クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
武器が思いつかない。なら武器なしで戦わせよう!!
前回のあらすじ!
メビウスを信じ、ネロ艦長達はエグゼキューター
攻略の為、艦を特攻させることで抑えようとした。
そしてメビウスは、最強のビーストであるベルゼブア・コローネと戦闘を繰り広げた。ジェットボードに乗ったナオミの援護もありベルゼブア・コローネを倒したメビウス。
そこにエグゼキューター発射管理システムを掌握したガーナムが現れた。メビウスはシグと入れ替わり、ガーナムと戦闘を開始する。
未来世界の最期の戦い。それのケリをつけるために。
それでは本編の始まりです!
「シグゥ!俺は初めてお前を見た時からこの手で殺したかった!お前のその目はまさに俺と同じ目をしていたからなぁ!!」
ガーナムのジュダが猛攻を繰り広げている。その
攻撃などの腕はシグのフェニックス・ノアと互角に渡り合える程である。
「俺がお前と同じだと・・・ふざけるな!!」
フェニックス・ノアに武器はない。言うなれば機体そのものが武器なのだ。腕から三日月状の粒子兵器をジュダ目掛けて放つ。
ジュダはサーベルでそれらを切り裂いて、叩き落とした。
「楽しいなぁ!戦争はよぉ!」
「余計なお喋りをしている暇があるのか!?」
次の瞬間、フェニックスの拳がジュダに命中する。それによってジュダは大きく揺れた。
「おおっ!嬉しいなぁ!シグが本気で殺し合いをしてくれるとはなぁ!!」
ジュダのサーベルがノア目掛けて突き刺さろうとした。咄嗟にサーベルを掴んだ。ビームの刃であるそれは機体の右腕にダメージを確実に与えていた。
「!」
機体でジュダを思いっきり蹴り飛ばした。
【ビービービービー!!!】
突然謎の警報が戦場に鳴り響いた。
「へっ。エグゼキューター発射まで残り5分ってわけか」
「・・・発射されて、はい、さよなら。なんてのはつまらねぇ・・・とっておきの切り札。使うか」
ジュダがなにかを取り出してきた。それはビショップが所持しているものと同じ型のマキシマ砲であった。
「残り時間が少ねぇんだ。腐らない様に互いに最強の武装でケリをつけようじゃねぇか!これで死んだ奴が負けだ!!」
何かが銃身にチャージされている。銃身からは赤い粒子が飛び散っている。
「この反応・・・マキシマエンジン!?」
「そうよ!どうする!?シグよぉ!!」
銃身からは尚もマキシマのチャージが行われている。それは既にエネルギー収束の許容範囲をオーバーしている。やがてフェニックス・ノアも両腕にエネルギーチャージし始めた。
「シューート!!!」
次の瞬間には、ベルゼブア・コローネを消し去ったネオマキシマと、ジュダの溜めオーバーマキシマ砲が真っ向からぶつかり合った。
ぶつかり合った地点で大爆発が起きた。爆炎が二人の機体を一気に包み込んだ。
多少煙が引いてきた頃。
「もらった!!」
フェニックス・ノアの目前にジュダが迫った。その手にはマキシマ砲が握られていた。
マキシマ砲がコックピットに照準を定めていた。再びマキシマ砲を近距離で放とうというのだ。
「あばよ!!」
【グシャッ!!】
ジュダのマキシマ砲がコックピットに触れる直前、ジュダ目掛けてフェニックス・ノアの拳が機体にめり込んだ。それはコックピットに直撃し、貫通していた。
勝者はフェニックス・ノアだ。敗者のジュダは物の見事に大破した。機体全体の80パーセントが消えており、残った20パーセントからは火花などが飛び散っている。これで生きてはいないだろう。
【・・・ガタ】
何かが軋む様な音がジュダから聞こえた。
「まだだ・・・まだ・・・」
「!!嘘だろ・・・」
なんとガーナムはまだ生きていた。全身が赤く染まっていた。息も絶え絶えだ。それなのにまだガーナムは動いていた。
「まだだ・・・まだ、足りねぇ・・・」
コックピット部分から身体を乗り出すと、なんと
拳銃一丁でフェニックス・ノアに銃撃を開始した。
そんな事をしてもフェニックスに効くわけがない。だがガーナムは引き金を引くのをやめなかった。
「まだまだたりねぇんだよ!!!」
やがて拳銃の弾は全て撃ち尽くされた。
フェニックスはジュダの所持していたライフルを取ると、その銃口をガーナムへと向けた。
ライフルの引き金に機体の指が添えられる。
【カチ!】
「・・・」
銃身からは何もチャージされなければ、何も放たれもしなかった。
最大チャージでぶつかり合った際、既に勝負は決まっていたのだ。それなのにこいつは戦いをやめようとしなかった。
「・・・」
シグがコックピットから出てきた。ガーナムの前に降り立ち、そして素通りする。まだ機体のモニターなどは生きていた。モニター操作でエグゼキューターのコントロールを発射管制室に戻した。
(これで後はネロ艦長達が止めるはずだ)
やがてシグはガーナムの前に立った。
「へっ・・・こうなる事を予想せず、銃弾を撃ち尽くすとは・・・俺も焼きが回ったもんだなぁ・・・」
絶え絶えの息でガーナムは虚勢を張った。気に入らない相手に弱い姿は決して見せない。彼なりのプライドから来ているものだろう。
「・・・お前は言ったな。俺とお前は同じだと・・・半分だけ当たってるかもな」
(シグ?)
