クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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前回のあらすじ!

エンブリヲがアンジュを妻にしようとしていた。アンジュは当然これを拒絶。エンブリヲを殺すが、直ぐにエンブリヲは蘇った。そしてエンブリヲとアンジュの姿が消えたのだ。

そしてメビウスもエンブリヲによって意識を失っていた。

そんな中、アウローラではヒルダ達がジル司令に不信感を募らせていた。

そんな中、ジル司令はパラメイルで発進しようとした。ZEUXISの協力によってそれは防がれた。

一体ジル司令は何故その様な事をしたのか!?

それでは本編の始まりです!




第65話 神の求魂 後編

 

 

舞台はアウローラの医務室。ジル司令はベットに寝ていた。最も左腕には手錠がされており脱走防止となっていた。

 

ジル司令は語り始めた。己自身の罪深か過去を・・・

 

「私は・・・エンブリヲの人形だった。奴に心を

支配され、操られ、全てを奪われた」

 

「使命も。誇りも。純潔も。全て」

 

「怖かったよ。リベルタスの大義。ノーマの解放。仲間との絆。その全てが奴によって愛情。依存。快楽へと変わっていった事が・・・」

 

「・・・なんで黙ってたんだい」

 

マギーがジル司令に問いかける。

 

「なんて話せばなかったんだ?エンブリヲを殺しに行ったら逆に身も心も奪われましたとでも言えばよかったのか?」

 

「そう。全部私のせいさ・・・リベルタスの失敗も、仲間達の死も・・・全部私の・・・」

 

「こんな汚れた女を助ける為に!みんな死んでしまったんだ!」

 

「そんな・・・そんな!」

 

メイが言う。彼女の家族は十年前。リベルタスの

失敗で死んだのだ。

 

「私に出来る償いはただ一つ。エンブリヲを殺す。それだけだった」

 

皆が黙っていた。

 

「だから一人で行こうとしたのか」

 

タスクがジル司令に言う。

 

「結局は失敗したがな」

 

【パチン】

 

マギーがジル司令にビンタをした。

 

「私は・・・あんただからついて来た。あんたが

ダチだから・・・ずっとついて来たんだ。なのに・・・利用されてただけとはさ・・・」

 

ジル司令は黙っていた。

 

「なんとか言えよ!アレクトラ!」

 

「そのくらいにしときな。マギー」

 

マギーがジル司令に掴みかかった。それをジャスミンが止めた。

 

「知っちまった以上、アンタをボスにする訳にはいかない。指揮官を剥奪させてもらう。いいねジル」

 

「あぁ。構わない。ヒルダ。お前が代わりに指揮を取れ」

 

ジルからの突然の使命にヒルダは多少驚く。

 

「お前なら。間違う事はないだろう」

 

「・・・イエス!マム!」

 

ヒルダはそう言うとZEUXISのメンバー達の方を向いた。

 

「皆さん。身勝手ながら頼みがあります」

 

「我々と共同戦線を張ってください!」

 

ヒルダが頭を下げた。それに続いてアウローラ組の皆も頭を下げる。

 

ZEUXISメンバー達は皆顔を合わせた。

 

「ヒルダくん。少しいいかな」

 

最初に口を開いたのはネロ艦長だ。

 

「なんでしょう」

 

「彼女と少し話がしたい。皆は席を外してくれたまえ」

 

ネロ艦長はジル司令の方を向いた。

 

「・・・わかりました。私達は外に出てます」

 

そう言い皆が医務室を後にした。

 

部屋にはジルとネロ艦長が残された。

 

「何の用だ?例の毒の件か?あれは私の仕業だ。さぁ、好きな様に罵り罵声を浴びせて構わんぞ。なんなら殴ってもいい」

 

ジルは自暴自棄に近い状態になっていた。

 

「・・・同じだ」

 

「えっ?」

 

「君は私と同じだ」

 

ネロ艦長は語り始めた。自分のした愚かな過去を。罪を・・・

 

 

 

 

 

「私は家族をビーストに皆殺しにされた。妻を、子供を、そして父と母を・・・」

 

「私は優しさを捨て復讐に生きる事にした。軍をやめ、ビーストへの復讐と殲滅の為に組織を立ち上げた」

 

