ふと何故か、ある日の事を思い出しました。
「───竜車を直してるんですか?」
「んぁ? あぁ、さっき朽木かなんかに当たったらしくてな」
旅の途中、竜車の補修をする大将さん。
「私も手伝いますよ!」
私がモンハン食堂で働き始めてから、長い間お世話になっていた竜車です。愛着が湧かない訳がありませんでした。
これからもきっと、このお店にお世話になるのだから───
「いや、お前は逆に壊しそうだから非常食に飯でもやってろ」
「ズゴー!」
───だから多分、洞窟の反対側でバラバラになっていた竜車を見たせいで、私はサンセーや竜車の事が心配だったのだと思います。
少しだけ早く歩いて、視界に光が映りました。
◇ ◇ ◇
『menu27……非常食』
視界に見えたいつも通りの光景に、私は安心して溜息を吐く。
雪山に住むアプトノスの大移動。
冬を越す為に栄養を沢山溜め込んだアプトノスの肉を使ってこんがり肉Gを作るのが、私達が砂漠に来た目的でした。
しかし、丸一日探してもアプトノスは見付からず───夜を越す為に見付けた洞窟の裏側で私達が見付けたのは無惨にも破壊された竜車だったのです。
「サンセー! 無事だったんですね、よしよし」
大将さんは辺りを見て来ると言って、洞窟の外を歩いて行きました。
私はサンセーが心配で真っ直ぐに戻って来たのですが、竜車もサンセーも無事なようで安心します。
「しかし、どうしましょうか」
サンセーの頭を撫でると、サンセーは目を細めて口を大きく開きました。もう夜ですが、夜に動くモンスターも居ます。
あの竜車が襲われたのは比較的近い時間でしょうし、いつここがあの竜車を襲ったモンスターに襲われるか分かりません。
しかし、竜車もサンセーも洞窟の中には入らないので私はどうしたものかと頭を悩ませました。
「大将さんは捨てて良いなんて言いましたけど……」
竜車とその隣で寝るサンセーに視線を送る。
サンセーは勿論、お店である竜車も私にとっては思い入れがあり、もしもの時に見捨てるなんて事はしたくない。
けれど私はドスゲネポスなんかが来ただけでもサンセーを守れるかどうかという実力。
こんな事なら大将さんにも洞窟について来て貰って、一緒に帰って来れば良かった。
「……でも、今何かが出来るのは私しかいません! 竜車もサンセーも私が守ります!」
貨物車から久し振りに自分の
「寒い、帰って良いですか? サンセー」
私の決意は瞬き一回分も持ちませんでした。サンセー目を細めて鼻先で私の頭を小突く。
「冗談ですよ、あはは……。寒い」
何事もなければそれで良い。
確かにそうですし、私が居た所で気休めにすらならないかもしれません。
それでもここに居たいのは、私が怖がりで寂しがり屋で心配性だから。自分で言っておいてなんですが、どうしようもない奴でした。
「……何も出来ない、か」
その気持ちは吹っ切れた筈なのに、いざ本当に何も出来ないとなると胸が痛くなる。
もし今あの竜車を襲ったモンスターが来たら───そんな不安でいっぱいになって、何も出来ないくせに何かしてないと落ち着かない。
「大将さん、早く帰って来てくれませんかね……」
そんな願いを口にした直後でした。
「大将さ───」
砂を蹴る音がして、私は勢いよく立ち上がる。
大将さんが戻って来てくれたものだと思って声を上げたその先に居たのは、確かに大将さんの毛並みと同じ───赤でした。
「───ん、じゃ……ない」
全身から噴き出す鮮血。
興奮して浮き出た血管から血を垂れ流しながら、強靭な顎を開いて鋭い牙を見せる
巨体を支える四肢は、それ一つだけで人間の身体の数倍もある。
