新たな仲間を……あら、葉巻?   作:上新粉

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明石が参加するとどうしても兵装とか艦娘に関しての必要ない情報まで書きそうになってしまう。
今回は抑えられた方かと……。


早速ですが、身体検査を行うそうです。

 無事に輸送船護衛任務を終えた私達が灰瀬提督へ報告に伺った時の事でした。

 

「アラハマキさん。悪いんだけれどこの後工廠に行って検査を受けて来て貰えないかしら?」

 

「検査……ですか?」

 

「ええ、ごめんなさいね?私も仲間を疑ってるようで好きじゃないんだけれど上層部が決めた事だから逆らえないの」

 

確かに拾って来た艦娘を調べもせずに運用するなんて不要なリスクを背負うだけですから当然の措置だとは思います。

ですが参りましたね……調べられてしまえば光学兵器なんかも見つかってしまいます。

いや、光学兵器ならまだ良いです。もしこの身体にある超兵器機関を知られてしまえば最悪科学者達の実験動物(モルモット)として余生を過ごす事になりかねません。

 

どうしましょうか艦長。

 

困った時の艦長とばかりに視線を向けるが、艦長も腕を組んで頭を悩ませていました。

 

「明石に準備はさせてあるから行ってくれれば直ぐに検査を始められるわ」

 

そうしている間にも話は進み、打つ手は無しかと思われたその時。艦長が声を上げました。

 

「灰瀬提督、ちょっと良いか?」

 

「荒さん?何かしら」

 

「検査は受ける事は問題ない。だが可能なら俺達が上層部の人間と話せる機会をどうにか設けてくれないか?」

 

「一体何を言うつもりなの?」

 

訝しむ提督に対して艦長は私の左肩で悪い笑顔を見せながら答えました。

 

「なぁに、ちょっとした話し合いだよ」

 

灰瀬提督は艦長の態度に不安そうにしていましたが、諦めた様に溜息を吐いて承諾しました。

 

一体何を話すのか気になる所ですがそれはまた別の機会でしょう。

今は一旦部屋を出て明石さんが待つ工廠へと向かう事にしますか。

 

「検査に参りました、あら、葉巻?と申します。本日は宜しくお願い致します」

 

「あぁ、貴女がアラハマキさんですね?本日検査をさせて頂きます工作艦の明石です。こちらこそ宜しくお願いしますね!」

 

工廠へ入ると既に明石さんが準備を終えて待っていて下さいました。

互いに軽く挨拶を終えると明石さんに手を引かれて奥の機材の並んだ台の所まで向かうと、不意に艦長が肩の上から飛び降りました。

 

「俺がいても邪魔だろうしさっきの事で提督と少し話してくるぜ」

 

別に邪魔では無い……と、それより灰瀬提督の所に戻るのですか?

むぅ、艦長はあの人の事が気になるのでしょうか。

 

ぼーぜんと艦長の後ろ姿を見送ってると突然背後から肩を叩かれたので慌てて振り返ると何故か明石さんは暖かい目を向けていました。

 

「なんでしょうか?」

 

「いえいえ、随分と紳士的な方だなぁと思いましてね?」

 

紳士的……艦長が?

……ぶふっ、黒いスーツとシルクハット姿の姿の艦長を想像したら思わず吹き出してしまったじゃないですか。

 

「ふふっ、艦長に紳士なんて言葉は全く似合いませんね」

 

「?そうですかねぇ……まあ良いですか。それよりこちらの部屋で衣類を脱いで台の上に横になっていて下さい」

 

明石さんに言われるがままに衣服を脱いで台に身体を預ける。

すると明石さんは私の身体に手際良く様々な線を付けていき、私はいつの間にか動いてはいけない状況になっていました。

 

そんな私を余所に明石さんは板の様な機械を触りながら目を輝かせていました。

 

「これはっ!40.6cm三連装砲……いや、砲身に回転機構が組み込まれている?ま、まさか機関砲!?アラハマキさん……貴女は本当に日本の戦艦なんですか!?」

 

「普通は開発されていないのでしょうか?」

 

「そりゃそうですよ!私達大戦時の艦艇から現代まで含めても精々5-60mmの機関砲が良いとこですよ!それを長門型戦艦の主砲に匹敵する砲弾を機関砲にするなんて発想からして狂ってます!!」

 

ええと、明石さんが興奮している事は分かるのですがもしかして私馬鹿にされてます?

