クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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今回オリジナルの方が多少説明的になってしまった感がありますね。

前回のあらすじ!

遂にミスルギ皇国にやってきたヒルダ達。ヒルダ達の前にはテオドーラを駆るクリスが立ち塞がる!

ワイズナー達はメビウスとフェニックスを探すがメビウスは見つからなかった。

そんな中エンブリヲの操る人間達がワイズナー達に襲いかかる。

そしてそれはアンジュ達にも襲いかかった。逃げるアンジュ達であったが、遂にエンブリヲの元へと辿り着いてしまった。

その時アンジュを助けにタスクが現れた!

それでは本編の始まりです!



第67話 託された翼/遺された意志

 

 

ヒルダ達とクリスの戦いは続いていた。だがヒルダ達四人でもテオドーラを抑える事は出来なかった。

 

「クリス強い!」

 

「あぁ。腕を上げてやがる」

 

ヴィヴィアンとゾーラが驚いていた。

 

するとヒルダ達の元にワイズナーから通信が入った。

 

「ヒルダ!フェニックスを発見した」

 

どうやらあの後エンブリヲの傀儡達を皆ノックアウトさせた様だ。物理的に動けなくさせる為に、全員最低骨の一本は持っていった。

 

「メビウスは!?」

 

「それが・・・何処にもいないんだ」

 

通信からはメビウスはまだ発見できていない事が報告される。ヒルダはタスクの方に通信を送った。

 

「タスク。アンジュはどうした!?」

 

「アンジュは無事だ。機体に乗せて逃した!だがヴィルキスは沈んでいる!今直ぐには引き上げられない」

 

通信越しに鉄の擦れる音が聞こえていた。タスクは現在エンブリヲと戦っている。

 

「ヒルダはある決断を下した」

 

「・・・総員撤退する!ワイズナー達はフェニックスをアクセリオンに持ちかけるんだ」

 

ヒルダ達の指示の元、皆が撤退した。だがクリスは尚も四機を狙っていた。

 

「逃がさないよ。あんた達」

 

テオドーラのライフルがロザリー目掛けて標準を合わせた、

 

「お姉様ぁ!」

 

するとそこにマリカがやってきた。

 

「マリカ!何しに来た!?」

 

「お姉さまの援護に!」

 

「邪魔!」

 

テオドーラが剣をマリカのパラメイルに投げつけた。それはマリカの機体に直撃した。フライトモードの為それはコックピットに直撃した。

 

次の瞬間には機体は空中で爆発を起こした。

 

「マリカ!・・・そんな・・・」

 

「ふふっ」

 

クリスは何処か笑っていた。

 

「クリス!テメェ!!」

 

ロザリーのグレイブがパトロクロスを取り出し、

テオドーラに接近する。

 

テオドーラはライフルをグレイブに向けた。するとそこに粒子兵器が飛んできた。クリスは慌ててそれを避ける。

 

見るとそれには焔龍號達三機の龍神器がいた。

 

「サラサラさん!」

 

「サラマンディーネです。ヴィヴィアン」

 

テオドーラの前には7機が集まった。

 

「ちぃ!」

 

流石に分が悪いと判断したようだ。テオドーラは地面に刺さった剣を引き抜くと撤退した。

 

「待ちやがれクリス!」

 

「ロザリー!どうどう」

 

テオドーラを追いかけようとしたロザリーをヴィヴィアンが止める。ロザリーのグレイブ一機で行くのは自殺行為だ。

 

「くつ!ちっきしょぉぉ!!!」

 

ロザリーはコックピットを殴りつけた。

 

新兵を死なせ、それの敵討ちも出来ない自分への怒りが込み上げていた。

 

「・・・とにかく一度母艦に帰還する。あんたらも一緒に来るかい?」

 

「ええ。あなた方はアンジュの仲間でしょう。私達も参ります」

 

そういい皆がアクセリオンへと帰還した。

 

 

 

 

こちらはタスク。現在エンブリヲと剣を交えていた。状況はタスクが少し押され気味であった。

 

「アンジュの騎士だと!?旧世界の猿どもが!

