クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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以前の第63話は削除してR-18の所に投稿しました。

尚、最初の部分だけは以前の第63話のを使用しました。
ちゃんと半ばからはストーリーが進行しています。

そしてお気に入り70人を突破しました!皆さん!
本当にありがとうございます!

前回のあらすじ!

サリア達によってアンジュとメビウスか捕まった。アンジュが目を覚ますとそこはミスルギ皇国の自分の部屋であった。

そしてミスルギ皇宮内でサリア、エルシャ、クリス達と話す。皆エンブリヲを信頼しているらしい。

そしてエンブリヲによってある場所へと移動した。そこでナオミ、ココ、ミランダと。そしてメビウスと出会った。

しかしメビウスの様子はおかしかった。

一体メビウスに何がおきたのか!?

それでは本編の始まりです!



第63話(改) happiness given

 

 

アンジュがメビウスの所に来る少し前に遡る。

 

「んっ・・・ここは?」

 

顔に冷たい雫が垂れてきた。それによりメビウスが目を覚ます。今いる場所は薄暗く湿っている。そこは地下牢だ。

 

「確か俺は・・・そうだ。捕まったのか」

 

直前の出来事を思い出す。サリア達にアンジュを

人質にとられ、そして電流により意識を失った事を。

 

「やぁ。目が覚めた様だね」

 

地下牢にある人物が現れた。その人物にメビウスは直ぐに殺意に近い何かを感じた。

 

「エンブリヲ!テメェ!」

 

次の瞬間エンブリヲに殴りかかった。しかしそれは軽く避けられた。

 

この時メビウスは自分の異変を感じた。何かがおかしい。体が本調子でないというか、体に力が入らないのだ。

 

「はあっ。はあっ。体が重ぇ」

 

「無駄な事は止めたまえ。君では私を倒す事は出来ない」

 

「テメェ・・・一体なにをしやがった・・・」

 

「悪いが君の身体から人体強化ガスは抜かせてもらった。もう君は超人的な身体能力は無くなったのだよ」

 

「なっ!」

 

人体強化ガス。それはメビウスがシグだった頃、ブラック・ドグマにスパイとして忍び込み、人体に注入したガスだ。その影響でメビウスの戦闘力はかなり底上げされていたのだ。それを抜かれたらしい。

 

「今の君は多少訓練した程度の戦闘力だ。無駄な事はやめたまえ」

 

「・・・ない!ない!」

 

着ているライダースーツから武器を探す。しかし

武器は何処にもなかった。考えてみれば捕虜に武器など誰が持たせておくものか。

 

「まぁいい。本題に移ろう。メビウス。ナオミ達と同じく私の同志にならないか?そしてフェニックスの解除コードを教えてくれないか?」

 

フェニックスには現在ロックが掛けられている。

メビウスが機体にロックを掛けたからだ。

これによりフェニックスは今では鉄の塊が

相応しい状況となっている。

 

「俺が教えると思うか?寝ぼけてんなら顔でも洗ってこい」

 

メビウスは態度を崩さなかった。今のメビウスに

出来る事。それは虚勢を貼ることくらいである。

 

「まぁいい。私も君が答えると期待はあまりしてなかった。だから君の相手は彼女にしてもらうとするか」

 

そう言うとエンブリヲは姿を消した。こうして

地下牢にはメビウスだけが残された。

 

「・・・ちっきしょお!!!」

 

壁を思いっきり殴りつけた。手が痛みで痺れる。

だがそれ以上に怒りが勝っていた。

当然ながら鉄格子の扉が開いている訳もない。

 

やり場のない自分への怒りの時間が続いた。しばらくして少し落ち着いたのか、備え付けの簡易ベットに腰掛ける。

 

これからどうするかを考えていた。

 

「気がついた?メビウス」

 

すると呼ばれたので振り返る。そこにはナオミがいた。

 

「ナオミ・・・」

 

「ごめんねメビウス。手荒な真似をしちゃって」

 

ナオミが頭を下げながら、メビウスの隣に腰掛ける。

 

「なぁナオミ。お前がエンブリヲに着いたのはココとミランダを人質にとられているからか?」

 

メビウスがナオミに聞きたい事を聞いた。

 

「違うよ。私達がエンブリヲに味方したのは私達の意思」

 

「・・・なんでだよ」

 

メビウスが力なく呟く。

 