精神世界に待機しているメビウスにも、その声は届いていた。届いていたが故に、何を言っているのか疑問に思った。シグはガーナムと目線を合わせる為にしゃがみこんだ。
「俺達だって、本来なら別の生き方があったはずだ。少なくても、こんな血塗れになって醜く争わなくて済むぐらいにならな」
「俺もお前も、いや、この未来世界をを生きる全員が、この破滅の未来が生み出した被害者なのかもな。こんな世界じゃなければ、お互いもう少しは
幸せでいられたかもな・・・」
「・・・だっーはっはっはっはっは!!!」
目の前で突然ガーナムが大声で笑い始めた。
「何だよそれ!?哀れみか?同情か?優しさか?心底くだらねぇ!!!」
ガーナムはシグに侮辱するかの様な言葉を投げかけた。それにシグはなんの反応も示さず、ただ黙って聞いた。
それなりの罵倒が終わると、ガーナムは突然黙った。
「・・・ベノムには気をつけな」
「なに?」
ガーナムが小声で囁く風に言い始めた。
「あのジジイは相当な食わせ者だぜ?精々殺されないように気をつけな。それともう一つ教えてやる」
「エグゼキューターに使われているのはネオマキシマエンジンだ。そしてそれは・・・人類進化連合が使ってた時からのものだ」
「!!??なんだって!?」
「シグ!代われ!!おいガーナム!それはどういう事だ!?」
ガーナムの放った一言にメビウスの主人格が前面に押し出された。彼はこれまでエンブリヲがブラック・ドグマに肩入れした為に、エグゼキューターがマキシマ砲となっていると思っていたからだ。
だが仮にガーナムの言った事が本当なら、人類進化連合がネオマキシマエンジンを保有していた事になる。
つまりあの砲撃はネオマキシマ砲だった事になる。
「答えろ!ガーナム!!」
「以前言ったろ?負けたからって素直にそっちに従うわけねぇだろ?んじゃなシグ。そしてメビウス!先にあの世に逝ってるぜ!ハーッハッハッハ!!」
次の瞬間、ジュダは大爆発を起こした。辺りにはジュダの残骸が散乱した。爆発の直前、メビウスは
反射的にジュダから離れていた。
残骸の一つがメビウスの足元へと飛んできた。それはガーナムの血で一部が赤く染まっていた服の切れ端であった。
だが、今のメビウスはそれどころではなかった。ガーナムの言った言葉。あの時のあいつの目は真剣だった。普段のふざけた態度など微塵も感じ取れないくらいに。
「どうなってやがる・・・なんでネオマキシマエンジンが・・・」
するとフェニックスにZEUXISから通信が入った。フェニックスに乗り込み、通信に出た。すると向こうの様子が変な事に気がついた。何処か慌てふためいている。
「メビウス!!エグゼキューターが変だ!!」
「なんだって!?一体どうした!?」
「とりあえず発射の心配はなくなった!だけど同時にエネルギーチャージが突然なくなったんだ!」
「エネルギーがなくなった!?一体どうなってんだ!?」
その時だった。
「それは、私がエネルギー源を抜いたからではないのかな?」
突然男の声がした。その方角を見る。すると目の前に男が一人浮かんでいる。
「ふむ。これがネオマキシマエンジンというものか」
スーツ姿の金髪男。いつ見ても不愉快さだけがこみ上げてくるその存在が、目の前にいた。
「エンブリヲ!!」
そこにはエンブリヲがいた。エンブリヲの所有するラグナメイル、ヒステリカの手のひらの上に佇んでいる。
直ぐに交戦体制へと移行した。だがエンブリヲの
一言によってそれは直ぐに解除された。
「いいのかい?私に手を出して」
エンブリヲはある人物を抱えていた。その人物は意識を失っていた。そしてその人物をメビウスは知っていた。
「アンジュ!?」
なんとエンブリヲの腕の中にはアンジュがいた。
意識を失っており、更に全裸である。
少し前に遡る。アウローラの格納庫において、皆が機体修理の為に格納庫を縦横無尽に走り回っていた。
「やぁアンジュ」
「なっ!?」
なんの脈絡もなく、突然格納庫にエンブリヲが現れた。
「この変態!殺されに来たわけ?」
「違うよ。君を迎えに来たのさ」
エンブリヲは相変わらず澄ましている。直ぐに第一中隊の皆が白兵戦の構えをとった。だが次の瞬間にはエンブリヲ、そしてアンジュは第一中隊の目の前で格納庫から姿を消したのだ。
「なっ!?アンジュ!?」
アンジュのいた場所には、ライダースーツと指輪だけが残された。
