クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
これまで書いてて思った事。タイムパラドックス設定って難しい。粗が出てないか探そうとして、それが見つかって修復したかと思ったら、修復によって別の粗が見つかってと言う事態によくなりました。
粗が多い展開があるかも知れませんが、出来る事なら温かい目でみてあげてください。
尚、ラスボスのベノム(エンブリヲ)について言っておきますが、元のエンブリヲのキャラからかなり魔改造されています。
イメージとして、アンジュにふられた本編のエンブリヲがボロボロになりながらも生き残り、マナを
失った人間の醜さに絶望した姿として描いています。
まぁ、前回のエンブリヲ戦の延長戦と思ってください。
そして前回のあらすじ!
遂にエンブリヲのいる真実のアルゼナルへと乗り込んだメビウス達。そこには予想通りアンジュが囚われていた。
タスクがアンジュを救出した後、遂に本体のエンブリヲ、そしてヒステリカとの戦闘へと移行した。
アンジュは全てを終わらせる為に、エンブリヲにとどめを刺そうとした。
そんな中、このタイミングを狙ってたとばかりに、ある仮面の男が降臨した。その名はベノム。ベノムはノアの亜種たるザギを使い、エンブリヲは葬り去った。
そしてベノムの正体。それはエンブリヲであった。それも未来世界が干渉する前のエンブリヲだという。
それでは本編の始まりです!
「俺たちが、過去に干渉する前のエンンブリだと?」
「そうだ。君達は私の目的は知っているのだろう?」
未来世界でのエグゼキューターの一件の際、ガーナムの言っていた一言が皆の脳裏をよぎる。
「人類の抹殺・・・」
「言い方が良くないな。抹殺ではなく排除だ。私はね、人間という生き物に愛想が尽きてしまったんだよ」
「100年程昔、私は先程のエンブリヲの様にここで君達と戦ったのだ。その時は今回の様な未来世界の干渉もなかった」
それはメビウス達ZEUXISから見たら過去の世界の出来事。まだ未来組が干渉する前の話である。
「そして私はその時、敗北した。だけど私はこのアルゼナルから異物として排出された事で、奇跡的にも生き延びる事が出来たのだよ。しかしその時は既にこの時の止まったアルゼナルは崩壊し、私自身、それらの恩恵も、力を失ってしまった・・・」
「そしてマナの失われた外の世界を少し生きて私は思った。これほど人間が愚かしい存在だったとは・・・」
そう言うエンブリヲの表情は何処か悲しげであった。だが次の瞬間には歪んだ狂気の笑みをしていた。
「そこで判ったのだよ。何故愚かな人間を私が助けなければならないのだ?私の愛を拒んだアンジュ!愚かしい存在を、何故改良しなければならないのだ?」
「その言い方。まるで自分は愚かじゃない真人間
みたいな言い方じゃねぇか」
「私は正常だよ。寧ろ愚かだったのは、過去の私の方なのだよ。私の気づいたこの事に気づけなかった愚かな過去の私がね」
「まず手始めに、マナがなくなって混乱していた人間どもに、ローゼルブルムの持つパラメイルなどの兵器データをばら撒いた。結果は思いの通りだったよ。人間共は力による優位性の確保や他者への弾圧を狙い、世界は二つに分断された。人類進化連合とブラック・ドグマに。正に世紀末状態だったよ」
「ふざけんな!未来世界の戦争の原因はお前だったのか!!」
あの戦争により未来世界は加速的に荒廃。見るに耐えない状態に成り果てた。その原因が、こんな男のつまらない考えの所為で起きただと?あの世界を
生きてきたメビウス達にしてみれば許せる筈がない。
だが、この男は平然としていた。まるで他人事の様に。
「その通りだ。基本的に私はブラック・ドグマに所属し、時として情報を人類進化連合に横流した。
こうする事で戦争は長期間の膠着状態となり、応報合戦にもなり私の狙い通り人類はどんどん衰退していった」
人の不幸をここまで喜ぶ下衆人間がいたとは・・・
「そしてそんな中、過去の世界に戻る方法が発見された」
「フェニックスによる、過去への時間跳躍か」
「かつての私ならそれを奪取して使う事が出来たが、その時の私にはそこまで超人的な力は残されていない。だから私はそれに便乗し、過去の世界に行くはずだった・・・それが!!」
「過去のエンブリオによって、メビウスが無限ループを繰り返したで、足止めを喰らったと・・・」
「そうだ!!過去の私の起こした行動ながら何と腹立たしい!それだけで無くこの世界を独立した並行世界にした事で、過去での出来事が未来に干渉しなくなった!!」
「・・・だが、そのおかげで私はある計画を思いついた。それは過去の世界のエンブリヲを抹殺し、私がその世界のエンブリヲになる事だ!」
「この世界の、エンブリヲになるだと・・・」
「そうだ。だが、私の思惑を知れば、過去のエンブリヲは間違いなく私を排除しようとする。だから私はこの仮面をつけ、エンブリヲという存在を悟られない様に表舞台から姿を消した。だからこそ、奴との話し合いの場にはガーナムを送りつけてきた」
「私自身は、水面下である物を探したよ。アウラが封印の為にこの世界に送り込んだ機体をね・・・」
「・・・そうか。俺がフェニックスを得たのはこの世界から見て未来できの出来事だ。そしてその未来世界の過去は、アンジュ達のいる現在」
「ああ。探すのに苦労したが私も見つけたよ。フェニックスとネオドラグニウムを。未来が並行世界として独立していた為にこの行為でフェニックスが消える事もない。そして過去の世界でも私はこの機体【ザギ】を入手した。
