クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
前回のあらすじ!
メガフラシを退け、アウラの解放にかなり近いた
メビウス達。それにより特異点が開かれ
ドラゴン達が援護に来た。
そんな中、エンブリヲはサリアとクリスを捨て駒にした!
二人は己の過ちを悟り、サリアはジル達と、クリスはロザリー達と和解に成功した。
そんな中、エンブリヲがナオミをけしかけた。
それにフェニックスで応えるメビウス。
そしてメビウスはナオミに謎の通信を送った。
するとナオミもそれに応えたのだ!
これは一体どういうことか!?
それでは本編の始まりです!
「ねぇ。いつから気がついてたの?」
「さよならと言った時だ。あの言葉には暖かさが
あった」
「それにあのビーストとの戦いの時の援護射撃。
あれだってナオミの仕業だろ?」
「そうだよ・・・直ぐに立ち去ったつもりだったんだけど」
二人だけで何やら話が進んでいる。勿論アンジュ達は戸惑っていた、
「ちょっと・・・ナオミ。まさか貴女!?」
「うん。私は・・・私の意思で戦ってたよ」
「じゃぁ・・・なんでメビウスと戦ったのよ!」
「それは・・・」
ナオミは言葉に詰まっていたがやがて語り出した。
「悲しませないため」
「えっ?」
「私が死んでも、誰も悲しまない様にするため」
「やっぱりそうか」
メビウスが何処か納得した風に言った。
「それで俺を殺そうとした。命を奪われそうになれば、俺も嫌いになると思っての判断だろ?」
「・・・どうせなら、最後くらいは好きな人に殺されたかった」
その言葉は悲痛なまでに叫び声の様な言葉であった。
「さぁメビウス。覚悟は出来てるよ。どうせなら
苦しまない様に頼みたいな」
ナオミは今も自分が死ぬ事を望んでいた。無論、
メビウスにそんな事できるわけがない。
「ふざけるな!そんな事出来るわけねぇだろ!」
「もうそれしか道はないの!」
ナオミが叫んだ。
「私はもうみんなといた時のナオミじゃない!」
「ナオミ・・・」
「みんなにいっぱい酷い事をした!アンジュ達を沢山傷つけた!ドラゴンの正体を知ってからも・・・人間達を沢山殺した!」
「私は血に塗れてる。汚れきった穢らわしい女なの!」
「そんな私が、どんな顔してみんなの所に戻ればいいの!?どんな顔して生きていけばいいの!?」
その目からは涙が溢れている。
「同じね」
「サリア?」
「貴女って問題を自分一人で抱え込むタイプなのね。まるで私みたいね」
「生きるのよ。ナオミちゃん」
「エルシャ・・・」
「メビウス君が言ってたわ。生き残った人は死んでしまった人の分まで生きなきゃいけないって。だからドラゴン達の分も生きましょ。ナオミちゃん」
「私だって、取り返しのつかない事をしちゃったんだよ。でも生きる。それを償っていくために」
「クリス・・・」
三人は生きる道を選んだ。それぞれの罪を償う為に。そしてそれはジルにも言えたことだ。
「私とて、生き恥を晒しながら生きる覚悟だ」
「ジル司令・・・」
「私はかつてのリベルタスで仲間を多く死なせて
しまった。お前以上に穢らわしい女だよ」
「でっ、でも・・・」
「もー!めんどくさいわね!ナオミ!貴女の本心はどうなの!?」
いつまでもうじうじしているナオミに我慢できなくなったのかアンジュが怒鳴りだした。
「みんなは貴女を受け入れるって言ってるのよ!
