クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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前回のあらすじ!

遂に出会ったアルゼナル組とZEUXISメンバー達。アンジュはこれにドラゴン達を加えて共同戦線を提案するがジル司令はドラゴン達。そしてZEUXISメンバーを信じていない。

情報精査ののちに今後の行動を伝えられる事になった。

アウローラの食堂では久しぶりの再会を喜ぶアンジュ達。だがそこにサリアやナオミ。クリスにエルシャの姿はなかった。

やはり敵となってしまったのか。

それぞれが思う中で一晩が明けた。

作戦室に集まったアンジュ達。そこでジル司令からドラゴン達。そしてZEUXISメンバーとの共同戦線の交渉を命令されたのだ!

それでは本編の始まりです!




第61話 決別の海

 

 

「・・・本気なの?」

 

アンジュ達はジル司令の言葉を直ぐには理解できなかった。

 

「どうした?お前の提案どおりドラゴンやZEUXISの連中と手を組むと言ったんだ。それがリベルタスを達成させるには最も合理的で判断したまでだ」

 

ジャスミン達は驚いていた。一方アンジュ達は顔を見合わせていた。その顔は何処か嬉しそうであった。

 

「では作戦の概要を説明する」

 

そう言うとテーブルの上に地図が表示された。その上に6つの印がつけられて動いていた。

 

「これは?」

 

「以前サリア達と交戦した時に機体に打ち込んだ

マーカーだ。そこ情報から奴らの帰還した場所がここ。

 

ミスルギ皇国。暁ノ御柱だ。おそらくエンブリヲ

もここにいる」

 

暁ノ御柱。確かそこはアウラのいる場所でもある。

 

「そこは確かアウラがいる場所だ」

 

「それは心強い情報だ。まず我々で敵戦力を削ぐ。アンジュ。ドラゴン達には南西の方向からミスルギ皇国に侵攻させろ。それでラグナメイルを誘き出す」

 

「ZEUXISの連中はドラゴンと一緒にアクセリオンでミスルギ皇国に進行させろ。

そこでブラック・ドグマを誘きだせ」

 

「我々はアウローラでラグナメイルでは探知不能な深さで接近。ラグナメイル達の背後に浮上し挟撃する。敵兵力を全て排除した後に全勢力をもって暁ノ御柱に進行する」

 

ジル司令の作戦。これは問題のある作戦ではない。ある一点を除いては。

 

「だけどこれじゃあ、ドラゴン達やネロ艦長達に

多大な負担を強いることになるぞ」

 

以前ドラゴン達の世界から帰ってきた際、ラグナメイルによりドラゴン達はバタバタと堕とされていった。その戦力差は決して小さいとは言えない。

 

更にZEUXISの戦力はメビウスがこちらにいるため機動兵器が4つと戦艦アクセリオンだけである。

 

この戦力でラグナメイルやブラック・ドグマとの

戦闘は決して容易とは言えない。

 

「陽動とはそういうものだ」

 

ジル司令は思うところもなくはっきりと言った。

 

「サリア達はどうするの?」

 

アンジュが疑問に思い尋ねた。

 

「どうするとは?」

 

「助けないのか?」

 

メビウスが代わりに答えた。するとジル司令はその時軽く笑った。それはまるで呆れ笑いの様に見えた。

 

「持ち主を裏切る様な道具はいらん」

 

「道具って・・・ナオミ達は仲間だろ?だったら

助けるのは当然だろ」

 

「既に敵になった道具だ。捨てておけ」

 

「そんな・・・だってサリアもいるのよ?」

 

アンジュもこれには戸惑った。サリアがジル司令を

尊敬していたのはアンジュにも解っていた。

 

それなのにジル司令はそのサリアさえも道具として捨てると言っているのだ。

 

「リベルタスの前では全てが道具だ。ドラゴン達も・・・ZEUXISの連中も・・・お前達も・・・私もな」

 

この時三人はジル司令が何かを隠している事に勘付いた。

 

「・・・ねぇ。何を隠しているの?本当はドラゴン達やZEUXISの皆んなに何をさせるつもりなの!?」

 

アンジュがジル司令に尋ねるがジル司令は答えない。

 

「答えなければ命令には従わないわ!」

 

「・・・ドラゴン達やZEUXISの連中と挟撃?