単純に表すと、本来未来世界で見つけたフェニックスが正しい。その後、無限ループ状態の際に、メビウスが見つけるはずだったフェニックスをこの男が回収。それをナオミに渡した。
そしてアンジュ達のいる現代においても、本編の裏側でアウラが封印の為にこの世界に跳ばしたフェニックスを、海底遺跡から回収していたのだ。
「私はザギのネオドラグニウムを決戦兵器、エグゼキューターの動力炉として人類進化連合に提供。すると結果はどうだ?一気に人類は半分以下にまで減った。とはいえ彼等もそれ以上の成果も見込めなくなった」
「だから私は彼等の兵器を自分達で使う事にしたんだよ。彼等には新型ビーストの餌になってもらってね。ビーストの技術も、エンブリヲが創ったものを解析すれば簡単だったよ。まぁ、元が同じと考えれば、当然か」
「その後、過去の世界への砲撃を開始した。まぁ初撃しか成功せず、二度目はアウラに防がれ、その後、君達によってエグゼキューターは無力化させられたしまったが」
「そして最後に、君達がこの場所に跳びたった際、その座標データを私も取得。君達と同じゴルゴレムの能力で跳んで来たのだ。後は君達がここでエンブリヲと戦ってる際、私は奪い取られたネオドラグニウムを探し、見つけ出した」
そして今に至るという訳だ。
「お前はこれから何をしようってんだ!世界征服でもしようって言うのかよ!!」
まさかエンブリヲを殺して終わりになる様な事にはならない。それを皆は自覚していた。そして、次の言葉の破壊力は、メビウス達の考えを遥かに凌駕していた。
「過去の私はこの時の止まったアルゼナルから世界を見て、偶に干渉する事で楽しんでいたらしいが私は違う。あらゆる世界にビーストを送り込み、私以外の全ての人間を皆殺しにする!」
「・・・なっ!?」
誇大妄想でもここまでいくのは稀であろう。言ってる事は漫画やアニメなどでよくある、世界征服を通り越して人類の抹殺と言っているのだから。それも別世界にまで。
「考えてみたまえ。人間が私一人だけなら、人間は美しいままだとは思わないかい?」
「・・・なんだよ。どんな目的か僅かばかり興味があったが、蓋を開ければゲームとかによくある世界を支配したがる魔王と変わらないな!!」
「いや、それ以上に悪質だな」
するとベノムは何かを考える様な仕草を取り出した。
「過去の私はこの表現をチープだと嫌っていたが、今の私は違う」
「私は神なんだよ。何もかもが私の掌の上で知らずに踊っていただけなんだ・・・全ては、私の目標を達成する為の・・・」
「道具さ!!!さて、もう与太話はいいだろう」
「あぁ。今の話で完璧に理解した。貴様が本当に最低な人間だという事に・・・」
その思想は、まだ曲がりなりにも人間を良くしようと考えいた、過去のエンブリヲの方が遥かにまともである。ZEUXISメンバーは既に武器を構えている。それはアンジュ達も同じであった。
「どうやら、長い間生きた事で脳が腐ったらしいな、エンブリヲ!」
「元、調律者も堕ちたものですね!!」
「そういう人間で助かったわ。こっちはあんたを全力でぶちのめす!!!」
「私と戦うつもりか、良かろう」
すると空間が裂け、そこからエンブリヲの創り出したビースト、いや、ベノムが創り出したビーストまで現れた。
「私の持つ兵力はお前達よりも遥かに多い。この空間がある限り、私に負けはあり得ない」
「へっ!何が遥かに多いだ。空間の能力が理由ならそっちの兵力なんてお前の匙加減ひとつじゃねぇか!!」
全機が突撃した。だが、このエンブリヲの言う事にも一利ある。こちらは先程の戦闘もあり、かなり疲弊である。よって彼等は一気に大将の首を狙う事にした。
敵機体のザギは剣や銃などの武器を持ってはいない。フェニックス・ノアと同じ、実質機体そのものが武器として活用されているのだ。そして武器なし故に行える機体などの器用な動き。無数の光弾による弾幕で、こちらの機体は迂闊に接近する事は不可能な状態であった。
「ファング!!」
牽制、そして迎撃兵装であるフェザーファング。だがザキはそれら全ての軌道を読み、撃墜していった。
「ならこれで!!」
アリエルモードの加速を利用し、ヴィルキスは一気にザギの懐にまで迫った。そんな機体を貫こうとした剣を、ザギは平然と受け止めた。
「君には一番会いたかったよアンジュ!君を殺す為に!!この顔の傷が疼く度に思い出す。この場所での出来事が!アンジュ!!!私の愛を拒絶したあの時の忌まわしい出来事が!!!はっきりと思い出すのだからなぁ!」
「そう言うのを、八つ当たりって言うのよ!!」
即座にもう片方の手でライフルを構え、近距離で
発砲する。だが敵には有効打となっていない。
「忘れたのかい?私は真の能力解放したヴィルキスと戦闘した経験がある。装甲強化などの、何かしらの対策を立てるものだよ!!」
「まだまだ!!」
「この距離なら!!」
ヴィルキスとの組み合いによって生まれた隙。その隙を突き、二機の不死鳥がザギに挑んだ。ビームの刃と実態剣。だがこの二つすらザギには何の障害にもなっていなかった。
「君達の機体は確かに私の機体と同型機だ。だがそれは史実上での繋がりにすぎん。私の機体は、フェニックス・ノアと同じ様に進化もしている。今の貴様らに、勝てるわけなかろう!」
その後も、ザギはフェニックスの完全体とヘリオスすらも圧倒していた。
(戦闘力はベルゼブアコローネ、いや、ヒステリカ以上・・・腐ってもフェニックス系等か・・・でも負けられるかよ!こいつにだけは!!)