テロリストの残党風情が!全くもって無駄な事を」

 

「無駄なんかじゃないさ。吐き気を催す邪悪!悪魔!不確定世界の住人!少しでも、お前の足止めになるならな・・・」

 

タスクはエンブリヲに何かを言っている。タスクはエンブリヲに有効な何かを知っているのだろうか。

 

「ほう。サルも少しは賢くなる様だな。だが所詮無駄な事さ・・・」

 

エンブリヲはサーベルを捨てた。そして懐から拳銃を取り出した。

 

タスクは身構えた。ナイフ対拳銃では明らかに不利だからだ。

 

次の瞬間、銃弾は放たれた。

 

エンブリヲめがけて・・・エンブリヲは自分で自分を撃ったのだ。

 

「なっ!?」

 

これにはタスクも動揺した。エンブリヲはその場に倒れた。

 

「・・・まずい!」

 

エンブリヲの意図が理解できた。

 

エンブリヲは不死の存在。だがそれは少しだけ違う。死んでも何事もなかったかの様に現れるのだ。そしてその現れる場所は死体からではなく自由である。

 

そう、死ねば望むところへ現れる事が出来る・・・

 

 

 

 

アンジュはモモカさんとアーキバスで空を飛んでいた。そしてアクセリオンの姿が少しずつだがはっきりとしてきた。

 

「アクセリオンよ!モモカ!」

 

次の瞬間だった。モモカさんがアンジュの腕を掴んだ。

 

「モモカ?・・・モモカ!?」

 

モモカさんの目は生気を感じさせなかった。エンブリヲに操られていた人達と同じ目だ。腕を掴まれた事により機体は降下していく。

 

機体はとある建物の屋上に着陸した。そしてそこにはエンブリヲであった。

 

「怒った顔も素敵だよ。アンジュ」

 

エンブリヲはこちらに歩みを進めた。

 

「なぜそこまでして私を拒絶する?」

 

次の瞬間にはエンブリヲはアンジュの背後に回り込んだ。腕をロックした。

 

「くっ!」

 

そこにタスクがワイヤーガンで登ってきた。

 

「アンジュを離せ!」

 

「ふん。相手をしてやれ」

 

エンブリヲが顎でモモカさんに殺れと指示した。するとモモカさんがサーベルを持ちタスクに斬りかかる。

 

「モモカ!」

 

サーベルの一撃でタスクの手にしていたナイフは吹き飛んだ。なおもモモカさんはタスクを攻撃する。サーベルで突き刺すその動作はどう見ても

常人の出来る範囲ではない。

 

「身体能力を極限にまで引き上げさせてもらったよ」

 

やはりエンブリヲの仕業であった。

 

「さぁアンジュ。愚かな男の末路を見たまえ」

 

「やめ・・・て・・・モモカ!」

 

しかしモモカさんは攻撃をやめない。

 

「私は調律者だ。音を乱す存在は消さなくてはならないだろ?」

 

その時だった。

 

「ふっざけんじゃねぇぇぇぞ!!!」

 

怒鳴り声が響いた。その声には聞き覚えがあった。

 

「まさか!そんな事が!?」

 

エンブリヲが驚いて声の方を向いた。次の瞬間、エンブリヲの顔にストレートが決まった。エンブリヲの身体は宙に浮き、柵を越えていった。

 

解放されたアンジュは声の方を向いた。

 

「何故だ!何故貴様がここにいる!」

 

蘇ったエンブリヲが驚きながら叫ぶ。

 

そこにはメビウスがいた。

 

「メビウス・・・あなた・・・その姿」

 

メビウスの背中からは翼が生えていた。それだけではない。尻尾だ。尻尾まで生えていた。

 

