銅鑼が鳴る。
「さー、始まりました。ここタンジアにおける世紀の対決。タンジアが誇る三つ星レストラン、シー・タンジニャに対抗するは、旅する食堂モンハン食堂。ルールは簡単、よりどちらが客を沸かせる料理を作る事が出来るかどうかです。なんと対戦相手のモンハン食堂はドンドルマからポッケ村まで、ありとあらゆる場所で料理を振る舞ってきたのだとか。我らがシー・タンジニャは開業からタンジアのハンター、いや住人を虜にし続けてきた実績があります。この戦いどうなるか分かりませんね。あ、実況はこの僕、とある通りすがりのギルドナイトがお送りしております。解説には僕の同僚のギルドナイトの女性を二人、両手に花という状態でお送りしますよ。羨ましいですか? 羨ましいでしょう。それでは、どうぞよろしく」
会場に用意された椅子から放たれる、いつ息継ぎをしているのか分からない長い台詞。
タンジアの港。
見晴らしのいい海の資源を中心に栄えるこの街には、周辺の小島を含めた村のハンター達が所属するタンジアギルドと呼ばれるギルドがあります。
そのタンジアギルドと提携を結んで、ギルドの酒場としても街の食堂としても栄えているのが、今私達が居るこの───シー・タンジニャでした。
店のキッチンを会場に、横並びになるモンハン食堂の大将さんとシー・タンジニャのコックさん。
二つのお店は、今激突しようとしている。
「……なんでこんな事になってるのよ」
「……あはは。でも、なんだか楽しそうですね」
街の人達はシー・タンジニャに集まって大盛り上がりでした。対決をツマミに、お昼からお酒を飲んでいる人達も多数います。
さて、なんでこんな事になってるのか。
それはこのタンジアに辿り着いた時に時間を遡るのでした。
◇ ◇ ◇
『menu23……女帝エビのパエリア』
ユクモ村からタンジアまで。
ドボルベルクの襲撃等、それなりにトラブルはありましたがハンターさんの活躍もあり無事到着。
私達は海風の香る街、タンジアに辿り着いたのです。
「大将さん! 凄いですよ、海!」
「んぁ? 海なんてそんな珍しい物でもないだろ」
「そうですか? 私海なんて初めてですけど」
「これから旅を続けてたら、飽きる程見る事になる」
「旅を続けてたら、ですか。ふふ、そうですね」
海を横目に街を進む竜車。心地良い海風に、私もハンターさんも旅の疲れで寝てしまいそうでした。
「……ごめんなさい、私ったら。まだ護衛の途中だったわよね」
「んぁ、流石に街に着いたんだ。もう金を払っても良いくらいだが」
「タンジアはモンスターより怖い奴がウロウロしてるからダメよ。ちゃんとギルドに着くまでは護衛の仕事だわ。あんなに美味しいご飯沢山食べさせて貰ったんだもの、最後までちゃんとやらなきゃ」
それは彼女がG級ハンター故の仕事への責任感なのか───いや、きっと彼女の責任感なんでしょうね。
しかし。
「いや、モンスターより怖い奴ってなんですか!?」
「そうね。単身で古龍を倒せそうな人とか、死ぬ程胡散臭いギルドナイトとか、あとハンターも多ければゴロツキも多いのよここは」
「それ、どっちがモンスターなんでしょうね」
単身で古龍ってなんですか。
いつか聞いた、ドンドルマを巨大な古龍が襲ってきたという話。その時は、百人以上のハンターが動いたとかなんとかという話だった気がするのですが。
「人間が一番怖いって話よ。でも、そうこう言ってる間に着いたみたいね」
「わぁ」
竜車が止まる。
列を作る人々。喧騒。
壁はなく、海風が通り抜けるその雰囲気はまさに海の街の酒場。
私達はタンジアギルドに辿り着いたのでした。
「───ユクモ村からの護衛クエストよ。こっちが依頼人の……えーと、タイショーさん? だっけ」
「大将だ」
「大将さん」
「はい、かしこまりました! 確認しております。クエストおつかれ様でした」
