クロスアンジュ ノーマの少女達と一人の少年が出会った 作:クロスボーンズ
・・・もはや何も語るまい。最終決戦、後編の始まりだ!!
でもその前に、前回のあらすじ。
ベノムの正体、それは未来世界の介入前のエンブリヲであった。遂にエンブリヲの最終決戦へと移行する。フェニックス・ノアと実質同型機であるザギの猛攻に、皆追い詰められていった。
そんな中、遂に敵の見せた隙を狙い、ザギの破壊に成功。乗り手のエンブリヲも、死亡した。
だが次の瞬間、なんとエンブリヲは機体ごと蘇生した。
時の止まった空間の主であるエンブリヲは不死身だと言う。
こんな不死身の化け物相手に、果たして勝ち目はあるのか!?
それでは、本編の始まりです!!
「ふざけんな!不死なんてあるわけねぇだろ!」
メビウスはフェニックスで必死にザキへと猛攻を仕掛けていた。ザキは余裕でそれをボディで受けつつ、時に受け流している。完全に弄ばれている。
「ちっ!零距離なら!!」
【ザクっ!】
デスカリバーがザギの胴体に深く斬り込む。機体の出力を上げ深く入れ込み、コックピットを真一文字に斬り裂く。普通に考えれば中のエンブリヲも死んでいる筈だ。なのに・・・
「無駄だ。愚かな未来の人間が」
その傷はほんの数秒で完治された。機体の方も同じである。
「愚かな人間に、私は倒せない」
「お前だって人間だろうが!!」
【ガシッ】
今度はその剣が受け止められ、へし折られた。
「あぁ。人間のつもりだったさ。100年前はな!」
「メビウス!」
マウントをとられた事で一方的にフェニックスが嬲られている。なんとか他機からの援護で体制を立て直すが、それだけでは勝利を得る事は出来ない。
「はあっ。はあっ。はあっ。はあっ」
「こんちきが。本当にゾンビなのかよ」
「こんな相手、どう勝てばいいんだ・・・」
メイルライダー達も、パイロット達の顔にも疲労の色が見え始めた。このままでは疲労などで確実に負ける。いや、その前に先に弾薬などが底を突くだろう。
どの道、現状のままではこちらは確実に負ける。
「・・・相手が本当に不死身なら、無限を相手にする様なものだ。そこに勝率などないのかも知れない」
「じゃあここで引き下がれって言うのかよ!」
「安心したまえ、逃す事などさせん。この場で皆殺しにしてくれる!」
次の瞬間、ザギがこちらへと急接近してきた。手始めに、ザキ猛攻がヴィルキスに襲いかかる。
「アンジュ!まずは君からだ!!君だけは私が殺さなければ気が済まないのでね!!1000年の時の中から選んでやった恩を忘れた、愚かしい人間!!」
「いい加減しつこいわよ!!このキモイ髪型でニヤニヤしてて、服のセンスも無くていつも斜に構えてる恥知らずのナルシスト!!1000年ヒキコモリの変態オヤジ!はっきり言って、存在が生理的にムリ!!」
「その減らず口、今すぐ黙らせてやる!!!」
ヴィルキスが投げ飛ばされた直後、ザギは何かしらのエネルギーをチャージを開始していた。それはベルゼブア・コローネ戦でのノアと同じ技であった。
「不味い!今のヴィルキスじゃ、あれに耐えれるかどうか・・・」
宙に投げ出され、体勢が整えていない故に、防御や回避をとることも出来ない。
「死ねぇぇ!!!」
「アンジュ!!」
放たれた光弾を、ナオミの乗るヘリオスのアイフィールド割って入り、受け止めていた。やがて全ての光弾をなんとか受け止める事に成功するが、これによってアイフィールド発生装置が破損、もう防御面での活躍は見込めなくなった。
「ちっ!邪魔が入ったか」
「エンブリヲ。貴方は、本当に可哀想な人ね」
「なんだと?」
「ずっとこんな世界に引き篭もって、それで調律者を気取っていて。そして外の世界にでれば、力で相手を屈服させる事しか考えられない。遂には、仮にも愛していた人を殺そうとして」
「黙れ!本来貴様はこの場にはいない存在なのだ!貴様は偶然、未来世界の介入による一部の歴史改変によって偶然生き残っただけの存在だ!」