ハッハッハッハ!」

 

するとジル司令が笑い出した。手で顔を抑えていた。その姿はまるであまりの滑稽さに笑っている風に見えた。

 

「アウローラの本当の浮上ポイントはここさ!」

 

机の上の地図に記された場所。そこはどう見ても

ドラゴンやZEUXISの戦闘中域からは離れていた。

 

「奴らが交戦している間にアンジュ。お前はパラメイル隊と共に暁ノ御柱に突入。エンブリヲを抹殺しろ」

 

「はぁ!?」

 

三人が声を揃えた。一体この人は何を言っているのか?それが理解できないでいた。

 

「ドラゴン達やZEUXISは捨て駒か!?」

 

タスクが立ち上がった。これは余りにも理不尽とも言える作戦内容だ。

 

「切り札であるヴィルキスを危険に晒す真似など

出来るはずないだろ?」

 

「そしてメビウス。お前は作戦開始前から探知不能高度でミスルギ皇国上空であらかじめ待機。そして暁ノ御柱にアンジュ達が突入してから十分後に

アンジュ達が脱出する」

 

「そしたらお前はネオマキシマ砲で砲撃。

ラグナメイルやドラゴン共。そしてミスルギ皇国を滅ぼせ」

 

「はぁ!?」

 

再び三人が声を揃えた。自分達の耳がおかしくなったとさえ疑った。

 

「それじゃあ破滅の未来の繰り返しだぞ!!」

 

これにはメビウスも立ち上がった。

 

ネオマキシマ砲による砲撃。それによりサラマンディーネ達の世界は滅び、そしてメビウス達のいた

未来世界は滅びへと向かっている。

 

それをやれだと?しかも味方であるドラゴン達を・・・仲間達を消す為に・・・

 

「冗談じゃないわ・・・こんな最低な作戦。協力できるわけないでしょ!?」

 

アンジュの手に力が入る。こんな作戦は異常としか言えない。

 

「ならば協力する気にさせてやろう」

 

するとジル司令は予想していたとでも言わんばかりにリモコンを取り出した。すると画面にある部屋が映し出された。

 

「んんっ!んんっ〜!」

 

そこには手足を縛られ口に猿轡をされていたモモカさんが写しだされた。

 

「モモカ!」

 

アンジュ達が驚く。一体何故モモカさんが縛られているのか。その理解が出来ないでいた。

 

「減圧室のハッチを開ければどうなるか。判らん訳ではなかろう?」

 

ここは深海だ。そんな深海で手足を縛られた状態で放り出されればどうなるか。いや、手足が自由でも間違いなく放り出された時点で水圧で死ぬ事は目に見えていた。

 

「ジル!あんたの仕業かい!?」

 

「聞いてないよこんな事!」

 

ジャスミンとマギーがジル司令に抗議する。流石にこの事態の異常性を感じ取ったらしい。

 

「アンジュは命令違反の常習犯だ。予防策を取っておくのは当然だろ?」

 

「アレクトラ・・・」

 

タスクが小声で呟く。

 

「救いたければ命令を全て受け入れ!行動しろ!」

 

「ジル司令!あんた!自分が何してるのか解ってんのかよ!」

 

メビウスがジル司令に言う。

 

「メビウス。貴様もだ。この作戦に協力しろ」

 

「ふざけるなよ!こんなの作戦じゃない!ただの

虐殺じゃないか!!」

 

するとジル司令が笑った。まるで、そう言ってくれてありがとう。とでも言いたげな笑みだった。

 

「よかったよ、そう反抗してくれて。出なければ私の心も痛むというものだ」

 

「どういう事だ!?」

 

「既に仕掛けた種が無駄に終わらなくてよかったという事だ」

 

「仕掛けた・・・種・・・?」

 

メビウスにはその言葉の意味が理解できないでいた。

 

「そろそろ効いているはずだ」

 

「・・・まさか!?」

 

メビウスは通信機を取り出した。アクセリオンに連絡を取る。

 

「ネロ艦長!俺だ!メビウスだ!」

 

しかしそこからはネロ艦長ではなくアクセリオンの軍医である【ジェシカ】がでた。

 

そしてその後ろからは呻き声の様なものも聞こえた。

 

「メビウスかい!?今こっちは大変なんだよ!ネロ艦長やワイズナー達がぶっ倒れちまった!」

 

「倒れた!?」

 

「調べた結果遅効性の毒を盛られたみたいだ!でもその毒成分がわからないから解毒薬が作れないんだ!」

 

「遅効性の毒・・・ジル司令!てめぇまさか!?」

「遅効性の毒・・・ジル!あんたまさか!?」

 

メビウスとマギーが声を揃えて言った。

 

するとジル司令はポケットから何かを取り出した。それは小さな小瓶であった。中に何かの錠剤が入れられていた。

 

