クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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前回のあらすじ!

ジル司令が決定したドラゴン達やZEUXISとの共闘。だがその実態は両者を捨て駒とした最低の作戦であった。

これにメビウスとアンジュは反発した。ジル司令は予防策としてモモカさんを、そしてネロ艦長達の命を人質としていた!

タスクが予め用意しておいた予防策によりなんとか最悪の事態は回避された。だがこの一件でアンジュ達はジル司令と決別。アウローラからの脱走を決行した。

格納庫でジル司令と一対一の戦闘を制したアンジュ達。

自分達の信じる者、自分達を信じる者の所へ行く為一同はアクセリオン目掛けて飛び立った。

だがそこにザ・ワン・ネクストを駆るナオミ。そしてサリア達が立ち塞がった!

それでは本編の始まりです!




第62話 時の調律者

 

 

アウローラの上空。そしてアクセリオンの下では

4対6の戦闘が繰り広げられていた。敵機はまずアウローラとに攻撃していた。

 

「狙いは母艦か!」

 

現在アウローラのブリッジでは一足先に回復した

ジャスミンが指揮を執っていた。

 

「全防水隔壁閉鎖!アウローラ急速潜航!」

 

「了解!」

 

「現在!アンジュ機。メビウス機。ヴィヴィアン機。謎のパラメイルがサリア機達と交戦中!」

 

パメラ達オペレーター組も回復したらしい。席に着き指示通りの行動をする。だがメイルライダー部隊はまだガスの影響でダウンしていた。

 

今のアウローラではろくな戦闘はできないのだ。

 

「全く。誰のせいでこうなったんだかねぇ」

 

ジル司令は担架によって医務室へと運び込まれた。

 

そしてアクセリオン内でも騒ぎは起きていた。現在ワイズナー達が四つん這いになりながら発着デッキを目指していた。それをジェシカ含めた医療

グループに妨害されていた。

 

「ダメです!まだ絶対安静なんです!」

 

「けどメビウス達だけを戦わせるわけにはいかねぇだろ!」

 

「まだ毒の痺れは抜けきれてないんだ。今行って何が出来るというんだ!」

 

「くっ!偽装展開・・・この場を離脱します!」

 

今の状況では戦うのは危険。そう判断してアクセリオンは偽装を展開した。そしてその場を離れた。

 

仲間の無事を願いながら・・・

 

(メビウス。無事でいろよ・・・)

 

 

 

こちらではメビウス達が必死に攻撃を止めさせようとしていた。

 

「やめろサリア!俺達が戦う理由なんてない!」

 

「相変わらずおめでたいわね。そう思ってるのは

貴方だけよ」

 

クレオパトラがライフルを放つ。それを避ける。現在フェニックスは第一形態のまま戦闘していた。可能な限り武器だけを狙っている。そこにガトリングが飛んできた。アイ・フィールドに防がれ機体には命中しなかった。

 

その攻撃の主はナオミであった。

 

「メビウス。私だって戦いたくない。だから一緒に来て!」

 

そこにヴィヴィアンとタスクが援護に来た。

 

「飛んでけ!ぶんぶん丸MarkII!」

 

その攻撃はザ・ワン・ネクストに直撃した。だがそれは精々機体が揺れた程度であり、致命打にはなっていない。

 

「だめよ。ヴィヴィちゃん」

 

その時クリスとエルシャのライフルが永龍號と

アーキバスに命中した。

 

「なっ!?モモカ!」

 

モモカさんが機体の外に投げ出された。海へと落下していく。

 

「マナの光!光よ!」

 

するとモモカさんのスカートがパラシュートの様に開かれた。ゆっくりと降下していった。

 

そして時を同じくしてアウローラは深海へと姿を消していった。こうなると最早粒子兵器はほとんど

意味を成さない。

 

「ちっ!」

 

クリスが忌ま忌ましそうに舌打ちをする。

 

「ねぇ!あの艦に乗ってるの、仲間じゃないの!?」

 

アンジュが6機に通信を送るがその返答はない。

 

その時ヴィルキスのコックピットの外装がクレオパトラの攻撃により剥がされた。クレオパトラが

ライフルをヴィルキスに向ける。

 

「アンジュ!」

 

「動くな!」

 

フェニックスが駆け付けようするがサリアからの通信でその動きは止まった。

 

「メビウス。私達に従いなさい。さもなくば、

ヴィルキスのコックピットを潰すわ」

 

「卑怯よ!人質なんて!」

 

アンジュが声高らかに抗議する。

 

「やめろサリア!そんなのお前らしくねぇ!」

 