「それがZEUXISだ。対ビースト組織。ビーストの殲滅を目的に創設されたが、最初のその実態は私が復讐を果たすための組織であった」

 

「ビーストが出てはとにかく殲滅した。周りの被害など考えようとせず、ただ効率的にビーストを殺す日々だった」

 

「そんなある日だ。二つのビースト反応が確認された。一つは誰もいない山奥だった。そこには家族の仇のビーストがいた。もう一つ孤児グループがビーストの襲撃を受けたと報告を受けた。私達は孤児グループを放置した。何故だかわかるか?」

 

「・・・そこにメビウスがいたからか?」

 

「その通りだ。孤児グループ達を襲っているビーストはきっと例の機動兵器で撃退すると勝手に決めつけ、私自身の復讐を優先させたのだ」

 

「結果的には復讐を果たす事は出来た」

 

「だが、それは間違いだった。後日孤児グループの拠点に行った時、そこにはかつて人間だった者の骸とビーストの死骸。そしてそれに泣き縋るメビウスがいた」

 

「後で知った事だが当時メビウスはいつも通り街にその日の食料を盗みに行っていたらしい。その間をビーストに襲われていた。皆が無抵抗に殺されていた」

 

「この時になって私はようやく気がついた。私がした事の愚かしさが。私は彼から奪い去ってしまった。同じ境遇の仲間を。そして彼の優しさを・・・」

 

「ビーストが私から奪ったものを今度は私が彼から奪い取ってしまったのだ・・・」

 

「私は懺悔の為にメビウスをシグと名付け、ZEUXISに迎え、育てた。彼には復讐の道に進んで欲しくなかったからだ。そして彼は選んだ。私とは違い、復讐ではなく、未来を変えるための戦いの道を・・・」

 

ジル司令は黙って聞いていた。

 

「復讐に生きる者は自らの失ったものを他の誰かから奪い去ってしまう。そしてそれに気がついた時には既に手遅れだ」

 

「だが君はまだ違う。まだ戻れる所にいる。その事を忘れるな」

 

ネロ艦長がジルを見た。

 

「さて。私の話を最後まで聞いてくれてありがとう。

私はこれで失礼する」

 

そう言いネロ艦長は医務室を後にした。

 

 

 

廊下ではヒルダ達が待っていた。

 

「ヒルダくん。よろしいかね?」

 

「はい。なんでしょう」

 

「共同戦線を結ばせては貰えないだろうか?」

 

ネロ艦長が頭を下げた。ワイズナー達もそれに続く。

 

「そんな!こちらが先に頼んだんです。こちらの方こそよろしくお願いします!」

 

ヒルダ達も頭を下げた。そしてヒルダは艦内通信で高らかに宣言した。

 

「リベルタス総司令のヒルダだ。我々はZEUXISと共同戦線を結んだ。アウローラの進路をミスルギ皇国にとれ!これより仲間達の救出作戦を開始する!」

 

「ヒルダ総司令。我々も可能な限りの協力をさせたいただく」

 

ネロ艦長が言う。そしてヒルダ達と作戦室へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

舞台らミスルギ皇宮。モモカはアンジュを探していた。するとある部屋へと辿り着いた。

 

そこにはリィザがいた。どうやらつい先程までシルヴィアに拷問されていたらしい。モモカさんはリィザを拘束していた鎖を解き、口枷を取り外す。そして水を与える。

 

「・・・なんで助けた」

 

「ジュリオ様と一緒にアンジュリーゼ様を陥れた事。忘れてはいません。ですから、アンジュリーゼ様に謝ってください。それまで絶対死んではダメです」

 

「・・・皇宮西側の地下の皇族専用のシェルター。彼女はきっとそこにいるわ・・・」

 

リィザがモモカさんにアンジュの囚われているであろう場所を伝えた。そしてリィザはその部屋を去った。

 

 

 

時を同じくして、皇族専用のシェルターではアンジュはエンブリヲによって様々な苦痛が与えられていた。その瞳は以前の様に赤く染まっていた。

 

エンブリヲはアンジュの悲鳴や喘ぎ声などを聞きながら紅茶を飲んでいた。

 

