ログ・ホライズン ~落ちた浮遊城アインクラッド~ 作:マスカルウィン
右手が痺れから開放されたので投稿。
初めてのダンジョン攻略後何度か挑んでいるが、結果は似たような物だ。
長くて3時間、戦闘回数は潜ってる時間が長くとも1・2戦多いぐらいだ。
「はぁ、疲れた」
ダンジョンのとある一室で壁に寄りかかりながらため息混じりに呟く。
通路での死闘を乗り越えてここまでたどり着いたが、前衛のトウヤに至っては休憩するまでHPの3割を切っていた。
同じく俺もHPバーがイエローゾーンに突入していた。
HP以上に前衛をし続けると言うのは集中力が半端じゃなく削られる。
それもパーティーがパーティーとして機能してない場合は特にだ。
疲労の中トウヤが入り口側に陣取って通路を警戒している以上、出口側の警戒を俺がしないわけにはいかない。
よくよく考えれば、この世界でどうレベル帯のモンスターとの戦闘というのはコレが始めてだったりする。
勿論レベル的にもかなり余裕が有り一人なら負ける要素はないのだが、パーティーとなれば話は別だ。
MMOでいうインスタンスダンジョンはフィールドの敵とステータスが段違いだ。
そのため、パーティーで挑んでいるのだがこのパーティーでは各々力を発揮できずに居た。
さてどうしたものかと考えながらメニューを開くと装備の欄が光っていた。
頭を傾げながら開くと武器に修理マークが付いていた、 慌ててバッグから簡易の砥石を取り出して武器を修復する。
そりゃそうか盾を装備してない守護戦士だからな、剣の負担も結構大きかったんだろう……。
黒い大剣に謝りながら砥石で丁寧に研磨していく。
「ボクらはなんでこんなに弱いんだ!」
魔術師の少年は声を声を荒げながら決して大きな声ではないが、感情を爆発させるように言った。
その問いに完璧な答えではなく中途半端な答えなら用意できる。
連携、パーティーとは何ぞや云々。
けど俺自身この世界でのパーティープレイと問われると完璧に答えれる自信は残念ながらない。
口で言うのは非常に簡単だ。
お互いをお互いのことを知ればいい。
そしてお互いがお互いのことを気を使ってプレイをすればいい、ただそれだけの事。
だが、自身の少なくなっていくHPバーや、仲間のHPバー、敵の姿を見ながらそれだけのことが出来るか? というとそれは俺自身難しい部分がある。
言うのは簡単だ、だが出来るかどうかは間違いなく別の問題なんだ…。
そう思いこんでしまった俺は、先輩プレイヤーとして言わないといけない事柄を自分の内に留めてしまった。
「ひたすら……修行するしかないのか…」
悲痛な呟きと共に座り込んだ若き魔術師。
その後モンスターと接触を2回ほどし戦闘した後に午前中でダンジョンを後にした。
その次の日朝、魔術師であるルディは必死に練習している所を見た。
テントの前でアイテムを広げ、メモを取りながら必死に考えているミノリを見た。
朝すれ違ったトウヤの真剣な眼差しを見た。
五十鈴が皆に気を使っている姿を見た。
すれ違ってるパーティーのために毎朝食事を持って来てくれるセララを見た。
各々一生懸命なんだ、目の前に事に、形は違えどただ目の前の出来事に一生懸命取り組んでる。
確かにそれはすれ違っているのかもしれない、それでも頑張ってる。
みんな必死にやってる、アインクラッドの皆も、もちろんもう一人の『俺』も。
なら俺がここで得るべきことはなんだ?
「あぁ……そうか、俺が今やるべきことは――」
食後の休憩中で話を切り出す。
「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」
「何かなMs.葵?」
「私のスキルビルドについて。 守護剣士だけど盾ないし扱い困ると思うから一度説明させてほしいんだ」
「確かにMs.葵の戦闘スタイルは一度話を聞きたいと思っていた、しかしダンジョンから帰ってきてからもいいのではないか? 今日はボスまでいけるかもしれないしな!」
「確かにそうかもしれないけど――」
「いえ、葵さんの話を聞きましょう、ダンジョンに入っても長くても3時間、それなら午後から入っても大丈夫のはずです」
「わかった、それじゃMs.葵の話を聞こうじゃないか」
盾を持たない守護剣士、例を出したのはD.D.Dのクラスティ。
HP吸収系の両手剣を扱い、盾を持たず敵を粉砕するスキルビルド。
このアバター『葵』はそのビルドに近い形になっている。
敵単体のタウンティングスキルを持ち、攻撃系スキルを数多く所得している。
敵との単体との戦闘を主に置いたスキルビルドで敵の攻撃は剣で防ぐというスタイル。
「つまりMs.葵は単体と戦うのが得意ということか……」
「はい、なので出来ればトウヤに前衛を任せて、トウヤのタウンティングから外れた敵の討伐、遊撃のような事をやらして欲しい」
「つまり俺が敵のパーティー全員の注意を引いたらいいのか」
「しかしMr.トウヤの職業は武士、相手全員の注意を引く技なんて持ってないのではないのか?」
「いや俺にも武士の挑戦というスキルがあって――」
そこから先は俺自身すごく勉強になる時間であった。
他の職業の勉強、どの職業がどんな動きをしたいのかと言うのが勉強になった。
これについてはALO出身の俺たちにはわからない事だ。
俺にとってはこの世界でのパーティープレイの重要性とそのやり方。
初心者チームの皆は連携の仕方という発想自体がなかったのである意味丁度いいタイミングで勉強になった。
次の日。
俺たちは何度目かのダンジョンに挑もうとしていた。
しかし一昨日までの俺たちではない、テントでシュミレーションをして動き方を皆で考えた。
どのような状態でどのように動くか研究し皆で話し合った。
今度のダンジョンはパーティーで挑む、仲間ともに挑むのだ。
ラグランダの杜の入り口で仲間を見て頷き一歩踏み出した。
キリが良いのでちょっと短いので投稿。
次は模造のラグランダの杜の攻略になります。