あら、葉巻?「ご所望とあらば直ぐにでも体験させてあげましょうか?」
すみませんでした_|\○_
瑞鶴さんを追いかけるも途中で見失ってしまった私が聞き込みをしていた所、桃色の髪をしたクールな少女不知火さんより目撃情報の在った建物裏手の花壇まで来ています。
そこでは瑞鶴さんが体育座りで建物の壁に凭れ掛かりながらぼーっと花壇の花を眺めていました。
さて、艦長の考えまでは解りませんが任された役目は何となく想像が付きますので私は目一杯瑞鶴さんの味方に付く事にしましょう。
「瑞鶴さん、となり宜しいですか?」
「え?貴女は確か提督さん達と一緒に居た……」
「あら、葉巻?と申します。それより歩き疲れたので座りたいのですが」
「あ……ごめんなさい、どうぞ」
「ありがとうございます」
瑞鶴さんにお礼を述べてから彼女のすぐ隣に同じように座ります。
少し戸惑っているようでしたが逃げたりはしませんのでこれで大丈夫でしょう。
「…………」
「つかぬ事をお聞きしますが瑞鶴さんは加賀さんの事をどうお思いですか?」
「え、えぇっ!?どうって言われても……まだ会ったばかりだし解らないわよ」
「まあそうですね。恐らく先ほども売り言葉に買い言葉で言ってしまったのでしょう?」
「……だって、第一声が『五航戦と同列に見られるのはちょっと』よっ!?意味分かんないじゃん!」
切っ掛けを作ってしまったのが私なだけに申し訳なさがありますが今は置いておきましょう。
「そうですよね、折角来てくれた瑞鶴さんに対してあの言い草は無いです」
「でしょ!幾ら先に着任した先輩だからってあんな言い方しなくてもいいじゃない!」
「瑞鶴さんの言う通りです。きっと今頃あの人も皆に叱られている事でしょう」
「え、でも……みんな長く一緒にいる加賀さんの味方をするんじゃない?」
「大丈夫です、私もまだ二ヶ月ほどしかこちらに居ませんが少なくとも話も聞かずに身贔屓する様な方達ではありませんよ。それに……もしそんな理不尽を言う様なら私が力ずくで黙らせてあげますよ」
まぁ艦長もいますしそんな事態になる事は有り得ませんがね。
「ふふ、なにそれ?私の為にこの鎮守府に反抗する気なの?」
「そうですね、もしそんな場所なら全力を以て潰してあげますよ」
瑞鶴さんは自身の気を和らげる為の冗談だと考えたのか暫く声を出して笑っていました。
ええ勿論冗談半分ですよ?もう半分は内緒です。
「あははっ……ねぇ、どうして会ったばかりの私なんかに味方してくれるの?誰かに頼まれたから?」
「そうですね、それもあります。ですが私が瑞鶴さんに寄り添うのは私が天龍さんから誰かが護ってくれているという心強さと安心感を教わったからですね」
「心強さと、安心感……」
「そうです。実は私、着任した初日に別の鎮守府に引き抜かれそうになっていたんです」
「ええっ!初日に引き抜きってどういう事!?」
それについてはあの梁田とかいう提督の先見の明という他ありません。
「私がこちらの半月分の食料を食べきってしまったので追加物資を要請する事になったそうで、その話をどこからか聞いた梁田とかいう提督がここじゃ運用出来ないだろうから来いって言ってきたんです」