そして今に至る。今エンブリヲに手を出せばアンジュも巻き込んでしまうというわけだ。
「いい機会だ。冥土の土産にいい事を教えよう」
「・・・なんだよ。一体」
「不思議に思わないのかい?君達、更にはブラック・ドグマは過去に大きく介入している。それなのに何故未来が全く変わらないのか」
それは薄々とだが未来組が感じていた疑問だ。何故未来世界が全く変わっていない。それは疑問として心にこびりついていたものだ。
「その答えはただ一つ。私がこの未来をセーブしたからだ」
「セーブだと!?」
「そうだよ。セーブだ。これによって過去のミスルギ達の未来は変わっても、君達の未来にその影響は訪れない」
エンブリヲの物言い。それはまさにドス黒い何かを含んでいた。世界を自分の箱庭だとでも豪語している者の口調である。まるで楽しい遊び、ゲームをしているかの様な口調でもある。
「君の努力が身を結ぶ事はない。君達の未来は変わらないのだよ」
「・・・つまり、テメェさえぶっ潰せば、俺のしてきた事に意味を持つし、この未来も変わるんだな」
完全にキレていた。メビウスはエンブリヲに対して殺気を隠さずに剥き出しにしている。
そんなメビウスを無視してエンブリヲは話を続けた。
「そして私は、アウラなどに代わりある最高の道具であり、エグゼキューターのエネルギーの【ネオドラグニウム】を手に入れたのだよ。まさか人類進化連合がこんな素晴らしいものを所持していたとは」
「白々しい事言ってんじゃねぇ!!テメェ、ブラック・ドグマだけじゃなくて人類進化連合にまでに肩貸しやがって!未来の戦争を、泥沼にすんじゃねぇ!!」
メビウスが激昂する。ガーナムの話が本当なら、単純に考えてエンブリヲは人類進化連合にも協力していた事になる。しかしエンブリヲは驚くべき答えを返した。
「私は、 ブラック・ドグマにビクトリアやエイレーネなどは貸し与えたが、人類進化連合などという
組織と接触をした覚えは微塵もない!」
「それが本当なら!どうしてこうなってやがる!!」
「さぁな。どの道ここで死ぬ君達がそれを知る必要はない」
【パチン】
エンブリヲが指を鳴らした。
「なっ!?この反応は!?」
すると皆の目前に突然巨大な竜巻が現れた。
「時空融合収斂率。95パーセント!!?」
アウローラのブリッジにいたリィザが叫ぶように言う。そう、時空融合が再び開始されたのだ。アウラの代わりとなるネオドラグニウム、ネオマキシマエンジン。そのエネルギーを使って。
「では諸君。残り少ない命を精々大切にしたまえ」
そう言うとエンブリヲはアンジュと機体と共に姿を消しさった。
その会話はアウローラ。そしてアクセリオンにも届いていた。
「おい!このままじゃまずいぞ!」
「アクセリオン。全機能。オールグリーン!!」
「緊急発進!!」
ZEUXISのメンバーは慌ててアクセリオンに戻り、艦を砲身から脱出させた。
しかし竜巻は目前にまで迫っていた。
そこにフェニックス・ノアが駆けつけた。機体が白銀に光輝き、アウローラとアクセリオンを守る様にアイ・フィールドを発生させた。
そして、モニターには例の如く文字が表示された。
《Neo Maxima Over Drive System》
「ジャンプ!!」
次の瞬間、フェニックスと共にアウローラとアクセリオンは時空融合の被害を避けるため、過去へと飛んで行った。
残された竜巻はエグゼキューターを簡単に巻き込んだ。未来世界では、エンブリヲの起こした時空融合の影響によって生き残っていた僅かな人間達を巻き込み、容赦なく襲いかかった。
人類進化連合の敗残兵も。ブラック・ドグマの非戦闘員も。そしてフォートレスにいたZEUXISのメンバーも。何も知らない子供から大人まで。
全ての人間が、破滅の未来から消え去ったのだ・・・
一名を除いて。
「ついにきたか、この時が」
既に破壊されたエグゼキューター基地。その地下のとある隠し部屋に、あの仮面の男【ベノム】がいた。
「計画通り・・・と言ったところかな・・・」
仮面に包まれたその顔で、ベノムは邪悪な笑みを
浮かべた。
「全てが・・・私の掌の上なのだよ」
今回で第10章はおしまいです!
遂に物語は最終章へと突入します!
最後の物語。悔いの残らず、そして皆に喜んでいただける作品に仕上げてみせます!!
余談ですが新しいクロスアンジュの小説投稿を開始したのでよければそちらも閲覧してください。