可愛らしい服を着た金髪の受付嬢さんにクエスト達成の報告をするハンターさん。
よくよく考えれば、ツテとはいえG級ハンターさんに護衛クエストをやって貰えるなんて凄い事ですよね。
「討伐モンスターは……ドボルベルク。流石、紫毒姫とも呼ばれるハンターさんなだけありますね! どうですか? タンジアは良い所ですよ。ベルナ村からお引越しなんて」
「突然スカウトするのやめなさい。そういうのはギルドの間でやって。私は別に、まんざらでもないのだけど。龍暦院だって色々あるのよ」
「ですよねー。ところで、この備考について詳しく教えて貰っても良いですか?」
清々しい愛想笑いを見せた受付嬢さんは、クエスト達成の報告用紙を指で突きながらハンターさんにそう問い掛ける。
備考というのは、討伐に当たってハンターさんが気になった事を書いたり書かなかったりする事。
ハンターさんはドボルベルクが何者かに襲われた痕跡がある事が気になって、備考欄にメモをしていました。
「地図出して」
「はい」
「えーと、この辺ね。傷の特徴は爪とか牙で抉られた感じだったわ。ギルドの回収隊がドボルベルクの死体を調べて貰えば分かると思うけれど」
「いえ、ありがとうございました。実はここ数日、同じように何かに襲われたモンスターの目撃情報が多いんですよ。情報提供ありがとうございます」
「参考までに、ギルドは何か掴んでるのかしら?」
ハンターさんがそう聞くと、受付嬢の彼女は「大きな声では言えませんよ」と視線を逸らす。
「G級ハンターの紫毒姫が聞いてるのよ」
「その言い方狡いですよぉ」
「ほら、言いなさい」
「私が言ったって言わないで下さいね? えーと、ティガレックスです。背中に大きな傷がある、手負いのティガレックスの目撃情報があって。もう被害も出てるとかなんとか。けど、ここ数日で話は落ち着いてきたので、もしかしたらもう生きてないかもって話で」
受付嬢さんのそんな話に、私は何処かで聞き覚えが───いや、見覚えがあるような気がして首を傾げました。
流石に勘違いでしょうか。
「ありがとう、助かったわ」
「いえ。あ、この話は御内密に!」
「分かってるわよ。行きましょ」
「あれ? もうクエストは終わりでは?」
「つれないこと言わないでよ。タンジア、初めてなら私が多少なりとも案内してあげるって言ってるのよ。美味しいご飯も食べさせて貰えたし。……そうね、タンジアには有名なレストランがあるのよ。そこに一緒にいかない? 大将さんもどうかしら?」
護衛クエストの依頼人とハンターというだけの関係なのに、ハンターさんは私達をそう言って誘ってくれる。
正直、G級ハンターさんにこんなに良くしてもらえるなんてのは御伽噺だと思っていました。そもそも、私からすればG級ハンターさんが御伽噺のような存在なんですけども。
「行きたいです行きたいです! タイショーさんもせっかくだから行きましょうよ」
「嫌だ」
ハンターさんと私に誘われた大将さんはしかし、珍しく子供みたいな言い方でそっぽを向いてしまいました。いきなりどうしたんですか。
「な、なんでですか? タイショーさん」
「大将だ。あのなぁ、シー・タンジニャなんてのは俺にとって商売敵だぞ」
「あ、そうでした」
我等がモンハン食堂は料理屋さん。そして、私達が誘われたのはタンジアの有名なレストラン───つまり料理屋さんです。
商売敵は言い過ぎかもしれませんが、態々塩を送るなという事でしょうか。
しかし、私達は確かにこのタンジアの外から来た料理屋ですが───それは別にシー・タンジニャを潰す為ではありません。強いて言うならシー・タンジニャの上を行く為。
「て、敵情視察ですよ!」
「んぁ?」
「そうよ。敵情視察。確かに大将さんの料理は美味しかったけど、シー・タンジニャも中々のものよ?」
「バカ言うな。俺の作った飯の方が百倍美味い」
「言い切るわね」