それなのに貴女はそれを拒むの!?」
「でも・・・私・・・」
「でもじゃない!どうなの!?貴女の本心は!?」
「私・・・わたし・・・」
「・・・ナオミもコックピットを開けてくれ!」
メビウスがコックピットを開放し、出てきた。ナオミも同じように出てくる。
メビウスは大きく息を吸った。そして次の瞬間、
ある事を言った。
「ナオミ!俺はお前が好きダァァァ!!!」
メビウス以外の体感時間が数秒間止まった。
「・・・え?」
数秒の後に、ナオミが言えた一言である。
「ナオミ。以前アルゼナルで聞いた事を覚えてるか?」
「以前・・・?」
「聞いたよな?アルゼナルがなくなったらどうするかって」※41話参照
「今ならはっきり答えられる!」
「俺、夢ができたんだ!ナオミと一緒に店がしたい!どんな場所でやるとか、何人でやるとか、人気メニューとか、二階がどうとか、子供の数とかは、まだ決めてない!!」
その言葉は以前タスクがアンジュに語った内容に
酷似していた。
「タスク!あんたメビウスになにを教えたの!?」
「ええっ!?俺は何も教えてないよ!」
「二人とも!黙ってなさい!」
アンジュとタスクの口論をサリアが咎めた。
恋愛小説が好きな彼女にとってこの様なシチュレーションはまさに夢見た光景とも言える。
「でも俺は!お前と一緒にいたいんだ!!」
「メビウス・・・」
「お願いだナオミ!帰ってきてくれ!」
「・・・いいの?」
ナオミが地下牢にいた時に遡る。
「メビウス・・・私・・・わたし・・・」
「全く。君はメビウスが好きなんだね」
地下牢の前にある男が現れた。そこにはナオミを
地下牢にぶち込んだ張本人がいた。
「エンブリヲ・・・」
ナオミは目の前の存在を睨みつけた。
「おやおや。私を信じて付いてきたのに都合が悪くなるとそうなるのかい?」
「そっ・・・それは・・・」
騙されていたとはいえ、エンブリヲに付いてきたのはナオミ自身の判断である。そのためナオミには
強く反論ができなかった。
「・・・メビウスを釣る餌として私を、私を釣る餌としてココやミランダを利用して!」
「怒っているのかい?その怒りは何処からかな?」
「メビウス。それにココとミランダ。私を利用して三人を、いや、皆んなを弄んだ事。怒らないと思う?」
「そこで一番にメビウスの名前をだすとは。やはり君は・・・」
「それ以上言わないで!」
「そんなに好きならば、メビウスにその気持ちを
伝えてみたらどうだい?」
「それは・・・」
エンブリヲの言葉にナオミの言葉は詰まった。
「出来ないよね。メビウスに酷いことをした君じゃぁねぇ」
あの時、メビウスはナオミ達を仲間と言った。
そんな彼に私はいったいなにをした?
鹵獲する為に高圧電流を流し込んだ。
鹵獲されたメビウスはどうなった?
心を壊され、半ば廃人と化していた。
復活しても、今度は私のせいで一方的に殴られていた。
これまでの事を思い返してみても、決して良いものはない。
「それに実力の差もある。戦闘では背中を守るどころか足を引っ張っている」
「そんな君がメビウスとお似合いなわけないだろ?例えるならそれは月とスッポンだ」
「もういい!どっかにいって!!」
ナオミが近くの物をエンブリヲに投げつける。それらはエンブリヲの身体をすり抜けた。
エンブリヲの放つ言葉の一言一言が今のナオミを
追い詰めるのには充分であった。
それがエンブリヲの狙いでもあるのだが。
「私がその不安から解放してあげよう」
エンブリヲの指がナオミに触れる。途端に意識が
朦朧とし始めた。
「なに・・・なにを・・・したの」
「なに。私はこれで様々な人を解放してあげた。君の知ってる人もね・・・」
その言葉を最後に、ナオミの意識は閉ざされた。
エンブリヲが行ったのは精神制御である。
だが薄っすらとではあるが、彼女の意識は残されていた。彼女は全てを見ていた。
自分がメビウス達に砲撃する所も・・・。
「ナオミ。待ってろ!絶対に助ける!絶対に助け出す!!」
その言葉にナオミの自我は完全に覚醒した。
メビウスは変わっていなかった。優しいままのメビウスだった。
仲間思いな、私の好きなメビウスのままであった。
まさにメビウスは光り輝いていた。それこそ私みたいな汚れた女とは比べものにならない程に。
(隣にはいられない。いや、違う。いちゃいけないんだ)
この時ナオミは別れを決意した。
仲間思いな彼の事だ。多分手を差し伸べ様とする。
なら仲間じゃなくなれば、気を遣わせる事もない。
ココとミランダの二人を私の道連れにはしたくない。
死ぬのは私一人でいい。
だから戦った。メビウスと。
