▶構う。
・構わない。
柱島泊地第四鎮守府に着任してから早ニヶ月が経過しました。
私は譜院元帥との約束通り、灰瀬提督の護衛としての日々を過ごしています。
流石にただ立ってるだけというのもあれなので、秘書艦補佐として朝潮さんのお仕事の手伝いや朝潮さんが出撃している間の秘書艦代理をやらせて頂いております。
もちろん護衛と言うからには一番危険な寝込みを護らなければなりません。
という訳で遠慮する提督を押し切って夜は一緒の部屋で眠る事にしました。
その話を聞いていた朝潮さんは少し不機嫌そうでしたが。
まぁ何はともあれ来たばかりとは打って変わって私あら、葉巻?は平穏な日々を満喫しております。
しておりますが……。
「アラハマキさん?調子でも悪いの?」
「あ、いえ。体調は問題ありません。ただ……」
「ただ?」
話すべきか悩みましたが余計な心配を掛けるよりは相談するべきだと判断し、私は意を決して話し始めました。
「その、
「え……えぇっ!?あ、朝潮っ!ちょっと資料室からこれを取ってきてくれる!?」
「へっ!?は、はいっ!了解しました!」
提督は突然朝潮さんにお使いを頼むと二、三深呼吸をすると狼狽えながらも私に訊ねて来ました。
「あ……アラハマキさん?その……最近って事は……
「はい、以前はしておりましたね。というより灰瀬提督こそ大丈夫ですか?顔が随分と赤い様ですが」
「だ、大丈夫よ?そういう話を誰かとするなんて経験なかっただけだから……」
私が相談したせいで提督が体調を崩されてしまった!?
そ、そんな事が艦長に知られたら大変な事に……。
「失礼しました提督っ!今の話は忘れて下さいませ!」
「大丈夫っ……大丈夫よ!そ、それで?最近は出来てないのは……私と居るからよね」
「えと……いえ、それが私の任務ですので」
「そうねぇ……艦長さんは要らないって言っていたけれど、やっぱり休暇は必要だと思うわ」
休暇……私にですか?
「あの……折角の申し出に感謝しますが、やはり私が提督から離れる訳にはいきませんのでお断りさせて頂きます」
「でも、自由な時間は必要じゃないかしら……その、
なっ!なんと魅力的な…………いえ、ですが提督を護るのが私の任務。
それを私事でほっぽりだす訳には……。
「私の事なら心配しないで。その間は金剛と朝潮の二人に付いて貰うし、それに外に出ない様にするからっ。ね?」
「そ、それなら……艦長も認めて下さるでしょうか?」
「大丈夫!私からもお願いするから!」
「お気遣い感謝します……」
艦長が認めて下さるかは分かりませんが、もし許可を頂けたのなら……ふふふ、楽しみです。
「おはようさん。提督、あら、葉巻?」
「おはようございます、荒さん」
噂をすればなんとやらですね。
早速頼んでみましょう。
「おはようございます艦長。朝からすみませんが一つお願いしたい事があるのですが」
「あん?朝っぱらからなんだよ」
「定期的な休暇を頂きたいのですが……」
「あ?お前が休みを欲しがるなんでどんな風の吹き回しだ?」
「実は……最近欲求不満が溜まってまして」
「ちょっ、アラハマキさん!?」
あれ?理由を伝えただけですが何か不味かったでしょうか。
「えと、アラハマキさんが言ってるのはですね?ずっと気を張りっぱなしでフラストレーションが溜まってるって事でして」
「あー、灰瀬提督。大丈夫だから落ち着いてくれ……で?あら、葉巻?、休みを取ってお前がしたい事を言ってみろ」
「はい、誰でも良いので戦いたいです」
「えぇっ!?荒さんも少しは空気を読んで下さいって……え?」
ん?提督はどうしてそんな意外そうな顔をしているのでしょうか?