「なんかいつにもましてタイショーさんが意地っ張りですね……。シー・タンジニャと何か訳ありなんですか?」
「んぁ……お前はこう言う時だけ察しが良いんだな」
「はい。良く空気が読めてるのか読めてないのか分からないと言われてました」
私がそう言うと、大将さんは溜息を吐いて目を半開きにしました。
そうしてタイショーさんは、一度視線を件のシー・タンジニャに向けてから口を開く。
「そこのシー・タンジニャってのは、俺が修行した料理屋なんだ」
タンジアギルドに隣接する、三つ星レストランシー・タンジニャ。その場所を指差して、大将さんはそう言いました。
「シー・タンジニャで修行なんて凄いじゃない。どうりで美味しい訳よ」
「初耳です」
「正確には、シー・タンジニャに居た料理アイルーに少しの間教えてもらってただけだがな。その師匠は今モガの村って場所にいるらしいが───問題はここからだ」
そういって、大将さんは見るからに不機嫌な表情を見せる。それはもう、旅の途中お腹が減り過ぎて食材を勝手に食べた私を見るような目付きでした。
怖い。
「俺が師匠に教えてもらっていた時に、師匠にはもう一人弟子が居たんだ。ソイツはその場のノリで客の注文と違う料理を出すような適当な奴だった。俺はソイツが死ぬ程嫌いでな」
「あー、確かにタイショーさんの嫌いそうな人ですね……」
大将さんを一言で表すなら『厳格』という言葉が一番初めに思いつく。注文を間違えよう物なら怒鳴られるなんてのは良くある事だ。
「どれくらい嫌いかと言うと、シー・タンジニャを赤字にさせて潰したいくらい嫌いだ」
「あまりにも多くの人が巻き込まれるので辞めてください」
「……俺はアイツを料理人とは認めない」
うわ、本気ですよこの人。いや、このアイルー。
「思い出したらムカついてきたな。大タル爆弾でも投げ込むか」
「テロ!? 落ち着いて下さいタイショーさん! タンジアに来たのは砂漠に向かって、こんがり肉Gを焼く為ですよ!」
「そういえばその話よ。あの詐欺師に聞いたけど、最終的な目的地は砂漠なのよね? どちらにしても情報収集と移動手段の確保は必要よ。意地張ってないで、ほら行くわよ」
ハンターさんが大将さんの腕を引っ張る。しかし、大将さんはまるで駄々をこねる子供のように動こうとはしませんでした。
「タイショーさん! ほら行きますよ!」
「アイツの飯を食うなら死んだ方がマシだ!!」
「どんだけ嫌いなんですか!?」
「───話は聞かせてもらったぜニャ!!」
ふと聞こえる、第三者の声。
振り向くと、そこには板前姿の一匹のアイルーが立っている。
そんなアイルーを見てサンセーのうんこを踏んだ私を見るような目をしたタイショーさんの反応で、そのアイルーさんが
「ふん、タイショー。久し振りだな! 我が永遠のライバルよニャ!」
「誰がテメェのライバルだ死ね」
辛辣。
「謙遜するな。お前はこの私に匹敵する料理人だニャ」
そう言ってタイショーさんに近付いたアイルーさんは、片目を瞑りながら「我が好敵手よ、私と再び勝負する為に戻ってきてくれたんだな」と両手を広げる。
あー、この人、大将さんが嫌いというか苦手なタイプの人だ。
「思い出すな、伝説の二百番勝負。百対百で引き分けた、あの熱き戦い!」
「伝説の二百番勝負ですか?」
「ん? 君は?」
「あ、私はモンハン食堂で働かせて頂いてます。ウェイトレス兼ハン───」
「俺の奴隷だ」
酷い。
「なるほど奴隷か」
納得しないで。
「あんた奴隷だったの……」
「違います。……多分」
違うと思いたい。
「ところで、あなたは?」
「おっと申し遅れたな。たとえ奴隷だとしても、我がライバルの側近だ。挨拶はしておこう。私の名はシー・タンジニャが誇る一流コック、テンチョー。いずれこのシー・タンジニャの店主に上り詰める男だ!」
指を一本天に向けて差し、そう名乗るアイルーさん。
なんと、店長さんでした。店主を目指す、店長さんらしいです。
