ログ・ホライズン ~落ちた浮遊城アインクラッド~   作:マスカルウィン

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遅くなりました。
円卓会議設立のお話です。
基本的に原作に沿ったお話になっておりますので、知ってるよ!
って言う人はスキップしたほうがいいと思います。
かなり簡略的にしています。


第十話

 シロエのその言葉を聞いた俺は悩んだ。

 今俺がすべき事。

 アスナ達との合流、それとこの世界からの脱出世界の模索だ。

 そのヒントは恐らく、茅場が保持しているはずだ。

 今俺がシロエに協力すれば、その行為自体が遅くなる。

 

「キリト?」

「すまない、少しアスナと会話させてくれ」

 

 そうシロエに言い、アスナに念話を繋ぐ。

 シロエは近くにあった石に腰掛けて、俺の答えを待つらしい。

 

「アスナ? 夜遅くにすまない少し聞きたい事があって」

「キリト君? うん大丈夫だよ、私も話がしたかったから」

 

 アスナにこの世界の現状と、<<冒険者>>の一人から協力を申し込まれた事を説明する。

 

「ふーん。 でキリト君は迷ってるんだ?」

「あぁ、皆の事もどうしていいかわからなし――」

「ストップ! ねぇキリト君、SAOの時に私を昼寝に誘った時の事覚えてる? ALOで私を助けてくれた時の事も覚えてる?」

「そりゃ勿論……」

 

 アスナが何かいいたいことがあるのはわかるのだが、それがなんなのかわからないので話を聞き続ける。

 

「キリト君は、キリト君がしたいようにしたらいいと思うよ? それが結果的にプラスに繋がってるから。 こっちの事は心配しないで」

「いや、でもしかし――」

「じゃぁこういう風に考えて、多分私達の居るアインクラッドの正確な場所を知る為には、<<冒険者>>の力が必要」

「それってどういう事?」

「キリト君に貸してた、ワイヴァーンで周辺を飛行時間限界まで飛んでみたけど、大陸が見えなかったの」

「そう……か」

 

 なるほど、ならばどうにかして<<冒険者>>の力を借り、アインクラッドの場所を特定する必要があるのか。

 そのためにもシロエに借りを作っておく必要があると。

 そんな関係で、力を貸し借りはしたくないんだけどなぁ。

 

「わかった、シロエに協力してくる」

「うん。 頑張ってねキリト君」

「アスナも」

 

 そういい念話を切る。

 

「シロエ」

「話はまとまった? キリト」

「あぁ、条件がある」

「条件?」

 

 シロエの眼鏡が光ったように見えた。

 正直こういう交渉ごとはあまり得意ではないのだが、アスナに頑張ってといわれた以上頑張るしかない。

 

「一つ、俺はアインクラッドの場所が知りたい、そのために<<冒険者>>の力が借りたい」

「二つ、<<冒険者>>も同じだろうが、俺たちはこの世界から脱出手段を探したい」

「三つ、ススキノの街の開放をしたい。 基本的にこんなかんじだ、また追加があるかもしれないが」

 

 俺の言葉にシロエが思考しているようだった。

 そんなに難しい問題を言ったつもりでは無いのだが。

 

「一つは、協力関係になる場合こちらから場所を教えて欲しいとお願いするつもりだった、二つ目はこのアキバの街を変える事は、そこにも直結している。 三つ目はアキバの街が変え、ススキノにも救出部隊を送り込むつもりだ」

「シロエ、お前は一体何をしようというんだ?」

 

 キリトはシロエの真意が聞きたくなり、問いかけると薄く笑うだけで誤魔化された。

 

 そこからのシロエの行動力の高さには驚かされた。

 三日月同盟に協力を求め、味がする料理を提供する店クレセントムーンをオープンさせ、味がする料理を餌にお金を生産系ギルドに提供してもらった。

 ちなみに俺はエギルのように商売をしたことがないので、店員ではなく料理を作る素材アイテムの収集に剣技を使い協力した。

 シロエ曰く、キリトは戦っているほうが合ってそうという事だったので、その言葉に甘えて今自分ができる事でシロエに協力した。

 シロエはその過程で、ギルド『記録の地平線』を設立。

 後に直継からシロエが今までギルドに所属していなかった理由を聞いて、なんとなく共感でき、それでもなおギルマスになって責任者になろうとしたシロエを心の中で賞賛した。

 