さっきまでその事で相談していた筈ですが。
「あ、あれ……?最近ご無沙汰なのって……」
「はい、以前鳳翔さんとの演習以来ずっと戦闘は行っていませんでしたので」
「あ……そ、そそそう!?戦闘の事ね?ごめんなさい私ったら勘違いしてたみたいで!」
「勘違い?提督は何と勘違いをされていたのですか?」
「あ……いや……その……」
疑問に思った事をそのまま聞いただけなのですが、提督の顔はみるみる内に真っ赤になり俯いてしまいました。
えと……これは私のせいなのでしょうか?
「あの……提──」
「で!お前の要求はたまには戦わせろって事で良いんだな?」
艦長が言葉を遮る様に訊ねてくるのを疑問に思いながらも私は頷く。
「はい、無理にとは言いませんが……欲を言えば月に一度位は」
「……まぁ、付き合ってやるっつったしな」
「艦長……!」
「但し、最大で月四日。使用兵装は噴進砲とと近接のみだ、いいな?」
「はいっ、艦長!それでは早速行ってきても宜しいでしょうか!」
「駄目に決まってんだろうがバカ。そうだな……なぁ提督、此奴が出てる間だけでも主力艦娘を二人付けて貰うことは出来ねぇか?」
「えっ!?ええと、それなら第一艦隊の手が空いてる時なら金剛と朝潮を付けるわ」
「つーわけでお前が出れるのは第一艦隊の都合が付いて尚且つ提督の外出予定のない時だ、分かったか」
まあ、仕方ありませんね。
私が息抜きしている間に提督に何かあっては本末転倒ですからね。
「畏まりました。では提督、今日から二日程出てきても良いでしょうか?」
「お前なぁ……話を聞いてたか?」
「だ、大丈夫よ荒さん。今日明日は第一艦隊の出撃も無いし私も出る予定は無いから、ね?」
「提督……ありがとうございますっ!それでは沖ノ島沖戦闘哨戒へ行ってきます!行きましょう艦長!」
「おいそこって……はぁ、済まねぇな提督、じゃあちょっくら行ってくっから何かあったら直ぐに連絡をくれ」
「いえ、お二人共気を付けて行ってきてくださいね」
私達は提督に見送られながら部屋を後に出撃ドックで艤装を展開し、そのまま大海原へ飛び出して行きました。
久々の海、それはもう最高の気分ですよ!
後は誰かと戦えればもう大満足です。
そんな願いを聞き入れるかのように海中から六隻の深海棲艦が飛び出して来ました。
あれは資料にあった軽空母というのに似てますね。
噴進砲しか使えない今、艦載機をあまり出されると面倒ですし先に沈めましょう。
私は48門を全てを黄色いオーラを放つ軽空母に向けて一斉射しました。
全弾命中すれば沈むでしょうが、私はそれを期待せずに速度を上げてそのまま軽空母へ突っ込む。
「グオォォォッ!!」
予想通り噴進砲は十二、三発しか当たらずに沈めることは叶いませんでした。
ですので追撃とばかりにサーキュラーソーで軽空母を分断してやりました。
「ふぅ、相手が強ければもっと楽しめるのですが」
「戦場の真ん中で油断とは感心しねぇなぁ。根性入れ直してやろうか?」
「油断はしていませんので遠慮しておきます」
艦長に軽口を返しながら残りの深海棲艦もサーキュラーソーで引き裂いて行く。
そして最後一隻が海中に没して行くのを見届けると、再び先に進み始めました。
ふふふふふ……まだまだ戦いは始まったばかりですよ。
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「こちら旗艦武蔵、単艦で沖ノ島沖の深海棲艦を殲滅してるとんでもない艦娘を見つけた」
『そうか、そいつが柱島泊地第四に居る例の奴に違いない。手段は問わない、何としても奴を捕まえろ』
「……了解した」
「(嫌な予感がするな……)」
Q.情報漏れすぎじゃね?
A.日本の機密管理なんてそんなも……ごほんっ、まぁ色々ありますが元帥の孫という立場の灰瀬提督は有名人だということも理由の一つですかね。
あ、因みに前書きで彼女に構うを選択すると実戦カッコガチを強要されますので一般人は放置する事をお勧めします。
あら、葉巻?「……無視は寂しいです」チラッ