「店長さんでしたか。シー・タンジニャの店長さんと知り合いなんて、大将さんは凄いですね」
「テンチョーだ! 店長ではない!!」
「店長さんですよね?」
「テンチョーだ!」
「店長さんですね」
「コイツ頭が悪いから何を言っても無駄だぞ」
何か凄いバカにされた気がしました。多分気の所為でしょう。
「さぁ、そんな訳で勝負だ! タイショー、私の料理が君の料理より優れているという事を教えてあげるよニャ」
「んぁ……悪いが俺はお前なんかと勝負をする為にここに来たんじゃない」
勝負を挑んできた店長さんに、大将さんはいつもの冷静な口調でそう返事をしました。
彼の事を思い出してイライラするくらい嫌いで、シー・タンジニャを潰したいとまで言っていたのは流石に冗談だったようです。
「俺はこんがり肉G以外に興味はない。ここに来たのも、その手掛かりを探す為だ」
「ふん、まだそんな物に拘っていたんだニャ。呆れたよ、私は君を買い被っていたようだ。……それとも、私との勝負が怖くて逃げるのかニャ」
「は?」
その時、何が千切れてはいけない物が千切れた音がしました。
「誰がテメェ程度から逃げるだと? 調子に乗るのも良い加減にしろポンコツ料理人が!! テメェを捌いで刺身にしてやる!!」
「わーーー!! タイショーさん落ち着いて下さい!! 流石に包丁はダメです!! 人に向けてはいけません!!」
「コイツは人じゃないから良い!!」
「確かにアイルーですけど!! いや、もしかして食材にしようとしてます!? ダメですよ!! ギルドナイトに捕まりますよ!?」
「───はーい、どうもー。ギルドナイトでーす。お呼びですか」
「うわ、面倒臭い奴に見付かったわね」
なんて話していたら、更に第三者が現れる。
それもその筈で、ここはシー・タンジニャとタンジアギルドが隣接する場所でした。会話は色んな人にダダ漏れです。
「争い事は困りますねぇ。いくらアイルーとはいえ、僕も仕事なので勘弁出来ない訳ですよ。……ほら、アイルーの血なんて見たくないでしょ。ソレ、しまってしまって」
ベージュ色のスーツと帽子。妙に胡散臭い表情の男の人。その姿を見るに、噂をすればのギルドナイト───という奴でした。
勘弁してください。
「───チッ」
「いやー、血が流れる前で良かった良かった。所でお二人さんと猫二人、揉め事の原因はなんですか? 宜しければ僕が話を聞きますよ。そうそう、あっちの影とかどうです? 涼しい場所でご飯でも食べながら話でも───」
「んぁ、悪いなギルドナイトさんよ。ちょいと食材の取り合いになっちまってな」
普段の冷静は態度に戻った大将さんは、嫌いだと言っていた店長さんの肩を抱いてこう続ける。
「コイツと料理対決をしようと思っててな、食材を選んでただけなんだ。勘弁してくれや」
「タイショー、君はさっき私と対決はしないと───ムグッ」
「ほー、料理対決ですか。それは中々面白そうですね。シー・タンジニャのコックと旅の料理人さん。これはちょっと盛り上がりそうですよ。あ、そうだ。なんならその勝負、ギルドでパーっとやっちゃうなんてどうですか?」
「は?」
「え?」
ギルドナイトさんの提案に困惑する二人。
「ちょうど暇だったんですよね。何か面白そうなネタが見付かって良かったですよ」
「えーと、ギルドでパーって。そんな簡単に話が通ったりする物なんですか?」
「ハンターって基本暇そうにしてますし、多分酒飲んで楽しめればそれで盛り上がる脳筋牙獣種ばっかりでしょ。僕としては盛り上がってくれればギルドにお金が入って好都合って話ですよ」
何故か無茶苦茶な論理を繰り出して、勝手に話を進めていくギルドナイトさん。
そして話は思っていたよりも膨れ上がり───
「───あ、実況はこの僕、とある通りすがりのギルドナイトがお送りしてます。解説には僕の同僚のギルドナイトの女性を二人、両手に花という状態でお送りしますよ。羨ましいですか? 羨ましいでしょう。それでは、どうぞよろしく」