「マギーの所から配合したのを頂いた。それを昨日の奴らの食事の時に少し仕込んでおいた。味の異変に気づかないとは本当におめでたい連中だな。

・・・恐らく後二、三時間が限界だろう」

 

「ジル司令!幾ら何でもやりすぎです!」

 

これにはゾーラも抗議した。あまりにも理不尽な事を要求している。しかしジル司令はゾーラを無視した。

 

「さてメビウス。これが解毒薬だ。奴らの命の天秤が揺れてるぞ。お前の言葉一つでその天秤の揺れは決まる」

 

「奴らを殺すか!ドラゴン共を殺すかでな!」

 

「!!ふっざけんじゃねぇぞ!!!」

 

【バシ!】

 

メビウスがジル司令に殴りかかった。そして解毒薬も奪おうとした。しかしそれは義手で受け止められてしまった。

 

「狙いが正確な分。読み易いというものだ」

 

「ガハッ!」

 

ジル司令はメビウスを床に叩きつけた。そして胸を足でぐりぐりと踏みつけた。メビウスの口から血が軽く吹き出た。ポケットに解毒薬をしまう。

 

「さてアンジュ。こうなった以上お前が決める番だ。侍女を助け、ZEUXISも助けたければ命令を全て受け入れ、行動しろ!」

 

「自分が何をしているのか・・・解っているの!?」

 

アンジュが睨みつける。しかしジル司令の余裕は崩れていない。

 

「リベルタスの前には全てが駒であり道具だ」

 

「解毒剤がメビウスを動かず為の道具である様に、あの侍女はお前を動かす為の道具だ」

 

「そしてお前はヴィルキスを動かす為の道具。

そしてヴィルキスは!エンブリヲを殺す究極の武器だ!」

 

「ふざけるな!!」

 

遂にアンジュが立ち上がり銃を抜いた。銃口はジル司令に向けられていた。

 

「モモカを解放しなさい!そして解毒薬も渡しなさい!今すぐ!」

 

しかしジル司令は銃身を握ると机に叩きつけた。そして机に身を乗り出しアンジュの体に蹴りを入れた。

 

「がっ!」

 

アンジュの体が壁に叩きつけられた。

 

「上官への反抗罪だ!」

 

机から身を乗り出すと、義手の方でアンジュの首を締め上げ宙に浮かせた。なお、現在メビウスは胸を押さえながら呻いている。

 

「やめろ、アレクトラ!」

 

止めようとするタスクをジル司令は殴り飛ばした。ジャスミン達はそれを見ていることしか出来なかった。

 

「さて。お前の答えを聞こうじゃないか」

 

「・・・変わったな、アレクトラ」

 

タスクはスイッチを取り出し押した。するとそれに反応してあるもののスイッチが入った。

 

アンジュの首を握っているジルの義手に力が加わる。

 

「がっ・・・ごっ・・・」

 

「さぁ。答えは?」

 

「ク・・・くたばれっ・・・」

 

【ぺちゃ】

 

ジル司令の顔にアンジュの唾がとんだ。

 

「・・・痛い目に会わなければわからんらしいな」

 

ジル指令が左腕に力を込める。大きく振りかぶった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると突然ジル司令の身体から力が抜けた。アンジュの首を握っていた手が緩む。アンジュはその場に倒れこんだ。ジル司令も机で身体を支えていた。

 

「なっ・・・なんだいこれは?」

 

異変はジャスミン達にも現れていた。頭痛や目眩などが皆を襲った。

 

「アンジュ!これを。メビウスも!」

 

タスクがアンジュとメビウスにあるものを投げた。それはガスマスクであった。ジル司令は通気口を見た

 

「ガスか!」

 

それは昨日。タスクが仕掛けておいたガスである。先程押したスイッチにより後は充満するのを待つだけであった。

 

ガスはアウローラの様々な所に影響を及ぼしていた。食堂ではガスの影響で倒れる者が続出していた。

 

「なんじゃこりゃ・・・」

 

ロザリーが朝食のプレートを床に落とし倒れ込む。ヒルダも朝食に突っ伏していた。ヴィヴィアンも

異変に気がついたらしい。

 

「くんくん。これは!タスクの言っていた

プランB!ぱふっとな!」

 

するとヴィヴィアンはポケットからガスマスクを取り出し装着した。どうやらヴィヴィアンもタスクの協力者となっていたらしい。

 

「あの男・・・何か盛りやがったな・・・アンジュ・・・」

 

