モンハン食堂【完結】   作:皇我リキ

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menu29……こんがり肉G

 ご飯を食べるとスタミナが増えます。

 

 普通の状態が百だとすると、お腹いっぱいこんがり肉を食べると百五十くらい。

 

 そして狩場で時間が経つとお腹が減る訳で、そうすると走れなくなったりハンマーで力を溜めていられる時間が減ったり。

 とにかくご飯は狩りにおいて───ハンターのクエストにおいて、とても大切なものなのでした。

 

 

 だからという訳ではなく、私はご飯を食べるのが大好きです。

 

 誰かと話しながら、誰かの話を聞きながら、そうして食べるご飯は栄養とかスタミナとか関係なく、ただただ楽しい時間だから。

 

 

 

 だから私はこれからも───

 

 

「───死ぬ!! 死ぬぅ!!」

「───良いから走れぇ!! 生きて帰ってモンハン食堂を続けるんだろうがぁ!!」

 ───私はこれからも、モンハン食堂のウェイトレスだ。

 

 

「逆になんでここまでしつこく追ってくるんですかこのティガレックス!! 私、このティガレックスのご飯でも盗んだんですか!?」

「飯取られてここまでしつこくなるのはお前くらいだ食いしん坊! 良いから黙って走れ!」

「いやいや、この前タイショーさんも私がつまみ食いしたらこんな感じで追って来ましたよ!」

「それは普通にお前が悪いだろ馬鹿!!!」

 そんな事はない。

 

「そろそろスタミナ切れますよ!! 本当ですよ!! ご飯食べないとヤバいです!!」

「さっき洞窟で食ったろ!!」

 私と大将さんは今、砂漠でティガレックスと追い掛けっこをしています。勿論追いかけて来るのがティガレックス。

 

 

 砂漠でティガレックスに襲われ、洞窟に閉じ込められて数日。

 私達はなんとか食材を手に入れて、洞窟を抜け出す事にしました。

 

 大将さんの怪我は思っていたよりも大丈夫そうで、走って逃げる事にとくに支障はありません。

 生焼けですがお肉も食べたので、スタミナも良し。後はティガレックスから逃げ切るだけなのですが───ティガレックスは私達を諦める気が微塵もなさそうです。

 

 

「このまま近くの村まで行くとしたら、このティガレックスも連れて行っちゃう事になりません!?」

「その時はその時だ! その村のハンターになんとかしてもらう!」

「大将さんはやっぱり狩りはやらないんですか?」

 誰かが傷付くのを見るのが嫌な大将さん。やっぱり、狩りの現場には戻らないのかと思ったのですが───大将さんはこう口を開きました。

 

「戦いたくても武器がないだろ!」

「確かに!」

 何もかも置いて来て逃げてますからね。私の武器すらありません。手に持ってる荷物といえば食べた生焼け肉の骨です。

 

 

 モンハン食堂の竜車や貨物車に乗っていた物も全て、壊されてしまいましたし持ってくる事も出来ませんでした。

 もし無事に帰る事が出来ても、再開する事は出来るのでしょうか。

 

 それでも今は、ひたすら真っ直ぐ前に走ります。モンハン食堂を終わらせない為に。

 

 

「武器があったら戦うんですか?」

「んぁ、そうだな……。それも悪くないかもしれねぇ。お前、俺と一緒にハンターやるか?」

「え、急になんですか?」

「これで俺達文無しだからな。金がいるだろ」

「あ、確かに」

 誰かが傷付くのが怖かった大将さん。けれど、誰かと一緒に食べるご飯の美味しさに気が付いた大将さんは考え方が変わったのかもしれません。

 

 

「お前と飯食って、飯出して、狩りに行く。……それも良いかもなって、今思ってる」

「タイショーさん……」

「大将だ」

「はい! そうですね!」

 私はモンハン食堂のウェイトレスである前に、ハンターだ。

 

 護衛でも食材調達でも、大将さんとモンハン食堂の為ならなんでもします。

 そこに大将さんが居たら、とても楽しそうじゃないですか。

 

