クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
今回で40話突破しましたね。
正直この調子で行くとオリジナルシナリオも含めてどれくらいの話数になるか少しドキドキしています。
それでは本編の始まりです!
アルゼナルにドラゴンの生き残りがいた。その事実は直ぐにアルゼナル全域に伝えられた。
すでに皆、臨戦態勢に入っている。
風呂場にいた三人は直ぐに風呂から出て、制服を
着た。
「アンジュ!メビウス!ドラゴンの件だが殺すなと伝えろ!」
「殺すなって。ドラゴンを生け捕りにでもするの!?」
「とにかく殺すな!私が解決策を用意しておく!」
そう言うとジル司令は何処かへと走っていった。
メビウスとアンジュも臨時司令室を目指して走り出した。
ジル司令はマギーのところに行った。
「マギー!ありったけの抑制剤を用意しろ!
急げ!」
臨時司令室にたどり着くと既にヒルダ達が集まっていた。
「遅いぞお前ら!」
そう言われながら、武器を手に取る二人。
「エルシャはサリアを反省房から出したら幼年部の所を探せ。私とアンジュで発着デッキを探す。ロザリーとクリスは居住区を。メビウスとナオミはヴィヴィアンを部屋から起こして、食堂を探せ。残りはここで待機」
第三中隊は待機となった。無論ゾーラ隊長も待機だ。
「ヒルダ。司令から伝言だ。ドラゴンを殺さず生け捕りにしろと」
その伝言内容に皆驚く。
「生け捕りって!どうやって生け捕りにすんだよ!」
「みんなで一斉に飛びかかってロープで縛るとか?」
「とにかく今はドラゴンを探す事を考えろ。だれか食われてからじゃ手遅れだ!」
「イエス!マム!」
ヒルダの号令の元、それぞれがドラゴンを探しに向かった。
メビウスとナオミはヴィヴィアンの寝ている部屋へと向かった。
「ヴィヴィアン!起きて!ドラゴンが・・・」
しかし部屋にヴィヴィアンはいなかった。
「これって・・・まさか!」
二人とも床を見た。そこには何か大きな物が歩いた足跡があった。それは通路の奥に続いていた。そして部屋にはヴィヴィアンがいない。
二人の頭の中に最悪の事態が浮かび上がる。
「そんな・・・ヴィヴィアン・・・」
「・・・ちょっとまてよ!?これって・・・!」
ナオミは悲観していた中、メビウスは部屋を見た。部屋の中は散らかっていた。入り口を見る。そこには部屋を出た後がはっきりと残されていた。
(・・・ありえるのか!?そんな事・・・)
メビウスは足跡を辿っていった。自分の中に芽生えた嫌な可能性。その可能性が本当かどうか確認するために。
「ちょっと!メビウス!」
その後ろからナオミも付いてくる。
最初は足跡を辿っていたが、ある場所でメビウスは横に逸れる。そこは自分の部屋だった。自分のタンスからあるものを取り出し、それをポケットに突っ込むと、メビウスは再び足跡を追った。
その足跡は食堂へと向かっていた。二人は物陰に隠れて食堂の中を覗く。
するとそこにはドラゴンがいた。スクーナー級が
一体だ。そのドラゴンは何かを両手に持っていた。
「ドラゴン!ヴィヴィアンの仇!!」
するとナオミが物陰から飛び出ると、手にしていた銃を放った。ドラゴンは驚いていた。こちらに向かって一鳴きするとドラゴンは食堂から外へと飛んで行った。
「あのドラゴン・・・攻撃性がない?」
ドラゴンは肉食である。いくら銃を持っているとはいえ、人間二人だけなのにそのドラゴンは襲ってくる事なく何処かへと飛び立っていった。
メビウスはドラゴンの持っていた物を確認した。それは鍋であった。その中身はカレーであった。蓋をする部分はドラゴンが握っていたせいかぺちゃんこになっていた。
嫌な可能性が先程よりも色を濃くした。
メビウスは近くにあった皿を取り出す。そして炊飯器からご飯を取り出した。そのご飯をありったけ皿の上に乗っける。そしてその上からカレーをかける。誰がどう見てもそこには、みんなの満足するカレーライスが出来上がった。
「メビウス。それを使ってドラゴンを誘き出すの?」
ナオミが疑問に思い尋ねるが今のメビウスにはそんな事は聞こえなかった。自分の中に芽生えた嫌な可能性。それを必死に否定するために、これにドラゴンが反応しない事を願うために。
カレー皿を持つと、メビウスはドラゴンを追い、外へとでた。ナオミもそれに続く。
外ではドラゴンがアルゼナル上空を旋回していた。
「よし!翼を撃って、弱らせる!」
ナオミが銃口をドラゴンに向ける。その銃をメビウスが
下ろさせる。
「メビウス?」
「・・・確かめたい事がある。いざって時は頼む」
そう言うとメビウスは銃を置き、カレー皿を持って先に進んだ。
ある程度進んだところでカレー皿を地面に置く。
すると先程まで旋回していたドラゴンがメビウスの前に降りてきた。ナオミは銃口を向けるが、
メビウスは手で撃つなと合図をしていた。
ドラゴンはメビウスを見ていたが、やがて地面に置かれたカレー皿に顔を突っ込んだ。
犬がドックフードを食べている姿を想像してほしい。
これには流石のナオミも驚いた。座学ではドラゴンは肉食だと聞かされていたため、目の前の人間より、床に置かれたカレーライスを食べている。
その光景に唖然となっていた。
メビウスは自分の中の嫌な予感が膨らんできていた。
(まさか!そんなこと有り得ない!)
