ログ・ホライズン ~落ちた浮遊城アインクラッド~   作:マスカルウィン

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とりあえず異世界の守護者編はこれにて終了。
次は、合宿組みのお話で、アインクラッド組が少し合流予定です。
ざっくり紹介しすぎですね。
レイネシア姫の演説聞きたい人は、ログ・ホライズン見てどうぞ。


第十九話

 ザントリーフ地方襲撃の一報は、大地人と冒険者双方に伝わったらしく。

 俺達も朝から<<冒険者>>の一人として円卓会議用に誂えた会議室に集まっている。

 そして今、俺は円卓会議が得た情報を、念話ネットワークを通じて、聞いている所だ。

 

「イベント、ゴブリン王の帰還ね」

 

 シロエ達からの情報を頭で整理する。

 この世界がまだゲームだった頃にあった、定期イベントで、それまでの準備期間をキチンとしておけばそれほど脅威になるクエストではなく――。

 そももそもレベル90の冒険者にとっては、それほど難しいイベントではないと。

 しかし――、ゴブリン襲撃とサファギンの襲撃ポイントが不味すぎる、『キリト』達がいるとはいえ上級プレイヤー数十人単位では、初心者プレイヤーを護れる数ではないか。

 それにプラス……場所的に村が狙われる。

 大地人達の村が。

 

「キリト君、二陣の事――」

「で、円卓会議としては、派兵するのですか? するのでしたら俺も一緒に行きたいんですが」

 

 アスナが、船で向かっている仲間について言おうとした所、言葉を重ねて封殺する。

 別に言っても問題は無い――、問題はないが、シロエ達にはいや、大地人の連中には知らせたくない。

 そして恐らく、現状では円卓会議は派兵する事はしない――、いやできないはずだ。

 

「キリト、わかってて言ってますよね?」

「さて……な。 何のことかかわからないな俺には」

 

 あえて首を竦めて答えると、シロエの厳しい目線が俺に突き刺さる。

 

「確かに、我々はあそこの村等を救う力を持っています、けど同様に助ける義務はありません。 可哀想だからと言う理由だけで助けたら大地人とのこれからの関係が面倒な事になってしまいます」

 

 だよな。 ここまでは概ね予想通りと言った所か。

 さてどうするかと椅子にもたれ掛ると、横に座っていたアスナが立ち上がった。

 

「だからと言って、大地人の人たちを放置するのですか! あの人たちだって生きているんですよ! この世界で」

「……」

 

 SAO時代に、NPCを犠牲にしてボス攻略をしようとしてた人間とは思えない言葉だな。

 成長した――、という事になるのだろうか。

 

「アスナ、別に円卓会議のみんなは助けたく無いって思っているわけじゃないんだ、そこは酌んであげてもいいとは思うんだが」

「けどっ!」

「ま、アスナの言いたい事もわかるんだけどな。 円卓会議に伝える。 我々は独自のルートを使って数人の腕利きをザントリーフ地方に援軍を送り込む。 これで少しは時間稼ぎが出来るはずだ。 その間に大地人との話を付けよう」

「独自に……? それはクラインさんやシノンさんの事か?」

「いや――、俺の大切な仲間達だ」

「アインクラッドから派兵という事で?」

「腹の探りあいになりそうだから、援軍の事はこれからノーコメントで頼む。それよりもシロエ、どのような形であれ派兵になれば、冒険者側も無傷ではすまない。この意味わかるよな?」

 

 シロエに意味ありげな視線と、言葉を向ける。

 シロエは難しい顔をした後、ぽつぽつと不死身の冒険者に降りかかるリスクについて円卓会議に話し始めた。

 

「俺たちの復活、不死ともいえる力には、リスクがあると、シロエが言った仮説は多分合っていると思う。 俺もその話を聞いている時、傍にいたからな」

「そうでしたか、なるほど派兵を断るのには最高の武器……と言った所ですか」

「そこまでは言わないけどな、俺たちの援軍で多少なりとも時間は稼げると言ったが、時間は殆ど無い。 大地人は俺たちに派兵をお願いするしかないはずだ、先ほどのシロエ達の話によると、イズモ騎士団は存在しないだろうしな」

