「またそんなにドロドロで!傷が癒えてないから安静にと何度言ったら分かるんですか!?」
「うるっせえよ!!」
どこかに必ずいるはずだ、どんなに時間がかかっても絶対に見つけ出す。
「一体、こんなこといつまで続けるのです!?」
「お前は黙って、アイツの!!好きな…あの赤い野菜の料理でも作っとけ!!」
「伊之助さん、もう意味ないんです…」
「黙ってろ!!俺様がアイツを探してここに連れて来るまで、黙って待ってろ!!」
「一緒に見たではないですか…」
「あんなの偽物だ!!鬼共が作ったんだ!!俺様は絶対に認めねえ!!」
「伊之助さん…」
アカイは俺の猪の被り物を外してから、その震える弱っちい手で俺の頬にふわりと触れた。
何度拭いても両方の目から零れ出る汗を、力任せに俺は痛くなっても擦り続けた。
「伊之助!すぐに人を殴るな蹴るな!少しは思いやりを山の王なら学べ!攻撃していいのは、鬼とこの私に刃向かってきた奴だけよ!」
最終選別を生き抜いて、たった六人の同期となったうちの一人の
何度も俺様に刃向かってくる根性はある。
あずきは子分のくせに、ニヤつきながら偉そうに親分の俺にセンセイ?というものをしてきた。
文字、計算、挨拶、しつこいくらいに教えてきて出来たら褒めてきて、俺をホワホワさせた。
「ああん!?何で俺が、子分のお前に指図されねえといけねえんだよ!!」
「子分だからよ?こんなに才能に溢れた何百年かに1人の逸材の私を親分なら守りたまえよ!」
「守られるタマじゃねえだろが!!」
「伊之助?この世界は山にこもってるだけでは知ることの出来ない未知の世界なの!これはね?そんな世界の素晴らしさと尊さを神の啓示のごとく、この私が直々に伝授するための忠告なのよ?」
「は?お前は分かる言葉で話せや!!」
紋逸の目が血走ってるのはコイツのせいだ、他の奴らもあずきと目を合わせないようにしてるしな。
あずきは、他の誰にも俺にもないものを持ってるようなよく分からない人間だ。
どうしようもなく俺をイライラさせやがる。
そういえば、アカイの手伝いをしてはその度に何かをやらかして怒鳴られてたな。
料理をしてるはずがボヤ騒ぎになって、掃除をしてるはずが装飾品を壊しまくってな…
終いには、アイツはどこからか毒蛇を捕まえてきては噛まれてたよな弱味噌が。
その時は3人娘は泣き出すからアカイが1人で薬を調合して事なきを得たけど、今思い出しても紋逸を筆頭にしてあの光景は地獄そのものだったよな。
けど、騒ぎの戦犯のあずきは呑気に余裕ぶっこいて縁側で寝転んでたけどな。
あまりの事実に柱の蛇野郎が倒れて、それを柱の岩みたいなデカい奴に運ばれてたな。
あと、紋逸が天まで届くほど叫んだ声で、そこらじゅうに鳥が落ちるまくるって異常現象もあったな。
「伊之助の中の幸せは否定しないけどさ、もっと楽しいことも美味いものもあるって知ってても、損はしなくない!?」
「それがお前を守るのと、どう関係すんだよ!!」
「本当に伊之助はアホアホだよね?」
「ああん!?ぶっ飛ばされてえのか!?」
「伊之助の良さを活かしつつ、世界を知るにはやっぱり思いやりを持つことが大事なのさ!伊之助の優しさはかなり分かりずらいからね~?」
自分を犠牲にして、鬼殺隊員として戦えないアカイに自分に出来ることを気づかせて、勇気と自信ってやつを与えてくれたってアカイが言ってた。
三太郎もあずきは誰より他人を思いやれる奴だって泣きそうになりながら言ってたな。
意味不明でイラつくのに、隣にいないともっとイラつくから俺の前から消えたらぶっ飛ばしてやる。
「アイツは簡単に鬼なんかに殺られねえ!!俺様があの生意気によく動く口から参りましたって、絶対に言わせてやるんだ!!」
「…飛鳥さんは、二度と話しませんよ」
「イラつくけどな!?アイツは怪我したって誰より早く治してケロッとしやがって、生意気にヘラヘラ笑って高みの見物してるんだ!!」
「伊之助さん!飛鳥さんは、もう…この世のどこにもいないんです!」
「それ以上喋ったら許さねえぞ!!アイツは山で迷ってんだよ!!親分の俺が迎えに行かなきゃいけねえんだよ!!待ってんだよ!!」
(雨園飛鳥は仲間だった)
――騒がしいくらいがちょうど良かったんだ