「・・・そうだね。あの時、メビウスが落ちてきた穴から、当時のドラゴンが来たら、私は間違いなくこの場にはいなかった。そんな事は自覚してるよ。でも、この場にいるのは、私自身が決めた事!他の誰でもない、私自身が戦う道を選んだから!!」
ナオミの目にある決意の火が灯った。これまで不確定故に使おうとしなかった切り札、逆転の可能性を持つジョーカーを使う覚悟の眼である。
「みんな、少しだけ下がって」
「ナオミ。貴女、何をするつもりなの?」
「大丈夫。きっと上手くいく。いや、してみせる」
その時、ナオミの行動の狙いにいち早く気づいた
存在。それはメビウスとエンブリヲであった。
「まさか貴様!させるものか!」
「邪魔すんじゃねぇ!」
ザキにフェニックスが組みついた。何度も殴りつけてくるも、意地でも離すまいと喰らいついている。
「離せ!」
近距離で数発の光弾を喰らい、実質外装がかなり剥がれ、地に這いつくばる。それでも逃すまいと、右脚に喰らい付いていた。
「やれナオミ!あの時と同じ様に!」
そう。ヘリオスだからこそ出来る荒技がある。以前、ミスルギでの決戦において、死んだメビウスとフェニックスの命を救ったあの能力。
対象の時間を戻す能力なら。だがあの時とは違い、対象はこの空間そのものである。この、時の停止した空間そのものを、動かそうとしていた。
なんだこの設定
「時間よ!戻って!!この空間の時が止まる、その前に!!!」
「やっ、やめろぉぉぉぉ!!!!!」
するとナオミの言葉に答える様に、ヘリオスの両翼が白く輝いた。それは周囲の空間そのものを飲み込んでいった。やがて周囲の空間の雰囲気が変わり出した。この時の停止した空間に、再び時が流れ出したのだ。
「馬鹿な。こんな筈では・・・」
「どうやら御自慢の不死は消えたらしいな」
時が止まった事で、これまでエンブリヲ自身、時が止まった存在として先程まで不死でいられた。だがこうして時が動き出した以上、もう不死ではない。
こちらと同じ人間としての土俵で戦わなくてはならなくなった。さらに此処で、エンブリヲ自身にも予期せぬ事態が発生した。全てのラグナメイルのモニターに、ある記号が表示された。それは、封印の解除を意味していた。
「ほう。どうやら昔、貴様自身がかけたロックが、今ので解除されたらしいさ」
「なっ!まさかラグナメイルの・・・!」
「あぁ。使えるようになったよ。貴様が以前、虫ケラには使わせまいと封印していた中で一番の封印。時空兵器がな」
かつてのエンブリヲはラグナメイルにロックをかけた。血や指輪や歌など、様々な要素を満たさない
存在には使わせない為に。かつて自身のかけた鍵。それが今、全て取り外されたのだ。
「なるほどな、そちらの機体は全盛期状態か。なら・・・」
地べたを這いつくばっていた不死鳥は、今再び立とうとしていた。過去のラグナメイルは全盛期の頃へとなった。そして現代を進化するヴィルキスも、真の能力解放をした。なら最後は未来のフェニックスだ。
「おいフェニックス。もう休憩は十分だろ?ラグナメイル達は能力を解放したんだ。お前ももう一度だけ力を貸せ!あの時、ベルゼブア・コローネを叩き潰した、あの姿にな!!」
次の瞬間、ヘリオスと同じくフェニックス内のネオドラグニウムがその意思に応え、完全体から進化ししあの姿、フェニックス・ノアへとその姿を変えた。
「こんな!こんな筈では!!」
完全に状況はひっくり返っていた。次の瞬間には、四つの機体がザギを取り囲んでいた。機体の乗り手はアンジュ、タスク、サラマンディーネ。そしてメビウスだ。
「お前にぶつける怒りは山ほどある!!!!」
次の瞬間、ヴィルキスの剣は振り上げられた。そして直ぐに、振り下ろされる事となった。
「まずこれは、貴方の望んだ世界のせいで人生を
歪められた、私達ノーマの怒り!」
機体に深い切り傷が付いた。
「そしてこれは、お前の価値観で迫害されてきた
父や母、俺たち古の民の怒り!!」
先程の切り傷がより深みを増してゆく。