薄れゆく意識の中、ヒルダはヴィヴィアンの言葉を聞き逃さなかったが、やがて意識を失った。

 

作戦室では既にガスマスクを装着したタスクとアンジュとメビウス。そして口を手で覆っていたジル司令を除き皆ダウンしていた。タスクの肩はそれぞれアンジュとメビウスにかしていた。

 

「タスク!貴様っ!」

 

「出来れば使いたくはなかったよ」

 

「ヴィルキスの騎士が・・・リベルタスの邪魔をするのか!?」

 

「違う!俺はヴィルキスの騎士じゃない!アンジュの騎士だ!解毒薬は貰っていく!」

 

タスクはジル司令のポケットから解毒薬を取り出すとメビウスに持たせ、作戦室を後にした。

 

「色気づいたか・・・ガキが!」

 

ジル司令は立ち上がるとある物を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

作戦室を出るとそれぞれが行動に移った。

 

「モモカ!」

 

「アンジュリーゼ様!」

 

減圧室ではアンジュが扉を開け、そこに囚われていたモモカを助け出した。

 

ブリッジではタスクがアウローラの浮上の準備を終えていた。オペレーターの三人もガスの影響で倒れていた。

 

メビウスはヴィヴィアンと合流するとライダースーツに着替え、格納庫を目指した。するとそこに

モモカさんを連れてアンジュがやってきた。

 

「アンジュ!これ!」

 

メビウスがアンジュのライダースーツを渡す。その場で着替えている間にタスクも合流した。どうやらアウローラは浮上中らしい。五人は格納庫に辿り着いた。

 

「海面に出たら、直ぐにパラメイルでアクセリオンに行って解毒薬を届けるわよ!準備を!」

 

アンジュ達五人の機体は多少奥なので走った。するとそこにある声が響いた。

 

「また敵前逃亡か?」

 

その声の主はヴィルキスの物陰から現れた。

 

それはジル司令だった。片足にナイフが刺さっていた。あの後ナイフを取り出しその激痛で意識を覚醒させて、待ち伏せをしていたらしい。

 

「逃がさんぞアンジュ・・・リベルタスを成功させるまでは!」

 

ジル司令は足に刺さっていたナイフを抜き構えた。これほどまでの執念・・・一体何が彼女をそれほどまでに動かすのか。

 

「リベルタスって、私がいないとできないんでしょ!?それなのに私の意思は無視するの!?」

 

「道具に意思などいらん・・・!」

 

ジル司令はじりじりと近づいてくる。

 

「私の意思を無視して戦いを強要させる。そんなの、人間達がノーマにしている事と同じじゃない!」

 

「命令に従え!司令官は私だ!」

 

「人間としてはクズよ!」

 

するとアウローラにビービーオンが鳴り響いた。

どうやら海面に浮上したらしい。

 

「勝負しましょ!」

 

突然アンジュが提案した。

 

「サラ子は人質なんて真似はしなかった。あなたが勝ったら私達は命令に従うわ!」

 

そういいアンジュはナイフを構えた。

 

「あぁ。俺達に異論はない」

 

メビウス達四人もアンジュにのった。

 

「タスク。ヴィヴィアンとモモカを連れて下がってて」

 

「気をつけろ。アンジュ」

 

「アンジュリーゼ様!どうか御武運を!」

 

「頑張れアンジュ!」

 

タスクがヴィヴィアンとモモカさんを連れて下がった。

 

場はアンジュとジル司令。そしてメビウスの三人となった。

 

「二対一で挑むか?」

 

「そんな事はしないわ。でもその前に・・・」

 

タスク達はアウローラの発信口を開く。すると天井が開放された。

 

「メビウス!あなたはアクセリオンに解毒薬を持って行きなさい!」

 

「逃げる気か!?」

 

「メビウスはそんな事はしないわ!必ずここに戻ってくる!そうよねメビウス!」

 

「あぁ。俺はもう一度戻ってくる。だが今は仲間の命を助けるのが優先だ!」

 

そう言いメビウスはフェニックスに乗り込んだ。機体を上昇させ、アクセリオンに向かい飛び立つ。

 

「ったく。この後に及んでまだわがままとはな!」

 

「そう言うあなたは傲慢ね!」

 

お互いのナイフがぶつかり合う。それにより金属の擦れる音が格納庫に響く。

 

「エンブリヲを倒さん限り、リベルタスは終わらん!」

 

アンジュはジルとの距離をとった。

 

「その為ならどんな犠牲でも許されるっていうの!?」

 

「その通りだ!」

 

