クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
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皆様誠にありがとうございます!
今回ナレーターの仕事は結構ないです。アニメ本編の部分でもここら辺はマジでナレーション入れるような会話してなかったなぁ。
今回は会話文が主体です!
それでは本編の始まりです!
ミスルギ皇国では朝早くから、各国首脳達が緊急の会議を開いていた。普段はマナを使っての会議だが今回は事態が事態なため、直接集まってもらった訳だ。
「まさかドラゴンの方から攻めてくるとは」
「このパラメイル・・・まさかドラゴンが?」
それぞれの首脳が見ている映像。それは昨日の
アルゼナルの襲撃映像だ。
「たしかシンギュラーの管理はミスルギ皇国の仕事でしたよね?なにか弁明でもありますか?」
「それが。暁ノ御柱にはなんの反応もなかったのです」
「ふん。言い訳にはぴったりだな」
ジュリオの答えに、皮肉を返す首脳達。
「とにかく今は、アルゼナルの再建を進めて、
戦力の増強を図るべきでは?」
「そうも言えない理由が二つあるんだ」
そういうとマナの光はある機体を映し出した。
「これは・・・ヴィルキスだと・・・」
「あの時の反乱の際に、破壊されたと思っていたが・・・」
「アルゼナルの管理はローゼンブルム家の仕事の
はずでは?」
「監察官からの報告では・・・問題ないと」
「ノーマに出し抜かれたわけか。無様な」
「それだけではない。もう一つ重大な問題が残されている」
もう一つの機体。フェニックスが映し出された。
「これは・・・」
「あの時の映像と照らして見たところ。間違いない。 アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギの処刑会場に現れた機体だ」
「あの男のノーマが乗っていたパラメイルか」
「まさかアルゼナルにいたとは・・・」
「それだけではない。この破壊力を見たまえ」
映像には機体の変化後。胸部の砲身から放たれた
砲撃が映し出された。
「この攻撃により、射線上にあった島四つが消し飛んだらしい」
「そんな物を我々に向けられても見ろ!我々は皆殺しにされるぞ!」
「これも全てはローゼンブルム家の失態だ!親が
これじゃあ娘さんがノーマに誘拐されても仕方ないですな!」
「なっ!ミスティは今は関係ないはずです!娘を
侮辱する事は許しません!」
「そんなことより、今はこれからどうするかを考えましょう」
争う二人をジュリオがたしなめる。
「ふん!ジュリオ・飛鳥・ミスルギ!実の妹だった化け物の始末一つもつけられない奴が!まさにあの会場に現れた男のノーマの言っていた通りだな!
貴様は臆病者だ!」
「やめませんか皆さん!我々は罵倒し合うためにわざわざここに集まったのではないはずですよ!」
【バァン!】
銃声が響いた。
皆が驚いてその方向を向く。向いた先にはガーナムがいた。
「けっ!醜く罵り合いやがって。口を動かす前に
頭を動かしたらどうだ?まっ俺は手が先に動くけどな」
「なんだこいつは!」
「失礼。私のボディガードが無礼をした。だが彼の言うことも正論だ」
ガーナムの後ろから本を持った青年が現れた。
「エ・・・エンブリヲ様・・・」
その人の登場にみなの顔が緊張する。
(この人がエンブリヲ・・・)
親の仕事を見るために会議に出ていたミスティは、以前メビウスの聞いてきた人だと理解する。
あの後タスクはちゃんとミスティをローゼルブルム王国に返したらしい。
「全く。どうしようもないな・・・我々に選択肢は二つ」
「ドラゴンに全面降伏するか、全滅させるか」
「そんな・・・」
「そこで三つめだ。世界を作り直す」
「世界を?」
皆が口を揃えて尋ねる。
「その通り、一度世界をリセットしてしまうのだ」
「・・・そのような事が出来るのですか?」
ミスティがエンブリヲに尋ねる。
「もちろんできるよ。全てのラグナメイルと
メイルライダー。
そして・・・フェニックスがあれば」
「素晴らしいですよエンブリヲ様!そもそもが間違いだったのです!忌々しいノーマという存在も!