「そしてこれが、貴方の身勝手な理想の犠牲となった民の、ドラゴン達の怒り!!!」
切り傷は広がり、やがて亀裂を生み出した。
「そしてこれが、お前のせいでその命を散らす事になった、未来の人間達の怒りダァ!!!!」
亀裂を拳で貫いた事により、遂に機体のコックピット部分が剥き出しとなった。先程までと違い、修復も出来ず、最早ザギはボロボロであった。だが、皆の怒りは収まらない。
「最後に!!これが俺たち全員の怒りだぁ!!!!!」
亀裂を堺に、機体は上半身と下半身とで二つに斬り裂かれた。かつてはしぶとく生き残ったが故に、
未来での暗躍を許す事となってしまった。
だからこそ、今の皆はエンブリヲを完全に叩き潰す事だけに力を入れている。
「ディスコード・フェザー!」
「収斂時空砲!」
「マキシマ砲!」
「ネオマキシマ砲!」
全ての機体の、持てる最大火力がそこには集結していた。塵一つ、細胞の一欠片も残さない為に。その対象には、些かオーバーキルな感じもしなくもない。
ザギが再びエネルギーチャージをしているが、数でも質でも、その攻撃に勝てる筈はない。
「いっけぇ!!!!!」
エネルギーはぶつかり合い、一気にザギの方へと押されて行った。機体が半壊したザギに、それを防ぐ手立てはなかった。出来る事、それはそれらを直撃で喰らう事だけである。
「この私が!!人間如きに!!この私が!」
「偽りの機体が、本物の機体に勝てるものか!!」
ノアは一気に距離を詰め、機体を宙に放り投げる。皆の砲撃も宙へと向けられ、完全にバランスを失ったザギに、もう反撃すら出来なくなっていた。
「何故だ!なぜ私が負けるのだ!?神たる存在の私が!こんな卑小な人間以下の存在に!!」
「卑小・・・か。確かに人間って、醜い存在面を持ってる存在なのかも知れないな。その点については同意してやるよ」
「私も基本的に、世界の為とかそんな大層な事は考えてない。あくまで自分の為に戦っているだけよ」
「目的の為に手段を選ばない者もいる。人間とは、その様な生物です。それは過去の戦争で、証明されています」
「・・・でも」
「「「人間として、お前だけは許せない」」」
その声を推す様に、一気に出力を増したその砲撃。やがて辺りを、これでもかと言わんばかりの眩しい光が包み込んだ。次の瞬間には、その中心点は大爆発を引き起こした。
やがてその場には、ボロボロのザギが残されていた。機体の至る箇所から小さな煙と余波的な爆発が起こっている。
過去のエンブリヲと同じく、機体と共にボロボロの状態であった。
「エンブリヲめ!あの状態でまだ生きて・・・」
「いや、放っておけ。あの機体にあの身体じゃすぐに爆発して、木っ端微塵だ。下手に近づけば、爆風に巻き込まれる」
するとエンブリヲは絞る様な声で、こちらを睨みながら叫んだ。
「アンジュ!それにノーマと猿共!!そしてドラゴン共!!!貴様らは必ず後悔する!!己の行動に!後悔しろ!苦しめ!!貴様らのせいで、仲間が死ぬのだからな!!」
呪詛の捨て台詞を吐き捨てた瞬間、ザギは大爆発を起こし、粉々に砕け散った。その最後に、メビウスが吐き捨てる様に言った。
「ったく。最後の最後まで、謝る事すら出来ねぇのかよ」
「ねぇ。今度こそ、全てが終わったのよね・・・」
「・・・そうね。今度こそ、やっと終わったのよ」
「・・・そうか。終わったんだ・・・」
「・・・っしゃぁ!!!!!」
初めは実感が湧いてこなかったそれも、誰かの歓喜の叫びを皮切りに皆へと伝達していった。機体と艦が地に降り立ち、友と身体を抱き合わせる。温かい。温もりがある。それが、無事に生きている事を実感させた。
「遂に、遂に掴み取ったんだ!自由を!」
「世界は、救われたのですね」
「これであの、破滅の未来も変わるわね」
「・・・あぁ。そうだな・・・」
ZEUXISメンバーは皆空を見上げていた。その顔は全てを出し切った者の顔であった。もう後悔などない、そんな雰囲気が漂っていた。
(ネロ艦長達のあんな顔、初めてみたぜ・・・あれっ?)