「それで、キリト君、君はどうしたいのですか?」

 

 クラスティににらみつけられるような視線を投げられて、それに対してにらみつけることでやり返す。

 そんな、腹の探りあいなんて、『王』としていた時に、何度もさせられたんでね。

 こんな修羅場何度も乗り越えてるだよクラスティさん。

 

「どちらにしても、今領主会議を行っている大地人の人たちに、俺たち冒険者も領主会議に参加しろと打診があるはず、そのときにその領主会議で俺たちが取る選択を今のうちに決めた方がいいと思うのだが」

「もっともの意見ですね、キリト君はどうしたいと思っているので?」

「俺は「アインクラッド」としては賛成も反対もしない」

「ほぅ……?」

 

 アスナが何かを言いたそうに此方を見てくる。

 まぁ大体予想できる「キリト君」なら絶対に出助けしていたのに! と言った内容だろう。

 

「個人としては、派兵には賛成だ。 しかし戦うのは恐らくアキバの町に居る冒険者になるだろう、ならば俺たち余所者がとやかく言う筋合いは無い」

「なるほど、逃げの口上としては最高の一言ですね」

「言うなよ、クラスティさん、『アインクラッド』をまだ<<冒険者>>の一員になっていない以上、こうするしか出来ないんだよ」

「わかってますよ、多分『アインクラッド』からすれば、それは最高の一手だ。 それにキリト君なら困った時には手助けしてくれると信じていますよ?」

「信用してくれて助かるよ、クラスティ殿」

 

 その後の話し合いの結果、とりあえずあいての腹を探り合って、どうするか決めようという事で落ち着いた。

 シロエは派兵に賛成するという形で、話を持って行き、相手の情報をさぐる。

 逆にミチタカさんは、反対するという形で、相手が冒険者の派兵をしてくれそうな情報等を引き出すという形らしい。

 円卓会議がそう決めたのならば――、別に構わないが、なんだろうか腑に落ちない部分が俺の中に渦巻いていた。

 

 そうこうしているうちに、大地人に呼ばれて、俺たちは領主会議に参加することになった……のだが。

 

「話が進まねぇ……」

 

 大地人から教えられた話は、明らかに話を長引かせて、冒険者側に何とかしてもらおうと言う魂胆が見え見えだった。

 シロエが、イズモ騎士団の事を問うと、向こうはまるで派兵しないこちら側に非があるのかというぐらいの勢いで話し始める。

 確かに、気持ちはわかる、が<<冒険者側>>の立場としても困ってます? じゃぁ助けます! と言いずらいのが現状なのは間違いではない。

 

「それではいったい何のための<<冒険者>>ですかっ! 不死不滅このような能力を神から授かり、更には貴方方は我々とは違い力を持つもの! 大地を救う義務があるはずだ!」

 

 領主会議の中で、一人キリヴァ候が焦りを併せ持った顔で、俺たち<<冒険者>>を攻め始めた。

 ゴブリンが出現した位置から考えると、次に狙われるのはツクバの街、そりゃ焦るもするだろうが――、その発言はいけない。

 

「そんな義務聞き覚えはありませんね」

「なにっ! 死ぬ事を知らない身体を持ち、大地人よりも屈強な身体を持ち、この世界への義務を放棄するつもりかっ! どうしてこう<<冒険者>>は怠慢なのだっ! 人々を助ける力を持ちながら、何もしない……、恥を知れ!!」

 

 キリトはすかさず言葉を入れようとしたが、ミチタカさんがその腕力を使ってテーブルに拳を無言で叩きつける。

 