ノーマを使わなければならないこの世界も!」
「馬鹿な。ここまで発展した世界を捨てろと言うのか?」
「では他に方法がありますか?」
ジュリオの放ったその一言で皆が黙る。それは他に方法を知らないと言う事を表していた。
「それしか・・・ないか・・・」
(お父さま・・・)
父の呟いた一言がミスティに重くのしかかる。
「では決まりだね。ガーナム君」
「あぁわかってる。すでに上の連中とは話がついてある。フェニックスのワードを出したら食いつきやがった。ジュリオ皇帝陛下様よ。もし力が必要になったら手を貸すぜ?
後その頬の傷。似合ってるぜ」
「貴様がエンブリヲ様のボディーガードでなければ、今すぐ処刑してやりたいものだ」
「そいつは面白そうだなぁ!殺していいのは殺される覚悟のある奴だけだけどな・・・」
「では本日はこれで解散としましょう」
その一言と共に皆、部屋を後にした。
「ミスティ。わかったかい?あれがエンブリヲ様だ。お前の今後の為にあの会議によんで正解だったよ」
「そうですね・・・お父さま・・・」
廊下を歩いているミスティはどこか浮かない顔をしていた。
ジュリオは部屋に戻るとリィザを呼んだ。
「リィザ。支度をしておいてくれ」
「御意」
「フッフッフ。今に世界は変わる」
窓ガラスにジュリオの悪い笑顔が写った。
一夜明けたアルゼナルでは、昨日の被害状況の確認に皆追われていた。
発着デッキにはサリアとヴィヴィアンを除いた生き残りのメイルライダーが集まっていた。しかしその数は昨日に比べ激減していた。
第二中隊が全滅し第三中隊も僅か4人。
生き残ったメイルライダーは合わせて13人であった。
「これだけか・・・確認するが指揮経験者はいるか?」
ゾーラ隊長の質問にのヒルダが小さく手を挙げた。
「よし。全てのパラメイル中隊を統合。再編成する。暫定隊長にヒルダを任命。
その補佐にエルシャとヴィヴィアンを任命する」
ロザリーとクリスが異議を唱える。
「こいつは脱走犯なんですよ!脱走犯を隊長にするんですか!?お姉さまやサリアでいいじゃないですか!」
「ヒルダを隊長にするのは司令も納得している。私はまだ本調子じゃない。昨日のパラメイルの操作でもわかるだろ?今の私にできるのは、精々隊長の補佐くらいだ。それにサリアに関しては先の戦闘での命令違反で反省房だ」
その言葉にみんなが動揺する。あのサリアがそんな事をするとは。誰も考えてもみなかったからだ。
「文句あるならあんたがやりな」
ヒルダがロザリーとクリスに言う。
「いっいや。指令やお姉さまが任命したんだ。
仕方ねぇ。認めてやるよ。なぁクリス?」
「わっ私も認めるよ」
これで少しは昔のように戻ればいいのだが。
「全メイルライダーは再編成の後に警戒態勢にあたれ!」
「イエス!マム!」
そう言うと各自解散となった。ゾーラ隊長の後ろにいたジル指令はタバコを取り出すと、一服した。
「ジル指令」
呼ばれたので振り返る。
そこにはメビウスとアンジュがいた。
「お伺いしたい事があります」
「このクソ忙しいときにか?」
「誰のおかげでみんな助かったと思ってるの?」
その言葉にジル指令は少し詰まる。もしメビウスがあの時機体を出していなければもっと被害は広がっていただろう。もしアンジュがあの時、ヴィルキスに乗らなかったらあのパラメイルは間違いなく暴れまわっていただろう。
「いいだろう。ついてこい。ただし侍女はダメだ」
そう言うとジル司令は歩き出した。その後ろから
アンジュとメビウスが付いていく。
こうして三人は風呂場へと辿り着いた。
「なんで風呂場なの?」
「秘密の話は曝け出して話すものだろ?さて、まずアンジュからだ。なにから話す?」
「全部よ。最初っからね。ドラゴンにあの女。
ヴィルキスにお母さまの歌。
タスクとあなたの関係。その全てをね」
