クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った   作:クロスボーンズ

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今回と次回だけメビウスの過去編になります。

たまにメビウスの知らない出来事も多少描かれていますけどね。まぁ本編的には知って欲しい為書きました。

前回のあらすじ!

アウローラはなんと飛べたのだ!アクセリオンとの協力で遂に暁ノ御柱の破壊に成功した。

後は現れたメインシャフトからアウラを解放するだけ。

そんなメビウス達の前にナオミが、エンブリヲ達が立ち塞がる。

更にナオミは以前メビウスの体内にあった人体強化ガスを注入されていたのだ!

メビウスはナオミを救うべくザ・ワン・ネクストとの戦闘を繰り広げる。

タスクはエンブリヲと。

ロザリー達はクリスと。

ナーガとカナメはココとミランダと。

そしてアンジュはサリアと戦っていた。

そんな中なんとジルが再び立ち上がり、レイジアで駆けつけてきたのだ!

そんな中メビウスはナオミに話し始めた。

己の過去を。己の罪を・・・

それでは本編の始まりです!



第72話 悪夢/ナイトメア 前編

夜中だった。とある通路に6人がいた。6人は

目の前の扉のドアノブを捻る。

 

【ガチャガチャ】

 

「・・・だめだ。ロックされてやがる」

 

「どけ。俺が開ける」

 

ある少年が拳を大きく振りかざした。次の瞬間扉の鍵は開かずとも、扉そのものが外れた。

 

「おい!見ろよここ!間違いねぇ!」

 

「食料もある倉庫だ!!」

 

6人は喜んでその中に入り込んだ。皆それぞれが食料を袋に入れ込み、そして食べてもいた。

 

「うんめぇ!」

 

扉を破壊した少年は近くの握り飯を取り出し食べていた。

 

彼等のしている事は窃盗である。くれぐれも真似をしないように。

 

【ファンファンファンファンファンファンファン】

 

突然警報が鳴り響いた。

 

そして部屋内にロボット達がやってきた。ガードロボットという奴だ。

 

「ヤベェ!みんな逃げろ!」

 

1人がそう叫ぶと4人は慌てて反対の出口へと走っていった。

 

その場には未だに警備ロボなど御構い無しに食事をしている少年が二人残された。

 

警備ロボが電撃棒でその少年達を殴りつけようとする。

 

次の瞬間、警備ロボのモニターにヒビが入り、穴が空いた。穴の空いた部分からは少年の拳と腕が伸びていた。

 

「ウルセェなぁ。これ食ったら相手してやるよ」

 

少年は手に持った握り飯を口に頬張った。そして腕をロボットから引き抜いた。

 

「ロイ。そっちはどうだ?」

 

隣の棚から食パンを食べていたロイに問いかける。

 

「問題ねぇぜ。こっちはよ」

 

隣から無事の報告を受けた。

 

「さて。腹も膨れたし、飯も手に入れたし、こいつら蹴散らして、帰るとするか!」

 

次の瞬間乱闘が発生した。

 

少年達は腕っ節で警備ロボと戦い始めた。

 

しばらくして、二人の少年により警備ロボは屑鉄へと成り果てた。

 

「相変わらず見事な腕前だな。」

 

「お前もな。ロイ」

 

「さて、長いは無用だ。俺達も帰るとするか!」

 

二人は盗んだ食料を大量に入れた袋を二つ片手に持つと、来た道を帰ることにした。

 

するとそこに先に逃げた4人がいた。皆何かにぶら下がっていた。

 

更にその場には一人の男がいた。

 

「やっと捕まえたぞ。コソ泥どもが」

 

その男の服装は人類進化連合の服装であった。両腕にはそれぞれ二人ずつ手首を掴んでいた。

 

どうやら鉢合わせになったらしい。床には盗んだ

食料の入った袋が落ちていた。

 

「さて。お前達、覚悟はできているな」

 

「まておっさん」

 