でもメビウスには気づいてた。最初っから。
「やっぱりメビウスは凄いね。私なんかとは比べ物にならないよ」
「実力を気にするな。俺はナオミの実力が好きなんじゃない。ナオミが好きなんだ」
「・・・ねぇ。本当にいいの?・・・私・・・なんかで・・・」
その目からは何故か涙が溢れていた。だが決して
悲しいから泣いているのではない。
「あぁ。側にいて欲しい!寄り添っていて欲しい!ずっと!」
「・・・ありがとう。メビウス」
「私は、投降します」
ナオミが投降のサインをだした。
「ジャスミン」
「わかってる。受け入れるよ」
「ありがとう。お帰り。ナオミ」
ナオミが帰ってきた。その事にアンジュ達は喜んだ。何よりメビウスが一番喜んでいた。
その時だった。
「やれやれ。まさかこのような展開になるとはね」
その言葉と共に皆の目の前にはあのラグナメイル。そして変態ストーカー男が現れた。
「エンブリヲ!」
「まさかナオミにまで裏切られるとは」
その割にはあまり残念そうにはしていなかった。
まるでこうなる事が予想できていたみたいな
態度であった。
「サリア。クリス。エルシャ。ナオミ。一応聞いておくが私の元に戻る気はないかな?」
「はっきり言うわ。ない」
「もう甘い言葉には騙されない!」
「貴方の作る世界を、私は否定します」
「私はメビウスと共に歩む」
四人はエンブリヲをはっきりと拒絶した。
「そうか。それは残念だ。では・・・」
【パチン】
エンブリヲが指を鳴らした。するとそこにビクトリアとエイレーネが現れた。
「ココ!ミランダ!」
「まさか!」
「彼女達にもう利用価値はない。引鉄はナオミ。
君が引きたまえ」
「えっ!機体が、勝手に!!」
するとザ・ワン・ネクストが勝手に動き出した。回れ右をし、右腕の鉤爪からエネルギーチャージがされている。
その先にはビクトリアとエイレーネがいた。二機とも微動だにしてなかった。
「まさか!エンブリヲ!」
「せめてもの手向けだ。同期の手でその命を
再び散らすといい」
「ココ!ミランダ!避けて!!」
その言葉の次の瞬間、右腕のからデスシザー・レイが放たれた。それは真っ直ぐココとミランダへと突き進んだ。
メビウスの脳内である光景がフラッシュバックする。かつて二人を見殺しにした記憶が鮮明に蘇る。
精神世界でアウラと会った時の言葉が蘇る。
(ですがこれだけは忘れないでください。同じ悲しみだけは繰り返さないと)
「もう俺は!同じ悲しみを繰り返さない!!」
次の瞬間、二機をその攻撃から庇う様にフェニックスが割って入った。
アイ・フィールドの張れなくなっていたフェニックスに、その攻撃は直撃した。
そう。胸部のコックピットに・・・
フェニックスの胸部には穴が空いた。そしてフェニックスは糸の切れた操り人形の様に落下していった。
「え・・・? メビウス!?メビウス!?」
ナオミは、既にコントロールが戻っていたネクストでその後を追いかける。
「おい!メビウス!返事しろよ!」
「メビウス!応答したまえ!」
「メビウス!返事しなさい!メビウス!」
尚もアンジュ達も無線で呼びかける。だが返事は一向に返ってこなかった。最悪の結果。それが一瞬
頭をよぎった。
「・・・ふっふっふっふっふ」
「あーはっはっはっはっは!愉快!実に愉快だ!」
エンブリヲが突然笑い出した。その笑い声はどう聞いても常軌を逸していた。
「まさかここでイレギュラーが勝手に自滅するとは!つまらない仲間意識の結果がこれとは!実に
滑稽だ!これで私の邪魔をする者の脅威が減った」
その言葉に皆が激昂した。
「あんた!!メビウスのした事が滑稽だというの!?」
「あぁ。まさにその通りだ。無駄な事を・・・」
「いや。それが彼のやり方か。一人傷つき、ボロボロに朽ち果てる。いや、それはナオミもそれに当てはまるか。似た者同士は惹かれあうか」
「変わらんな貴様は!!そうやって人の心を弄ぶ!!」
ジルがエンブリヲを睨みつけた。
「アレクトラ。君も以前は私にその身を委ねてくれたじゃないか」
「あぁ。その結果、全てを失った」
十年前の事だ。当時アレクトラには好意を持っている人物がいた。
その名はイシュトバーン。そう、タスクの父親だ。
無論、妻子持ちの彼にそんな気持ちを伝えられるはずもない。
リベルタスの際には、その心の隙に付け込まれたのだ。
「さて。少しだけ予定を変更しよう」
【パチン】
「あれ・・・私・・・一体」
「私・・・なにを・・・」
エンブリヲが指を鳴らした瞬間。ココとミランダの二人が正気に戻った。
「ココ!ミランダ!」