───お話は冒頭に。
「……なんでこんな事になってるのよ」
「……あはは。でも、なんだか楽しそうですね」
「アレのやる事だから、何か裏があるんでしょうけどね。大方件のティガレックスの情報が欲しいから、自然とハンターが集まりそうな事をやってるって感じかしら」
「あのギルドナイトさんとお知り合いなんですか?」
「ちょっとね。顔からしてそうだけど、存在の半分が胡散臭い奴よ。とりあえず信用しない事をオススメするわ」
酷い言われようですね。
そんな訳で。
タンジアギルドとシー・タンジニャまで巻き込んで始まった大将さんと店長さんの料理対決。
会場では二人がせっせかと料理を進め、最初に料理を完成させたのは店長さんでした。
「───ふん、完成したぞ。女帝エビのパエリアだ!!」
巨大なフライパンを何個も使い、数十人分の料理を完成させる店長さん。
勝負の内容は至って簡単です。どちらがよりお客さんを沸かせる事が出来るかどうか。
その為、このタンジアギルドとシー・タンジニャに集まった人々が全員食べられる量の料理を作らなければいけません。それだけでも大変な勝負でした。
店長さんが作ったのは、なんと人の子供が入りそうな大きさのフライパン四つ分のパエリア。
普段からお客さんの沢山来るシー・タンジニャのキッチンを捌いている料理人というのは伊達ではありません。
「さぁ、召し上がれ」
一人一人に充分な量が乗った皿が渡される。次回の胡散臭いギルドナイトさんやその仲間のギルドナイトさんを含め、料理は全員に程良く行き渡りました。
作り上げた量も完璧。大将さんの言っていた「適当な奴」という言葉はまるで嘘のようです。
お皿に盛られた巨大なエビのパエリア。しっかりと焼き目の付いたプリップリのエビは、その見た目だけでも食欲が抑えきれません。
「うひゃー、これは美味しそうですね。解説のとあるギルドナイトさん、この料理はどうですか?」
「……突然呼ばれたと思ったら何コレ。いや、どうと言われても、美味しそうとしか言えないよ」
「先輩、そんな感想では会場は盛り上がりませんよ。ここは嘘でも過剰な表現で、わー美味しい、とか言うべきです」
司会の左右で黒いスーツと赤いスーツを着た二人のギルドナイトの方がとてつもなく微妙な感想を口にしていました。
ハンターさんが言うには、何かギルド側の企みがあるようですが、ギルドナイトの仕事って大変なんですね。
「……はぁ、二人にリアクションを求めた僕がバカでした。良いですか? リアクションってのはこうやるんですよ」
そう言いながら、ベージュのスーツのギルドナイトさんはパエリアを一口頬張る。そして、次の瞬間───
「うまーーーーーーーい!!!」
何故か立ちがったギルドナイトさんのスーツが弾け飛びました。なんで。
「え!? 何!? 何それ!?」
「先輩が壊れた……」
「美味し過ぎてスーツが弾けてしまいました。流石、シー・タンジニャのキッチンアイルーですね」
スーツが弾けてシャツだけになったギルドナイトさんは、満面の笑みでリアクションをして席に座る。
「……今のなんですか」
「……茶番よ。良いから私達も食べましょ」
「そうですね。……あ、本当に美味しい」
プリップリのエビと程良い米の食感に香り。全てがバランス良く、やはり適当なんて言葉は似合わない美味しい料理がそこにはありました。
沢山の人に配っているのに、量だって申し分ない。
この料理に大将さんはどう対抗するつもりなのでしょうか。
「───さぁ、こっちも出来たぞ」
───でも、きっと大将さんは勝ちます。
〜本日のレシピ〜
『女帝エビのパエリア(一人分)』
・女帝エビ ……3匹〜5匹
・以下シー・タンジニャ企業秘密につき非公開
集まった人達で均等に分けて美味しく頂きました!