新たな仲間を……あら、葉巻?   作:上新粉

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あら、葉巻?のあだ名をずっと考えておりましたが……寧ろこのままの方が良いかなと思い直しました!

あら、葉巻?「えぇ〜……考え直しても良いのですよ?」

決定です!
まぁもし本当に気に入ったのが浮かんだ時の為に変える可能性は残しておきます。

あら、葉巻?「あだ名……」


あら、葉巻?修理完了しました!

結局丸一日床に伏せておりましたあら、葉巻?、この度完全復帰です!

 

そう言えば昨日の昼食を持ってきて下さった艦長から私達が対国家用秘密兵器としてこの国に仕えていた事になった話を聞かされました。

 

確かに大まかには合っていますが……まぁ流石艦長といった所ですね。

信憑性がある綺麗な美談として上手く脚色されてました。

駆逐艦一隻に弟がタイマン張って負けたから兄弟総出で囲んだら呆気なく返り討ちに遭って沈みました、なんて話は誰も信じませんでしょうしねぇ。

 

という事で先の演習も相まって私の実力もその根源も皆の知る所となった訳です。

 

……あれ?それって不味いのではないでしょうか?

鎮守府全体に広まったらいつ外部に漏れても可笑しくないですよね。

 

「艦長?もしかして今回の演習はやるべきで無かったのでしょうか?」

 

恐る恐る訊ねると艦長は呆れたように答えました。

 

「はぁ……ま、お前が鳳翔に圧勝しなければまだ誤魔化しようがあったんだがな」

 

そうでしたか……確かに現状を鑑みれば少し考え無しの行動だったのかも知れませんね。

 

「…………」

 

「まぁ、それに関してはドロップ艦がどういう認識かってのを確認しなかった俺にも非はある。だからあんま気にすんな」

 

「はい……って、その割には私だけ延々と走り続けさせられましたよね?艦長だけ何も無いのは少々納得いかないのですが」

 

「てめぇ、反省してるようだから労わってやろうと思った途端に調子付きやがって……また動けなくなるまで走らせてやろうか」

 

「ごめんなさい私が悪かったです!」

 

「ったく……」

 

うぅ〜……戦艦をこれ以上に陸上で走らせるなんて鬼畜の所業ですよもう。

超兵器だって繊細なんですからもっと丁重に扱って欲しいものです。

 

はぁ〜あ……ところで、復帰早々どちらへ向かっているのでしょうか?

艦長の言うままに歩いていますがこっちは初めて行く所ですね。

 

「あの、艦長。私達は今何処に歩いているのですか?」

 

「ん、ああ。初日に言ってた上の奴らとの話し合いだ。何度でも言うがお前は余計な事を聞いたり答えたりすんなよ?」

 

「いやですね艦長、私だって学習するんですよ?」

 

「そうか、随分と学習速度が遅いようだがな。着いたぞ、ノックしろ」

 

むぅ、言い返したい所ですが時間切れですか。

私は諦めて艦長の言う通り扉をノックすると中から嗄れた男性の声が聞こえてきました。

 

「入り給え」

 

「はっ、失礼します!」

 

「失礼します」

 

艦長に続いて一声掛けてからノブに手を掛け豪華な扉を開く。

中には荘厳な面持ちで奥のソファーに腰掛ける老人と、その隣で老人に頭を撫でられて恥ずかしそうに俯く灰瀬提督の姿がありました。

 

この状況はもしかして……

 

「灰瀬提督、それはセクハラで訴えても良いのでは?」

 

「む?」

 

「だからおまえなぁ……つうか何処でそんな言葉覚えた!」

 

「機密です」

 

昨日は僅かに動ける範囲で暇を潰せる物を探していましたが……いやはや、テレビというものは中々に興味深い物でした。また時間がある時にでも観たいです。

 

それにしてもあの老人、一向に手を引く気配がありませんね。

セクハラは人の心を傷付ける悪質な行為だと言っていましたし、部下としては提督を助けるべきでしょう。

 

「そこの方、提督から手を離さなければ実力行使に出ます」

 

「ふふ、儂がその程度の脅しに屈すると思うたか?」

 

「あくまでもセクハラを選びますか……仕方ありません、貴方を排除致します!」

 

「儂を舐めるな小娘がっ!死んでもこの手は離さんぞぉ!」

 

な、なんという覚悟……セクハラの何がこの御仁を此処まで言わしめるのでしょうか。

ですが私だって柱島泊地第四鎮守府の艦娘、提督と提督の帰りを待つ彼女達の為にも此処で引くわけには行きません!