サラマンディーネ達同様の姿となっていた。

 

「貴様!その姿はなんだ!」

 

「託されたんだよ!アウラから!」

 

 

 

 

話はメビウスの精神世界に遡る。

 

メビウスはアウラと対面していた。

 

「話さなければならない事?」

 

「はい。まず単刀直入に言います。貴方に私のド

ラグニウムを分け与えたいのです」

 

「ドラグニウムってドラゴン達の世界で見つかった高純度エネルギーだろ?それをなんで・・・」

 

 

 

「これから話す事に耳を傾けてください」

 

「まず私達のいた世界で発見されたドラグニウム。エンブリヲが見つけました。当時私とエンブリヲは同じくドラグニウムの研究をしていました」

 

「そして私はドラグニウムの進化系。【ネオドラグニウム】を発見したのです。これは永久的なエネルギーでした。私は嬉しかった。戦争の原因であったエネルギー問題などは解決するからです」

 

「ですがエンブリヲは違いました。ドラグニウムを戦争に投入したのです。直ぐに私はこのネオドラグニウムをエンブリヲに教えるべきではないと判断しました。この力が戦争に使われれば、完全に世界は滅びてしまう」

 

「その為私はネオドラグニウムをエンジンとした機体を作り、当時存在が囁かれていた平行宇宙の過去の地球へと飛ばしたのです。これによりネオドラグニウムはエンブリヲには知られずに済んだのです」

 

「それと俺と、一体どう関係するんだよ?」

 

「その機体の名前は・・・【フェニックス】です」

 

その言葉にメビウスは驚いた。

 

「じゃあ!フェニックスはこの昔の世界じゃなくて、サラマンディーネ達のいた世界で造られた機体なのか!?」

 

「ええ。私の研究データを含めて、ネオドラグニウムの研究データごと私が完全に消し去りましたから、公の記録は残っていませんが」

 

以前、エンブリヲが言っていたロスト・テクノロジーの塊。旧人類。その言葉が頭をよぎる。

 

あれは古の民達の事だと考えていた。

 

だが実際はドラゴン達の事を言っていたのだ。

 

「じゃあまさかあのタイムマシンは!」

 

「ネオマキシマオーバードライブシステム。私が

開発したタイムマシンです」

 

「・・・すげぇ」

 

メビウスは目の前の存在の偉大さを実感した。サラマンディーネ達が彼女を崇拝している理由がよくわかった。

 

「そしてフェニックスは永い眠りにつきました。

貴方が偶然発見するまでは」

 

「私はずっと見てきました。この世界や100年後の未来世界での貴方の戦いを。貴方が無限の繰り返しに囚われていた時の事も・・・」

 

「もし貴方がエンブリヲの様な事をするのであれば私は貴方を排除してたでしょう」

 

「貴方に問います。貴方は何故戦うのですか?」

 

何故戦うのか。アウラからの質問にメビウスは考えた。最も、直ぐに考えるのはやめたが。

 

「そんなものねぇ」

 

「理由なく戦うのですか!?」

 

「そうじゃねぇよ。仲間が困ってりゃそれを助ける。それは当たり前だろ。それと同じさ。理由なんていらねぇ」

 

「つまり、仲間の為に戦うのですね」

 

「あぁ。当たり前の事だろ」

 

多少の沈黙が続いた。

 

「・・・良かった」

 

アウラが一言呟いた。

 

「貴方の様な人にフェニックスが託されて・・・」

 

「もし俺がエンブリヲみたいな存在だったらあんた、どうしてたんだ?」

 

「簡単な事です。その時は貴方にまた眠ってもらうだけでした」

 

「えっ?・・・まさか貴方が!?」

 

メビウスの中である可能性が浮かび上がる。

 

「ええ。少しずつですが蓄えてきた力を使ってループするシグの中の貴方を毎回覚醒させようとしてきました。そして遂に覚醒したのです」

 