「え〜……一体何がどうしてそんな事になるのよ」
「まあなってしまったんですから仕方ありません。それで、その時に天龍さんが相手の提督に楯突いてまで反対して下さったんですよ」
「他の鎮守府の提督相手に?」
「ええ。うちに来てくれた大切な仲間だ、見放すつもりはねぇって。あの人が動いてくれなければ私は今も孤立していた事でしょうね」
此処でも、別の鎮守府でも……まぁ、それはそれで今まで通りと言えばそうでしたが。
少なくとも自分から何かをなそうとは思わなかったでしょう。
「そっか……そうね、確かにアラハマキさんが来てくれなかったら今頃私も不安な気持ちを抱えて一人で殻に閉じこもってたかも……ありがとね」
「ふふ、そう言って頂き光栄です」
はにかむ彼女を見つめながら一先ずは大丈夫だろうと判断した私は折角なのでもう一つの目的を果たす為に動き出しました。
「それとですね瑞鶴さん?私、ひと目見たときから貴女の事が気になっていたんですよ」
「うぇっ!?それはど、どういう事……ですか」
先程とは違う雰囲気を感じ取ったのか彼女は身構えながら私の意図を聞いてきました。
ふっふっふ、気になるのなら教えてあげましょう。
私のもう一つの目的、それは……
「瑞鶴さん……貴女を抱いても良いですか?」
「は……はい?」
「いえ、前に灰瀬提督を抱いた時からその……クセになってしまって。それで、瑞鶴さんなら身長差とか体つきとかが丁度良さそうだなぁと思ったわけなんです」
「……へ」
「へ?」
「変態だぁぁぁぁっ!!?」
え、ちょっ!?なんでしょうか、その勘違いは些か不味い気がしますよ!
「瑞鶴さんっ!待って下さい!」
全力でその場を離れようとする瑞鶴さんの手を取って引き留める。
「ひぃっ!?い、いやぁぁぁぁぁ!」
「ほ、ほらっ!怖くないですよ?私なにもしませんよー!?だから少し落ち着いて下さいませんか?」
ああもうどうしてこんな事になってしまったんでしょうか!?
私はただ素直にお願いしただけですのにぃ!
「いやぁ!離してっ、離してよぉ!」
「落ち着いてくださいっ、そしたらちゃんと離しでぇ──!?」
私が瑞鶴さんの手を離さないように気を付けながら落ち着くよう宥めていると突如私の額へと鏃の付いて無い矢が小気味良い音を立てて直撃しました。
そう言えば防御重力場は切ったままでした。
「っつう〜……一体何ですかぁ」
「後輩の着任早々に襲い掛かるなんてとんだ不届き者が居たようね」
「か、加賀さん!?」
「瑞鶴、何かされてないかしら?」
「えっ……う、うん」
「そう、良かった。それと……その、さっきはごめんなさい。言い方が悪かったわ。貴女の事はそれなりに期待しているから頑張りなさい」
「加賀さん……あ、あのっ!私こそさっきは生意気言って済みませんでした!」
深く頭を下げる瑞鶴さんに対して、加賀さんはバツが悪そうにそっぽ向きながら弓を持つ手とは反対の右の人差し指で頬をかいていました。
お二人の関係はどうやらあまり心配はなさそうですね。
それより……
「それで、アラハマキさんは瑞鶴ちゃんに何をしようとしていたのかしら?」
うっ……加賀さんと赤城さんの視線が痛いです。
これでも途中までは仲良く話していたんですよ?