 

「消し飛べぇぇぇっ!!」

 

「止めなさいアラハマキさんっ!」

 

私が飛び掛かろうとしたその時、提督は老人の手を払って私の前へ割って入って来ました。

 

「なっ?提督!」

 

「る、瑠花ぁ〜……」

 

「元帥も誤解を助長させる様な事を言わないで下さい!」

 

「おいおい、元帥相手に随分強気だな」

 

「……ええ、それについては今から話しますから取り敢えず座って貰えますか」

 

私達がソファーに座ったのを確認すると、提督は朝潮が持ってきたお茶を飲んで一息ついてから話し始めました。

 

「こちらの方は譜院 古秀(ふいん ふるひで)元帥。海軍大将であり──」

 

「そして可愛い瑠花の祖父である!」

 

ええと、つまり家族と言う事ですか?

家族でもセクハラは適用されるのでしょうか。やはりテレビでもっと知識を増やさないといけませんね。

 

「元帥っ!ご自身の立場をもっと弁えて頂きませんと!」

 

「瑠花よ……何故そんなに他人行儀なのだ。昔みたくじぃじって呼んではくれぬのか?」

 

「呼んだ事ありません!」

 

「あー、つまりただ孫を溺愛してただけって事でいい……んですか?」

 

「うむ、だから断じてせくはらではない!そこの所を良く言い聞かせておくのだぞ?」

 

「はあ……」

 

ふむ、どうやらセクハラでは無いようですね。

覚えておきましょう。

 

「まあ、ウチの馬鹿の所為で手間取らせちまって申し訳ない。忙しい身でしょうし早速本題に入らせて頂きましょう」

 

「ふふ、お主からも娘愛が溢れておるぞ?」

 

「本題に入るって言ってるでしょうが!」

 

娘愛……艦長って確か独り身だったはずでは?

 

「艦長……娘って?」

 

「黙ってろって言ったよなぁ?」

 

「はい」

 

少し気になった事を聞いただけじゃないですか、そんなに怒らなくても……。

 

「それで?本題とはなんだね」

 

「はい、このあら、葉巻?に関しての事で幾つか約束頂きたい事がございます」

 

「ふむ、言ってみたまえ」

 

「はい、先ずは……」

 

艦長の要求を纏めるとこんな感じです。

 

・転属は一切受けない。

 

・支援要請は艦長が正当な要請だと判断した物のみ受ける。

 

・柱島泊地第四鎮守府及び所属の者への妨害行為及び敵対行為に対しての防衛行為に伴う加害者側の被害に関して当該鎮守府に所属する者は一切関知しない。

 

・以上三点が守られている限り、荒 葉輔並びにあら、葉巻?は海軍と友好関係を結ぶものとする。

 

凄いですね、こんな一方的な要求普通なら通りませんが……艦長はどうするのでしょうか。

 

「はは、面白い小僧だ。駆け引きなど儂には無用、本来のの要望を言いたまえ」

 

「同感です、私も面倒な駆け引きなどしているつもりは毛頭ありませんよ」

 

「なに、すると今の馬鹿げた要求を通せると本気で考えておるのか?」

 

「ええ、今の日本の情勢で我らを敵に回す事がどれだけ愚かな行為か……貴方の所に居た鳳翔の艦載機相手にほぼ無傷で殲滅したとでも言えば少しは理解頂けますかな?」

 

「鳳翔を?そうか……だがな、あまり図に乗るなよ小僧。儂がその気になればそいつを含め直ぐにでもこの鎮守府を解体出来るのだぞ?」

 

そう言って威圧的に脅しかける元帥に対して艦長は不敵に笑みを浮かべていました。

 

「はっ、そうしたらてめぇは一生孫に恨まれる事になるぜ?」

 

「うっ……だが争いの火種となりうるお前らを瑠花の下に置いておく訳には行かんのだ!」

 

「なるほどな……なぁ灰瀬提督、ちょっとこっちに来てくれないか?」

 

「えーと、なにかしら」

 

「待つのだ瑠花っ!そっちに行くんじゃない!」

 

このタイミングで提督を呼び寄せて何をする気なんでしょうか。

艦長の考えがさっぱり読めません。

そんな風に考えていると艦長は私の肩に飛び乗りそっと耳打ちしてきました。

 

「あら、葉巻?、提督が来たら捕まえておけ」

 

「はい?」

 

本当に何をする気なんでしょうか。

ほんの少しだけ嫌な予感がしてきました。

 

「荒さん?あの、どうする気なの?」

 

「ちょっとこっちに座ってくれ」

 

「はぁ……」

 

提督が隣に座ったタイミングで艦長が私の肩を叩く。

それを合図によく分かっていない私が同じくよく分かっていない提督を両手で確りと抱き抱えました。

 

あ、程よく柔らかくて意外と悪くない抱き心地ですね。

 

「えっ、えぇ!?」

 

「これで良いのでしょうか?」

 

「ああ、上出来だ」

 

私の提督を捕まえたのを確認すると艦長は私の頭頂部に飛び移り、両手を広げて大仰に言い放ちました。

 

「さあ元帥よ、貴様に問おう!要求を飲み我らに大事な孫娘を護るよう願うか、我らを拒絶し目の前で愛する孫娘を喪うか……好きな方を選ぶがいい!」

 

えぇっ!?ちょっと何言ってんですか艦長!!