「まさかあの時!シグの他に話していたもう一つの声の主って!」

 

「ええ。フェニックスを通して私が話してました」

 

「・・・あれ男の声でしたよ」

 

「後一押しだったので力をいつもより多く使ったら、ああなりました」

 

「ん?てことはシグを起こす事も出来るのか!?」

 

「彼は暫く眠らせてあげてください。長い眠りの時間を」

 

「そうだよな。数百年も頑張ったんだ。今は休ませるべきだよな・・・」

 

「・・・なぁ、アウラ。貴女は俺が憎くないのか?理由はどうであれ、結果的に俺はあんたの開発したもので色々な事をやらかした」

 

「・・・人間は過去の罪を受け入れ、許すことが出来るのです。貴方は己の過ちを自覚しています。ならば私もそれを強く責めません」

 

メビウスは、かつてサラマンディーネとした会話を思い出す。

 

「ですがこれだけは忘れないでください。同じ悲しみだけは繰り返さないと」

 

アウラの光がより強く輝いた。それはまるで太陽の光の様であった。

 

「さて、あまり時間がありません。それでは貴方にドラグニウムを分け与えますね」

 

「そういえばなんでた?なんでドラグニウムを俺にわけるんだ?」

 

「エンブリヲを止めるには貴方の力も必要です。それに貴方は既にドラグニウムを体内に取り込んでいたんですよ?それを貴方に分かるように言うなら、人体強化ガスです」

 

メビウスは再び驚いた。

 

あれがドラグニウムだとは、だが直ぐに疑問が湧いた。

 

「でもちょっと待て!ドラグニウムって確かドラゴン達のいる地球でしかないんだよな!?なんでブラック・ドグマがそんなもの持ってるんだよ」

 

そう。ドラグニウムはこの世界には存在しない。

さらにそれは有限である。

 

唯一のドラグニウムはアウラの言うフェニックスに搭載されているネオマキシマエンジンだけである。

 

しかしその存在は公にはされてない。その為エンブリヲはドラグニウムを手に入れる為にノーマ達に

ドラゴンを殺させているのだ。

 

「それは私にもわかりません。ですがあのガスはドラグニウムです。最も、純度は薄い様でしたが、なぜあったのかはわかりません」

 

どうやらそれはアウラにもわからない様だ。

 

「お願いです。エンブリヲを止める為に・・・」

 

「わかった。俺もこのままやられっぱなしっての好きじゃねぇ」

 

迷いなんてなかった。メビウスはアウラの頼みを受けた。

 

「では私の身体に触れてください」

 

メビウスは歩き、そして右手を伸ばし、アウラへと触れた。

 

次の瞬間、メビウスの体内に何かが流れ込んでくるのが実感できた。

 

「もう大丈夫です。手を離してください」

 

手を離す。既にメビウスの体調は戻っていた。エンブリヲに捕まる前、人体強化ガスの影響を受けていた時と同じ、いや、それ以上の力が漲っていた。

 

「これが・・・ドラグニウム」

 

「・・・なるほど。貴方は進化しました。今の貴方なら遺伝子操作なしで、念じれば翼と尻尾が生えてくるでしょう」

 

メビウスはサラマンディーネ達を想像した。翼や尻尾。あれはあると便利そうだと思っていたので、嬉しいものであった。

 

試しに念じてみた。すると本当に生えてきた。特に身体に違和感や変な感じはない。しまおうと念じるとそれらも消えた。

 

「遺伝子操作なしでもドラグニウムを取り込める。・・・進化しているって事か」

 

すると突然揺れが起きた。

 

「どうやら時間が来た様です。こうして貴方と話すのにもそれなりの力が必要なのです」

 

「待ってろ!直ぐに助けに行く!」

 