「私はザ・ワンで新しい世界を守りたい」

 

「新しい世界?」

 

メビウスは言葉の意味が理解できなかった。

 

「ねぇメビウス。あの日の言った決意。覚えてる?」

 

「みんなを守る事だろ」

 

ナオミの決意。みんなを守ること。それがナオミの心の支えともなっていた。

 

「それが私の生きる理由だった。みんなを守れる様になりたかった。いつかはメビウスの背中だって守れる様に・・・だけど現実は残酷だった。あの日から私は何も変わってなかった。弱い私のままだった」

 

「ドラゴンに・・・いや、敵に対しての恐怖は拭えなかった。いつもメビウスやアンジュの背中だけを追いかけてた。一度も隣に並べた事なんてなかった」

 

「ナオミ・・・」

 

ナオミの表情は普段見た事のないものだった。

 

「アルゼナルが人間の襲撃を受けた時だって。メビウスはみんなを守る為に人間相手に飛びかかったのに、私は何もできなかった。ただ震えてた。そしてまたメビウスに助けられた」

 

「なのに私は、メビウスの助けになれなかった。メビウスとアンジュが消えた時、私、二人が殺されたと思って、仇を討とうとエンブリヲに戦いを挑んだんだ」

 

「勝てなかったよ。ボロボロに負かされた。気がついたらベットにいた。側にはココとミランダがいた。最初は自分は死んじゃったって思った。でも違ってた。そこにはエンブリヲがいた」

 

「エンブリヲはココとミランダの二人を助けてくれたんだよ。ショックで記憶を失っちゃったけど・・・嬉しかった。二人が生きててくれて。記憶を無くしても二人はココとミランダだから」

 

「そしてエンブリヲは教えてくれた。メビウスの事。そしてこの世界の事を」

 

「この世界のこと?」

 

ナオミは話し始めた。この世界のマナの光の正体。なぜドラゴンが攻めて来るのか。それらは全てドラゴン達の世界で聞いた話の内容であった。

 

「そしてエンブリヲは私にくれたの。新しい生きる理由を。この世界を創り直すのに協力する。それが私の生きる理由なんだよ」

 

「世界を創り直す!?」

 

その言葉にメビウスが驚く。

 

「うん。エンブリヲの創ろうとしている世界はマナの人達やノーマ達ドラゴン達のみんなが手を取り合って生きていける世界なの」

 

その言葉にメビウスはミスティに言った言葉を思い出す。

 

(マナがなくても認め合えれば、世界は平和になれるかな・・・)

 

「皆が手を取り、認め合える世界・・・」

 

それはメビウスの望みでもあった。

 

未来世界では差別は残されている。その為に色々な人が犠牲となった。その歴史が来ない・・・それはなんと素晴らしい事なのか。

 

甘い考えが頭をよぎった。それを必死に振り払う。

 

「俺は自分の世界を見た。あの世界がエンブリヲの仕業でああなったのなら。ビーストがあいつのせいで現れたのなら。俺はあいつと戦わなくちゃならねぇ」

 

「それは違うよメビウス!あれはこの世界の未来なの」

 

メビウスは驚いた。なぜナオミがその事を知っているのか。

 

「エンブリヲは見せたの。この世界の未来を。そこで私は見たの。メビウス。貴方を・・・だから私はエンブリヲに協力する。あの未来を回避できれば、ノーマ達がドラゴンと戦う事や人間達から迫害される事もなくなるし。何よりメビウスがあんな風に戦わなくてすむ」

 

「もうメビウスが血に塗れる必要はなくなるの」

 

戦わなくてすむ。血に塗れなくていい。その言葉はメビウスを大きく揺さぶらせた。

 

メビウス自身あの世界での行いは決して自慢できるものではない。時には汚い事もした。時には血に塗れる事もした。

 

「その為にはフェニックスが必要なの。だからメビウス。一緒に協力しようよ」

 

その一言にメビウスはエンブリヲのやり口を理解した。

 

「成る程。あいつのやり口が見えてきたぜ。甘い事を言って従わせる。最低な野郎だな」

 

「メビウス?」

 

「俺はあいつに従わない。それが俺の結論だ。

ナオミ。お前は騙されてるんだ」

 

未来世界でメビウス達が見たがエンブリヲの本性とナオミの言うエンブリヲは当てはまっていない。

 