「ふざけるな……。 俺たちは死なない、力を持っている。 だからその能力と力を持って、大地人に命令されるようにゴブリンたちを討伐して来いだぁ? 大地人が不死の存在ならば、自分達の民にそんな命令ができるのかお前達は! お前達は死なない、だからやられても何回も挑んで、ゴブリンたちを討伐しろとそんな命令が許されるのが領主と言う存在なのか!」

 

 まだまだ何かいいそうなミチタカさんであったが、シロエが腕を引きミチタカを椅子に座らせる。

 

 沈黙。

 ミチタカさんの怒りは最もであったが、その怒りのせいで話をし辛い空気を作ってしまった。

 シロエのほうとチラリと見るが、困った笑みを浮かべられてしまった。

 どうしようか? と思考する。 どうにかする手はある、しかしその手札のカードは一度きってしまうと二度と使えないものになる。

 報酬は、大地人とアキバの円滑な関係か……。

 

「意見いいだろうか?」

 

 俺はそう言いながら席を立つ。

 セルジアッド候に手でどうぞとされたので、発言を開始する。

 

「まずキリヴァ候、ツクバの街の事を考えての発言、感服いたします。 自らの民の為に自分を犠牲にするその心、領主として……上に立つ人物として、尊敬に値します」

 

 無論キリヴァ候は、そこまで考えて発言したとは思えないが、民の事を思っての発言なのは間違いではない。

 

「ミチタカ殿、ミチタカ殿はキリヴァ候の発言は容認できないものだとは思いますが、見方を変えてみては如何でしょうか?」

「見方を?」

「民の上に立つ者として――、冒険者の力を借りなければツクバの街が滅ぶ、と」

 

 キリヴァ候の立場としては、これで俺の意見に乗っからないと、自分が不利になったと気づいたはずだ。

 

「上に立つ者としては、偶には泥を被らないといけない時がある、キリヴァ候としては、先ほどがその泥を被る時だったのだろう」

「あぁ、その通りだ――」

「しかし、キリヴァ候に問いたい。 キリヴァ候の領地がもし力を持つ者達として、アキバの民が力を持たぬ者達だとして、キリヴァ候は民に人の領地に行って、戦って死んで来いと命令が出来るかね?」

「それはっ……」

「命令は出来るが、そんな事では民からの信用は落ちるだろうな。 それとキリヴァ候を初めとして、領主の方々は勘違いをしていらっしゃる」

「勘違い……だと?」

「<<冒険者>>は確かに強い、力を持つ者達だ。 しかしこの者達は彼等のリーダーと言う形を取っているが、彼等には民に命令権は一切無い。 そもそも騎士団なんてものはアキバの街には持っていない」

 

 そう、アキバに居るのはギルドに所属しており、ギルマスの『お願い』を聞くメンバーか、自由に動き回っている人たちしか居ない。

 ギルマスの命令は絶対ではない、断ろうと思えば断ることが出来るし、そもそも気に食わないならギルドから抜ければいい。

 故に、ギルマスからの絶対的な命令は基本的に存在せず、『お願い』であると俺は思っている。

 

「ではどうすればいいのだ――。キリト殿、我々大地人は<<冒険者>>のような力を持ち合わせておらず、騎士団はゴブリンの襲撃に耐えれる者ではない。 そうなれば、冒険者の力を借りたいと思ってしまうのは当然の事であろう!」

「……落ち着いてくださいキリヴァ候」

「そもそも、キリト殿はどちらの味方なのですか、どちらにも付かないような発言をして、我々を試しているのですか? そもそも援軍等する気が――」

 

「落ち着けと言っている! そなたは領主という立場の下、民の上に立つ人物であろう。 その民の上に立つものが慌ててどうする!」

「なっ……、慌てるに決まっているだろう! このまま傍観していると、その民が殺されてしまうのだぞ!」

「だから落ち着けといった! 民の事を第一に考えているのならば――、民の事を考える上に立つ人間ならば、冷静になんとかするしかないと何故わからない! 貴様の発言と行動には、ツクバの民の命がかかっていると何故わからないのだ!」