今のメビウスはその疑問の淵ギリギリにたっていた。
「おい!あいつ何やってんだ!」
後ろからヒルダ達がやってきた。モモカさんやサリアもそこにいた。どうやら食堂でのドラゴンの鳴き声を聞いて駆けつけてきたようだ。
ヒルダ達はドラゴンに銃を向ける。
「待って!メビウスが確かめたい事があるって!」
「確かめるって一体何を!?」
「やべえだろ!食われるぞ!」
「手を出すな!」
メビウスがその場から叫ぶ。ドラゴンはカレーを食べ終えたようだ。目の前にいるメビウスをじっと見つめている。そしてメビウスは自分の中の疑問に答えを出すため、ポケットからあるものを取り出した。
それはペロリーナであった。それをドラゴンに見せる。
するとドラゴンはそのストラップを手に取ろうとしてきた。爪がメビウスの手の甲に当たる。そこから血が流れ出る。しかしメビウスは顔色を一つも変えずにいた。ドラゴンが申し訳なさそうにメビウスの傷口を舐める。
「気にするな」
そう言うとメビウスはドラゴンの顔あたりを撫でた。ドラゴンは嬉しいのか鳴き声をあげた。
すると突然ドラゴンがなにかを口ずさみ始めた。
「これは・・・永遠語りのメロディ!」
アンジュが驚く。そしてドラゴンに向かって歩いていく。
「おっおい!アンジュ!」
皆がアンジュを止めようとしたが、アンジュは止まらなかった。
アンジュはドラゴンと向かい合った。
その隣にはメビウスもいた。既に先程までの疑問は確信へと変わっていた。
サリア達が銃口をドラゴンに向ける。
「撃つな!」
後ろからジル司令とマギーがやってきた。司令は撃つなと命令した。
皆戸惑いながら銃口を降ろす。
アンジュとドラゴンが歌い終わる。アンジュはドラゴンに触れようとした。
その時突然ドラゴンから煙が上がった。そしてその煙の中からある人物のシルエットが浮かび上がる。
「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってなーんだ?」
その煙の中から声が聞こえてきた。その声にメビウス以外の皆が驚く。メビウスは既に正体を確信していたため、驚きは少なかった。
ジル司令から生け捕りを命令された時、多少の違和感を感じた。
そしてそれはヴィヴィアンの部屋の入り口を見て燻ってきた。部屋の入り口には部屋から出た足跡しかなかった。
この時点ではまだ可能性程度だったが、確認のために自分の部屋のタンスからある人物がくれた
ペロリーナを持ち出した。
そして食堂でドラゴンがカレー鍋を持った際、そしてこちらを襲う事なく逃げていった際、それらはかなり濃くなった。
それらを確かめるためカレーライスを作り、地面に置く。するとドラゴンは食いついてきた。
この時点で半分確信めいていた。
そしてトドメの一撃としてメビウスがポケットから出したペロリーナ。ドラゴンはこれに反応した。
まるで好きなものを見るかの用に。
この瞬間。メビウスの中の疑問が確信へと変わった。
ドラゴンは初めから部屋にいた。
そのドラゴンはカレーが好きで、尚且つペロリーナも好きだ。
最早結果は火を見るより明らかだ。
煙から現れた人影はヴィヴィアンであった。
「ヴィヴィアン!?」
第一中隊全員が驚きの声を上げた。メビウスにとっても、やはり現実を目にして驚く。
「あっ違うか!ドラゴンなのに人間?あれれ?あれれ?意味・・・わかんないよ・・・」
「わかったわよ。私は。
ヴィヴィアンはヴィヴィアンって事でしょ。お帰り、ヴィヴィアン」
ヴィヴィアンはアンジュに抱きついた。それをアンジュは優しく受け止めた。そこにマギーがやってくると何かをヴィヴィアンに注射した。するとヴィヴィアンは眠り始めた。
「お、おい、どーなってんだ、今の・・・」
「ドラゴンからヴィヴィアンが出てきた用に見えたけど・・・」
ロザリーとクリスは困惑している。
「二人とも、今のって・・・」
ナオミは疑問に思いアンジュとメビウスに尋ねた。
「ドラゴンなのに人間・・そう言ってたわ。ヴィヴィアンは人間なのにドラゴンの姿に・・・」