 

「それじゃ、そろそろ一狩りいっておきますか!」

「んぁ? おい食いしん坊、無理は辞めろ!」

「だってこのまま逃げても拉致が開かな───ぁぁぁああああ!! やっぱ無理!!!」

「馬鹿!!!」

 振り向いてティガレックスに立ち向かおうとしますが、よく考えなくても今の私に何か出来る訳もありません。

 このまま逃げて、逃げて逃げて。逃げるしか出来ない───そう思ったその時でした。

 

 

「───伏せろ!!」

 大将さんではない、男の人の声。

 

 空から聞こえて来たようなそんな声に反射的に従って、私は大将さんを抱えるようにして地面を転がります。

 

 

 刹那。

 背後で爆発。

 

 唖然とする私達の前に、一人の狩人が現れました。

 

 

 蒼火竜と呼ばれるモンスターの素材を使った防具にライトボウガン。

 片腕が見当たらない、隻腕で銀髪のハンター。

 

 辺り一面砂の大地の砂漠で、どこから現れたのかすら分からないそのハンターさんは振り向きながらこう口を開く。

 

 

「ここから先に真っ直ぐ走れば人が居る筈だ。もう少しの辛抱だから頑張れ」

「あ、貴方は?」

「通りすがりの……ハンターだ、な。俺の事は気にするな」

 いや通りすがりのハンターってなんですか。とてつもなく気になるんですけど。

 

「んぁ、アンタにティガレックスを任せて良いって事か?」

「この先の村にいるあんたらの友人ってのに頼まれてな。ここは任せてもらって良い」

 そう言うとハンターさんは片手でライトボウガンを構え、砂埃の中でその眼光を光らせるティガレックスに向き直りました。

 

 

「友人……?」

 はて、私の友人なんて一人しか居ない訳ですが。大将さんの友人でしょうか。

 

「この例は必ずする。いつかウチの店に来てくれ」

 そう言って、大将さんは私の手を掴んで走り出す。

 

 

「助かった……んですかね?」

「そうだな。んぁ……アレは───」

 背後でティガレックスの咆哮が轟く中、私達は真っ直ぐ走りました。ご飯も食べてスタミナはある。

 

 私達はまだ、立ち止まらない。

 

 その先に居たのは───

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

『menu29……こんがり肉G』

 

 

 とあるお客さんのお話によれば、そのお店は唐突になんの前触れもなく村に現れたとの事でした。

 それもその筈で、このモンハン食堂は旅する食堂。自由気ままにどんな場所でも、お客さんさえ居れば開店します。

 

 時には砂漠のど真ん中、山の山頂。

 ハンターが狩りをする筈の狩場等々、それはもう文字通りどこでもお店を開くのがこのモンハン食堂。

 

 

「───見えて来ましたよ、タイショーさん!」

「よくもこの一面水しかない景色をずっと見てたなお前」

「暇過ぎてむしろ海を見る事以外にやる事がなかったんです」

「んぁ……」

 揺れる船の上で私達はそんな会話をしていました。

 私達は今、船に乗って海を渡っている所です。

 

「あれが孤島───タイショーさんのお師匠さんが居るっていう、モガの村ですか?」

「んぁ、そうだな。あの時助けてくれたハンターもあそこに住んでるらしい」

 あの時───

 

 砂漠でティガレックスに襲われて、洞窟から動けなくなってから数ヶ月が経ちました。

 私達は無事に近くの村に避難する事が出来て、今もこうしてモンハン食堂を続けられています。

 

 

「ほーらサンセー、島が見えましたよ!」

 船の奥で寝ているサンセーを叩き起して、私は興奮気味に遠目に見える島を指差しました。

 サンセーは薄目を開くと、頭だけ振り回して私を突き飛ばす。酷い。

 