 

 キリヴァ候が椅子に座るのを横目に見ながら、言葉を続ける。

 人の上に立つ者は何事が起きても冷静で居ないといけない、それはアンダーグラウンドで『王』と言う存在に居た時に、皆が教えてくれた事だ。

 そう――、この議会を傍観し続けているセルジアッド候のように。

 

「ここにいる円卓会議のメンバーも、そして俺も間違いなく誰も死んで欲しくないと思っている、しかし円卓会議は貴方達とは違う、民の上に立つ人間ではない。民と同じ地位の一人の人間だ」

「で、ではキリト殿は?」

「当たり前だ、人に死んで欲しいと、何とかできるのにそれをしない人間が何処にいる。 それに俺は――、人の上に立った事がある人間だ。 キリヴァ候の焦るもわかるが、一度落ち着いてみたらどうだ?」

「お、落ち着いて事態が好転するのか? しないだろう? ではどうすればいいといいのだ」

 

 しかし――、しかしながら、俺はセルジアット候の笑みを見逃さなかった。

 恐らく、愛娘が暴れるタイミングがやってきたのだろう、キリヴァ候が少し落ち着いた良いタイミングと言わざる終えない。

 

 ここまでは予想通り――、後は……<<冒険者>>の『善意』に賭ける。

 キリヴァ候が椅子に座り込む、そしてやってくる静けさ、誰も発言しないこの瞬間。

 この瞬間を俺は待っていた。

 

 手札と言うのは、場面を間違えると只の普通のカードになる。

 しかし、場面を読み、空気を読みカードを切るとそれは『切り札』となる。

 これも皆が教えてくれた事である。

 

 扉がゆっくりと開けられ、ドレスに包まれた少女がこの領主会議に挑んできた。

 

 その名は、セルジアット候の娘『レイネシア』

 そして、俺がこの世界に来て、手に入れたカードの一つである。

 

 突然の登場に、他の候達は、口をあけてレイネシアの褒め言葉を口にした。

 美しいお嬢さんや、今日の召し物もお似合いである等――。

 まるで、今まで話し合ってた議題に関してレイネシアは関係が無いような話し方だ。

 いや実際問題関係が無いのだろう、貴族社会において女性は、表舞台でないのが一般的だ。

 此方をちらりと見た気がした、多分気のせいではないだろう。

 このタイミングで入ってくるように連絡したのは、俺なのだから。

 後はこの領主会議中、『お供』をしているクラスティに任せよう。

 恐らく、そういう展開になって行く筈だ。

 

 レイネシアはクラスティに向かって、アキバの町に義勇兵を募る事を伝えると――、他の候からは否定的な意見を口にした。

 それはそうだろう、そんな事は<<大地人>>のTOPたちには考え付かない事だろうだから。

 レイネシアには義勇兵の事は伝えた、可能性の一つとして、義勇兵を誰かがアキバの町で募る事は出来ると。

 それしか俺はレイネシアには伝えていない、その後の事はレイネシア自身が何かを考えて行動するだろう。

 

 イズモ騎士団という物が存在しない事を領主会議の場で発現し、候達から避難の声が会議室に木霊する。

 ――、此処まで来て俺はレイネシアが何を考えてるか図れないレベルまで達した。

 義勇兵の事だけでは、若輩のレイネシアではきつかったか――?

 

「何を考えているのですか?