メビウスも異論はなかった。あの女というのが誰かはわからないが、他の事はメビウスも気にはなっていたので好都合だった。
「いいだろう。むかーしむかし、ある所に神様がいました。繰り返される戦争とボロボロの地球に神様はうんざりしました」
「・・・昔話ですか?」
「黙って聞いてろ。平和に平等。そして友愛。口先だけなら美辞麗句を皆言ったが、人間の歴史は戦争に憎悪に差別。このままでは人間は滅んでしまう。神様は悩みました。このまま人類は滅んでしまうと」
「そこで神様は作る事にしました。新しい人類を。争いを好まない穏やかで賢い人類。あらゆるものを思考で操作できる、高度情報化テクノロジー
【マナ】」
「あらゆる争いが消えて、あらゆる望みが叶い、
あらゆる物を手に入れる理想郷が完成した。
後は人類の進化を見守るだけでした」
「だけど生まれてくるのです。何度システムを組み直しても、マナの使えない女性の赤ん坊が。古い遺伝子を持つ突然変異体が。突然変異の発生は、人々を不安にさせました。だけど神様は逆にこれを利用する事にしました」
「彼女達は、世界を拒絶し、破壊しようとする反社会的な化け物。ノーマであるという情報を植え付けたのです。世界はノーマに対処するために、絆を強めました。人々も差別できる存在に安堵し安定しました」
「生贄。犠牲。必要悪。言い方はなんだって構わない。私達も作られたのです。世界を安定させるため、差別されるために」
「どうだ?驚きで声も出ないか?」
「よくそんな作り話が出るものね」
「聞いたからな。神様本人からなもっとも、そいつは神と呼ばれる事を嫌がってたけどな」
「その口ぶりだと続きがあるんだよな?」
「ああ。こうしてマナの世界は安定し、今度こそ繁栄の歴史が訪れるはずでした。ですが、それを許さない者が現れました。古の民。彼らは突然世界から追放された、マナが使えない古い人類の生き残りです」
「彼等は自分達の居場所を取り戻すために、何度も神様に挑みました。仲間達の死を乗り越え、遂に彼等は手に入れたのです。神の兵器。
【ラグナメイル】を。破壊と創造を司る機械の天使。パラメイルの原型となった絶対兵器だ」
「それが・・・ヴィルキス?」
「これで神様と同等に戦える。古の民は勇んで
ヴィルキスに乗り込んだ。だが、彼等にヴィルキスは使えなかった。鍵がかけられてたのさ。虫ケラごときが使えないように」
「古の民は絶望した。生き残った仲間はあと僅か。古の民達は滅びを待つしかなかった。その時古の民は知ったのさ。世界の果てに追放されたノーマ達がパラメイルに乗って戦っていることにな。彼等はアルゼナルを目指した」
「古の民達とノーマ。世界に捨てられた者達。彼等は手を取りその時に備えた。鍵を開く者が現れるその時を」
「そして遂に現れたのさ。アレクトラ・マリア・
フォン・レーベンヘルツ。王族から産まれた初めてのノーマだ」
「アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ。その名前聞いたことあるわ。確か、ガリア帝国の第一皇女のはず。だけど10歳で病死したはずよ?」
アンジュが疑問に思う。
「バレたのさ。ノーマだとな。アルゼナルに放り込まれ、自暴自棄になっていたアレクトラだが、彼女の高貴な血と皇族の指輪が、ヴィルキスの鍵を開いた」
「彼女の元に多くの仲間が集まった。ヴィルキスを守る騎士。ヴィルキスを直す甲冑師。医者に武器屋。そして犬」
「ヴィルキスを・・・守る騎士?」
「アンジュ。いや、お前達二人が考えてる事は
あたっているぞ。タスクは古の民の末裔だ」
「タスクが・・・」
二人がタスクの事を考える。
「始まったんだ。捨てられた者達の逆襲。リベルタスが。地獄のどん底で私は仲間と使命をえた。このクソッタレな造り物の世界をぶっ壊す使命をな」