「ジル司令。説明して貰えますよね。なぜヴィヴィアンがドラゴンなのか・・・」
メビウスがジル司令を向く。
「・・・」
それにジル司令は答えなかった。
「ジル司令!」
メビウスが今度は強く聞いてきた。するとジル司令は指である場所を指した。そこはドラゴンの死体の焼却場であった。
「あそこに真実がある。知りたければあそこへ行け」
メビウスは黙ってその場所へと足を進めた。それに他のメンバー達もついていく。
ドラゴンの焼却場ではジャスミンが死体を燃やす準備をしていた。ガソリンと灯油を配合したものを
ドラゴンの死体にかける。バルカンがメビウス達に気がつき吠える。
「あんた達!来るんじゃないよ!!」
ジャスミンはそう叫びながらライターをドラゴンの死体に投げつけた。
次の瞬間にはその穴からは火柱が噴き出した。
メビウスはその穴の中を覗き込んだ。次の瞬間、メビウスは膝から崩れ落ちた。まるで目の前の光景に絶望しているかのように。
「おっおい!一体どうし・・・」
皆がメビウスに駆け寄るが、メビウスが見ていた視界の先を見て皆言葉を失った。
ドラゴン達の死体。その中に【人間】の死体も混ざっていた。
「なに・・・これ・・・」
「なんで・・・なんで人の死体があるの?」
エルシャとクリスが当たり前の疑問を聞いてきた。それに答えるものは第一中隊のメンバーにはいなかった。
「よくある話だろう」
後ろを振り返る。そこにはジル司令がいた。手にはタバコを握っていた。
「化け物の正体が実は人間でしたなんて話。よくあるだろ」
「ドラゴンの正体が・・・人間・・・そんな・・・私達、これまで何体もドラゴンを・・・」
ナオミの言葉にアンジュはかつての島での出来事を思い出す。目の前にドラゴンがいた事を。そのドラゴンに自分は何をした?自分はドラゴンを殺した。自分の体はドラゴンの血で塗れていた。
そして・・・ドラゴンは人間であった・・・
アンジュの胃から何かがこみ上げてきた。アンジュは手で口を抑える。手の隙間から多少嘔吐物が漏れる。その背中をモモカが摩る。
「気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して、お金を稼ぎ、好きな物を買う生活が」
「!くたばれクソ女!」
アンジュがジルを睨みつける。
「ジル司令・・・あんたは知ってたんだよな!?この事を知ってて!それを隠して!戦わせてきたのかよ!?」
メビウスが立ち上がりジル司令に詰め寄る。
「ああ。真実を知ったら戦えなくなるだろ?」
ジル司令がそう言う。次の瞬間、ジル司令の顔にメビウスがパンチを入れる。ジル司令はそれを避けることもなくただ黙って受けた。
殴った手は先程の怪我で血に染まっていた。
「・・・ふざけるな・・・ふざけるなよ!!ドラゴンから世界を守る!?実態は人間同士の殺し合いじゃないか!そうやってこれまで騙してきて!一体何人殺させてきたと思ってるんだ!!!」
メビウスが激昂するがジル司令は澄まし顔でいる。
「もういい!もうたくさんよ!もうヴィルキスには乗らない!ドラゴンも殺さない!リベルタスなんて糞食らえよ!」
「私はもう戦わない!!」
アンジュが叫ぶように言う。
「それも選択の一つだ。このまま神様に飼い殺されたままでいいならそうすればいい。では各自解散とする」
そう言うとジル司令はその場を後にした。
解散と言われても皆直ぐにはその場から動けなかった。知ってしまった自分達のしてきた真実の重さによって。
そのころミスルギ皇国はある準備が進められていた。明日、アルゼナルを目指す準備を・・・
時は刻一刻と刻んでいた。滅びへの時を。そしてその時は確実に迫ってきている。その事にメビウスや彼女達はまだ気づいていなかった。
アニメ本編ではドラゴンの正体が初めからヴィヴィアンだとモロバレしてましたね。
最近メビウスが殴る描写を書いてますが身長的に殴ってる姿を想像して多少吹き出しました。
アニメではこれの次があの回でしたね。