前脚の特徴的な飛膜は、飛竜の祖先の姿を残しているのだと誰かが言っていたのを思い出しました。
轟竜───ティガレックス。
「……なんで、あなたが」
驚いて目を丸くする。
突如現れたティガレックスの背中には大きく抉られたような傷跡が残っていました。
そして右前脚についている傷にも私は見覚えがある。
この砂漠で、そして旅先の雪山で。
私と大将さんを数度に渡って襲って来たティガレックスと同個体。
「う、うわぁ!?」
ティガレックスが私の質問に答える訳もなく、その血走った瞳は無意識に武器を構えた私に向けられました。
一歩。
それだけで人の身長よりも長い距離を潰す巨大な生き物。それがモンスター。
瞬き一回分の時間で、その大顎は私の眼前に迫ってくる。
「きゃ───」
思わず目を瞑った。
死んだかと思った数瞬。耳元で聞こえた衝撃音に、私はすぐに瞼を開く。
「サンセー!?」
横転するティガレックス。私の目の前で息を荒げてティガレックスを睨むサンセー。
体当たりでもしてくれたのでしょうか。まさかサンセーに守られる時がくるなんて。というかサンセー、強い。
「そのまま撃退出来ちゃったりしません!?」
私の声に応えるように、サンセーは後ろ足で立ってティガレックスを踏みつけようとしました。
こんなに頼もしいアプトノスを私はかつて知りませんが。
「よし、頑張れサン───」
───しかし現実は非常です。
起き上がるティガレックス。その剛腕の一振りで、サンセーは砂の大地を転がって洞窟の出入り口に激突しました。
起き上がろうとするサンセーですが、ティガレックスは直ぐに地面を蹴ってサンセーを踏み付ける。
鋭い爪が肉を割いて、ティガレックスは涎を垂らしながらその大顎をサンセーの首元で開いた。
私は気が付いたら動いていて、自分でもビックリするような大声を上げながらハンマーを振り上げる。
「サンセーを食べちゃダメです!!」
腕を何回も揺さぶられるような感覚。
自分の身体より大きなティガレックスの頭をハンマーで殴って、意識外からの攻撃だったからかティガレックスは大きく怯んでサンセーと私から距離を取ってくれました。
「サンセー! 大丈夫ですか? サンセー!」
私は脇目も振らずにサンセーの顔を覗き込む。
お腹はティガレックスの爪で切り裂かれて、血が沢山出ていました。
大きく膨らんで、また萎んで、呼吸は荒々しくて苦しそうな表情をしている。
「わ、私のせいで……」
私がもっと何か出来ていたら。サンセーがこんな大怪我をする事はなかったかもしれない。
「……っ」
武器を構えて、私はティガレックスを睨み付けました。
これ以上サンセーには爪一本触れさせません。
「大丈夫ですよ、私が守りますからね……!」
なんの根拠も自信もない。
昔からそれで上手くいかなかったり上手くいったり、別にそれで良いと適当な日々を過ごして来ましたが、今だけはなんでも良いから上手く行ってくださいと神様に祈るばかりです。
「───ちょ、そっちもダメですよ!」
さっきの一撃が効いたのか。
私を警戒しているらしいティガレックスは、別の獲物───食材の乗っている貨物車に視線を向けました。
貨物車には大将さんの商売道具である調理器具やお店の備品も積まれています。踏み潰されたりしたら大変。
真っ直ぐに貨物車に向かっていくティガレックスの背後から近寄って、私は思いっ切り力を貯めたハンマーを後脚に叩き付けました。
ティガレックスは悲鳴を上げて私を睨みます。ここでようやく自分が不相応の態度を取っている事に気が付きました。
「……あ、いや……その」
攻撃したは良いけれど、その後の事を考えていません。
逃げる? どこに?
もう一度攻撃する? どうやって?
