クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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オリジナルシナリオの目的はこれまで建ててきたフラグの回収。ならびにオリキャラの登場です。この点をお忘れなく。

ちなみに友達に投稿ペース早いなと言われました。これについては、年を越してしまうと個人的な理由で、多分投稿ペースがガタ落ちするのでこのような投稿ペースとなっています。


前回のあらすじ!

フェニックスの光によって飛ばされた四人。しかしそこにメビウスとフェニックスはいなかった。そんな三人に謎の巨大生物。ビーストが襲いかかる。

それを撃破した三人の元にトリニティと名乗る謎の三機が襲いかかる。三機の連携に追い込まれていたが、そこZEUXISと名乗る者達が登場。トリニティを退ける。

友好的に話せる存在が来たと思いタスクはメビウスとフェニックスについて尋ねてみる。しかしフェニックスの単語を聞いた四人は銃をむける。そして基地へと連行されるのだ!

それでは本編の始まりです!




第52話 ZEUXIS

 

 

とある場所へと連行されたアンジュ達。そこは古びたダムであった。するとダムの側面の壁が開かれた。そこから中に入れるらしい。そこに機体を着陸させる。外へと降りる。そこには色々な機体が置かれていた。

 

「どうやら本当に別世界みたいだね・・・」

 

タスクが小声でアンジュに言う。周りの機体の全てがタスクの見た事がないものであった。すると目の前に男がやってきた。

 

「こっちだ。ついてこい」

 

男の一人がそう言いながら、歩いていく。そしてアンジュ達もそれに続く。その背後には銃を突きつけて歩く二人。連行されている感がとてもよく出ている。

 

「アンジュ。君は余計な事は喋らないでくれよ。トラブルの元になるとまずい」

 

「ちょっと!それどういう意味よ!」

 

こうして三人はある部屋へとたどり着いた。中に入る。するとそこには既に一人の男が座っていた。

 

「ご苦労だった。君達は外で待機してくれたまえ」

 

そう言われると道案内と銃を突きつけていた人達は部屋の外へと出て行った。

 

「私がZEUXISのリーダーネロ艦長だ。まず我々より先にビーストを退治してくれた事をZEUXISを代表して感謝させてもらう」

 

ネロ艦長は一礼した。

 

「いえ、あの時は自衛を目的として戦っただけです。それよりネロさん。ここは一体何処なんですか?この世界は一体・・・色々と聞きたい事があります」

 

タスクが質問する。それにネロ艦長はぼそっと呟いた。

 

「やはりフェニックスの転移の影響か・・・」

 

ネロ艦長は三人にコーヒーを淹れた。それを三人の前に差し出す。側にはスティックシュガーとミルクも付いていた。

 

「この様なものしか出せないが、よければ飲みたまえ」

 

「くれるの!?飲む飲む!頂きまーす!」

 

ヴィヴィアンが砂糖とミルクを入れてコーヒーを飲む。アンジュとタスクもコーヒーを飲む。味は美味しかった。淹れた人の腕だろうか?

 

「・・・君達はおそらくフェニックスの転移に巻き込まれて来たのだろう。少なくても君達はこの世界の人間ではない」

 

「・・・これから話す事はおそらく君達の想像を遥かに凌駕しているだろう。だがまずは私の話を落ち着いて聞いてほしい」

 

ネロ艦長が自分のコーヒーを一口飲んだ。そして衝撃の言葉を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず一つ。この世界は君達のいた世界の百年後の未来世界だ」

 

ネロ艦長の言った一言に三人は直ぐには正常な思考ができなかった。だが直ぐにその言葉の意味を理解した。理解して、そして動揺する

 

「・・・・・・はぁ!?未来!?ちょっと!あなた私達をからかってるの!?」

 

「アンジュ!そんな態度じゃ・・・」

 

落ち着いて聞いてほしいと頼まれた直後にアンジュのこの驚きは多少失礼でもあった。だがネロ艦長は半ば予想していた風に溜息をついた。

 

「諸君らが驚くのも無理はない。そんなのは空想の世界の出来事だけだと思うのも。だが君達がフェニックスの転移に巻き込まれたならそう結論させてもらう・・・君達に話そう。この世界に歴史について・・・愚かとしか言えない破滅の歴史について・・・」

 

「破滅の歴史・・・」

 

その言葉に三人が静かにネロ艦長の方を見つめる。

 

「今から百年前。地球はかつてマナの光が溢れていた。それによって人々は幸せであった」

 

「私達のいた世界もマナの光が溢れているわよ」

 

アンジュがそう言う。

 

「やはりまだ君達の世界ではまだマナの光が溢れていたのか・・・」

 

ネロ艦長はどこか驚いた風なそれでいてどこか嬉しそうに言う。

 

マナの光の正体がアウラの力と分かっている三人はそのマナの光には素直に喜べないものがある。

 

「そんなある日だった。突然人々からマナの光が無くなったのだ。ある日突然。一斉に、なんの前触れもなく」

 