それに結果的にお二人の和解に役立ちましたので良しと言う事に……。
「…………」
なりませんね。
私は切り抜ける事を諦めて正座へと座り直してから正直に話す事にしました。
「と、言う訳で瑞鶴さんに話をちゃんと聞いて頂くために引き留めていた訳なのです」
「瑞鶴、今ので間違いは無い?」
「う、うん。いきなりあんな事言うからびっくりしちゃったけど、無理矢理襲われたとかは無いです」
「提督、艦長さん。どうされますか?アラハマキさんは無理にどうこうする気は無いようですが……」
「そうねぇ、アラハマキさんの話はちょっと言葉が足りない様な気はするけど……別に理性を欠いてる訳じゃないしねぇ」
「はぁ……変な性癖に目覚めちまったと嘆くべきか、人としての成長を喜ぶべきなのか悩ましい所だぜ」
「ええと、艦長が何を悩まれているのか分かりませんが……瑞鶴さん、改めて聞きます。たまにでも良いので、その……抱き締めさせて頂けませんでしょうか?」
駄目ならば潔く身を引きましょう。
私だって嫌われたい訳ではありませんからね。
「うーん……もしかしてアラハマキさんもまだ寂しい、のかな。でも……少し怖いし……」
ん?なんでしょうか、何か呟いていらっしゃる様ですが良く聞こえません。
「そ、そうだっ!私と演習して勝てた日だけ良いってのはどう?」
「是非っ──」
「「「駄目ですっ!」」」
うっ、駄目なのは分かってましたがまさか三人の声が綺麗に揃うとは。
折角考えた案が即却下された瑞鶴さんは不服そうな様子です。
「えー、だってそれならお互い高め合えるし……」
「心がへし折られるわよ」
「弾薬消費がねぇ……」
「瑞鶴ちゃん、せめてもっと実戦経験を積んでからじゃないと駄目よ」
「えぇ〜……弾薬消費も気を付けますし演習位なら別に良いと思いますが……」
「貴女、トラウマを植え付けてから抱き枕にするなんてそんな非道な拷問を瑞鶴に受けさせる気?」
そ、そんな言い方しなくても……。
ほらっ、今の発言で瑞鶴さんの顔が青ざめてるじゃないですか!?
「ま、まあ演習については瑞鶴さんが望まれるのならお受けしますよ?ですので余り気を使わずにお答え頂いて結構です」
とは言え、既に怖がられている現状で承諾されるとは思えませんね。
「ええと……その……へ、変な事しないなら……たまには……いい、よ?」
「やっぱり駄目で……ってえ?良いんですか!?」
「そ、その代わりもし私に変な事したら絶対に赦さないんだからねっ!」
「変な事……とは?」
「へっ?あ、あう……ぅ……」
瑞鶴さんが突然顔を真っ赤にして俯いてしまったのですがどうしましょう。
取り敢えず瑞鶴さんからの答えが返って来ないので艦長に聞いてみましょう。
「艦長、瑞鶴さんの仰る変な事というのが何なのか分からないのですが。艦長は何か存じてますか?」
「はぁ、ったくコイツは……提督と寝てる時にしてる事以外をしなきゃ良いんじゃねぇか?」
「えっ?ええっと〜……」
「成程、了解しました」
つまり提督も変な事が何か解っているから変な事をしていれば提督に既に注意されているという事ですね?
「あ〜……瑞鶴ちゃん?伝えておく事があるからこっち来てくれる?」
「えっ?そ、そうなんですかっ!?は、はい……分かりました」
提督と瑞鶴さんがなにやら内緒話をしているようですが……もしかして、私がその変な事をしていたのでしょうか?
いえ、それなら私に言わないと意味が無いはずですし……まあ、多分大丈夫ですよね?
「えっと、瑞鶴さん。色々バタバタしてしまいましたが、先程も言ったように何か不満や理不尽に感じる事があれば私も力になりますので何時でも言ってくださいね?」
「同じ空母として私や加賀さん達も付いてますから安心して下さいね?」
「でも、甘やかしたりはしないから覚悟なさい」
「瑞鶴ちゃん、まだそこまで大きな鎮守府じゃないけど皆と一緒に宜しく頼むわね」
「……っはい!翔鶴型航空母艦二番艦
、瑞鶴です。改めて宜しくお願いしますっ!」
歓迎の言葉に瑞鶴さんは涙を瞳に僅かに溜めながらも確りとした敬礼を以てそう答えたのでした。
あら、葉巻?=抱きつき魔 おk?
あら、葉巻?「別に合意無しに抱きついたりはしませんよ?」
こっちは何時でも準備おっけーだ!カマンッ!
あら、葉巻?「分かりました、こちらも艤装の準備が出来ましたので行きますね」ギュイィィィィーン⤴︎⤴︎
\(^o^)/==3