少年が一歩前に出る。食料袋を床に置いた。

 

「俺と勝負しねぇか?俺が勝ったらこの事には目を瞑って貰う。俺が負けたら、警察だろうと軍隊だろうと好きにしな」

 

「ほう」

 

するとその男は四人の手を離した。

 

「面白い。その挑戦を受けてやろう」

 

「よかったぜ。でもその前によ、ロイ。あいつら連れて行って先にアジトに行ってくれ。俺もこのおっさん片付けたらどうにかする」

 

「わかった。必ず帰ってこいよ!」

 

そう言うとロイは袋を床に置き、四人を連れて走っていった。

 

その場には少年と男が残された。

 

「仲間を助ける為に己の命を投げ出す。大した根性じゃないか」

 

「へっ!おっさんよ。あんた間違ってるぜ。俺が命を張った時は俺が勝つ確信を持っているからだ!」

 

そう言うとは先程来た道を走り出した。

 

「ふん。そんな事だと思ったさ。だがそうはいかんぞ!」

 

男もその後を追いかける。

 

少年は扉の破壊された食料庫に再び入っていった。

 

男もその部屋の扉の前に立つ。次の瞬間、その扉の前を全力で走った。

 

「大方そんな所だろう!部屋に入った直後に不意打ちをかまそうとしたんだろ!だがそうはいかんぞ!」

 

少し距離をとった場所で入口の両端を振り返った。

 

そこに少年はいなかった。

 

「なに!?」

 

「あめぇぜ!おっさん!」

 

自分の背後から声がした。振り返ると暗がりの奥から少年が現れた。少年はおっさんの腹部に蹴りを入れた。

 

「がはっ!」

 

予想外の不意打ちに男は直撃を食らった。

 

「どうだ?参ったか?」

 

「・・・その腕前、子供とは思えん。まさかお前がアンノウンのパイロットか?」

 

ここら辺ではビーストがあまり現れない。その理由は謎の機体が倒しているからと言われている。

 

「へっ!さぁな!」.

 

「あんまり遅ぇとあいつらを心配させちまうからな」

 

「そろそろケリをつけさせてもらうぜ!」

 

少年は男にパンチを入れる。

 

【パシ!】

 

「狙いが正確な分。読み易いというものだ」

 

だがそれは受け止められた。次の瞬間には男は少年を投げ飛ばした。食料棚の一つに体が叩きつけられる。

 

棚からは商品がいくつか落ちた。

 

「さて。先程の一撃は見事だったが、他に手はあるのかな?」

 

男はゆっくりと近づいてきた。少年は立ち上がった。

 

「へっ!俺はまだよ、まいったって言ってねぇぜ」

 

闘いは繰り広げられた。両者ともに身体の特徴を際限なくいかしていた。

 

少年は小柄な身体を無駄なく使い手数で相手を押し込んでいる。一方男は強力な一撃を何発かかましてくる。

 

しかし子供対大人ではスタミナの差が現れるものだ。少しずつだが少年には疲れが見え始めた。少年が押され気味となった。

 

背中に何かが触れた。それは医療棚であった。追い詰められたのだ。

 

「追い詰めたぞ。降参するか?」

 

男がジリジリと近づいでくる。

 

「今降参すれば手荒な真似はしないでおこう」

 

男の言葉に少年は笑い出した。

 

「へっ!誘い込まれた事にも気づいてないのかよ!」

 

次の瞬間、少年は棚を手前に引っ張った。

 

「おい!貴様!なにをしている!?」

 

すると棚が倒れ出した。

 

「なんだと!?」

 

男は驚いた。少年は棚を手前に倒すと直ぐに横に逸れた。

 

棚は男目掛けて商品を倒しながら迫ってきた。

 

「うおぉぉぉぉ!」

 

【ドッシーン】

 

男は棚の下敷きとなった。

 

「おっさん!待ってな。今助けてやるよ!」

 

少年は男を棚から助け出した。

 