「サンセー! 私の事嫌いなんですか!!」

「好きじゃなかったら今二人はここに居ないと思うよ〜」

 サンセーの背後から、サンセーの声の代弁でもしているかのように口を開く私の友人。

 真っ白な髪が特徴的な友人のCは、サンセーの頭を撫でながら私をジト目で見下ろしていました。

 

 私の事は突き飛ばしたのに友人のCには純朴なのなんでなんでしょうか。泣きそうです。

 

 

「それはそうですけども」

 あの日───

 

 私達を助けてくれたハンターさんに、私達を助けてくれるように頼んだはなんと友人のCでした。

 ユクモ村で分かれた筈の彼女が何故か砂漠に居た理由は教えて貰えませんでしたが、傷付いたサンセーが村に辿り着いて、そのサンセーを見た友人のCが私達を心配してくれたようで。

 

 

 そうしてあのハンターさんが私達の元に駆け付けてくれたらしいです。サンセーや友人のCにも頭が上がりません。

 

 

 

 その後。

 

 ティガレックスに襲われて失ってしまったモンハン食堂の竜車ですが、建て直すのにそんなに時間は掛かりませんでした。

 

 いつか食材を買いに行ったドンドルマのお花屋さん。

 なんとそのお花屋さんがタダで新しく竜車を作ってくれたのです。

 

 曰く───

 

「タイショーがこんがり肉Gを焼いてくれたら、タダで竜車を作ってあげるよ」

「なんで!?」

 とか。

 

 

「よし分かった。ずっとお前に食わせたかったんだ。……俺の焼いたこんがり肉Gを」

「タイショー、こんがり肉Gをついに焼けるようになったんだね」

「……んぁ」

 サンセー以外の何もかもを失ってどん底だった私達ですが、お花屋さんに助けてもらい竜車を作ってもらう事に。

 お花屋さんがどうしてそこまでしてくれたのか分かりませんが。

 

「あ、君」

「はい?」

「タイショーの事、これからもよろしくね」

 との事で。

 

 

 他にも。

 

「ふ、タイショー! 困っているようじゃないか! しょうがないから助けてあげよう!! なーに、これもライバルの務め!!」

「よう、大将。久し振りだな。俺の情報で砂漠に行ってえらい目にあったらしいじゃねーか。詫びと言っちゃなんだが、オマケするぜ」

「大将さんじゃないですか。僕達が追ってたティガレックスにまた襲われたって聞きましたよ。良かったら助けになりますから、声を掛けて下さいね」

「フハハハハハハ!! 久しいな小さき者、否調理者よ!! 何やら困ってる模様、吾輩も人肌脱ごうではないか!!」

「タイショー、なんか憑き物が落ちた顔してるな。俺のオトモをやってた時と同じ……いや、あの時より楽しそうな顔してるよ」

 色んな人に助けてもらって、私達は無事にモンハン食堂を再開する出来たのでした。

 

 

 ちなみに。

 

「いんやー、まさか! ティガレックスが砂漠にいて! 大将さん達が襲われるなんて! いや、はい、僕は夢にも思ってませんでし───痛い」

「アンタらもコレ殴って良いわよ。アンタらコレに利用されてたんだから。だからあたしは止めたのに」

「僕はギルドナイトですよ、そんなことして良いと思ってるんですか?」

「私が許可する」

「そんな……」

「あ、あはは。ところで利用とは?」

 タンジアに戻った私達は、ギルドナイトのお二人とハンターさんに再開。

 そこで聞いた話が、こんな感じに続きます。

 

「私達ギルドナイトはとある密猟団を追っていたの。その密猟団の目的は貴方達と同じ、雪山から降りて来たアプトノスだったんだけど───」

 その密猟団は別の場所で件のティガレックスに手を出して、ティガレックスを怒らせたのだとかなんとか。

 ティガレックスが密猟団を追って動いている事を突き止めたギルドナイトの二人は、逆にティガレックスを追えば密猟団に辿り着ける───そう判断したらしい。

 