「いえ。今の私は不安定な状況です。今助けには来ない方が良いです。それより、貴方の仲間がミスルギ皇国にやってきています。さらにサラマンディーネ達もこの世界にいます。まずは合流しなさい。地下牢の鍵も外しておきます」

 

「わかった。必ず助けに来る。だから待ってろよ!」

 

「最後に一つだけ聞かせてください。貴方のメビウスの由来はなんですか?」

 

「名前の由来?確かジル司令が名付けたな。そん時は確かコックピットで見つけた紙に」

 

「【The future is endless・・・未来は無限だ】ですか?」

 

「・・・まさか!?」

 

「はい。あれを書いたの私なんです。メビウスの輪も。未来は無限。私達の様な未来だけではないはずです。きっと、より良い未来を作れるはずです。もし、誰かがあの機体を手に入れたら、より良い未来を求めて貰おうとして書きました」

 

「では時間ですね。皆が助けに来るのを待っています」

 

アウラはそう言うと姿を消した。次の瞬間にはメビウスの意識も失われた。

 

そしてメビウスは目を覚ました。体は本調子になっていた。どうやら本当に力を得た様だ。

 

「ありがとう。アウラ」

 

メビウスは地下牢から飛び出した。

 

これがメビウスの身に起きた出来事の内容だ。

 

そしてメビウスは向う途中でアンジュ達の乗った

アーキバスを目撃。

合流しようとして飛び立ち、上記に至るわけだ。

 

 

 

「だりゃぁぁぁあ!」

 

メビウスは再びエンブリヲに殴りかかった。身体能力は以前のメビウス以上であった。

 

「揃いも揃って!私に刃向かうか!」

 

エンブリヲは銃弾を放った。それをメビウスは避ける。次の瞬間にはエンブリヲの首根っこをひっ捕まえた。全力を込めて力を入れる。首の骨がへし折れた。

 

エンブリヲは死んだ。そして次の瞬間には、復活したエンブリヲに殴りかかった。

 

戦いはメビウスが優勢であった。タスクの落としたナイフなども使い何度もエンブリヲを殺している。だがその度にエンブリヲが蘇っているのも事実だ。

 

アンジュはモモカさんを介抱しており、タスクは現在休憩中である。

 

「この野蛮な猿が!」

 

「野蛮で悪いかぁ!!」

 

メビウスがエンブリヲに駆け寄る。右手に力を込める。そしてそれをエンブリヲ目掛けて振りかざす。

 

その瞬間エンブリヲが笑みを浮かべた。

 

「ナオミがどうなってもいいのかい?」

 

その一言にメビウスの動きは止まる。

 

次の瞬間、エンブリヲの蹴りがメビウスの腹部に命中した。それによって後ろに吹き飛ぶ。

 

メビウスの体は柵の外へと飛ばされた。翼を生やし、上昇した。

 

エンブリヲの前に着地する。エンブリヲが指を鳴らす。するとそこにはナオミが現れた。

 

「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」

 

ナオミの顔は赤くなっていた。そして片腕で胸を、もう片腕で自分の蜜壺に触れていた。

 

「彼女には100倍の快楽を与えている。生き殺しとはまさにこの事だな。抵抗すればどうなるかは言わなくても分かるだろう?」

 

脅迫。脅し。人質。言い方はどれでもいい。

 

だがこれはあまりにも姑息かつメビウスの

カウンターになる行為だ。

 

「それが人間を超えた存在のする事かよ!」

 

メビウスが叫ぶ。エンブリヲはメビウスに銃を撃ちながら近づく。そして近づすなり暴行を加える。

 

「どうした?抵抗しないのかい?」

 

先程とは一転した。メビウスに一方的な暴力が加えられる。いくら強くなっているとはいえ母体は人間だ。限度がある。血も流れるし痛みだってくる。

 

「やめて・・・エンブリヲ・・・」

 

ナオミがメビウスへの暴行を止めるよう頼む。

 