間違いない。彼は異常だ。アンジュの悲鳴や喘ぎ声を聞き楽しんでいる。常人の神経ではない。

 

「さて。気分どうかなアンジュ?」

 

「はい・・・エンブリヲ様・・・くっ!くたばれ!クソ野郎・・・」

 

アンジュはエンブリヲによってかなりまいっていた。だがそれでも、彼女の中にあるプライドでそれを跳ね返していた。だがそれもそろそろ限界であった。

 

エンブリヲはアンジュに50倍の快楽を与えた。アンジュは自分を慰める。

 

「熱い・・・熱い!助けて・・・タスク・・・」

 

エンブリヲはその言葉を背に、その部屋を後にした。

 

暫くはアンジュはそこにうずくまっていた。

 

すると扉が開いた。そこにはサリアがいた。

 

「無様ね。エンブリヲ様に刃向かうからそうなるのよ。バカ」

 

「バカは・・・貴女の方よ。あんな最低の男を・・・心酔しちゃって・・・」

 

「・・・私にはもうエンブリヲ様しかいないから・・・出て行きなさい。エンブリヲ様が戻られる前に・・・これ以上。私から奪わないで・・・」

 

「サリア・・・」

 

「貴女を助けるんじゃない。ただ、そんな貴女は見たくないだけ。このままだと貴女。心を完全に壊されるわよ」

 

「サリア・・・そう。これはそのお礼よ!」

 

アンジュがサリアにヘッドロックを仕掛けた。

 

「逃したより逃げられたの方が、罪は軽くなるでしょ?」

 

「余計なお世話よ。筋肉ゴリラ・・・」

 

その言葉を最後にサリアの意識は失われた。死なない程度に手加減はしていた。アンジュはサリアの着ていた服を着込む。ダサいが全裸よりはマシである。

 

すると服のポケットにあるケースが入っている事に気がついた。取り出して確認した。それはアンジュの指輪であった。

 

そこにリィザから情報を貰い駆けつけたモモカさんと出会った。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「モモカ。ここから逃げるわよ」

 

「はい!アンジュリーゼ様!」

 

 

 

 

暁ノ御柱ではエンブリヲがある準備をしていた。そして永遠語りを歌いだす。

 

「準備は整った。総員ラグナメイルに騎乗!計画が完了するまで暁ノ御柱を守れ!」

 

「イエス!マスター!」

 

「ん?サリアはどうした?」

 

この時エンブリヲはサリアがいない事に気がついた。

 

「それが、何処にもいなくて」

 

「分かった。五人はそれぞれ暁ノ御柱を守れ。

ナオミ、君はザ・ワンはネクストで出たまえ」

 

「イエス。マスター」

 

五人はそれぞれの機体に乗り込んだ。

 

エンブリヲはマナでサリアの様子を見た。そこには服を剥ぎ取られて下着姿のサリアが写し出されていた。

 

「ちいっ!」

 

エンブリヲはその場を後にした。誰もいなくなったその部屋で、ある存在がある人物に語りかけていたとは知らずに。

 

 

 

アンジュは皇宮の外に出ていた。現在アンジュはモモカさんの肩を借りていた。

 

「とりあえずヴィルキスとメビウスを探さないと!モモカ。お願い」

 

アンジュがモモカさんに指示を出していた。

 

「アンジュちゃん。どこに行くの?」

 

上空から声がした。見るとレイジアが上にいた。

 

「エンブリヲさんが探してたわ。さぁ一緒に行きましょ?」

 

「走れますか?アンジュリーゼ様」

 

アンジュは頷いた。次の瞬間には駆け足となった。

 

「あらあら。しょうがないわね」

 

口でダメなら実力行使をするというわけだ。

 

その時アンジュの指輪が光った。そして目の前に

ヴィルキスが現れた。いや転送されたというべきだろうか。

 

「ヴィルキス!?」

 

エルシャとクリスの二人が驚く。

 

「モモカ!乗って!」

 

アンジュは直ぐにヴィルキスに乗り込んだ。モモカさんも後ろに乗っかる。

 

ヴィルキスが上昇した。これで少しは対等に戦える様になった。

 