 所でそのティガレックスは偶然以前雪山や砂漠で私達を襲ったティガレックスと同個体でした。

 密猟者に襲われたのがいつかは分かりませんが、ティガレックスからすれば私達も密猟者と同じ人間。私達を見付ければ、しつこく狙って来るのは当たり前という訳だったのです。

 

 

 つまり、私達が砂漠に行く事によってティガレックスはまた密猟団に襲われると思い込み行動範囲等諸々が活発になる訳で。

 態々広い砂漠を探すよりティガレックスに密猟団を探してもらうのが早い───それがギルドナイトさんの作戦でした。

 

 

「───殴って良いですか?」

「良いよ」

「少しは弁護させて」

 曰く。

 

「───勿論関係ない二人を危険に巻き込む訳ですからね、安全の確保をしようとは思っていたんですよ」

「思っていた?」

「はい。ティガレックスの動きが活発になれば、それだけで後は大将さん方は用無し───じゃなくて思う存分ご自由にこんがり肉を焼いて下さいってな訳だったんですけども。……その前に、運が良いのか悪いのか僕等は密猟団を発見してしまいましてね」

 探し物がアレコレ考えていた作戦も関係なく見付かった。一見良い事なような気もしますが、問題はそこではなく。

 

 

「発見した時点で密猟団はティガレックスに襲われていて大壊滅。逃げ惑う団員と暴れるティガレックス、こっちは人手不足ときてティガレックスをそのまま見失なう大失敗」

 そして、密猟団との戦いで傷付いたティガレックスは砂漠で暴れ回り、ディアブロス等のあたりに住むモンスターを襲って周り───私達をも襲った。

 

 

 ティガレックスはただ自分が生きる為に、自分を襲ってくる物を排除しようと必死だったのでしょう。

 

 

「それで、そのティガレックスはあの後どうなったんですかね?」

 なんだか少し悲しくなって、私はギルドナイトの二人にそう問い掛けました。

 

 蒼火竜装備のハンターさん。

 火竜の装備を使っていると言う事は、それだけ腕が立つという事です。

 とあらば、ティガレックスがどうなったか。考えなくても分かることだ。

 

 

「さぁ、それはなんとも。お二人を助けてくれたハンターさんにお聞きするのが一番ですよ。件のハンターさんなら、モガの村という所に住んでいるんですよ。今回迷惑を掛けたお詫びと言ってはなんですが、旅費や食堂の再建費用等ギルドで負担するので是非頼って下さい」

「それは助かる」

「それと」

 ギルドナイトのお兄さんは目を細めてこう続ける。

 

 

「───それと、お二人が見たというティガレックスに襲われた竜車は件の密猟者の竜車です。つまり、そこに乗っていた……貴方達が食べたお肉こそ、貴方達が探していた冬超えのアプトノスの生肉だったって訳ですね。そう、密猟団は既にアプトノスを密猟した後だったって話。いやー、今回は大失敗でしたね。……ところで、件のお肉で作ったこんがり肉Gとやらは美味しかったですか? 是非感想をお聞かせ願いたい所なんですが」

「んぁ? あー、アレな。アレはな」

「アレは?」

「クソ不味かった」

 そんな訳で。

 

 

 

 私達は今、砂漠で私達を助けてくれたハンターさんが住んでいるというモガの村に到着しました。

 

 潮風が気持ち良い開放的な村。

 

 

「ここがモガの村ですかぁ。色んな街や村に寄ってきましたけど、島というだけあって他の村とは全然雰囲気が違いますね」

 村は島の中心ではなく海岸沿いにあるので、どこに居ても海が見えるのが新鮮です。

 

「よーし、よーし。おーい、サンセー下ろしたよ〜。ていうかー、サンセー連れてくる理由あったのー?」

「サンセーは大切な仲間ですから! 置いていくなんてありえません!」

 船から降りるサンセー。

 あの日、サンセーが友人のCに私達の事を伝えてくれなかったら私達はどうなっていた事やら。

 

 