三人は驚いた。だが直ぐにある可能性を考えた。

 

(サラ子達。あの後成功したんだ)

 

サラマンディーネがアウラを奪還した。それが成功したと三人は予想した。

 

ネロ艦長は続けた。

 

「人々は恐怖した。自分達が忌み嫌う存在。ノーマに成り果てたのだ。それだけではない。マナに頼りきっていた為に社会は完全に停止した。まさに無政府状態が似合う状態だった・・・」

 

「そんな時だ。人類はある決断をしたのだ。最も愚かで最低の決断を・・・」

 

「ノーマがいないなら作ってしまえばいい。そのような結論が出されたよ」・・・」

 

「・・・まさか!?」

 

タスクが嫌な想像をした。そんな馬鹿なことをするのか!?その疑問が頭をよぎる。

 

「・・・世界は二つの組織に分かれたよ。人類進化連合。そしてブラック・ドグマに・・・二つの組織は戦争を始めた。敗北した国の人間をノーマとして扱うために・・・」

 

「そんな!ノーマを生み出すためだけに戦争をするだなんて!この世界の倫理観は完全に麻痺しているのか!?」

 

「恥ずかしい事にそうなのだ。・・・戦争が始まってからは早いものだ。お互いが新兵器の開発に着手した。撃っては撃ち返し。撃ち返されてはまた撃ち返し・・・それだけではない。ビーストと呼ばれる存在まで現れた」

 

「ビースト。あのナメクジの化け物の様な化け物の事?」

 

「そうだ。あれはペレドレン。あのビーストの呼名だと思ってくれたまえ」

 

「あんなものが突然攻めてきたっていうの・・・」

 

アンジュが驚いた風に言う。あんな生物見たことも聞いたことないため驚くなと言う方が無理である。

 

「あぁ。奴らの目的はただ一つ。人類殲滅だ」

 

ネロ艦長が重く言う。人類殲滅。その物騒な単語に三人が息を呑む。そんな事を考えるのは精々特撮の世界だけかと思っていた。

 

「ですが。それなら人類の危機に共に立ち向かえば・・・」

 

タスクの提案。それは最もなものだ。もし本当に人類殲滅を敵が狙ってるのなら、人類同士が争ってる場合などではない。

 

「・・・それでも人類は戦争をやめなかった」

 

「そんな!人類存亡の危機なんですよね!?」

 

「誠に恥ずかしい事だが、人類に最早その様な考えなど無くなっていた。ただ敵を滅ぼす。本能のままに・・・既に人類はその数の十分の一まで数を減らしている・・・」

 

ネロ艦長がとても悔しそうに言う。

 

「そんな中極秘に組織されたのが我々ZEUXISだ。我々はビースト殲滅を目的とした組織だ。そしてその裏で、とある計画を進めている組織だ。残念ながら計画については今すぐ君達に話せないが」

 

「・・・・・・・・・」

 

三人とも黙っていた。

 

「さて。こちらについての話はこれで終わりだ。質問などはあるかな?・・・それにしても君達、妙に落ち着いているな」

 

「いえ。・・・あまりのスケールの大きさに驚いているんです。僕達は以前にも似たような事態になった事がありました。ただ、その時とは色々と桁違いというか・・・」

 

「全く・・・そんな作り話を信じろと?」

 

アンジュが言い放つ。しかし彼女は以前ジル司令と風呂場で話し合った事を思い出す。あの時と同じ様な気持ちである。目の前の人物が言う言葉の一つ一つが現実味を帯びているのも一緒であった。それ故にアンジュの言葉は決して強いものではなかった。

 

「・・・信じられないのも無理はない。私としてもフェニックスだけが帰還したと考えていたが・・・」

 

ネロ艦長はアンジュの言葉に気分を害した様子はない。

 

「フェニックス。そういえばネロ艦長。僕達の仲間でメビウスって人を知りませんか?」

 

ここで三人は再びメビウスと事を思い出す。フェニックスがこちらにいるならメビウスだっているはずだ。

 

「すまないが我々はメビウスなる人物を知らない。そういえば忘れていた。なぜ百年後かわかるかと言うと・・・」

 

その時だった。扉が開いた。そこにはある人物が入ってきた。

 

「ネロ艦長。ビーストがきます」

 

そこに現れた人物に三人は驚いた。

 

 

 

 

 

「メビウス!?メビウスよね!?」

 

そこにはメビウスがいた。アンジュ達が驚きながら尋ねる。しかし何かが違っていた。その違いはすぐ気がついた。身長だ。身長が明らかに大きくなっている。

 

「・・・・・・」

 

「あなたも無事だったのね。よかった」

 

「誰だお前」

 

その人物はこちらを見ながら冷たく一言言い放つ。その言葉は感情を捨てた機械のような声であった。

 

「私よ。アンジュよ!こっちがタスクでこっちがヴィヴィアンじゃない!」

 

アンジュが必死に説明するがその人物は既にアンジュを見ていない。

 

「わかった。直ぐにスクランブルをかける。シグ。お前もフェニックスで出撃だ」

 