何かを考える前に、私の身体は空に浮かんで地面に叩き付けられる。
「カッ───ちょ、ぁ……」
死んだ。
何をされたかすら分からず、激痛に視界が揺らぐ。
それでも目を開かないといけないと、本能だけで身体を動かした先に視界に入って来たのは、片腕を持ち上げて今から振り下ろそうとしていたティガレックスの姿でした。
潰されるか、その爪に切り裂かれるか。
どのみちまともな死に方ではない事を覚悟して、全身の穴という穴から情けない物を漏らした直後の事。
「───だから捨てて良いって言っただろバカが!!」
ティガレックスの大きな頭に、小さな身体が包丁を持って斬りかかる。
調理用の包丁ではモンスターの甲殻を切る事は出来ませんが、大将さんはそれを分かっていてティガレックスが開いた口の歯茎に狙いを定めてそれを切り裂いた。
悲鳴が上がって、仰反るティガレックスを蹴り飛ばしながら大将さんは私の身体を起き上がらせる。
「た、大将さん……」
「俺は洞窟に戻れと言った筈だ……」
「で、でも……!」
「んぁ、お前はそういう奴だよな。……非常食は?」
私からハンマーを奪いながらそう言う大将さんに、私は「お腹に怪我してて……」と答えました。
大将さんは舌打ちしながら、ティガレックスを睨んでこう続ける。
「俺かコイツに食われたくなけりゃ逃げろ非常食!!」
「どっちにも食べられるんですね……!!」
大将さんのあまりにも酷くて優しい言葉に、サンセーは立ち上がって全速力で何処かに走り去ってしまいました。
追いかけようとするティガレックスの前に立ってハンマーを構える大将さんは、私に「これで良いか?」と短く問い掛ける。
「は、はい!」
サンセーは大切な友達だから、もしこれが最後の別れになってしまったとしても。今目の前で殺されてしまうよりも遥かにマシだと思いました。
「サンセー、強く生きてくださいね……」
もし無事に生き残ったら、雪山から降りて来たという群れに合流出来たりするんでしょうか。
去り際、少し振り向いたサンセーの顔が頭から離れない。
いや、今はもっと他の事を考えないといけません。
「非常食なんて食わせておけば良いのに、お前は……良い奴だな」
「な、なんですか。ていうか、酷いですよ大将さん。サンセーは大切な仲間なのに」
「大切なヒジョウショク、だな。あぁ」
全く大将さんは大将さんです。
「アイツが逃げ切れるだけの時間を作る。お前は洞窟の中にでも隠れてろ」
「え、そのハンマーで戦うんですか? それ人間用ですよ」
私のハンマーを持って言う大将さんに、私は大将さんとハンマーを見比べながらそう言いました。
ハンマーは人間の私がなんとか持てる重量の物です。
その大きさだけでも大将さんよりも大きいのに、そんな物で大将さんはどうするつもりなのでしょうか。
「これよりマシだろ」
そう言って、大将さんは自前の包丁をティガレックスに投げ付ける。
怯んで首を振っていたティガレックスの甲殻に弾かれる包丁。ティガレックスはそれとは関係なしに、鬼のような表情で私達を睨みました。
許して。
「良いからお前は洞窟の中にいろ。邪魔だ」
「は、はい……」
私に出来る事は何もない。
そんな事は分かっているので、私は素直に大将さんの言う通り洞窟に向かって走る。
そんな私を追い掛けるように地面を蹴ったティガレックスに向けて、大将さんはハンマーを投げ付けました。
投げられたハンマーはティガレックスの頭に直撃して、体制を崩したティガレックスは再び横転する。
これがハンマー投げですか。
「な、投げるんですね……」
洞窟の中に逃げ込んで、私は出入り口から大将さんの様子を伺いました。
ティガレックスは私を見失ってしまったのか、その血走った瞳を大将さんだけに向けます。
血だらけの身体。
ディアブロスを襲ったのはこのティガレックスなのでしょうか。となると、やはり洞窟の反対側にあった竜車を襲ったのもティガレックス。
ティガレックスは元々乾燥地帯に住むモンスターなので、砂漠で出逢うのはおかしな話ではないですが、あのティガレックスとは妙な縁がありました。