「……クラスティさんにもわからないことがあるのですね、なーんにも考えて居ません。けど、私はコーウェン家に連なる身分として失礼をしたくはないのです」

 

 そこまで言って俺は、黒い大剣を実体化させ床に突き立てる。

 同時に、シロエが指をぱちんとならして静寂をこの場所に用意させた。

 シロエを見ると、口元だけの笑みを返してきた。

 考える事は一緒だったか。

 

「<<冒険者>>は自由なのです。 私達より自由な人間なのです。 私達は<<冒険者>>より弱い人間です。 けど、だからってその弱さに居座っていい訳が無い、我等が弱いからだと言って、その弱さを理由にして自由な<<冒険者>>を道具として扱っていいはずが無い!」

 

 静寂が続く、多分候達には自由と言う言葉が理解できないのだろう。

 我々よりも強い人間達が、一人一人自由だなんて、そんな文化に触れたことが無い人間からすると、ありえない事なのだろう。

 恐らく喋っているレイネシア自身も、理解はしているが――、想像なんて出来てないだろう。

 だけど、それでも――、レイネシアにその事を教えた<<冒険者>>は間違いなく自由だったのだろう。

 とある町の一番上の者でありながら、自由な行動を行ったのだろう、それをレイネシアは見たのだろう。

 

「クラスティ様は仰いました。 <<冒険者>>は自由だと。 そして<<冒険者>>は自由だと仰ったのはクラスティ様です、ならば私が直接アキバの街に行って、直接<<冒険者>>達にお願いするのは止めはしないでしょう。 <<冒険者>>は自由なのですから!」

 

 そう――、冒険者というか、俺達は自由なのだ。

 たとえばクエストでも、○○を助けてくださいというクエストは、気に入らなかったら受けないし、受ける義務は無い。

 それを選択するのはその冒険者なのだ。

 レイネシアの場合も同じである、レイネシアのお願いは、聞くか聞かないかは、<<冒険者>>一人一人の意思なのである。

 

「10人でも、15人でも力を貸してくれる『人』を探します。 自由な彼らにお願いするのならば、命令と言う形じゃだめなんです。礼を尽くすのは当たり前なのです。 礼を尽くすのは言葉を飾るという事ではありません、その事は祖父から教えられました。 だから――、だかれこそ私は人として、人に懇願したいと思います!」

 

 口角が上がる気がした。

 

「後は任せて良いか? シロエ君」

「お断りします。そんなもったいない」

「ではキリト君は?」

「残念ながら、仲間達が向かっているので合流をしたいですね」

「……では、ミチタカ殿だ」

 

 クラスティは、レイネシアをエスコートし、バルコニーの方角に走る。

 その後ろにシロエとアカツキ、俺はその後ろからアスナを手を引っ張りながらバルコニーに走った。

 

「アスナワインバーンの笛を!」 

 

 シロエとクラスティの笛の音を聞きながら、アスナもようやく見つけた召喚笛を吹き鳴らし、召喚したワイバーンに飛び乗る。

 

 夜の空に3匹の騎乗竜が飛び出した。

 

 

 アキバの街だけが、街灯などの影響で光り輝いている。

 夜にワイバーンに乗ることが無かったから、夜のアキバを空から見ると言うのは初体験だ。

 

「ねぇキリト君聞いていい?」

「何だ?」

「何で、円卓会議も領主会議も素直に助けて欲しい! 助けてあげる! っていえなかったの?」

「……簡単な話だ、円卓会議は兵を持っていない。 領主会議の連中は、無条件に<<冒険者>>に戦場に出てもらうしかなかった」

「え?」

「円卓会議側から言うと、シロエ達はアキバの上に立つ人間だが、アキバの人たちに命令権があるわけじゃない、それはシロエ達もアキバの街にいる一人の自由な冒険者だから。 もし円卓会議の『命令』と言う形でアキバの皆に助けて欲しいといった所で、反発する意見が出てくる可能性がある。 だから本心はどうかは知らないけど、二つ返事で助けるといえない立場だったんだ」

「えーっと……、SAOの時に私がNPC利用してフィールドボスを倒そうと皆に命令したらキリト君が反発したのと同じような感じ?」

「かなり違うと思うけど、まぁイメージ的には合っているのかもしれない、自由に生きている人たちに、命令するのは反発を生むのは間違いないから、ほらイベントクエストがきても、受ける受けないのはプレイヤーの自由だろ?」