フェニックスの背後にラグナメイル4機が回り込んだ。全機がライフルの銃身をフェニックスに当てている。

 

「ごめんなさいメビウスくん。大人しくしてね。でないと、二人とも殺さなくちゃいけなくなっちゃうの」

 

「言っとくけど、ファングを使おうなんて考えない事ね」

 

クリスが念押ししてきた。メビウスの考えは読まれていた。アイ・フィールドは機体の周りにフィールドを貼るものだ。銃口を機体本体に突きつけられては防げないのだ。

 

こうなると手詰まりだ。メビウスはフェニックスのモニターである作業を始めた。

 

「・・・わかった。そちらに従う」

 

「聞き分けがいいのね。アンジュとは大違い」

 

「・・・このままエンブリヲの元に連れて行く気か」

 

「その通りよ」

 

「丁度いい。サリアからエンブリヲに伝えておけ。【仲間にふざけた真似をしたてめえは必ずブン殴る】ってな」

 

メビウスが今の状況でしたい事。それはある事を終わらせる為の時間稼ぎだ。そしてそれは今完了した。

 

「・・・最後に一つだけ言わせてくれ」

 

メビウスがオープンチャンネルで通信を送った。

 

「ナオミ!サリア!エルシャ!クリス!ココ!

ミランダ!絶対に助ける!だから待ってろ!」

 

ナオミ達が皆驚いた。この男はまだ自分達を敵と見ていない。エンブリヲに洗脳された程度にした考えていないのか・・・その事に皆驚いた。

 

何よりその言葉にはメビウスの願いではなく決意が秘められていた。

 

サリアは戸惑うが直ぐに元に戻る。

 

「ナオミ、お願い」

 

「・・・本当にしなきゃダメ?」

 

先程の発言にナオミの中の良心とエンブリヲの命令がぶつかり合っていた。

 

「また前みたいに消えたら面倒だよ」

 

「・・・わかった。ごめん。メビウス」

 

ザ・ワン・セカンドが何かを射出した。それは有線式ファングであった。それらがフェニックスに

突き刺さる。

 

そして次の瞬間には有線越しに高圧電流が流れ込んできた。これにより機体の計器類などはショートした。それほどの高圧電流だ。コックピットにいるメビウスも

無事ではすまなかった。

 

「ぐあぁぁぁぁっ!!」

 

通信越しにメビウスの苦痛の叫びに皆顔を顰めていた。まだ仲間と思っていてくれていただけに良心が痛んだ。

 

やがて叫び声も聞こえなくなった。有線式ファングを収納した。

 

フェニックスのコックピットではメビウスが倒れていた。意識は朦朧としている。

 

(みんな・・・無事でいろよ・・・)

 

メビウスはアウローラ、そしてアクセリオンの仲間達の事を思いつつ、残された意識は闇に溶けていった。

 

「メビウス!」

 

アンジュはヴィルキスを動かそうとする。そこにサリアがアンジュの前に現れた。その手には銃が握られていた。

 

「さよなら。アンジュ」

 

次の瞬間にはアンジュの胸あたりから血が飛び出た。アンジュの意識が急激に薄れていった。アンジュの体はヴィルキスのコックピット外に投げ出された。

 

既にアンジュの意識はなかった。クレオパトラで

アンジュを回収した。

 

「全機撤退。このまま二人をエンブリヲ様の元に届けるわ」

 

「イエス。ナイトリーダー!」

 

クレオパトラがヴィルキスを。そしてザ・ワン・

セカンドがフェニックスを連れて、その場を後にした。

 

「アンジュ!メビウス!」

 

連れ去られていく仲間達。機体の損傷の激しい二機は最早飛べなかった。その姿をタスクとヴィヴィアンはただただ叫ぶ事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジュは夢を見ていた。それは高い所からゆっくりと落ちていく夢であった。

 

(私・・・そうだ。サリアなんかにやられたんだ・・・)

 

身体が地面に落下した。痛みは全く感じない。それどころか懐かしさを感じた。その理由は直ぐに判明した。

 

(これ・・・お母さまが育ててた薔薇の香り・・・)

 

(・・・こんな地獄なら・・・悪くないかもね・・・)

 

「・・・さい。・・・ゼサ・・・」

 

何処からともなく声が聞こえてきた。次の瞬間その声は鮮明に聞こえた。

 

「おきてください。アンジュリーゼ様」

 

アンジュの意識が覚醒した。そこはとある寝室であった。側にはモモカさんがいた。そしてアンジュはこの部屋が何処なのか理解が追いついた。

 

「ここ・・・私の部屋!?まさか!」

 