それは、大将さんも感じていたようです。
「んぁ……お前もしつこい奴だな。悪いが、モンハン食堂は
「え、モンハン食堂ってそういう意味だったんですか」
正直よく分かっていませんでした。
そんな話をティガレックスが理解する訳もなく、大将さんを踏み潰さんと地面を蹴るティガレックス。
砂埃を巻き上げながら、暴走するように走るティガレックスの突進を大将さんは身軽な身体で簡単に交わしてみせる。
元G級ハンターのオトモアイルーは伊達ではありません。
普通に攻撃を交わすだけなら、マトモな武器がなくても大将さんの心配はしなくて良い。
問題は竜車の方で、流石の大将さんもティガレックスの攻撃を止める事は簡単ではありませんでした。
もし竜車に攻撃されたら、その時はもう私達は見ている事しか出来ません。
サンセーが助かっただけでも、良かったと考えた方が良いのでしょう。
私は
──邪魔だ──
ふと、大将さんのそんな言葉が脳裏を過ぎる。
「……そう、ですよね」
私が居ても何も出来ない。今はただ、大将さんを応援する事しか出来ませんでした。
そして私が何もしなくても、大将さんはティガレックス相手に一歩も引かない戦いを繰り広げる。
突進を交わし、大顎や剛腕を交わし、ティガレックスが見せた隙に大将さんは再び私のハンマーを拾って投げ付けました。
遂にティガレックスは諦めたのか、大将さんに背中を向けて───竜車にその視線を向ける。
「竜車が───」
「んぁ、俺もまた作り直すのは面倒だからな……あんまり俺達を困らせるんじゃ───」
再びハンマーを拾い、それを投げようとする大将さん。
───しかし、竜車を見ていた筈のティガレックスはそんな大将さんに向かってUターンしてきていて。
「───何!?」
ハンマーを投げようとしていた大将さんは、僅かに回避行動が遅れてしまいました。
身体を投げ出すように突進を交わそうとするも、ティガレックスの右翼に引っ掛けられた大将さんは砂を巻き上げながら地面を転がる。
「た、大将さん……!」
飛び出そうとして、私の身体は固まってしまいました。
私が行って何になるのでしょうか。私に何が出来るというのでしょうか。
──もし大将さんがこんがり肉を作り上げた時、クーちゃんどう貢献したかが大事だって。きっと、クーちゃんなら大将さんの力になれると思うなぁ──
ふと、友人のCの言葉を思い出す。
──それを見つけるのが、クーちゃんが大将さんと一緒に居る間に考える事だよ──
何が出来るというのでしょうじゃない、何が出来るのかを考えましょうよ。
「……っ」
「大将さん……!!」
「バカ! 来るな!!」
大将さんを踏み潰さんと前脚を持ち上げるティガレックス。私は飛び込むようにして大将さんを抱き上げて───ティガレックスが砂の大地を踏みつけた衝撃で地面を転がりました。
「……っぅ、ぉわぁぁ!?」
大将さんを抱き抱えたまま身体を持ち上げると、追撃に来たティガレックスの血走った瞳が視界に映る。
それはもう大切にしていた花瓶を割られたおばあちゃんのような顔をしていました。
私は泣き喚きながら洞窟の小さな入り口に飛び込みます。
そしてなんとか無事に洞窟な中へ逃げ込んだ私の背後で、ティガレックスは壁にぶつかって轟音を立てました。
洞窟が崩れて出入り口が塞がる、なんて恐ろしい事を考えましたが今はそれどころではないです。
「だ、大丈夫ですか? 大将さん」
「無茶しやがって、バカが」
大将さんに言われなくない。
「んぁ……まぁ、助かった」
「大将さ───ひぃ!?」
洞窟に走る衝撃。
ティガレックスはまだ諦めていないのか、洞窟の出入り口に何度も体当たりをしかけて来ました。
「こ、この洞窟崩れたりしませんよね?」
「さぁ」
天井から降ってくる砂埃。
恐ろしくなって震えていると、突然背後で凄い音がして振り返る。
瓦礫が崩れるような音。
振り返った先に見えたのは、洞窟の奥の岩盤が崩れて行き止まりになった壁でした。
「崩れたな」