 そんな色々な事があり、シロエ達と俺とクラインとシノンはギルド会館に備え付けられた階段を登っている。

 数えている限り現在の階層は15階だったはず、非常に長い階段だ。

 

「シロエ~ なんだよこの長い階段わよぉ……おれっちそろそろ疲れてきたぞ」

「ごめんなさいクラインさん。次が目的地なんで」

 

 クラインの言葉にも律儀に返事し、シロエは目的地と言った16階に到着する。

 シロエがコツコツと足音を立てながら、大きい扉を開けると非常に広い空間が広がっており、その中に何人ものプレイヤーが中央に備え付けられた椅子に座っている。

 クラインとシノンは俺の顔を見るが、シロエに協力したというのならば前に進むしかないと腹を括り、その部屋に踏み込む。

 シロエが前置きを話してくれるのを、俺たちは班長と同じ位置で見守る。

 内容は、ここに居るギルドをまとめて、ギルド連合を作ろうと言うお話だと思う。

 だが、それを作る理由は始めて聞かされた話も出てきた、アキバの街の改善はシロエが当初目指していたものだと理解していたが、EXPポットについてはこの会議で初めて聞かされて衝撃を覚えた。

 その会議の最中、俺達には関係ないと、ギルドシルバーソードは足早に会議室から出て行った。

 会議の内容について議論を交わされる中、俺も気になっていた内容を黒剣のギルマスアイザックとクラスティが指摘した。

 実行力の弱さ、現実味の無さ、つまり非協力的名ギルド、「法」を無視するギルドが現れた場合対処方法は見つからない。

 そんなことを言った二人に……いやこの場に居るギルドの人たちにシロエはこう言い放った。

 

「ギルド会館ゾーンを購入させていただきました。 この意味わかりますよね?」

「なっ!」

 

 思わず声が漏れてしまったが、それは仕方が無い事だと思う、この場所のゾーンを購入するつまり俺たちが良く使う倉庫を初めとしてギルドの設立、ギルドの加入脱退等の操作が、シロエの操作一つで出来なくなるのだ。

 

「それと、私はノウアスフィアの開墾のアップデートと同時に追加された都市の情報を得ており、新たなダンジョン新たな職業と種族を確認しています」

 

 シロエの台詞をよくよく考える、それはつまり俺達の事ではないのか?

 会議室に居るプレイヤーが各々声を上げ、それがざわざわと広がっていく。

 話の中心に居るシロエが、無言で机を少し強めに叩く。

 

「キリト君」

 

 静寂に包まれた円形に設置された机に、俺はシロエの後ろ側から近づいていく。

 ぶっちゃけ、この場所から逃げたしたくないといえばうそになる、けどなんでもいいから少しでも情報と力が必要なのは間違いない。

 

「始めまして、浮遊城アインクラッドから来た。 キリトと言います」

 

 キリトが来た場所を説明するのは簡単だ、別のゲームからログインしている。

 そういえば皆納得はしないと思うが、理解は示すだろう。

 なんせ、この世界に来たプレイヤーが自分達だけと言う決定的な証拠は一つもないのだから。

 その上、新たな職業と種族は新しいキャラクターを作らない限り発見する事はできない、つまるところ新しいキャラクターが作られる事がないこの世界では、本来ありえない事なのだ。

 そのことを理解したのか、してないかはわからないが、この場所に呼ばれたギルドマスターたちは各々何か考えているようだ。

 

「キリト君だったかな? 私はクラスティと言う。 失礼だが何か新しい種族と認識できるものか、職業の情報を提示してもらいたい。 言葉だけでは納得できないので」

「スキルの詮索はマナー違反ではないのか?」

「君の言い分もわかるが、この場でその新しい物を提示できない場合は、シロエ君の話と、キリト君の話を信じる事は出来ないとは思うのだが」

 

