだ」

 

リィザは爪から何かを垂らした。ジュリオの口にその液体が入る。

 

「ふふっそれじゃ今度はママのお願い聞いてくれる?」

 

「わかってるよ。シンギュラーポイントを開けば

いいんだよね?」

 

「いい子ね」

 

シルヴィアはその光景から目が離せなかった。理由は二つあった。

 

一つ目は今、二人は裸で一つのベットにいる。

しかもジュリオが下でリィザが上にいた。

 

どう考えてもアレをしてるようにしか見えない。

しかしそんな事は今の彼女には些細な事だった。

 

シルヴィアが驚いた二つ目の原因。それはリィザの背中に翼が生えていた事だ。

 

「ひっ!?」

 

その声に気がつき、リィザがこちらを振り返る。

 

「あらあら。シルヴィア様」

 

「近衛長官・・・あなた・・・一体」

 

「どうやら悪い夢を見てらっしゃるのですね」

 

リィザが近づいて来た。

 

シルヴィアは慌てて車椅子でその場を離れる。しかし後ろからリィザの尻尾がシルヴィアの首に巻きついた。

 

「ぐっ・・・たす・・・けて。助けて!アンジュリーゼお姉様!」

 

シルヴィアの助けを求める悲鳴が、皇宮内に虚しく響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メビウス達が反省房に送られてから数日経った。

反省房の扉を保安部の女性が開ける。

 

「メビウス。出ろ!」

 

今日でメビウスの反省房での刑期が終了したのだ。

 

「それじゃあ二人とも、お先に失礼するぜ。まぁその・・・頑張れよ」

 

そう言うとメビウスは反省房を後にした。

 

最も、アンジュもヒルダもかなりまいっていた。

空腹だけが原因ではない。

 

「臭いの発生源が一つ消えたわね」

 

二人が同じ事を言った。

 

二人を苦しめているもの。それは体臭だ。アンジュは脱走した日から今日まで風呂に一度も入っていない。ヒルダはメビウス達が保護した時、水浴びをしたのが最後だ。

 

メビウスもアンジュと同じでフェスタの日の夜に風呂に入ったきりでそこからは今日まで一度も入っていない。

 

はっきり言って三人共かなり臭い。

 

メビウス自身はあまり気にしてはいなかったが

アンジュとヒルダは仮にも女の子である。

少しはそこら辺にも気を使いたいのだ。

 

「贅沢言わないから、せめて水浴びさせて・・・」

 

アンジュが独り言を呟く。

 

 

 

メビウスは反省房の出口にたどり着いた。

 

「あなた・・・シャワーを浴びなさい」

 

保安係の人は鼻をつまみながらそう言った。

 

その言葉と動作には流石にメビウスにも堪えるものがあったようで、シャワー室へと足を進める。

 

シャワーを浴びながらメビウスは考えていた。

これからどうすればいいのかを。

 

その時腹が鳴った。考えれば反省房では乾パン一つ出された程度で全く食事になっていなかった。

 

(・・・食堂行くか・・・)

 

メビウスはそう考えた。

 

一通りの臭いがとれた。シャワー室を出た。するとそこにはサリアを始めとした第一中隊のメンバーが待ち構えていた。

 

「臭いはとれたようね。メビウス・・・」

 

サリアが何か言っていたが、メビウスはそれをスルーした。

 

因みに本来なら反省房の出口で待ち伏せする予定だったが、あまりにも酷い臭いのため諦めたらしい。

 

「ちょっと!何無視してるのよ!」

 

「なんだよ。腹減ったから食堂行くんだけど」

 

「それは良かった。付いてきなさい」

 

そう言うとそこにいたメンバー全員がメビウスを

拘束し、食堂へと向かった。

 

食堂には美味そうな臭いが立ち込めていた。

 

目の前にはすき焼きがあった。

 

「なんだよこれ?俺の除隊処分を祝ってのパーティか?」

 

メビウスが皮肉を交えて言う。自分は既にサリア隊のメンバーではないのだ。

こんなもてなしを受けるいわれはない。

 

「わからない?食事のお誘いよ」

 

「・・・なんでそんな事をするのかって聞いてるんだけど」

 

「・・・とりあえず。あなたには感謝はしてるわ。アンジュの命を助けてくれた事を・・・」

 

サリアはあの後ジル司令から聞かされたのだ。メビウスがアンジュを助けるため、ミスルギ皇国で派手にやらかした事を。

 

「とりあえずそのお礼よ。

最も、あなたのキャッシュだけどね」

 

「いわば俺の奢りじゃねぇか」

 

「メビウス。これ返すよ」

 

ナオミが袋を渡してきた。

 

中にはキャッシュが入っていた。紙には1260万キャッシュ入ってると書かれていた。

 

「私の借金立て替えようとして置いてったんだよね?大丈夫だよ。借金はちゃんと自分の手で返すから」

 

ナオミが明るくそう言う。

 

「・・・なぁ。俺は仮にも脱走スレスレの事をしたんだぜ。憎くないのか?」

 

「メビウスくんには脱走の罪はかかってないわ。それに司令からのけじめも全てつけたんだし。

今のあなたはこのアルゼナルのメンバーよ。

憎む理由はないわよ」

 

エルシャがそう答える。

 

「あーもー固い事はいいから!早くすき焼きたべよーよ!」

 

「そうだな!早く食いてぇよ!」

 

ヴィヴィアンが急かす。それにロザリーものる。

 