とは言え現状ではかなりの差がある。状況は1対5であるのだ。ラグナメイル達のライフルにザ・ワン・ネクストの有線式ファングなど。避けるので精一杯であった。

 

このままではジリ貧だ。

 

 

 

その時だった。突然暁ノ御柱上空に穴が空いた。そしてそこから粒子兵器が放たれた。粒子兵器はエルシャ達目掛けて放たれた。それをシールドで防ぐ。

 

するとアンジュの所に通信が入った。

 

「借りを返しに来ましたよ。アンジュ」

 

「サラ子!?」

 

そう。それはサラマンディーネ達であった。龍神器三機がアンジュ達の援軍として加わった。

 

「サラマンディーネ様・・・」

 

ある場所でリィザはその機体を見ていた。どうやらリィザが彼女達を呼んだらしい。

 

「ちっ!たかが三機増えた程度で!」

 

「みんな!あれの相手は私がする!ファング!」

 

ナオミが有線式ファングを三機目掛けて放った。だが次の瞬間だった。ナオミ達にミサイルが飛んできた。

 

ナオミはアイ・フィールドを展開してなんとかミサイルを防いだ。

 

「一体どこから!?」

 

すると遠くの方で何かが突然現れた。それもアンジュが知っているものであった。

 

「あれは・・・アクセリオン!」

 

 

 

「パラメイル隊!機動兵器部隊!用意の出来た奴からそれぞれ発進せよ!忘れるな!今回の作戦の目的は仲間達の救出だ!」

 

アクセリオン内ではヒルダが指示を出していた。

 

あの後パラメイル隊はアクセリオンに搭乗した。そしてアクセリオンの偽装展開でミスルギ皇国にバレない様に侵入したのだ。

 

「アンジュ!無事か!?」

 

ヒルダが通信を送ってきた。

 

「今はなんとかね!」

 

アンジュは攻撃を避けながら返答した。

 

「待ってな!直ぐにあたしらも援軍として駆け付ける!アンジュと一緒に戦ってる機体は味方なんだよな?」

 

「ええ。とっても心強いわよ!」

 

「それいつはいい。メビウスは何処だ!?」

 

「多分囚われてるわ!最後にメビウスとあった座標を送る!」

 

アンジュはヒルダ達に座標を送った。

 

「メビウス。無事よね・・・」

 

アンジュはメビウスの無事を願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはメビウス。こちらも事態の変化が起きていた。

 

今のメビウスの意識は暗い闇の中を漂っていた。

 

「・・・メビウス」

 

遠くで誰かに呼ばれた気がした。まだこの時は意識は朦朧としている。

 

「メビウス」

 

今度は鮮明に聞こえた。誰かが自分を呼んでいる。そして気がつくとメビウスは精神世界に来ていた。今回、そこにシグはいなかった。

 

「よかった。やっと気がつかれましたか」

 

声が聞こえた。その方を見るとそこに光があった。いや、正確には光を纏った巨大な存在がいた。

 

メビウスは何処かその存在に神々しさを感じた。

 

「あなたが俺を呼んだんですか・・・?」

 

「そうです。私です。今は貴方の精神に語りかけています」

 

「あなたは・・・一体?」

 

「私は・・・アウラです」

 

その言葉をメビウスは聞いたことがあった。サラマンディーネ達の世界で聞いた。最初のドラゴンである。

 

「メビウスさん。貴方に話さなければならない事があります」

 

メビウスはアウラの話を聞いていた。

 

暫くして気がつくとメビウスは地下牢にいた。どうやら目が覚めた様だ。メビウスはアウラとの会話を鮮明に覚えていた。

 

「アウラ。ありがとう」

 

一言呟き、メビウスは鉄格子を押した。そこには鍵がかかっていなかった。メビウスは勢いよく地下牢を飛び出した。

 

外へ・・・仲間の待つ戦場に舞い降りる為に・・・

 

 






今回で第8章はおしまいです!

因みにスーパーロボット大戦XΩにおいて、ナーガとカナメのSSRを入手しました。

初めてのスパロボはBXでしたね。今となっては色々とやっているけど。Kなや酷さは理解できたw

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