「悪いけど君はしばらく苦しんでくれたまえ。その方がメビウスに対する嬲り甲斐があるというものだ。対メビウス用に君を生かしておいたのは正解だったよ」

 

エンブリヲは冷たく笑いながら答えた。その答えの内容はナオミを道具としている内容だった。

 

「え?・・・そん・・・な・・・」

 

ナオミはこの時になり、自分がエンブリヲに利用されていた事を知った。エンブリヲ望んでいた世界を信じてたのに。彼はその思いさえ利用していたのだ。

 

「見ただろナオミ。これがこいつの腐った本性だ!」

 

「ほう。まだ軽口を叩く余裕が残されていたか」

 

「がぁぁぁぁ!!」

 

エンブリヲがメビウスの肩に弾丸を放つ。手当てされていた跡から撃たれた。メビウスは倒れ伏した。立ち上がろうとするがその顔をエンブリヲに踏みつけられる。

 

「君を生かしておいた事は私の間違いだったよ」

 

足で踏む力を強めた。メビウスは低く苦悶の声をあげる。

 

「やめなさい!」

 

モモカさんを介抱していたアンジュがエンブリヲに殴りかかるがエンブリヲはそれをよけ、再びアンジュの腕をロックした。

 

「さて。アンジュ。見ていたまえ。君の騎士などと言う憐れな男の末路を」

 

主の操作を離れていた為、倒れていたモモカさんが立ち上がった。サーベルを拾い上げるとタスクの方にジリジリと近寄る。タスクの背後は柵である。

 

「モモカ!やめなさい!」

 

「無駄だよ。創造主には逆らえない」

 

「違う!モモカは、私の筆頭侍女よ!」

 

「目を覚まして!モモカ!!」

 

アンジュは叫んだ。

 

次の瞬間だった。モモカさんの脳裏に浮かんで来るものがあった。

 

それはアンジュとの思い出であった。アルゼナルでの思い出。ミスルギ皇国での思い出。アンジュが幼かった頃の思い出。様々な思い出が脳裏をよぎった。

 

「・・・アンジュリーゼ様・・・」

 

モモカさんの目に光が戻った。

 

「タスクさん。姫様をお願いします」

 

そう言いモモカさんはエンブリヲの方を向いた。

 

「姫様!メビウスさん!お逃げください!」

 

その言葉を合図にアンジュはエンブリヲに頭突きした。エンブリヲはバランスを崩した。

 

その隙にメビウスはナオミの元へ、アンジュはタスクの元へと駆け寄る。

 

だがナオミは駆け寄る直前に姿が消えてしまった。

 

「残念だったね。だが安心したまえ。彼女は君へのカウンターになる。そう簡単には殺したりはしないよ。それよりも・・・」

 

モモカさんはサーベルを持ち、エンブリヲ目掛けて突進する。

 

「ほう」

 

銃を取り出すとそれをモモカさん目掛けて撃った。胸に命中した。だがモモカさんは走るのをやめなかった。

 

「光よ!マナの光よ!」

 

「なに!?」

 

エンブリヲの胸元にサーベルが突き刺さる。モモカさんは最後の力を振り絞り、エンブリヲを落とした。

 

そしてそこにモモカさんがマナの光で操る車が突っ込んできた。

 

二人はその車に衝突した。

 

モモカさんは下へと、森へと落ちていく。車の姿もどんどん小さくなっていく。

 

車が完全に木によって見えなくなった。次の瞬間見えなくなった地点で大爆発が起きた。車が爆発したのだ。辺り一面が爆発の被害を受けた。あの爆発だ。

 

おそらくモモカさんはは・・・

 

「うそ・・・うそでしょ・・・モモカ?モモカ!」

 

「ねぇ!聞こえないの!?返事してよ!」

 

アンジュはこの光景を信じられずにいた。モモカの名前を叫び続ける。

 

タスクは立ち上がるとアンジュを持ち上げた。行き先はアーキバスであった。

 