 にこやかに話しかけてくるクラスティだが、目が笑っているようには見えない。

 シロエにアイコンタクトをすると小さく頷いたので、妖精の翅を羽ばたかせる。

 黒を主にした装備に、黒い翅を広げたキリトはまさしくゴキ……

 

「それだけか? 確かにそういうスキルを持った<<冒険者>>は確認できてないが――」

「いえ、この翅には瞬間的にではあるが、浮力を持たせる事ができる、つまり」

 

 この世界に来てから全ての妖精に追加された共通スキル、壁走りを発動させる。

 妖精の種族とステータスにより、走れる距離は違うが、飛ぶ代わりに備え付けられたものだろう。

 

 「ふっ!」

 

 小さな掛け声と共に、周りに設置された像を蹴りながら、円形のこの部屋を一周する。

 もう少しで一周という所で、スキルアイコンが点滅したので元の場所にジャンプし、着地する瞬間翅の浮力を使用し、慣性を殺し着地をした。

 シノンとクラインは此方を見て笑っているが、

 シロエを初めとするギルドマスター達は、驚きを隠せないようだ。

 

「へぇ面白いスキルですね、他にもあるのですか?」

「さて、それはどうだろうか? 一番わかりやすいのを選択したつもりなんだけど」

「そうですか。 まぁおいおい見せてくれると期待しておきましょうか」

 

 クラスティと初めとする、ギルドマスター達は先ほどの壁走りで納得してくれたみたいで、俺達の存在が新たな<<冒険者>>として誤認してくれたようだ。

 

 ギルド会館の購入と俺達の存在を知らしめたシロエは淡々と言葉を続ける。

 シロエのやりたい事は単純だ、このアキバの街を活性化させること、元気にさせる事だ。

 それにあわせて、初心者狩り等を取り締まる治安の向上だ。

 地域の活性化は、唯一味をする店をレセントムーンを運営している三日月同盟のマリエールが答えてくれた。

 現実世界で行っている循環を、このアキバの街にもやればいいという事だ。

 つまり、料理を作るそのための材料を得るために狩りをする、狩りをするために食料や回復アイテム武具を買う。

 ただ狩り続ける毎日では面白くないので、ストレス発散や気分転換として娯楽物を買う、作る。

 レセントムーン少ない日数だが運営し、その兆しが見えてるのはここに居るギルドマスター達は把握しているだろう。

 マリエールがそのまま、作り方をその場で提示し生産系ギルドの皆はそのやり方を生かし、本来ゲームに無い仕様である蒸気機関の開発が出来たと言った。

 つまり需要と供給市場が回り、アキバの街が活性化するというお話だ。

 

「そんなわけで、俺達生産系ギルドは円卓会議設立に賛成する」

「そりゃ、こんな美味しい話乗らないわけが無いですよねー」

「この数ヶ月は生産ラッシュになります。 今にでもギルドホールに戻りたいぐらいですよ」

 

 生産系ギルドが談笑しているところを見て、キリトは一つため息をつく。

 とりあえず第一目標クリアと言うところかシロエ?

 そう思いながらシロエの顔見たら、まだ終わっていないといった風な顔をしていた。

 

「次は治安の問題です」

 

 自由権を持ち、今死ぬ事ができないこの世界での拉致、監禁は非常に重たい罪にするといった意見に、キリトを初めとするその場にいた人達は大きく頷いた。

 シロエはその後に、異性に対して性行為の強要は極刑です。

 まぁ確かにそうなるな。

 ソードアート・オンラインでは、異性に対して胸を揉むなどの性行為をした場合でも問答無用で牢屋に投げ込まれていた。

 今のこの世界では、牢屋なんて存在しないし、ましては論理コードでアバターを守ってくれているわけではない。

 全員が全員論理コード解除済みの状態なのだ。

 確かにそう考えたら恐ろしい事ではある。

 