「それじゃあいただきますか」

 

そう言うと皆の橋が肉を狙った。

 

食べながらメビウスは色々な話を聞いた。

 

現在第一中隊は後方で待機しているらしい。脱走者が二名出たこともあるが、アンジュとヒルダのライダー資格の剥奪。並びにメビウスの除隊処分によって戦力は大幅にダウンしたため致し方ないだが。

 

「なるほどね」

 

「因みにメビウスはこれからどうするの?第一中隊からは除隊処分なんでしょ?他の中隊に行くの?」

 

ナオミが疑問に思いたずねてきた。

 

「・・・第零中隊でも立ち上げようかな?ワンマンアーミーだけどな」

 

「一人しかいないと中隊とは言わないんじゃないの?」

 

メビウスの言葉をクリスが指摘する。

 

そうしているうちにあらかた食事が終わった。

因みにすき焼きといったら肉だが、

それに関してはエルシャにほとんど取られてしまった。

 

「とりあえず今は自分の事を考えるか。そんじゃ

ご馳走さん」

 

メビウスはそう言うと席を後にした。部屋へと戻ると自分のハンモックに横になり、考え始める。

 

(リベルタスは気になる。けど下手にジル司令に探りを入れてもおそらく無駄だろうな・・・

それにしても・・・なんで)

 

(なんでガーナムはあの場所に居たんだ?)

 

メビウスは自分の中の疑問と向き合っていた。

 

 

 

 

 

食事後、サリアはアルゼナルの外に出ていた。そこで花を摘んでいた。(言葉通りの意味です)

 

「あーサリアお姉さまだ。サリアお姉さまに敬礼」

 

幼年部の子達とその先生がサリアに敬礼する。サリアもそれに敬礼し返す。

 

幼年部の子供達ははしゃいでいた。

 

綺麗とかかっこいいとか色々だった。その中でサリアが一番心に響いた言葉があった。

 

「私もサリアお姉さまみたいになるんだ」

 

この言葉であった。サリアはその言葉に昔を思い出す。

 

「私もお姉さまみたいになる」

 

まだサリアが幼年部にいた頃。ある人物に憧れての言葉だった。

 

サリアは先程摘んだ花を持ってある人のお墓へと向かう。そこにはメイもいた。

 

「これ。お姉さんに」

 

「毎年ありがとう。サリア」

 

二人でお墓に手を合わせる。

 

「ねぇメイ。さっきサリアお姉さまって言われちゃったよ。私。もうそんな歳かな?」

 

「まだ17じゃん」

 

「もう17よ。同い年になっちゃった・・・

アレクトラと」

 

サリアは十年前の事を思い出す。

 

十年前、アレクトラの乗ったヴィルキスが帰還した。煙が吹き出ておりどう見てもまずい状態だった。

 

「マギー鎮痛剤だ!あとありったけの包帯も持ってきな!」

 

当時総司令だったジャスミンが手当てのために

それらをマギーに要求する。

 

「あれ・・・お姉さまの機体」

 

サリアは窓からそれを見ていた。

 

「アレクトラ!?一体何があった!?」

 

「みんな・・・みんなが・・・そうだ。フェイリンから、メイに伝言が・・・三番目の引き出しの二重底に、一族の伝承が・・・」

 

「馬鹿!そんな話は後にしろ!」

 

「ごめんジャスミン。みんな・・・死んじゃった。フェイリンも、バネッサも、騎士の一族も・・・

私じゃ使えなかった・・・ヴィルキスを・・・

私じゃ・・・ダメだった」

 

「そんな事ないよ!」

 

寝間着姿のまま、サリアとメイが降りてきて、アレクトラの前に立つ。

 

「お姉さまは強くて綺麗でかっこいいもん!ダメなんかじゃないもん!)

 

「サリ・・・ア」

 

「一体どんなドラゴンだったの?大きさは!?硬さは!?私!許さない!お姉さまをこんな風にして!私が仇をとってみせるよ!」

 

「・・・期待してるわよ・・・サリア」

 

そう言うとアレクトラは左手でサリアの頭を撫でた。

 

これが十年前に起きた出来事である。

 

 

 

「覚えてないや」

 

「無理ないわ。まだ三歳だったもの」

 

「でも、一族の・・・お姉のの意思は受け継いだよ。ヴィルキスと共に世界を解放する。お姉の分まで・・・」

 

「サリアはライダーとしてアレク・・・じゃなかった、ジルの分まで戦うんだよね?」

 

 

サリアは思い出していた。

 

以前ヴィルキスを使いこなすための訓練をしていた事を。

だがジルには無駄だと言われた。

 

「どんなに頑張っても、できない奴には出来ないんだ。それがわからないやつは・・・こうなるぞ」

 

ジル司令は右腕を見せた。義手である右手を。

 

「私に・・・私になにが足りないの!?」

 

サリアがそう言う。ジル司令は煙を出すとこう言った。

 

「私たち・・・にだ」

 

(じゃあ、アンジュには何があるの?)

 

サリアはヴィルキスをじっと見つめていた。

 

(アンジュにヴィルキスは渡さない・・・)

 






正直本編見てて感じた事。ジャスミン若すぎだろ!って思いましたね。

それにしてもアルゼナルですき焼きが出されたとは・・・

アニメではメビウスとナオミもいないので五人でしたね。

まぁ五人でもすき焼きはうまいですよ。
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