「そんな戦いに、何の意味があるのよ!」

 

「お前なら解るはずだ!皇女アンジュリーゼ!世界に捨てられ!全てを奪われたお前なら!私の怒りが!!!」

 

ジル司令が再接近した。再び鍔迫り合いとなる。だが今度はジル司令の覇気にアンジュは多少押され気味になっていた。ナイフの先端が胸に刺さり血が一雫流れる。

 

「お前は私だ!お前がエンブリヲを殺し、リベルタスを成功させるんだ!全てを取り戻す為に!」

 

「私は・・・私よ!」

 

アンジュはジル司令を投げとばした。ジル司令は

ナイフを落としたものの何とか受け身は取れた。

 

「誰かに自分を託すなんて!空っぽなのね!あなた!」

 

アンジュはナイフを床に投げ捨てた。あくまでジル司令と同じ土俵の上で闘うという意思なのだろう。

 

「何が正しいのかなんて、そんなのは分からない。でもね!あなたのやり方は大っ嫌いよ!アレクトラ・マリア・フォン・レーヴェンヘルツ!!」

 

「くっ!黙れぇ!!」

 

ジル司令は義手で殴りかかった。アンジュはそれを避けた。勢い余ってジル司令は倒れこむ。そこにとどめと言わんばかりにアンジュは首裏筋に一撃加えた。ジルの頭部から血が一筋流れでる。

 

「何故・・・何故わからん!?」

 

「あなたのやり方じゃね!喫茶アンジュは作れないのよ!」

 

「なんだ・・・と」

 

「その辺にしとき」

 

タスク達の背後から声がした。振り返るとそこにはジャスミンとマギーがいた。

 

「あんたの負けだよ。ジル」

 

ジャスミンからの敗北宣告を最後にジル司令は意識を失った。

 

「勝負はついたらしいな」

 

そこにフェニックスが帰ってきた。メビウスが

コックピットから降りる。

 

「メビウス。仲間達は大丈夫なのかい?」

 

「解毒薬は渡した。恐らく大丈夫だろう」

 

「それはよかった。あんたらには申し訳ない事を

しちまったね」

 

ジャスミンが謝罪する。アンジュ達はそれぞれの機体に乗り込む。

 

「・・・どうするんだい?これから」

 

ジャスミンがアンジュに尋ねる。

 

「私がやるわ。あの人のやり方は間違っている。

けど、やっぱりノーマの解放は必要だもの」

 

「だから私がやるわ。私の信じる人と、私を信じてくれる人達と一緒にね」

 

アンジュ達はギアを入れる。機体は浮き、次の瞬間にはアウローラから発進した。それをジャスミンとマギーはただただ見守っていた。

 

アウローラから出たメビウス達。

 

「これからどうされるんですか?アンジュリーゼ様?」

 

モモカさんが疑問に思い尋ねる。因みにモモカさんはタスクのアーキバスに相乗りしている。

 

「まずアクセリオンに行くわ。話はそれからよ」

 

「賛成だな」

 

アンジュの意見にメビウス達も納得した。皆がアクセリオンに向けて機体を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。突然四機目掛けて粒子兵器がとんできた。

 

「なに!?」

 

慌てて回避をとる。やがて粒子兵器の正体が判明した。

 

ファングだ。ファングがやってきた。しかし普通のファングではない。有線式ファングだ。

 

「ファング!?」

 

皆が驚く。そしてそのファングの持ち主と思われる機体が現れた。

 

それは機体というよりは小型戦艦だった。有線式ファングが収納された。すると戦艦が変形した。そしてそこにはある機体の姿が現れた。

 

「!?・・・フェニックス?しかもその姿!」

 

「これはザ・ワン・ネクストだよ」

 

通信が送られてきた。その声とその相手はメビウス達のよく知る人物だった。

 

「ナオミ・・・」

 

「メビウス。みんな無事だったんだね。よかった」

 

更にザ・ワン・ネクストの後ろから五機のラグナメイルが現れた。

 

「ここにいたのね。アンジュ。そしてメビウス」

 

モニターに映し出された人物。それにアンジュが

反応する。

 

「サリア・・・」

 

「前回は逃げられたけど、今度こそ貴方達をエンブリヲ様の元に連れて行くわ」

 

 






たまに思う事があります。

本編でもし彼女達の誰かがデストロイガンダムの様な巨大な兵器に乗ってたらどうなっていたのかたまに想像してしまいます。

デストロイは50メートル位だけどどう見てもそれ以上ある様に感じるのは俺だけだろうか?


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