不意に身体が重くなり、地面へと倒れ込んだ。倦怠感が激しい。
「ちょっとメビウス。しっかりしてよ・・・あれ?」
ナオミが背後を見ると、不自然な空きスペースが存在していた。空白の場所には確かヘリオスとスペリオル。そしてアーバトレスの機体が置かれていたはずだ。なのにそれがなくなっている。
いや、アーバトレスはあったが、何故か元の機体のアーキバスに戻っていた。
「あの機体、何処に行ったんだろう?」
【グラグラグラグラグラ】
突然地面が大きく揺らいだ。地面だけではない。
空間そのものが、大きく揺らいでいるのだ。
「なんだ!?」
「恐らく時空融合の収束時の余波でこの異空間が崩壊するんだ!脱出するぞ!」
皆がアウローラに乗り込み、発進した。このままドラゴン達の世界へ行こう。それで、本当のラスト・リベルタスは成功する。
だがZEUXISの艦、アクセリオンは何故か動こうとしなかった。
「あんた達、何ぼーっとしてんのよ!早くアクセリオンで脱出を!」
「いや、その必要はない」
「はぁ!?何を言ってるの!早く・・・」
「・・・どうやら、お別れの様だな」
突然の言葉に、皆が動揺した。言葉だけではない。モニターに映し出されたネロ艦長達の異変が、何より驚かせた。
その身体からは、なんと光の様な物が漏れ出ていた。半透明になっている者もいた。
「何を言い出すの、それにその身体・・・」
「お前達は自由を掴み取った。それでいいじゃないか」
「そんな事は聞いてない!貴方達のその身体!一体何が起きてるって言うのよ!」
この時、アウローラの中でもメビウスの身体に異変は起きていた。突然メビウスが床に倒れ伏した。
「メビウス!身体、ネロ艦長達と同じになってる」
「なっ!これ、なんだよ・・・」
「一体、何が起きてるのよ・・・」
アウローラの艦内を駆け巡る言い知れぬ不安。それがこの場を襲っていた。するとネロ艦長が、遂に重い口を開く。
そこには、衝撃の事実が含まれていた。
「・・・エンブリヲが完全に死んだ事で、100年後の未来は平行世界から解放された。つまり、あんな未来は初めから無かった事になったんだ」
皆が生唾を呑んだ。
「・・・それが、それがなんだって言うのよ!」
「仮にAとBの夫婦がいたとする。でもBは戦争で死んで、AはCと再婚。そこで産まれたのが我々だと仮定しよう。でも、未来が変わった事であの戦争は起きなかったんだ」
「つまり、AがCと再婚する事もなかった。そうなると、俺たちも、初めから生まれてこなかった事になる。それが未来世界に関わる全てで起きたんだ・・・」
つまり、彼等の存在は初めからなかった事になる。それは彼等の技術が組み込まれた機体にも同じ処置が施される。マキシマエンジン、そんな物は初めから存在しない。だからこそ、未来の技術が使われた機体や武器は、その存在が消えたのだ。
「なんで、なんでそんな重要な事!今まで黙ってたのよ!!」
「・・・これは昔からの我々全員の意志だ。こうなる最悪な事態は予想できていた。その上での覚悟があって、我々はこれまでやってきた。揺るがない決意があったからこそ、誰も口にはしなかったのだ」
「シグ。お前も、知ってたのか・・・」
(・・・あぁ。ZEUXISのみんなも俺も、未来世界の殆どの人間達もこうなる事態を覚悟の上で、未来を変えようと行動してきた。たとえその結果、自分達が消滅するとしても・・・)
不死の攻略が流石に無理矢理が過ぎると思いましたけど、現状ではあれくらいしか思いつきませんでした。
太陽に放り込むとか壺に封印とか論外ですし。
そして未来組についてですが、結論から言わせてもらいますと未来組は次の回で全員消滅してしまいます。その上での正史的な最終回はどんなものがいいかと、アンケートでは聞いています。
まぁ受け手側としては、最終的に、閲覧している方個人での、好みな方を正史と捉えて下さい。
タイムパラドックス関係の消滅は、書いてみたい事だったので書いてみました。
(関係者の記憶までも抹消されるかどうかは考え中)
そして最終回まで、後2話・・・
一方、こちらは第3回目にして最後のくだらない
補足コーナー!
今回は没となった機体について!
EM-CBX000 ヒステリカ・NM
ベノムが搭乗する予定であった機体。未来世界の新たな技術と過去世界の既存技術を組み合わせて製作した機体である。NMはネオマキシマの略である。
あらゆる性能面でヒステリカを凌駕しており、全てのラグナメイルのエンジン系統含むコントロール権までも強制的に奪い取るシステムを備えている。
また、マキシマエンジン系統の起動を阻害する粒子なども放出可能である。
以前のアンケートでザギの登場がなかった場合は上記の能力を提げた登場し、ラグナメイルとマキシマ系エンジン搭載機の全てを機体として機能停止にする案もあった。
最終的にはヒステリカの持つディスコード・フェザーすらも取り込み更なる完全体をも構想していた。
この作品のエンディングに以下の二つを用意しています。この作品の正史的なエンディングとしてどちらが見たいかを聞きます。選ばれなかったエンディングも番外編として投稿するつもりです。①大円団エンド(ただし持てるご都合主義をフル稼働させます)②グッドエンド(しかしご都合主義はそこまでありません)
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