「待ってタスク!モモカが!モモカが!」

 

タスクは何も答えず、アンジュを機体に乗せた。

 

【バン!】

 

タスクの胸付近が撃たれた。

 

「驚いたよ。ホムンクルスの中に私を拒絶する者がいるとは」

 

そこにはエンブリヲだけがいた。

 

「よくも・・・よくもモモカを!」

 

アンジュが掴みかかろうとした次の瞬間。メビウスはエンブリヲに組みついた。

 

「なに!?」

 

「タスク。時間稼いでやるからとっとと終わらせろ!」

 

「死ぬ為に生き返った死に損ないが!」

 

エンブリヲは振り解こうとする。だがメビウスは離さなかった。だが暴行の跡や銃弾の傷口など、既に血液の損失はデットゾーンに到達している。

 

だがメビウスは、少しずつだが柵の壊れた場所へと近寄る。

 

「何をする気だ!」

 

「言ったはずだ!テメェに地べたを這う人の気持ちを味あわせてやるってよ!」

 

メビウスは一歩。また一歩とエンブリヲ事後ろに下がる。

 

「アンジュ!フェニックスのコードは077209だ!これで再起動できるはずだ!」

 

「なに言ってるのよ・・・メビウス。まさか貴方!?」

 

「安心しろ!翼生えてんだ!戻ってこれる!」

 

「さてと。待たせたな!」

 

次の瞬間メビウスはエンブリヲ諸共その身を投げ出した。未だ爆発を続けているあの場所へと。

 

身を投げた瞬間、メビウスの意識はかなり朦朧としていたのがアンジュには理解できていた。

 

そして・・・メビウスは上がってこなかった。

 

「そんな・・・メビウス。メビウス!」

 

助けに行こうとするがアンジュの手に何かがつけられた。

 

それは手錠だ。その反対側を機体のハンドル部分にもつける。

 

そして機体をオートパイロットの時限式に設定した。

 

これでアーキバスは目的地に着くまで自動操縦される。そしてそのロックは目的地に着かなければ解除されない。

 

「タスク・・・なにを・・・」

 

「君は生きるんだ。大丈夫。必ず君の元に帰る」

 

タスクが笑う。アンジュを心配させない為に。

 

「だめ!ダメよ!タスク!」

 

タスクはアンジュとキスをし、ある物を手渡した。

 

それはかつてアンジュがタスクにあげたペンダントであった。

 

そしてアーキバスが上昇を始めた。

 

「タスク!タスク!」

 

アンジュはタスクの名前を叫び続ける。タスクは笑ってアンジュを見送った。見送るとタスクは顔を元に戻し、後ろを振り返る。

 

「下郎が」

 

蘇ったエンブリヲが憎々しげに吐き捨てる。メビウスの姿はそこにはなかった。

 

「ったく。しつこい男は!嫌われるよ!!」

 

タスクは服を放ち、エンブリヲ目掛けて突進する。

 

次の瞬間だった。アーキバスが大きく揺れた。振り返って見てみると、そこにはタスク達がいた場所が黒い煙と爆風に包まれているのが見えた。

 

タスクの服の下には爆弾が隠されていたのだ。

 

アンジュはその光景を否定した。夢だ。悪い夢だと願った。

 

「うそ・・・うそよ・・・嘘よね?モモカ。メビウス。タスク」

 

「みんな・・・私を・・・一人に・・・しないで・・」

 

「ウワワアアァァァァァン!!!」

 

アンジュの泣き叫ぶ声だけが空に響いた。

 

 






ドラグニウムの進化設定をスパロボVのゲッター線と考えた方は当たっています。

メビウスにまさかの翼が生えました。これはボツ設定のつもりでしたがあったら面白いと考え復活させました。

アニメではとてもショッキングでしたね。この回は。

果たして三人は無事なのか!?それとも・・・

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