「そして最後になりますが、この人権問題については<<大地人>>にも適用されます」

 

 ピクリと眉が動いたのは許してほしい、つまりこのシロエの提案が通れば大手を振ってススキノに救助に行く事が出来る。

 その話題には反対ではないが、難色を示す<<冒険者>>が数人現れた。

 同行者の中からは、あいつ等はノンプレイヤーキャクターだ! という言葉も上がっている。

 その言葉に反論するために一歩踏み出しそうとしたとき、シロエが手で制してきた。

 

「この中で大地人ときちんと会話をした人たちは居ますか? 僕達は先日ススキノに遠征に行きました。 そこで酷い現状を見ました、あんな事がアキバで起ころう事なら、この街も腐敗していくに決まっています」

「あの、うちからもすこしいいか? クレセントムーン運営してる事は知ってると思うけど、買いに来たのは<<冒険者>>だけじゃないんよ。 <<大地人>>の人らも来てたんや。 だからそのあの人等も美味しいもん食べたかったんちゃうかなーって」

 

 マリエールの言葉に少し笑みが出たのは許してほしい。

 俺は知っている。

 たとえ肉体の無い仮想世界の住人だろうと、俺達と同じように悩み、苦しみ笑える事を、そしてシステムにも抗える精神が宿る事を。

 だから俺たちが人間だからと言って、大地人をないがしろにしていい理由にはならない、なるわけがない。

 マリエールの発言に静まった会議に、シロエの手をどけ、一歩踏み出す。

 

「発言いいか? シロエの言うように大地人が各々考え持ち、各々生きているとしたらどうなると思う? 簡単だ今まで見たいに話しかけたらアイテムを売ってくれる、買い取ってくれるそういう行為が出来なくなる可能性がある。 俺達だってそうだろ? 気に入らないプレイヤーにはアイテムを売らないし、高く買い取ってくれるプレイヤーに売りたいだろ? そういう事が起きてくる可能性があるんだ」

 

 そう言って生産ギルドが座っているほうを見ると、困ったような顔を見せる。

 思い当たる節はあるのだろう、そりゃ商売人だ美味しい話には乗りたいし、美味しくない話には乗りたくない。

 

「つまりだ、いい加減この世界に来て数ヶ月がたつ、<<冒険者>>より圧倒的に人数が多い<<大地人>>と友好的な関係を結ぶべき時期に来ているはずなんだ。 そもそも<<大地人>>からすれば急に来たのは俺達のほうかもしれない」

 

 俺の発言にまた会議は静まり返る、少し言い過ぎたかと考えながら話は終わりだという風に一歩下がる。

 

「つまり、キリト君…・・・シロエ君もか、君たちは大地人と戦争の可能性があると?」

「それはっ……」

 

 俺が言いよどんでいると、シロエが再度立ち上がる。

 

「それは、円卓会議が考える事であり、今我々が考える問題ではない」

 

 流石に無責任すぎるのではないだろうかと思っていると、

 言われたクラスティの方は少し笑っているように見えた。

 

「我ら、D.D.Dは円卓会議の設立に賛成し、協力しよう」

 

 クラスティの参加表明を皮切りに、その場に居た11のギルドは全員円卓会議の設立に賛成し、

 かくしてアキバの街に円卓会議が誕生した。




円卓会議設立✧*。◝(。╹▿╹。)◜✧*。
時間かかったよママン。
しかし会議の内容はぺらっぺらな気がしてならないです。
皆さんに脳内補完していただけると期待して……

次は夏季合宿では無く、その間に発生したと思われるススキノ遠征にアイザックと共にキリト達に出向いて頂きます。
時系列的には合ってるとは思いますが、アニメで一瞬描写があっただけですので妄想の産物になるのでご了承をお願いします。
時系列的に
6月に円卓会議設立、7月にイースタルから招待状が届く、8月に夏季合宿&宮廷に呼ばれてのゴブリン王の帰還ですので、恐らくゴブリン王の帰還には間に合っているはずです。
というわけで次から2章になります。
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