「だが・・・私には足りなかったんだ。ヴィルキスを使いこなすための何かが・・・」
「全部吹き飛んだよ。指輪も仲間も右腕も名前も。だが、リベルタスを終わらせる訳には行かなかった。死んでいった仲間の為にも」
「そこにアンジュ。お前が現れた。いや、お前だけじゃない。メビウス。お前も現れた。そして今。
ヴィルキスの最期の鍵が開かれた。
そしてフェニックスもな。あの歌に反応して、機体が変わったな」
「お前が壊すんだアンジュ。あの歌でこの世界を」
「皇女アレクトラ・・・か。あなたには感謝してるわ」
「あなたのおかげで自分がどれほどの世間知らずで、甘ったれで、人生を舐めていたがよく分かったわ」
「だから答えはノーよ」
「・・・ほう」
「神様とかリベルタスとか百歩譲って、これまでの話が全て本当だとしても、私の道は私が決める。
「たとえそれがどんなに崇高な目的だとしても。私の目で見て考えて私が決める。誰かにやらされるのは御免なのよ」
「では、リベルタスには参加しないと?」
「・・・嫌いじゃないの。ドラゴンを殺して、お金を稼いで、好きな物を買う。そんな今の暮らしが・・・」
「そう・・・か」
少しの間沈黙が続いた。
「・・・ジル司令。あなたが俺をアルゼナルに置いたのはリベルタスの為なのか?俺をリベルタスに参加させようとするためか?」
メビウスが疑問に思いジル司令に尋ねる。
「・・・半分はそれが理由だ」
「もう半分は?」
「お前の乗っていた機体。フェニックス。あれの武器やシステムが欲しい。もしあれの仕組みなどがわかり、パラメイルに装備できれば、リベルタスの時に便利だと思ったからだ」
「はっきり言おう。私はお前がどこの世界から何のために来たかなど興味ない。ただリベルタスに使えるなら使う。それだけだ」
「・・・俺の答えもノーだ」
「理由を聞かせてもらえないか?」
「司令の口振りだと、リベルタスはマナを使う人間を相手にするんだよな?俺はエンデランド連合で、ミスルギ皇国でマナを使える人間を見てきた。はっきり言って胸糞悪かった。ノーマを理由に世界から排除しようとする理屈を振りかざす連中だった」
「・・・だけどよ、同時にモモカさんやミスティの用に、ノーマなんて関係なく思っている人間がいる事も俺は知っている。そんな人達もいる以上、いつかノーマやマナなんか関係なく手を取り合える時代が来ると、俺は信じてる。力で屈服させてもそれは決して問題の解決にはならないと思います」
「なかなかロマンチックな事を考えるじゃないか」
ジル司令の言葉の後、少しの沈黙が続いた。
「さてとメビウス。お前も私に聞きたいことがあるんだろ?」
「ああ。さっきの話は確かに俺が司令室のコンピューターで見た情報とあっていた。だけど一つだけ気になる事がある。さっきの話の中にドラゴンの事が全く出てきてねぇ」
「そう言えば・・・確かに」
アンジュも思い出す。ドラゴンの事が全く出ていない事に。
「それともう一つ。ジル司令。あんたエンブリヲって人を知ってるか?」
その言葉にジル司令の表情が一気に険しくなる。
「どこでその名前を知った?」
「・・・アンジュを助けにミスルギ皇国に行った時出会った。そいつは俺の事を知っている風だった。そしてこうも言っていた。アレクトラによろしくと。教えてくれ。彼は誰な・・・」
その時だった。突然基地内に警報が鳴り響いた。
「総員!第一種戦闘態勢!ドラゴンです!基地内にドラゴンの生き残りです!」
オペレーターの声が風呂場に響く。
書いてる最中に、メビウスの存在をエマ監察官が黙ってたのか疑問に思いました。
それについては、メビウスの事をエマ監察官は報告してるつもりでしたけど全てジル司令が揉み消してたって解釈でおねがいします。
それにしても秘密の話だからってわざわざ風呂場でしなくてもと思いましたね。
みんなもジル司令に習って秘密の話をするときは混浴で曝け出そうぜ!