「二人の調整を解除してあげた。今の二人は君達の知っているココとミランダだ。そして・・・」
エンブリヲが永遠語りを歌い出した。
「これから消える事になる」
機体が金色に輝き、両肩が開かれた。
「さようなら。二人」
ディスコードフェザーが放たれた。
「ココ!ミランダ!」
ヴィルキスがその間に割って入り、ディスコードフェザーを撃ち返し、対消滅させる。
「アンジュリーゼ様!?」
「二人とも!あの艦に行きなさい!あそこにジャスミンやマギーもいるわ!」
「アンジュリーゼ様。私達一体・・・」
「あとで話す!今は二人とも行きなさい!」
「はっはい!」
アンジュの言葉を受け、二人はアウローラへと着艦した。
「やれやれ。まさかヒステリカ以外のラグナメイルを奪われるとは。まぁいい」
エンブリヲは余裕を崩していなかった。それは
切り札を残している者の余裕であった。
「さてと。それでは君達の相手にこれをぶつけよう」
【パチン】
再びエンブリヲが指を鳴らした瞬間。突然何かが現れた。それは触手だった。
「危ねぇ!」
全機なんとか回避に成功した。
「これは!?」
目の前には化け物が現れた。特徴を言うならその化け物はこの世の醜態の塊であった。
「なんだこいつ!?」
皆が眼前のそれに驚いていた。だがその正体をZEUXISは、アンジュとタスクとヴィヴィアンは
予想していた。
「ビースト!?」
「クトゥーラ。今の私の最高傑作のビーストだ」
「ビースト!てめぇメガフラシに続いてそんなもんまでこしらえてたか!」
ZEUXISメンバーが怒る。彼等からしたらエンブリヲの個人的な欲求の為に未来世界ではこんなのが現れてるのだ。
「あのメガフラシが何なのかはわからない。だがあのビーストのおかげでメビウスが死ぬ間接原因が
出来たなら喜ばしい事だな」
「さて。あまりアンジュを傷つけない様にしたまえ」
すると触手達はアンジュ達めがけて迫ってきた。
「全機回避!」
皆が期待をそれぞれに動かす。だがその触手は回避した機体全てに命中した。
その速さと正確さはかなりの代物である。
「さてと。今回は他の邪魔者達の処理に加わるか」
エンブリヲもこの戦闘に加わった。
「背を向けたら負けだ!攻めるんだ!」
皆が交戦する。
だが先の戦闘で既にパイロットの集中力などは既に擦り切れていた。
だがそれでも引くわけにはいかない。ならば戦うしかない。
皆が死を覚悟して戦いだした。
こちらは、メビウスとナオミサイドである。
あの後フェニックスは地面に叩きつけられた。機体そのものが俯せていた為ネクストでひっくり返す。
胸部は完全に貫通していた。そしてそこにメビウスもいた。
「メビウス!待ってて!今助けるから!」
機体のボックスから医療キッドを取り出し、メビウスの身体をコックピットから引きずり出した。
「!そんな・・・」
その体は右下半身が消し飛んでいた。そこから血が止めどなく溢れている。怪我の状態はナオミが始めてメビウスと会った際よりも酷い状態である。
はっきり言って、誰がどう見ても死んだと思うだろう。
「いや・・・いや!いや!」
ナオミは目の前を光景を必死に否定する。医療キッドを使い手当をするがその効果ははっきり言って
焼け石に水以下の効力しかない。
「メビウス!メビウス!ねぇ、返事をして!お願い!メビウス!!」
「ナ・・・オミ・・・」
メビウスが微かな目を開けた。
「なぁ・・・ナオミ。俺、今度こそ二人を・・・
助けられたか?」
「うん。二人とも無事だよ!」
「そうか・・・よかった」
「あれ・・・?ナオミの顔が・・・掠れて・・・見えねぇ」
メビウスが手をナオミに向けた。その手はナオミの頬に触れた。その手はとても冷たくなっていた。
今もなおその手は冷たくなっていく。
「メビウス!死んじゃダメ!生きて!」
「あれ・・・変だな・・・身体が・・・冷てぇ・・・でもよ・・・なんかこう・・・あったけぇもんがある・・・」
メビウスはナオミに微笑んだ。
ナオミを不安させない為に。
「ナオミは・・・あったけぇな・・・」
ナオミの頬から手が滑り落ちた。その手の跡の様に頬には血の跡がべっとりとついた。
そしてメビウスはナオミの膝の上で静かに目を閉じた。
メビウスの心臓は止まった。
メビウスは・・・死んだ。
「メビウス!?メビウス!!メビウスゥゥゥゥ!!!!」
本来ナオミがメビウスの役割を担う予定でしたが悩んだ末、変えさせてもらいました。
そして、そろそろ第9章もクライマックスです!
予告しておきますが第10章はオリジナルシナリオです。
あと若干ですが投稿ペースが遅くなります。
果たしてメビウスはどうなってしまうのか!?