「・・・なぜ助けた?お前が殺そうとした存在だろ?」

 

「別に殺そうとは思ってねぇよ。それに勝負はついたんだ。俺の勝ちだ。ならもう戦う理由なんてねぇだろ?」

 

「なら助ける。別にアンタに恨みがあるわけでもねぇ」

 

男は黙って少年の言葉を聞いていた。

 

「ちょっと待ってな。手当てしてやるよ」

 

少年は棚から落ちた医療系の包帯などを男の怪我の箇所にあたるなどして、手当をした。

 

「よし。これで怪我の手当ては終わったぜ」

 

雑な手当だが確かに止血にはなっていた。

 

すると入り口辺りが騒がしい事に気がついた。どうやら地元警察がやってきたらしい。

 

「やれやれ。もうひと暴れしないといけねぇか」

 

少年は再び戦う準備に入っていた。

 

「・・・その窓から飛び降りれば警察の目は会潜れるはずだ」

 

「おっさん?」

 

「約束だからな。気が変わらない内に袋を持って

とっとと消えろ」

 

男はそう言った。逃してくれる。そういう事だ。

 

「ありがとな、おっさん」

 

少年は窓へと駆け出した。

 

「・・・待て」

 

男の一言に少年の足が止まる。

 

「なんだよ?」

 

「おっさんではない」

 

男は呟いた。

 

「私の名はネロだ。覚えておくがいい」

 

「・・・へっ!あばよネロのおっさん!」

 

そう言うと少年は窓から飛び降りていった。

 

その場にはネロだけが残された。

 

少しして警察の連中が入ってきた。警察には逃げられたと報告して帰らせた。

 

ネロは一人考えていた。

 

(初めからあの少年の計算通りに動かされていたとは・・・)

 

戦う前から勝敗は付いていた。まんまと踊らされていたのだ。

 

「あの少年が我々に味方すれば心強いものだな」

 

ボソッと呟いた。そんなネロに本部から通信が入った。

 

「こちらネロ・・・なんだと!?ほ・・・本当なのか!?」

 

ネロは通信の内容に耳を疑った。

 

「はい。先程ビーストが出現、貴方の御家族が・・・全滅しました」

 

ネロは通信機を床に落とし地面に倒れこんだ。

 

家族が殺された。ビーストに。突然身内の死を告げられれば動揺するのも無理はない。

 

通信が変わった。相手は人類進化連合の中でトップの人間だ。通信機を持ち上げる。

 

「ネロくん。悲しいのはわかるが今はそれどころではない。ブラック・ドグマは先程のビーストとの戦闘で疲弊しているはずだ。君も直ぐに合流してくれたまえ」

 

「何?・・・どういう事だ?」

 

「ブラック・ドグマを消耗させる為にビーストを

野放しにしておいたのだよ」

 

あっさり言われた一言。この時ネロの中で

何かが崩れた。

 

「さぁ。早く基地に・・・」

 

「・・・死ね。下衆が」

 

通信ごじでそう吐き捨て、ネロは通信機を握りつぶした。

 

人類進化連合の服を脱ぎ捨て、棚から服を選び着込む。

 

(安心しろ。みんな。必ず仇は撃つ。たとえ修羅になろうとも・・・)

 

その目には殺意だけが込められていた。

 

この時、ネロはある組織の設立を決めていた。その組織そこ、後に対ビーストの殲滅組織となる【ZEUXIS】である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃少年は瓦礫で作り上げたアジトへと辿り着いた。

 

既に時刻は朝となっていた。

 

「おお!無事だったか!」

 

ロイが驚いた口調で話しかける。

 

「当たり前だろ?ロイ。ほら、今日の収穫」

 

あの後回収した袋を6つ、皆の前に置く。

 

すると孤児達が集まってきた。今、食料袋の前には50人が集まっていた。

 

「よしよし待ってろ。みんな平等に分けるんだ」

 