その答えは単純だ。ナオミ達はエンブリヲの話術などで騙されている。

 

現にナオミの様子を見る限りエンブリヲが未来世界でアンジュ達を消そうとした事やシグにした事、ビーストがエンブリヲが創り出したもの。何よりこの世界を捨てようとしている事などは知らない様子だ。

 

知っていればこんな風にはならないだろう。

 

ナオミは顔を下に向けていた。横目で見えたその眼は涙が溢れていた。しばらくすると何かを取り出した。それを口に含んだ。

 

「そう。だったら・・・ごめんね、メビウス」

 

ナオミが顔をこちらに向けさせた。次の瞬間ナオミはメビウスとキスをした。

 

メビウスの舌の上にナオミの舌が絡まった。舌の間に何ががあった。

 

【ゴクン】

 

メビウスはそれを飲み込んでしまった。そして互いの舌が離れた。舌同士で糸を引いていた。メビウスは驚いて立ち上がった。

 

「いっ!いきなりなにを・・・」

 

すると、突然足の力が抜けるのを感じた。その場にヘタリ込む。メビウスは気づいていないが瞳が赤くなる。

 

「なっ。なにをした・・・」

 

「大丈夫。メビウスの為になる事だよ」

 

ナオミのその言葉を最後にメビウスの意識は失われた。そしてナオミはその場を離れた。そして入り口付近でアンジュ達と出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンジュは現在、ある場所に向かっていた。今はエンブリヲと共に、エレベーターの様な物で降りていた。

 

エレベーターがたどり着くと周りが明るくなった。

 

目の前にはドラゴンがいた。巨大なドラゴンだ。これまで一度も見た事がない。

 

否。一度だけ見た事があった。サラマンディーネ達のいた世界で。

 

「まさか・・・これ!」

 

「アウラ。神聖にして原初のドラゴンさ」

 

驚くアンジュとは対照的にエンブリヲは冷静であった。アウラの体には様々な管が取り付けられていた。

 

「あれがドラグニウム。この世界のマナはアウラがドラグニウムを喰らう事で維持されているのだよ」

 

「神聖なドラゴンを、あなたはただの発電機にしたってわけね!

 

「人間達を路頭に迷わせる訳にはいかないだろ?リィザの情報のおかげで大量のドラグニウムが手に入った」

 

「これで計画も次の段階へ・・・」

 

【チャキ】

 

エンブリヲの後頭部に冷たい物が当たった。それは拳銃であった。

 

「アウラを解放しなさい」

 

「君はドラゴン達の味方だったのか・・・」

 

「貴方の敵よ。兄を消し去り、タスクを殺そうとし、ドラゴン達を沢山殺した。敵と捉えるには十分よ」

 

「断ると言ったら?」

 

【バァン!】

 

アンジュは引鉄を引いた。弾丸はエンブリヲの脳天に直撃した。エンブリヲだったそれが前へと倒れこむ。死んだのだ。

 

アンジュがアウラを見ている。

 

「大きいわね。メビウスと協力しても運び出せるかしら?」

 

「気は済んだかい?」

 

「!?馬鹿な!」

 

アンジュは声のした方に銃を向けた。そこにはあり得ない人物がいた。

 

エンブリヲだ。先程額を貫通した弾丸の跡は無くなっていた。それどころか先程死んだエンブリヲの

死体は愚か、その場には血すら流れた形跡がなかった。

 

【バァン!】

 

再び銃声が鳴り響いた。エンブリヲは再び倒れこむ。

 

「無駄な事はやめまたえ」

 

まただ。またエンブリヲが現れた。先程殺したはずの存在が何事もなかったかの様に目の前にいる。

 

アンジュは銃口を向ける。だがその手は震えていた。

 

「貴方・・・一体!」

 

「何を驚いている?似た様な事が以前にもあったろ?」

 

未来世界においてエンブリヲはネオマキシマ砲で機体ごと粉々になった事がある。だが、この世界に帰ってきた直後死んだと思っていたエンブリヲ自身からの通信が入った。

 

この時は精々直前で逃げた程度に考えていなかったがこれをみて確信した。こいつは死んでも蘇ると。

 

「私がなんて呼ばれてるか、アレクトラから聞いただろ?」

 

「・・・神・・・様・・・」

 

それは以前風呂場でジル司令が言っていた事だ。

 