「まぁ、そりゃそうね。 それじゃ領主会議側はなんでお願いが出来なかったの?」

「俺はそっち側じゃないから、憶測になるんだけど、貸しを作りたくなかったという事だと思う。 後あれだろうな、<<大地人>>からしたら<<冒険者>>は無能で報酬さえ出せば、ほいほいとクエストを受注して、戦場を駆ける物だと思ってるからというのもあると思う。 それに……こういう『イベント』には<<冒険者>>は頼まなくても動いてたのは今までのゲームだった時代の話もある。 というのもあるだろうな」

「あぁそっか、今まで何も言わないで駆り続けていたモンスターを、急にやらないようにやったら、領主会議側はビックリしただろうね」

「だからこそ、あの発言だったのだろう、何か大変な事が起きれば今まで<<冒険者>>達はその力を持って、その脅威を払ってきたからな」

 

 無論、他にも色々理由がありそうだが、詳しい事はシロエに聞いて欲しいなと思ったのは内緒である。

 俺が喋ると偏った意見に成りそうだし、シロエのほうが正しい見方をしている気がする。

 眼鏡をキラーンとさせながら、うきうきと語ってくれるだろう。

 

「だったらキリト君!」

「話は後だ、そろそろアキバの街に到着する」

 

 振り返ってまだ疑問が残っているアスナが質問しようとしてくるのを遮り、ワイバーンの操作に集中するように促す。

 アスナはワイバーンを操り、クラスティが着地し、シロエがその後ろに着地した、アスナはその後ろにワイバーンを降ろす。

 

「どうするの?」

「アスナはレイネシア姫のサポートを、多分『いろいろ』忙しくなると思うから!」

「わかったわ!」

「俺は置いてきた、サクヤとエギルに今後の事を話しつつ、恐らく広場で人を集めて演説になると思うから、そのときに合流しよう」

「了解!」

 

 サクヤとエギルには、難しい議題だろうがミチタカさんのサポートに回ってもらうように指示し、もう一人の俺に連絡を付けた。

 

「そっちはどうだ?」

「結構しんどいな、今ログ・ホライズンのミノリが指揮をしていろいろ頑張っているけど、中々しんどいのが現状だ」

「そうか……、明日にはアインクラッドから何人かの援軍がそっちに行くからそれまで持ちこたえてくれ」

「あぁ、わかった――。 それとさ、俺のこの姿いつまで女の子のままなんだ? スキルも全然違うし正直使いにくくて仕方が無いんだが」

「心意の力だから、心意の力で願えば元の姿に戻るよ、けど今はその姿で我慢してくれ、『キリト』が二人も居るなんておかしいからな」

「……わかったよ、っと敵が斥候だ切るぞ!」

「あぁ!」

 

 あっちはあっちでとりあえずは何とかなる――、と思う。

 というか何とかしてもらわないと、ようやくこっちが動き出せるんだ、頑張ってくれ『キリト』

 

 後はタカシとか、ザントリーフ地方に向かっている仲間に連絡をいれていたら、いつの間にか<<冒険者>>がぞくぞくと広場に集まってきている。

 恐らくもう直ぐ、レイネシア姫が言う『お願い』が始まるのだろう。

 

「キリト君!」

「アスナか、どうだった?」

「うん、可愛かったよレイネシア姫、あれなら『お願い』大丈夫じゃないかな?」

「そっか、期待しよう」

 

 シロエが、現状のイベント進行状況、もとい、現在の状況を舞台で説明を開始する。

 今どのようなモンスターが現れて、どんな事態なのか、その説明をするたびにその広場に集まった<<冒険者>>達はその言葉を理解し、対策はどうするべきかと考えているようだ。

 それは――、俺達からすれば当たり前の事だが、恐らくレイネシア姫からすれば間違いない異形の姿に見えたのだろう。

 緊張で引きつっている顔が、驚愕の色を出している事を舞台の下から伺える。

 

「――助けなければならないわけではない。損得で云えば、助ける必要はない。繰り返しますが、助ける必要はありません。しかし、――その上で、聞いていただきたい話があります」