ロイの指示のもと、孤児達に食料が行き渡った。

 

少年とロイは近くの丸太棒に座った。互いにインスタントラーメンを湯に浸さずそのままバリバリ食べていた。

 

「うんめぇー!やっぱ一仕事した後の飯はウメェな!」

 

この世界では貴重な味付きであるのだ。

 

二人は他愛のない会話をしていたが、やがてロイが重い口調で話し始めた。

 

「そうだ。さっき町で聞いたけど、どうやら孤児

グループはもう俺達しか残されてないらしいぜ」

 

孤児グループ。みなしご達の集まりだ。それらは生きる為に汚い事などをやるグループだ。少年達もその口である。

 

「また潰されたのか。今度のは一体なんだ?」

 

「ビーストに襲われたらしい。孤児グループはほぼ壊滅。生き残りは全員ブラック・ドグマに拾われたらしい」

 

現在人類進化連合とブラック・ドグマの戦争中である。はるか昔に存在していた悪しき存在ノーマ。

 

敗北した連中はノーマとして生きていくらしい。

 

ノーマがなんなのかは孤児達には分からなかった。精々悪役程度にしか思っていない。

 

だが孤児達にも一つだけわかる事があった。それは大人が下らない事をしているという事だ。

 

「俺達孤児は、奴らにとっては絶好の手駒なんだよ。噂じゃ人間爆弾にされて敵に突っ込まされるとか」

 

「・・・」

 

少年は押し黙っていたがやがて口を開いた。

 

「・・・安心しろ。奴らが来たって俺がアレで追い払ってやるよ。だからお前らが怖がる思いなんてしなくていいんだぜ」

 

少年が指差した先にはとある機体があった。その名はフェニックス。

 

そう。この少年こそ、後のシグ。そしてメビウスであるのだ!

 

「・・・なぁ。俺には夢があるんだ」

 

「なんだよ改まって」

 

少年はロイの改まった顔に驚いた。

 

「俺さ、いつかお前と同じ様にビーストを倒したいんだ。今はまだ無理だけど、いつか必ず倒せる様になる」

 

「そしていつか平和な世界で生きるんだ!」

 

ロイの目は輝いていた。

 

「いい夢じゃねぇか。俺も手を貸すぜ!」

 

少年もそれに賛同した。

 

「よし!そうと決まれば食う!そして生きて生きて夢を叶えてやる!」

 

そういうとロイはインスタントラーメンをもう一袋あけた。

 

「あぁ!俺にも一つくれよ!」

 

少年もその袋からインスタントメンを一つ食べる。

 

その後はお互い夢を語り合った。

 

「俺!いつか自分の名前が欲しい!」

 

「それが夢なのか」

 

「まぁな」

 

二人は声を出して笑いあった。

 

「ねぇロイ!鬼ごっこしようよ!名無しも!」

 

孤児の一人であるミィが元気そうに二人を誘う。

二人は食事中のインスタントラーメンを飲み込んだ。

 

「おう!鬼は俺達二人だ!待ってろ!全員捕まえてやるよ!」

 

「きゃー!逃げろー!」

 

「待て待て!捕まえてノーマにしてやる!」

 

皆がはしゃいでいた。これは食後のいい運動となった。

 

決して楽な生活ではないが、皆、同じ境遇の仲間といられるこの生活を楽しんでいた。

 

(こんな生活・・・悪くねぇな)

 

少年はそう思った。

 

この生活がずっと続くと信じて疑わなかった。

 

・・・自分の無力さに気がつくまでは・・・




まだシグという名前もメビウスという名前もない為少年で通させていただきます。

因みに今回と次回の二つは話的には独立していると考えてください。

(閲覧者にわかりやすく説明したのが今回の話と次回の話です)

ナオミにはもう少し簡単に説明しています。

それでは次回もお楽しみに!

皆さんはジルには幸せになってほしいですか?

  • 幸せに生きてほしい。
  • 不幸せになってほしい。
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