自己中で愛されてる鬼殺隊員との物語   作:chuniis

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もしも君が死んだら(炭治郎視点)

「よりによって、飛鳥が死ぬわけありませんよ」

「嘘ではないんだ…」

「何かの間違いですよ、きっと」

 

 

必死に顔の筋肉を動かして笑顔を作る、今の俺に出来る精一杯の防衛だった。

 

 

「朝一番でここを出る」

「また飛鳥の遊びですよね?すみません、まさか冨岡さんまで付き合わせるとは思わなくて」

「禰豆子には、お前から話した方がいいと思う」

「帰ったらよく言って聞かせますね?」

「お前が見る時には綺麗になってるはずだ」

「お手を煩わせました、二度とこんなことしないように飛鳥にもしっかり謝らせますね」

「竈門炭治郎、俺の目を見ろ」

 

 

冨岡さんは俺の肩を掴んで、無理矢理に自分の方に向かせるとその目から色をなくした。

何も考えたくなくて、必死に笑い飛ばそうとしても雨のように涙は止まってくれなかった。

 

 

「ねえ、炭治郎…私にも禰豆子のこと守らせて?禰豆子を人間に戻すことを私の目標にさせて?」

 

 

最終選別を生き抜いて、たった六人の同期となったうちの一人の雨園飛鳥。

とても世話の焼ける妹みたいな子。

飛鳥がその場にいるだけで周りは花が咲いたように明るくなるし、存在に何度も救われた。

俺は長男なのに、落ち込んだりすると飛鳥は1番に気づいてその温かい笑顔で何度も包んでくれた。

 

 

「急にどうしたんだ?似合わないそんな真面目な顔になるなんて…拾い食いでもしたのか?」

「う?」

「伊之助じゃないの!そんなことしません!それに私はいつだって冷静沈着で有名な鬼殺隊の頭脳ってのは私のことよ?」

「初耳なんだが…」

「あす、か…あす!あす!」

「ふふっ、どうした~?はあ…禰豆子を見るだけで今までの疲れなんて吹き飛ぶのよね!雄大な大地とどこまでも続く青い空よ!守りたいこの笑顔よ!」

「やっぱり、疲れてるんじゃないか?」

 

 

カナヲの感情の起伏の矛先は飛鳥だ、他の鬼殺隊員も飛鳥のせいでパニックになる時が多々ある。

飛鳥は俺と似てるようで全く似ていないから、掴みどころが分からなくて不安になる。

明るい光に暗い影を落としているのが証拠。

今では笑い話だけど、初めて飛鳥と鬼との戦闘を繰り広げた時は本当に驚いたな。

普段はよく笑って口が回る騒がしい子だけど、戦闘中の飛鳥を言い表すなら閻魔様とか?

鬼がどんなに命乞いしても最初から飛鳥に情なんてあったもんではないし、むしろ逆に鬼が気の毒になるような豹変ぶりだ。

初めて飛鳥のそれを見た時はあまりの変わりように誰もが腰を抜かすし、善逸は過呼吸になるし、伊之助は警戒して近づかないし、玄弥は諦めたのか遠くを見ていたな…何故か、カナヲだけは見惚れていたみたいだけど。

けど、戦闘が終わった途端に、飛鳥は元に戻るから傍から見ていたら置いてけぼりなんだよな。

そういえば、冨岡さんと不死川さんも初めて飛鳥の戦闘中のそれを見た時に血鬼術か!?って、それは見事に声を揃えていたな。

あと、どんな噂が広まったかは知らないけど、鬼は飛鳥を見ただけで泣き叫ぶんだよな…

 

 

「前々から考えていたのさ!もちろん、最終的な目標は鬼共をこの世から全滅させて、拘束して、死なない程度にいたぶって、生まれてきたことを後悔させまくることだけど」

「年々目標の残酷さに拍車がかかってないか?」

「むうー!むうー!」

「けど、もっと素敵な目標があったの!それが禰豆子を人間に戻して、立派な白無垢を着せること!」

「え?ね、禰豆子にはまだ早いぞ!!」

「将来の話でしょ?まあ、それは置いといて!本当のこと言うとね?炭治郎は兄に、禰豆子は妹によく似てるの…2人を幸せにすることが守れなかった私の贖罪になる気がする、それに2人は誰より幸せになるべきだと私は思う、大好きだから」

「ありがとう…あと、俺は、きっと禰豆子も、飛鳥にも幸せになって欲しいぞ?」

 

 

家族を殺されて鬼を憎んでるはずなのに、無条件で飛鳥は禰豆子を守りたいと言ってくれた。

本当の妹のように可愛がってくれる。

どうしてこんなに優しい子に、神様はひどく苦しい試練を与えたのだろうか。

平和になった未来で、飛鳥の幸せを禰豆子と一緒に見守ることが当たり前と疑わなかった。

 

 

「…もう一度、確認してくれませんか?」

「俺も見た、飛鳥で間違いなかった」

「自分のこの目で見るまで信じません、飛鳥は禰豆子をお嫁に出すまで生きると言ったんです」

「子どもを守って犠牲になったそうだ…鬼殺隊員として、立派な最期を…」

「あす、か…は、まだ、幸せになって…!!幸せになっていないんです…!!これから…」

 

 

 

 

 

 

(禰豆子は何度も飛鳥を呼ぶ)

――また大切な家族を俺は失ったのか

 

 

 

 

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