「───ソイツはあの時のアプトノスか。傷も良くなっているようだな」

 そんな話をしている所に話しかけてくる村の人。

 

 振り向くと、そこには蒼火竜の装備を着たハンターさんが立って居ました。

 

 

「あ! 貴方は! あの時はどうも!」

 隻腕に銀色の髪。

 あの時助けてくれたハンターさんに間違いありません。私は咄嗟に頭を下げてお礼を言います。

 

「いや、無事だったならなによりだ。礼はそこの友人に言ってやれと前も言った筈だぞ」

「あー、あはは。ユーちゃんもありがとうございます」

「なんたってそのアプトノスを連れて泣きながら俺に頼み込んで来たんだ───」

「わーーー!! わーーー!! その話はなし!! その話はなし!!」

「え? ユーちゃん?」

 あの友人のCが泣きながら。嘘ですね。

 

 

「んぁ、あんたか。あの時は助かった」

 遅れて出て来た大将さんも、ハンターさんにお礼を言う。

 何故か顔を真っ赤にしてサンセーの下に潜り込んでいる友人のCの事は置いておいて、私達はこの村での目的地に向かう事にしました。

 

 

「───いらっしゃいですニャ、タイショー。久しいですニャー」

 モガの村には大将さんの師匠が居る。

 

 その師匠こそ、このお店───ビストロモガの店主さんらしい。

 

 

「お久しぶりです、師匠」

「そんな堅苦しい挨拶はいりませんニャ。料理人なら、上げた腕前で挨拶をするのが基本ですニャ」

「んぁ、その為に来たからな」

 竜車をお店の前に運んでくる大将さん。

 

 ビストロモガの目の前にお店を持ってくるこの太々しさは流石大将さんですが、そのおかげもあってか村の人々がなんだなんだと集まって来てくれました。

 

 

「俺はこのモンハン食堂の大将だ。今日はここで店を開く事にした。美味い飯が食いたきゃ並べ」

「なんでそんな太々しいんですか!?」

「あははー、流石大将さんだねー」

 村の名所のお店の前で開店するモンハン食堂。

 

 新しい竜車は以前と変わらず、竜車兼キッチンと出店。

 貨物車から机と椅子を取り出して、お客さんが集まればそこがモンハン食堂です。

 

 

「───あ、今日はお店が来てるんだね。……あれ? モンハン……食堂……。どこかで見たような」

 集まってくるお客さん。

 

 その中で、金髪に黒い装備の女性が私の目に入りました。

 どこかで見たような。そのお客さんと同じ感想を、私は頭に思い浮かべます。

 

 

「やっとモガの森から帰ってきたか。ほら、手紙に書いてあっただろ」

「あ、うん。それは知ってるんだけど」

 銀髪のハンターさんの知り合いなのか、金髪のハンターさんは目を細めて私達を覗き込みました。そして───

 

 

「───あ!! こんがり肉のお店だ!!」

「───あ!! こんがり肉のお客さん!!」

 思い出すのは私がモンハン食堂で働き始めて直ぐの頃。

 

 立ち寄った村でメラルーと一緒だった金髪のハンターさんです。

 確かあの時は、お店の()()()()を聞かれてこんがり肉を食べてもらったんでしたっけ。

 

 

「お久しぶりです」

「うん。久し振り。……良い旅になったかな?」

「それはもう、とても良い旅でした」

 色んな事がありました。

 

 

 灼熱の火山、極寒の雪山、恐ろしい目にしか合ってない砂漠。温泉や様々な食材。

 色んな人達にであって、色んな話を聞いて、私達は()()を見付けたのです。

 

 

 

「色々あったんですよ! もう、聞いてください!」

「ゴラァ!! サボるな食いしん坊!!」

「ひぃ!?」

「あはは。お話は後かな。えーと、注文は()()()()でも良い?」

「はい! 勿論。当店自慢のこんがり肉をお届けしますよ!」

 私がそう言うと、銀髪のハンターさんが「こんがり肉? こんがり肉で良いのか?」と首を傾げました。

 