「チープな表現で好きじゃないなぁ。調律者だよ。私は」

 

「調律者・・・!?」

 

「そう。世界の音を整える調律者だ」

 

すると周りの雰囲気が変わった。そこは庭の様な所であった。それにアンジュは戸惑った。

 

エンブリヲは続けた。

 

「君は私を殺してどうしたいのかな?」

 

「簡単な話よ。世界を壊してノーマ達を解放する!そして破滅の未来を回避する!」

 

「なぜ?」

 

その言葉にアンジュは多少動揺したが、

それを表面には表さなかった。

 

「なぜって!それは・・・」

 

「果たしてノーマ達は本当に解放されたがっているのかな?」

 

エンブリヲがアンジュに近づいた。

 

「確かにマナの使えない彼女達に、この世界での居場所はない。だが代わりに、ドラゴン達と戦う役割が与えられている」

 

アンジュの視界が一瞬ぼやけた。直ぐに頭を振り

銃口を突きつける。

 

「居場所や役割が与えられると人というのは安心する。自分で考え自分で生きる。それは人にとって

大変な苦痛なんだよ」

 

アンジュの視界が再びぼやけた。顔に赤みがかかっている。この時アンジュは自らの身体の異変に気がついた。

 

「なっ・・・なにを言っているの!?私に!何をしたの!?」

 

アンジュは尚も銃口を突きつける。銃弾を放つが

今度はエンブリヲの体を通り抜けた。

 

「ほうっ。君の破壊衝動は不安から来ているのだね。奪われ、騙され、裏切られ続けた。

どこに行くのかも分からない」

 

「だっ・・・黙れ!」

 

「だから恐れて牙を剥く。私が開放してあげよう。その不安から」

 

「まさか・・・貴方・・・」

 

アンジュはメビウスの事を考えた。彼のあの虚ろな瞳。何故ああなったのか、今、軽く予想がついた。

 

「メビウスの事かい?彼は簡単だったよ。まず彼自身に既に力が無くなった事を教えた。それによって彼の心にな大きな傷を作った。だが彼はそれでも立ち上がる危険があった。

 

「だから私はナオミを使って与えたのさ。その傷を埋められる快楽の夢を・・・ね」

 

エンブリヲは悪い笑顔を浮かべた。

 

「彼の破壊衝動は仲間から来ていた。仲間を失う事。仲間が傷つく事。仲間がいなくなる事。それが彼の中で恐怖を作り、それを振り払う為に、自らを戦いに駆り立たせその翼を傷つけていく」

 

「可哀想じゃないか。自分を大切にしようとせずに、一人傷ついていく彼の姿は。私としても彼を解放してあげたくてね。ナオミに協力してもらったのさ」

 

「どうせナオミを・・・騙したくせに・・」

 

「メビウスにはナオミが与えたのさ。居場所と快楽の夢を・・・そして彼は、それを受け入れて、戦いを放棄しただけさ」

 

「もう彼の翼は朽ち果てた。彼が立ち上がる事はない。戦う事や失う事もなく、自分の愛する存在といられる夢の世界。その世界で彼は緩やかに朽ちていくだけだ」

 

この付近の描写はR-18に投稿した甘い快楽に酔って・・・に描かれています。因みに本来はその描写が第63話のメイン内容でした。

 

「何。怯える事はない。愛情。安心。友情。居場所。理由。望むものを全て与えよう。だから全てを捨てて、私を受け入れたまえ」

 

アンジュの瞳がメビウスと同じ様に紅くなった。銃がアンジュの手から滑り落ちる。エンブリヲがアンジュに近寄った。

 

「身につけているものを脱ぎたまえ」

 

その言葉と共にアンジュは服を脱ぎ始めた。まず上着の様なものを。そして服を。最後に残された下着を脱ごうとした際はアンジュは最後の抵抗を示していた。

 

これを脱いではいけない。脱いだら最後だ。おしまいだ。残された僅かな理性がそれを教えてくれていた。

 

だがそれもエンブリヲによって陥落された。遂に下着も脱ぎ捨てた。アンジュは産まれたての姿となった。

 

エンブリヲはアンジュの身体を評価した。

 

髪や瞳や唇や肌や胸などを。

 

「美しい。君は実に美しい。ビーナスやアフロディーテも君には敵わないな」

 

エンブリヲがアンジュの顎を持つ。

 

そしてエンブリヲはアンジュとキスをした。

 

 

 

 

 

この時アンジュの脳内であるのもが蘇った。それはタスクとしたキスだ。あの時の事を思い出した。

 

(・・・違う・・・これは違う!)