口調があっちでの戦闘時みたくなってますし。

というか海軍のトップに対してこんな事したら後で大変な事になりますよ!?

 

「貴っ様ぁ……なんという卑劣な男め!」

 

「卑劣?違うな、我々を敵に回すという事がどういう事か解りやすく見せただけだ。コイツがその気になればこの国の海軍程度軽く潰せるって事をなぁ?」

 

「ふん、そんな与太話誰が信じるものかっ!さっさと瑠花を離せぇっ!」

 

えぇ〜、最初と言ってる事違うじゃないですか。

流石にそんなハッタリは効きませんよ。

 

「信じるか信じないかは勝手だ。だがそうなってから後悔しても遅いだろう?此処が貴様らのターニングポイントであると理解せよっ!」

 

「荒さん……」

 

「えと、なんかすみません提督。艦長ちょっと悪役ロールに嵌ってしまったみたいで。もう少しこのままで我慢していたたたたっ!?」

 

艦長めぇ……いきなり人の髪を引っ張るなんて酷いじゃないですか!

私嫌ですよ?提督を手に掛けるなんて天龍さん達に対する裏切る様な真似出来ませんからね?

 

艦長に抗議の目を向けようとするが上にいるので向けられませんでした。

 

仕方ないので嫌がらせに頭を僅かに左右に揺らしてやります。

艦ですから揺れるのはどうにもなりませんよ〜いたたっ!

 

艦長は私の髪を更に掴んでバランスを取りながら元帥へ催促をかける。

 

「さあ元帥よ、答えは決まっているだろう?早く答えるが良い!このバカは存外気が短いのだ」

 

なっ!揺らした仕返しですか!?

私が頭の足りない奴みたいな扱いなんて納得出来ません!断固抗議です、後で覚えていて下さいね!

 

「ぐぬぬぬっ……解った、条件を飲もう。その代わり何が有っても瑠花の事だけは護るのだぞ!もし儂の孫娘の身に何かあったらその時は全勢力を以て貴様らを跡も残さずに消し去ってやるからなぁ!!」

 

「交渉成立、だな。あら、葉巻?離してやれ。それと今後は灰瀬提督を最重要護衛対象に指定する。肝に銘じておけ」

 

「……了解しました。それではこのまま護衛を継続します」

 

「え?アラハマキさん、あの……」

 

ふぅ、提督を抱きしめてると何だか落ち着きます。

それに護衛ならこうしていた方が安全ですよね?

 

「おい貴様ァ!さっさと瑠花から離れんかぁ!!」

 

ほら早速危険が迫ってきましたね、防御重力場低出力展開っと。

 

「なぁ!?なぜ近付けぬ!貴様、何をした!」

 

「ふぅ〜……あ、護衛ですよ?」

 

「え、えぇ……?」

 

「おい、あら、葉巻?……俺の命令に逆らうのか?」

 

あ……この声色は駄目なやつです。

緊急的且つ迅速に対応しなければ大変な事になるのが目に見えてます!

防御重力場解除っ!

 

「うおっ!?」

 

「申し訳御座いませんでしたもう離しましたので何卒お許し下さいませ」

 

「良いだろう、周回数は半分にしておいてやる」

 

「……ありがとうございます」

 

そんなぁ、既に走らされるのは確定事項ですか。

うう〜……ですが新しい収穫が有りましたので甘んじて罰は受けましょう。

 

「はぁ。譜院元帥、この度は数々の無礼大変申し訳ありませんでした。ですが此奴の力は好き勝手に奮って良いものではありません。だからこそ先の条件はどうしても飲んで頂きたかったのです」

 

「はぁ……はぁ……もう良い。瑠花を護ると約束してくれるなら後は好きにするがいい。海軍同士で妨害や敵対行為など本来有り得てはならんし特に問題なかろう」

 

「お許し頂き感謝致します」

 

「お主、随分と裏表の差が激しい奴だの……まあ良い、儂は疲れたからもう帰る。瑠花や、また来るからの」

 

「はい、お待ちしてますよ。()()()()()()()()

 

「おぉ……っ!瑠花ぁー、元気でなぁ!おじいちゃんまた来るでのぉ!」

 

そう言って譜院元帥は灰瀬提督に手を振りながら揚々と部屋を出ていきました。

 

まあ色々有りましたが終わりよければ全て全て良しって事ですね。

 

「さ〜て、あら、葉巻?よ。解ってるな?」

 

「え……?でもほら、提督の護衛が有りますし……ねぇ?」

 

「提督は今日は特に外に出る予定はねぇから大丈夫だ。ほら、行くぞ」

 

うへぇ……全然終わり良くないじゃないですかぁ。

甘んじて受けると言ったな?あれは嘘です……ってやろうと思ってましたが、艦長の圧に負けた私は泣く泣くグラウンドへ向かうのでした。




Q.荒艦長の口調が安定してない。

A.素、慣れない敬語、厨二病(悪役ロール)の三つのコースが御座います。
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