 

 そういうと、クラスティはぽんとレイネシアの背中を押し、一歩前に踏み込ませた。

 するとあらかじめスタンバイしてた、召喚された精霊達が、いっせいにレイネシアを照らす。

 明らかに狼狽していたが、一度の深呼吸で驚いた表情は消え、まっすぐに広場に居る冒険者を見つめていた。

 

 レイネシアが広場に居る冒険者に向かって語りだす。

 自身がクラスティと一緒に居て一週間で気づいた事、思った事をそして、まっすぐに守りたいという気持ちを冒険者の皆に語る。

 

「わたしは臆病で怠惰で、お飾りですけど……。戦場へ……行きます。ですから、それでも良いと思う方は、一緒に来てはくれませんか? あなた方の善意にかけて、自由の名の下に、助けてくれませんか? わたしはわたしの力の限り<<冒険者の自由>>を守りたいと思います……」

 

 その後の静寂、レイネシア自身、どうしていいのかわからないだろう、あの様子だと本当に心に思った事を喋っているだけだろう。

 誠意をこめて、言葉を飾らず、自身の言葉で。

 レイネシアは一歩踏み出し、静かに頭を下げた。

 

「どうか……、よろしくお願いします」

 

 俺はこれから起こる事を予測して、インベントリから鞘と黒い剣を実体化させる。

 そうして、ゆっくりと剣を鞘に納め、キンという剣を鞘に直すときに発生した一つの音が、広場に響く。

 それを合図として、クラスティがギルドマスターを勤めるD.D.Dが武器を突き立てて、音を作っていく、他の<<冒険者>>もそれに習う。

 それが水の波紋のように広がって行き、広場には大きな歓声が響いた。

 

「これより、この街は。――我々の初めての遠征へと出陣する!。出征条件は、レベル40以上。これは〈円卓会議〉からの布告クエストでもあるが、報酬には期待をしないで欲しい。 姫が言った通り、このクエストの報酬はただ一点。 ここに立つ一人の<<大地人>>からの敬意であるっ。 我こそはと思う者は、マイハマへと出発せよ! 遠征の指揮はこのクラスティがとる!」

 

 そりゃ姫からのお願い事のクエストなんて、ゲームじゃ王道の王道、それプラス滅茶苦茶可愛いというおまけ付きだ。

 盛り上がらないわけが無い。

 

「キリト君私達は?」

「俺達はザントリーフ地方で、皆を待つまだ事態の好転はしてないんだ! アスナ、ワイバーンを!」

「わかったわ」

 

 そう、確かに事態はまだ何も変わっていないのだ、勿論事態の好転は目に見えてることではあるが、まだ好転しているわけじゃない。

 しかし、護る所まで手が伸びている、あと少しで護れる筈なんだ。

 茅場……、俺はあのフラクライトの中で誓ったんだ。

 

『アンダーワールドのためにのみ戦う。なぜなら俺は……あの世界の、守護者なのだから』

 

 その障害になるなら茅場、貴様にも剣を向ける。

 だからそのために――、俺はこの剣を抜かせてもらう。

 俺と言う存在を、この世界に呼び出した理由、聞かせてもらうぞ茅場っ!

 

 <<夜空の剣>>を実体化させ、腰に装備し、アスナが召喚したワイバーンに跨った。

 目指すはザントリーフ地方、『キリト』が居る場所である。




かなり簡略化しすぎて焦っている私。
とか言って、コピペはNGなので、かなり改変変えてたりします。
後『キリト』が万能キャラ過ぎて、辛い。

話の内容としては、原作に沿っていますが、
色々と改変しているつもりですが、やっぱり焼きまわしにしか見えない件。
さっさとスキップしてきちんとしてクロス話書きたいけど、ここら辺の話は大事なので、適当にカットしつつ書いてみたり。

次の話からちょっと過去に戻って、女体化キリト『翠』の視点のお話で。
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