 

次の瞬間アンジュの瞳に光が戻った。そしてエンブリヲの舌に噛み付いた。痛みによりエンブリヲが多少退いた。

 

「馬鹿な」

 

「なんでも与えてあげる?悪いけど!与えられたもので満足するほど、私は空っぽじゃないの!」

 

地面に落ちていた衣類を回収して前の部分を隠す。

 

「神だか調律者だか知らないけど!死なないっていうなら!死ぬまで殺すまでよ!そして世界を壊し、未来を変えるわ!」

 

エンブリヲは驚いていたがやがて言葉を発した。

 

「・・・ドラマチック!!」

 

その言葉にアンジュは驚いた。一体こいつは何を言っているのだ。そして次のエンブリヲの言葉にさらに驚いた。

 

「私は・・・君と出逢う為に生きてきたのかもしれない。この千年を・・・」

 

 

 

 

 

 

舞台はアウローラに移る。通気口内ではゾーラ。

ヒルダ。ロザリーの三人がいた。

 

何故こうなったのかは少し前に遡る。ヒルダ達の部屋にゾーラがやってきた。

 

「司令の様子がおかしい?」

 

ヒルダとロザリーは同時に言った。

 

「ああ。リベルタスが始まってから何処か司令の様子がおかしいんだ。最初はリベルタス成功のためのプレッシャーのせいと考えていたが、だんだんそれだけじゃないと思い始めた」

 

「とどめになったのがあの時の作戦内容だ。人質を使うなんて普段の司令はしない。あの時の司令はどう見ても異常だった」

 

ドラゴンやZEUXIS達を捨て駒とした作戦説明。あの時のジル司令の様子は長年一緒にいるマギーやジャスミンでさえも見た事がなかったらしい。

 

「あたしもそれは気になってた」

 

ヒルダのジル司令の異変には気がついていたらしい。

 

「そうか。ならば話は早いな。二人とも確かめるぞ」

 

こうして三人は通気口にいるわけだ。

 

「それはわかったけど。なんであたしら通気口にいるんですか?お姉さま」

 

「・・・実はジル司令の部屋から夜な夜な呻き声と妙な言葉が聞こえてくるんだ。それも毎日と。昨日扉に耳を当てても微妙に聞きとれない。だからこうして確かめるんだ」

 

三人は通気口の隙間に耳を当てた。下を覗き込んだがジル司令の寝ているベットからは見えない場所にあるのだ。

 

「バレたらまずいよな・・・」

 

「安心しろ。そんときゃ私が全責任をとってやる」

 

「おおっ。流石お姉様」

 

「しっ!」

 

ゾーラとロザリーの会話にヒルダが静かにしろとジェスチャーを送った。通気口は静かになった。

 

「・・・うっ・・・ううっ」

 

三人が顔を見合わせた。確かに聞こえた。ジル司令の魘されている声が。

 

 

 

三人が通気口に入り込んだ時の時間に遡る。

 

ジル司令は夢を見ていた。ツインベットの片方に寝ていた。その手に紅茶が置かれた。

 

見るとそこにはエンブリヲがいた。

 

すると、外から爆撃音がした。見てみるとそこにはパラメイルが、ジルの仲間が戦っていた。

 

「私・・・戻らなきゃ」

 

自分の役割を思い出し戦場に戻ろうとした。その

右腕をエンブリヲに掴まれた。まだ義手ではなく本当の右腕で。

 

「ずっとここにいてもいいんだよ。 アレクトラ・・・永遠に」

 

「だめ・・・だめよこんなの・・・だめに・・・おかしくなる!」

 

「そう。おかしくなっていいんだよ。アレクトラ・・・」

 

 

 

「うっ・・・うう」

 

自室でジル司令は夢に魘されていた。そして次の瞬間ある言葉を放った。その言葉は通気口にいた三人にははっきりとこう聞こえた。

 

「ごめんなさい。エンブリヲ様・・・ごめんなさい」

 

 





前回【朽ち果てた翼】をご閲覧した方。

わざわざアンケートに答えてくれた方。

本当に申し訳ありませんでした。

以後この様な事がない様に気をつけます。

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