 

 確かに銀髪ハンターさんの言う通り、こんがり肉なんてのは肉を焼いただけの料理です。

 ハンターなら狩場で飽きる程食べているのがこんがり肉だ。

 

 ───でも、ウチのこんがり肉はそんじょそこらのこんがり肉とは違うのです。

 

 

「良いんだよ。このお店のおすすめはこんがり肉なんだから」

「そうか? なら、俺もそれで」

「はい! こんがり肉二つ入りまーす!!」

 注文を取って、私はハンターさん二人とお話する事にしました。

 

 

 これまでの事、これからの事。

 

 

「───それで、これからは私も大将さんもハンター活動をしていこうという事になりまして」

 友人のCにずっと護衛を頼むという訳にもいかないので、私達はこれから先どうするのかをあの後話し合ったのです。

 

 大将さんは誰かが傷付くのを見るのが怖い優しい人でした。

 だったら───いやだからこそ、私がハンターとして成長しなければいせません。

 

 それは、昔大将さんがした後悔の一つでもあります。

 

 

 

「俺と一緒にハンターをやらないか?」

「……はい!」

 ハンターとオトモ、という訳ではありませんが。

 

 私と彼は大将とウェイトレスであり、ニャンターとハンターでもあるという事で。

 

 

 

「素敵な答えが見付かったんだね」

「はい。これからも色々頑張ります。なんやかんや、楽しいんですよね、ウェイトレス。色んな話も聞けますから」

 私はモンハン食堂が好きだ。

 

 こうやって、色んな人と話しながらご飯を食べる。

 それはどんな高級食材を使った料理よりも、どんな凄腕の料理人が作った料理よりも、美味しくて楽しい事だと私達は分かったから。

 

 

 

「へい、お待ち───」

 そうして話していると、大将さんが料理を運んで来ました。

 

 お皿の上にはこんがりと焼かれた肉───

 

 

「───へい、お待ち。こんがり肉Gだ」

 ───こんがり肉G。

 

 

「こんがり肉G?」

「G級なの?」

「まーまー! 食べて下さい! 我等がモンハン食堂、最高の料理ですよ!」

 

 

「そうか」

「うん、頂きます」

 ここはモンハン食堂。

 

 ごく普通の飲食店です。

 この広い世界を旅しながら、色々な人に料理を振り撒く旅する食堂。

 

 

 この世界は巨大な生き物───モンスター達で溢れかえっている。

 人々はそんなモンスターをハンターと呼ばれる人達に依頼して討伐したり、逆に襲われたり。

 人とモンスターが共存するこの世界───

 

 

「なぁ、食いしん坊。俺はな、ずっと一人で飯を食ってた。……けどな、やっと分かったんだ。……こうやって賑やかな場所で、狩りの前なんかに食べるこんがり肉が一番美味いってな」

 ───この世界で、しかし特にハンターとは関係なく、モンハン食堂は今日も開店します。

 

「私はずっと、大将さんと食べるこんがり肉が最高に美味しいって言ってましたけどね」

「うるせぇ」

「あはは。あ、新しいお客さんですよ!」

 モンハン食堂へようこそ。

 

 

 

「モンハン食堂へようこそ! ご注文はいかがなさいますか?」

 これは、この世界の美味しいご飯のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 ~本日のレシピ~

 

『こんがり肉G』

 

 ・生肉      ……400g




読了ありがとうございました。コレにでモンハン食堂完結になります。
詳しいあとがたりは後日活動報告にて。

約二年の間、お付き合い下さりありがとうございました。
実はこの作品はコレからも本編(メインメニュー)とは別に番外編(サイドメニュー)をチマチマと更新する予定です。今後もお楽しみ頂けると幸い。

それと!近い内にとても楽しい事が発表出来ると思います。少しだけ、お楽しみに。


それでは重ねてになりますが本編最終話までの読了ありがとうございました。コレにて最終回です!皇我リキの次回作にご期待下さい。

おそまつさまでした。
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