「はい!アンジュリーゼ様のお部屋です!ここはミスルギ皇国です!」

 

モモカさんが元気そうに言った。アンジュは机の上の手紙に気がついた。何気なく手紙の表面を見てみる。

 

それはエンブリヲからの手紙であった。

 

アンジュはモモカさんにも手伝いも借り服を着た。それはかつてアンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギの時の服装であった。

 

着替えてる最中に自分の胸を見る。そこには手当をされた形跡が見られた。

 

「なにがサヨナラよ。ただの麻酔銃じゃない」

 

一通りの着替えが済んだ。机の引き出しから武器などを漁る。最も、自室にライフルやグレネードなどあるはずはない。だがペンならないよりはマシである。

 

「タスクとヴィヴィアンは無事かしら。それにメビウスも・・・とにかく今はエンブリヲを探さないと」

 

「それは出来ない話ね」

 

すると自室の扉が開かれた。そこにはサリアがいた。服装は軍服なのかよくわからないがまぁ変なデザインであった。

 

「今のあなたはエンブリヲ様の捕虜よ。勝手な行動はさせないわ」

 

「サリア。貴女一体何があったのよ」

 

「別に。ただ目が覚めただけよ」

 

話は第43話に遡る。

 

アンジュとの戦いに負け海へと落ちていったサリアのアーキバス。コックピット内は浸水し始めていた。だがサリアは何もしようとしなかった。

 

「落とされた。お似合いね。ジルに捨てられて、アンジュに負けた私に相応しい末路だわ・・・」

 

サリアは自らの死を望んでさえいた。生きる理由を失っていた。その時だった。声が聞こえた。

 

「それは違うよ。サリア。君は自分の価値に気がついていない」

 

気がつけば彼女はベットの上にいた。そしてその側にはあのエンブリヲがいた。

 

「世界をより良き方向へ導く為に、君の力を貸してくれないかい?サリア」

 

「あの方は私を生まれ変わらせてくれた。アレクトラは私を必要としていなかった。だけどあの方は私を必要としてくれた。

 

「そして今はエンブリヲ様の親衛隊。

【ダイヤモンドローズ騎士団】の騎士団長よ」

 

・・・ダセェ・・・おっと失礼。

 

「要は路頭に迷ってたところを新しい飼い主に拾われたってわけね」

 

「!!」

 

サリアはアンジュにビンタした。

 

「私は愛されてるの!エンブリヲ様に!誰にも愛されてない貴女とは違ってね!」

 

サリアが指輪を見て頬を赤らめる。おそらくラグナメイル起動に必要な指輪なのだろう。

 

「そう。それは良かったわね!」

 

アンジュはサリアに掴みかかる。サリアをベットに投げ飛ばす。急な事でサリアは対応出来なかった。

 

「弱いわね。サラ子の方が強かったわ。言っておくけど私はメビウスみたいに手加減なんてしないわよ」

 

「それにしてもネーミングセンスが壊滅的とは。おまけにその格好。何よそれ。プリティサリアンの方がまだ似合ってたわ。さて、行くわよモモカ」

 

サリアの顔が別の意味で赤くなった。かつての古傷を抉られる事は誰であろうと決して喜ばしい事ではないのだろう。そんなサリアを無視してアンジュとモモカさんは部屋を後にした。

 

直ぐにサリアも部屋を出るがそこにアンジュ達の姿はなかった。

 

「アンジュ!何処に行ったの!?」

 

サリアがアンジュを探しに廊下の奥へと走っていった。それを直ぐそばでアンジュ達が見ていたとも知らずに。ここはアンジュが住んでいた家だ。アンジュ達は隠し通路に隠れていたのだ。

 

隠し通路から外へと出た。するとそこには子供達がいた。それもアルゼナルの幼年部の子供達である。

 

「あっ!アンジュお姉さまだ!」

 

子供達はアンジュに気がついた。

 

「あらアンジュちゃん。目が覚めたのね」

 

子供達の後ろからサリアと同じ服を着たある人物がやってきた。

 

「エルシャ・・・」

 

エルシャはサリアと違い、変わっていなかった。アルゼナルで見てきたエルシャのままであった。因みにエルシャもサリアと同じ様に指輪をつけていた。

 

 

 

「エンブリヲ幼稚園?」

 

アンジュはテーブル越しに向かい合っているエルシャから事の一部始終を聞いた。

 

エンブリヲは人間達に殺された幼年部の子供達を生き返らせたのだ。そしてエルシャは子供達が安心して暮らせる世界を創りたいというエンブリヲの誘いに乗った。そして今はエンブリヲ幼稚園の園長も務めているらしい。

 

「アンジュちゃん。私は子供達を守る為ならなんだってするわ。人間達を殺す事や、アンジュちゃんやメビウス君を殺す事だって・・・」

 

「エルシャ・・・」

 

エルシャの目。それは我が子を守る母の目に似ていた。

 

「ねぇエルシャ。メビウスはあの後どうなったの?」

 

「メビウス君は確かナオミちゃん達が対応しているはずよ。何処にいるのかは多分エンブリヲさんが知ってるんじゃないかしら?