「冷静に言わないでください」
サンセーが逃げる時間だけ稼いだら、洞窟の奥から反対側の出入り口に向かえば良い。
そんな事を考えていたのですが───その目論見は完全に途絶えたようです。
「ど、どうしましょう」
「とりあえず時間は稼いだ。後は知らん。幸い正面に出入り口が残ってるからな。……ティガレックスが諦めたら、ここを出て近くの村に行く」
そう言いながら、大将さんは地面に横になりました。どうやら本当にティガレックスが諦めてくれるまで待っているつもりのようです。
ふと大将さんの身体に視線を向けると、赤い体毛に紛れて左足から出血しているのが見えました。
洞窟の中だから逃げ込んだ直後は見えなかったんですが、まだ血も止まっていなくて見ているだけで痛そうです。
「た、大将さん……怪我して……」
「んぁ、こんくらい平気だ」
「そ、そんな訳ないでしょ!?」
血は止まらずに、寝転んだ大将さんの足元に小さな水溜りが出来ていました。
私は急いで自分のスカートを破って、手拭いを作る。
「何してんだお前」
「ちゃんと止血しないとダメですよ……!」
作った手拭いを大将さんの傷口に当てると、大将さんは少しだけ表情を歪めました。やっぱり痛いんじゃないんですか。
「余計な事───」
「……何も出来なくて、ごめんなさい」
私がそう言うと、大将さんは目を細めて黙り込む。結局私は何も出来ませんでした。
私がもっと強かったら、ティガレックスを撃退する為に一緒に戦えたかもしれないのに。
「お前───」
「あ、あの! 私! ちょっと外を覗いて見ますね! なんだか音も止んだので」
少しすると流石にティガレックスも諦めたのか、洞窟へ体当たりをする音と衝撃は途絶える。
私は小さな出入り口に向かって、そこから外を覗き込みました。
「……竜車が」
ティガレックスは私達を諦めて、竜車を襲ったのでしょう。
踏みつけられたのかバラバラになった竜車を見て、胸が痛くなりました。思い出というのはこんなにも簡単に壊れてしまう物なんですね。
「でも、とりあえずティガレックスは───ぁぁあああ!!」
突然視界に入り込むティガレックス。空から降って来たように見えましたが、多分洞窟の上の部分にでも居たのでしょう。
私が本能だけで後ろに飛び退くと、今さっきまで私が居た場所の空気がティガレックスの大顎に飲み込まれました。
私は腰が抜けて、這いずるように大将さんの元に戻ります。
「し、死ぬかと思った……」
「お前はここで黙って座ってろ」
大将さんはそう言うと、立ち上がって洞窟の外へと向かおうとしました。
しかし、やはり傷が深いのか彼はその場に倒れ込んでしまいます。
「大将さん!」
「……んぁ、しくじったな。……とりあえず、アレが諦めるまでここで待ってるしかない」
頭を抱えて倒れ込む大将さん。
幸い岩盤は丈夫なようで、その後ティガレックスが何度も体当たりをしてもこれ以上崩れる事はありませんでした。
背後を塞がれたのは問題しかありませんが、ティガレックスが諦めてくれれば目の前の出口から出るだけです。
「……お腹、減りました」
「……お前、こんな時でも食いしん坊なんだな」
「……すいません」
「ほれ、非常食」
「サンセーは食べませんよ!」
「干し生肉と携帯食料だバカ。そんなにないから、大事に食え。長期戦になるかもしれないからな」
少し経っても、洞窟の外からティガレックスの吐息がまだ聞こえて来ました。
「大将さんも食べます?」
「要らん」
私は干し生肉を齧りながら、洞窟の出入り口から差し込む光が夜空の星の光ではなく日の光になっているのに気がつきます。
きっと、ここから出て竜車を治して、またモンハン食堂を続けられますよね。
そう思いながら、私は凍える身体を抱いて瞳を閉じるのでした。
〜本日のレシピ〜
『非常食』
・干し何 ……二日分
・携帯食料 ……三日分
来月29日に28話、30日に29話を更新してこの作品は完結になります。もう暫くの間だけお付き合い下さいませ。
読了ありがとうございました。