未来世界の荒廃の原因。全ての諸悪の権現たる存在が目の前にいる。それを目の前にして、ここで終われるわけがない。皆が機体の弾薬などを惜しみなく使いわビーストと同時に相手しながらも、徐々にだが盛り返してゆく。
「ほうっ。中々の強かさだ」
「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ!」
ビーストの骸を肉盾とし、ザギの攻撃の直撃を防いでゆく。そうする事で、遂にエンブリヲの懐にまで再び接近した。
「凍結バレット装填!野郎ども!休む間与えず連続で撃ち込むぞ!!」
「おうっ!」
一点に絞った連続凍結バレット。それが功を奏したのか、撃ち込んでいたコックピット部分に僅かな亀裂が生じた。そこでヴィルキスの持つ剣の出力が一回り程増え、輝きも増してゆく。ヴィルキスがザギ目掛けて突き進んでゆく。
「いっけぇぇぇっ!!!」
紅く輝いた光剣はザギのコックピットを貫いた。その後、ザキの四肢を削ぎとり、完全な破壊を狙ってゆく。やがて辺りにはザギの残骸が散乱していた。エンブリヲ自身は影も形も無いほどに消滅したのだろう。
「はあっ。はあっ。終わったの?」
「・・・本体のエンブリヲ同様、入れ替わる事は出来ないのか?」
その時である。
「無駄だと言ってるだろう、この烏合の衆が。私はこの真実のアルゼナルの主。だからこそ、私を倒す事は出来ない」
「なっ!」
何処からとも無く聞こえたその声と共に、周囲を漂うザキの残骸が一箇所に集合し、やがて元の禍々しい姿へと戻っていた。そしてそこには、ザギ以上に粉々になった筈のエンブリヲまで、元通りでいた。
「嘘・・・でしょ」
「どういうことだ!?」
蘇ったエンブリヲは余裕の笑みを浮かべ、こちらを嘲笑していた。
「この時の止まったアルゼナルの主は私だ。それは私自身の時が止まっている事を指し示す」
「つまり今の私は、時の止まった存在。不死身なんだよ・・・それも過去のエンブリヲの様に替え玉を使うのでは無く、本物のね」
ベノム(エンブリヲ)にはラスボスらしく、何かしらの超展開によって圧倒的な能力を付与させてみました。
本音「これどう収集つければいいんだ!?」
でも大丈夫、私の好きな言葉にこれがあります。
諦めるな!!
そして最終話まで、後3話・・・
以下、本編で書けなかった補足事項のコーナー
人類進化連合について
遠回しに滅ぼされた組織ですが、本来の後半部分のオリジナルシナリオの予定では、Zガンダムのコロニーレーザー争奪戦の様なZEUXISvs人類進化連合vsブラックドグマによる三つ巴の戦闘を描きたかったのですが、それは叶わず彼等はビーストによって壊滅した組織です。
なお、初期構想ではメビウスが所属する組織にもなる予定でしたが・・・すまんな。私の実力不足で活かしてやれずに。
(余談ですがメビウスが所属したとしても、この組織がブラック・ドグマに敗北するのは確定事項でした)
尚、これから先は知っている方にお伝えする者です。興味ない方はスルーで。
内容はビーストの区切りについて。
ビーストの区切り的なものとして、元とした本編において、クトゥーラ含めてそれ以前のビーストはエンブリヲが、クトゥーラ撃破後に現れたビーストがベノムが創り出したという区切りをつけています。
この作品のエンディングに以下の二つを用意しています。この作品の正史的なエンディングとしてどちらが見たいかを聞きます。選ばれなかったエンディングも番外編として投稿するつもりです。①大円団エンド(ただし持てるご都合主義をフル稼働させます)②グッドエンド(しかしご都合主義はそこまでありません)
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