 

「あらいけない。こんな時間」

 

エルシャは子供達の面倒を見るために部屋へと入っていった。

 

「・・・エンブリヲを探さないと」

 

「付いてくる?」

 

木陰からクリスが現れた。

 

「クリス!」

 

「エンブリヲ君の所に行くんでしょ」

 

再び皇宮内に戻る。

 

「・・・怒ってたわよ、ヒルダ達」

 

あまりにも話す事がなく気まずかったので何か話題を作るアンジュ。

 

「怒ってるのはこっちだよ。助けに行くとか言っといて。結局は私の事を見捨てたんだよ」

 

「・・・でもエンブリヲ君は違ってた。私を助けてくれた。私と友達になりたいって言ってくれた」

 

「アンジュリーゼ様。その方は慈善事業家かカウンセラーの方なのですか?」

 

モモカさんが疑問に思い尋ねる。

 

「・・・神様らしいわ・・・」

 

「凄い方なのですね」

 

こうしている内に一つの部屋に辿り着いた。

 

「この私に毒を盛るなんて!おじさまが助けてくれなかったら、もう目が覚めない所だったのですよ!」

 

部屋から罵声が聞こえた。見てみるとシルヴィアとリィザがいた。リィザに鞭打ちをしている。

 

第36話の冒頭の後、リィザは口封じにシルヴィアに毒を盛ったらしい。だが、エンブリヲの介入によりそれは失敗し、今ではシルヴィアの奴隷となっているらしい。

 

「リィザ!?」

 

「ひっ!殺しに来たのです・・・私を!」

 

シルヴィアがアンジュに気が慌てている。

 

世界の果てに消えたはずの存在が目の前にいるのだ。驚くなという方が無理であろう。

 

「お母さまやお父さま。兄さまを殺め、最後にこの私を殺しにきたのです!」

 

「違う。話を聞いて」

 

「助けておじさま!叔父様!」

 

「叔父様?」

 

「ここにいたのね。アンジュ!」

 

アンジュが戸惑っている中、サリアがやってきた。咄嗟にサリアから奪い取った拳銃を向けた。

 

その時だった。

 

「喧しいな。読書中くらいは静かにしてもらいたいものだな」

 

階段からある人物が降りてきた。

 

その人物はエンブリヲだ。

 

「エンブリヲ様」

 

「それにしても、本は素晴らしい。この中には宇宙の全てが込められている。それに比べてこの世界は、なんとつまらない事か・・・」

 

「まぁいい。本より楽しめるものと出逢えたのは果たしていつぶりだろうか」

 

エンブリヲがアンジュの前に降りてきた。

 

「エンブリヲ!」

 

「この方がですか・・・」

 

アンジュが睨みつけた。モモカさんは初めて見るエンブリヲに多少困惑していた。

 

「手荒な真似をしてすまなかったね。君達と話をしたくてサリア達に頼んで連れてきて貰ったのさ」

 

「来たまえ。君も色々と聞きたいのだろう?」

 

そう言いエンブリヲは歩き出した。それにアンジュとモモカさん。サリアが付いていく。

 

「すまないがアンジュと二人だけで話がしたい。

君達は待ってくれないかな?」

 

「エンブリヲ様・・・わかりました」

 

「アンジュリーゼ様。お気をつけて」

 

二人は外へと向かうアンジュ達の背中を見守った。

 

 

 

 

舞台はアウローラへと移る。

 

「アンジュとメビウスは捕まったのか。そしてヴィヴィアンとタスクはロスト。散々暴れた結果がこれとは・・・実に滑稽じゃないか」

 

医務室ではジル司令が戦闘結果の報告書を見ていた。

 

「あの子達が頑張ってくれたから、この艦は沈まずに済んだんだよ」

 

「知ったことか。ヴィルキス無しではリベルタスの達成は不可能だ。だからアンジュを行かせてはならなかったのに・・・」

 

「まさかあの坊やが裏切るとは思わなかったよ・・・」

 

ジル司令が忌々しそうに義手で壁を叩きつけた。

 

「あんたも分かってたろ?こうなる事は・・・」

 