「了解」

 

ネロ艦長に言われシグと言われた人は部屋を後にした。

 

「君達はしばらくここで待機していて貰う。。緊急事態が発生したのでその対処に当たらねばならないのだ。今度はそちらの話をお聞かせ願いたい」

 

そういいネロ艦長は部屋を後にした。

 

「メビウス・・・一体どうしちゃったのよ・・・」

 

部屋に残された三人は皆メビウスの変わりように驚き、困惑していた。サリア達だけでなく、メビウスまで変わってしまった。

 

そしてそれ以上に驚いているのが、ここが未来世界だと言われた事である。そして未来は破滅への道を歩んでいるという事実。

 

「・・・一体どうなるんだ僕達は・・・」

 

タスクが空になったコーヒーカップを覗きながらボソリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫では既にメンバーの機体が発進体制に突入していた。

 

「マキシマエンジン。臨界点突破!」

 

「ジェネレーターコンタクト。完了」

 

それぞれの機体から粒子が放たれた。次の瞬間には発進許可が降りた。

 

「了解!ZEUXIS!出るぞ!」

 

その一言と共にダムのゲートが開かれた。そしてそこから機体が発進していった。マーカーポイントを目指してしばらく飛んでいた。

 

「よぉシグ。お前向こうの世界でかわい子ちゃんつかまえてたとは」

 

「作戦中だぞ。私語は慎めカイ」

 

「へいへい。わかりましたよ。

 

カイは軽口を叩く。想像できる通り彼はナンパ師だ。この後格納庫で見たアンジュとヴィヴィアンでも口説こうとでも考えているのだろう。

 

(・・・なんだこの感覚・・・俺は・・・あの三人を知っているのか?)

 

シグ自身は心に湧いてきた感覚に困惑していた。

 

彼は気がついたらこちらに戻っていた。確かに機体で百年前に転移したはずなのに気がついたらこちらに戻っていた。

 

それだけではない。彼の機体に関してもなぜか色々と変になっていた。操縦桿ではなくハンドル操作になっている。その操作方法も何故かわかっていた。機体の武器などもなぜか増やされていた。

 

(一体俺は・・・向こうで何をしていたんだ・・・)

 

シグの頭に考えが浮かぶ。しかしそんな考えは直ぐに目の前の敵によって消え失せた。

 

「ビーストと会敵!敵ビーストはフレグロスと確認!アンリとカイでビーストと戦闘!残りは二人の援護にまわれ!」

 

「了解!」

 

隊長の指示の元、機体は戦闘態勢に入る。目の前にはこれまた歪とも言える化け物が存在していた。これがビースト。人類殲滅を目論む存在。果たしてこの世界に昔からいたのか。それとも何者かが創り出したのか・・・

 

目の前のフレグロスは火球を放ってきた。

 

「リフレクター展開!」

 

アンリの乗る機体【ガローラ】は両肩から何かを展開した。それは一見ファングの様にも見えた。しかしそれらは敵に襲い掛かる訳ではなく、火球を防いだ。リフレクター自体には戦闘力はないらしい。フレグロスは尚も火球を放つ。それらも全てリフレクターによって防がれる。

 

「入射角と反射角の設定完了!以後の調整はリアルタイムで行います!」

 

「ナイスだアンリちゃん!後は俺に任せてくれ!」

 

カイの乗る機体【クレセント】が銃を変形させる。それは狙撃銃となった。狙撃ポイントに機体を寝かせる。

 

「よーし。そうきてこうきて・・・」

 

照準をビーストの心臓部に向ける。フレグロスは相変わらず火球を放っておりこちらには気がついていない。照準のロックオンが完了した。

 

「ビンゴ!貰ったぜぇ!!」

 

次の瞬間、狙撃銃からは粒子が放たれた。それはビーストの心臓を貫いた。次の瞬間にはフレグロスの悲鳴とも聞こえる叫びが聞こえた。フレグロスは地面に倒れ、二度と動く事はなかった。

 

「掃討完了。各機基地へと帰還する。シグ。ネロ艦長からの伝言だ。戻ったらあの三人の所へ行けと」

 

「了解」

 

シグはそういうと機体を基地へと戻しに行った。

 

アンジュ達三人はこの光景を部屋のモニターから見ていた。

 

「少なくてもここ、私達のいた世界じゃない事は認めないといけないようね」

 

アンジュが覚悟を決めた風に言う。これからどうなるのか。何が来てもいいように三人は腹を括った。

 






次回あたりにアンジュとオリキャラ達の自己紹介的なことが出来たらいいなぁ。

第7章がどれくらい続くかはまだわかりません!

前書きにも書きましたが今年中に完結を狙ってます。

参考に聞きます。もし好きな人が敵になったらみなさんはどうします?

  • ①必死に説得
  • ②敵になったのなら容赦はしない
  • ③敵に寝返る
  • ④お前を殺して俺も死ぬ!
  • ⑤好きダァァァ!!!と告白する

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