ジャスミンが呆れながら、だけどどこか冷たい目線でジル司令を見ていた。

 

「こんな事するなんて・・・あんたらしくないよ。ジル」

 

ジル司令はそれに何も返答しなかった。ジャスミンは続ける。

 

「メビウス。あいつは仲間が傷つく事が何よりも嫌な奴だ。それがあいつの心の根っこだ。そんなメビウス相手に仲間を使った人質作戦。ましてや命を盾にした脅しなんてしたらブチ切れもするさ・・・メビウスでなくてもね・・・」

 

「まぁこれでドラゴンやZEUXISとの協力関係は

絶望的だね。ZEUXISに関しては殺されかけたんだ」

 

マギーが呟く。

 

「アンジュ達は従順になる様に仕込んでおくべきだったか・・・」

 

ヒルダとロザリーはそれを聞いていた。

 

「なに考えてんだ?あのイタバカ姫は」

 

二人は下着姿で寛いでいた。

 

「何かが嫌になったんだろうな・・・ここを逃げ出したくなる様な嫌な事が・・・この艦。危ないかもな・・・」

 

「ここにいたか。探したぞ」

 

するとゾーラ隊長が部屋へと入ってきた。

 

「お姉様・・・」

 

「二人とも。少し話がある。いいか?」

 

ゾーラ隊長が真面目な面持ちで言ってきた。

 

こうして三人はある話し合いを始めた。

 

 

 

 

 

舞台は再びミスルギ皇国へ。

 

アンジュとエンブリヲは車である場所へと向かっていた。

 

「メビウスをどうしたの」

 

アンジュが運転中のエンブリヲに尋ねた。

 

「彼なら今はナオミ達と話をしているはずだ」

 

「ココとミランダを生き返らせたのはナオミを担ぎ込む為ね」

 

「不服かい?君だって二人が生きてる事は嬉しいんじゃないのかい?」

 

「二人が生きてる事は嬉しいわ。でもそれを利用するのは許せないのよね」

 

「なに。メビウスにも合わせてあげるよ」

 

やがてある塔へとたどり着いた。塔の扉を開けるとそこにはナオミ達がいた。

 

「アンジュ!」

 

「ナオミ!それにココ!ミランダ!」

 

ナオミとは対照的にココとミランダの二人は相変わらず無口であった。短い間ではあったが、アンジュの知る彼女達ではなかった。

 

「聞いてアンジュ。二人は・・・記憶を無くしちゃったの」

 

ナオミが放った一言にアンジュは驚いた。

 

「だから私の事も、アルゼナルでの出来事も覚えてないの・・・」

 

「そんな・・・」

 

「二人ともご苦労だったね。メビウスはどうかな?」

 

エンブリヲが話を切り替えた。

 

「大丈夫。言われた通りにしたから」

 

「そうかい。ご苦労だったね三人とも。すまないが皇宮に先に帰ってくれないかい?」

 

「うん。わかったよ」

 

「・・・アンジュ。メビウスを追い詰めないであげて」

 

ナオミが去り際にアンジュの耳元で囁いた。

 

(追い詰める?・・・なにを・・・?)

 

アンジュはその言葉の意味を理解できずに戸惑っていた。

 

「さて。メビウスはこの先だ。付いてきたまえ」

 

エンブリヲは階段を降りた。アンジュもそれに続いて階段を降りる。そこは地下室だった。そして地下牢の一室にメビウスはいた。

 

「メビウス!?」

 

メビウスの異変は目に見えていた。手足を拘束されていない。リィザの様に全身傷だらけなどでもなかった。

 

だがどこか変であった。瞳孔は黒色から赤色へと変わっていた。その視線はアンジュ達ではなく虚空を見つめていた。まさに心ここに在らずという言葉を体で表現している。

 

「エンブリヲ!メビウスになにをしたの!?」

 

アンジュが興奮気味に問いかける。

 

「なに。翼をもぎ取っただけだよ」

 

エンブリヲは訳のわからない回答をした。

 

「メビウスを解放しなさい!」

 

「それは無理な話だ。それにそれを決めるのはメビウスだ」

 

「それはそうと君にみせたいのは他にもある。今は私についてきてくれないかな?」

 

エンブリヲはそう言うと上の階へと上がっていった。

 

アンジュはメビウスを一度見て、その後エンブリヲの後についていった。

 

(メビウス。貴方に何があったの?・・・)

 

 






ココとミランダの二人は調整されている設定なので、基本的に話す事はしません。

果たしてココとミランダの二人がその口を開く日は訪れるのでしょうか!?

因みに団長と言えば【止まるんじゃねぇぞ】ですよね?
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