 

そんな私の疑問など知る由もなく明石さんは捲し立てるように続けました。

 

「そしてなんですかこの衝角にドリルって!?更には両舷に丸鋸まで付いてるとかラムアタックする気満々じゃ無いですか!いや私も工作艦の端くれですから?そういった浪漫は十分理解してますとも!ですがラムアタックは本来諸刃の剣どころか自爆行為に等しい行為ですからね!?そういう事態を想定して耐久性を向上させるなら兎も角ドリルと丸鋸って!」

 

……この方が何を言っているのかさっぱり分かりませんが、やっぱり馬鹿にされてますよね?取り敢えず帰ってもよろしいですか?

 

「明石さん?検査は終わったのでしたら私は部屋に戻らせて頂きたいのですが」

 

「あ、っとすみません。余りにとんでもない物を見せられたのでつい昂ってしまいましたしまいました。あ、所でこちらも兵装の様ですがどの様な物でしょうか?」

 

明石さんが板に映る一つの兵装を指さして尋ねてきました。

 

えーと……これは答えるべきでしょうか。

隠したら隠したで後々拗れそうな気もしますし、それに艦長ならここまで想定しているはず。

 

「……クリプトンレーザー、と言えば通じますでしょうか?」

 

通じなけれは何れ見せる機会があればとでも言って凌げるのですが。

 

「それはまぁ、知識程度にですが……え、まさか……?」

 

あー知ってましたか……まぁそんな気はしていました。

 

「え?まさか……兵器転用してるのです……か?」

 

「転用かどうかは知りませんが……まぁ、そういう事です」

 

「じゃあ……こっちも?」

 

「そちらは荷電粒子砲ですね」

 

「は……は?いえ、待って……嘘でしょ?」

 

明石さんは空気を求める様に口をパクパクと動かしながらも恐る恐る画面を表示する板を動かしてとある所で指を止めて無言で見せてきました。

 

これは……流石に言わないでおきましょう。

科学者達の玩具にはなりたくありませんから。

 

「機密ですのでお伝え出来ません」

 

「いやいやいやいやっ!今更過ぎですって!!それもうヤバい物って言ってるような物じゃないですかっ!?」

 

まぁそうですよねぇ。

解ってはいましたがこのままでは勝手に答えに辿り着きかねませんので少しでもランクを下げておかないと。

 

「済みません、先程の光学兵器達も機密でしたので内緒にしておいて下さい」

 

「雑っつ!雑すぎですよ!?機密はもっと慎重に扱いましょうよ……って違います!解りました!報告書にも乗せませんし絶対に誰にも話しませんのでお願いします!教えてくださいっ!」

 

話を流そうとしたのですがなんと明石さんは私が横になってる台の隣に土下座をし始めたのです。

 

「いえ、あの……頭を上げて頂けますか?」

 

「アラハマキさんっ、お願いしますっ!」

 

「あの、だから──」

 

「お願いしますっ!アラハマキ様っ!」

 

どうしましょう、これは教えるまで動かない気ですよこの方。

ですがあの程度の光学兵器すら配備されていない世界で果たして超兵器機関の事を話しても大丈夫なのでしょうか?

 

「う〜ん……」

 

「アラハマキ様っ!!」

 

…………はぁ、ごめんなさい艦長。後はお願いします。

 

根負けした私が超兵器機関の事を伝え終えると明石さんのCPUは流石にオーバーヒートしてしまったようです。

 

「明石さん?今の話は絶対に内緒ですからね?」

 

呼び掛けるも返事はない。

はぁ、本当にもう戻りたいです。

 

「明石さん?私はもう戻ってもよろしいですか?」

 

「…………はっ!すみませんっ、意識が少し離れておりました!えと、なんでしょうか?」

 

「約束通りこの事は提督にも秘密でお願いしますよ?」

 

「え、ええはい!所で……バラして中見せてもらっても良いですか!?」

 

「……は?」

 

このマッドは突然何を言っているのでしょうか。

唐突に意味の分からない言葉を発し始めた明石(マッド)に私は笑顔で答えて上げました。

 

「貴女をこのドリルでバラして差し上げましょうか?」

 

「ア、イエゴメンナサイ。チョウシニノリマシタ」

 

「それでは検査が終わったのなら私は戻りますね?くれぐれもご内密に」

 

「ハイッ!」

 

明石へ念を押してから、身体に付いた配線を取り外して部屋を出ようとしたのですが……。

 

「あ、ちょっと!?アラハマキさん服っ!服を着てってください!」

 

「へ?ああ、そう言えばそういうものでしたね。忘れておりました」

 

人の姿と言うのはどうにも不便ですね。

まあ艦長と話せるのと食事を取れる様になった事には非常に感謝してますが。

 

「服…これはどうやって着るのでしょうか?」

 

「え?」

 

脱いだ時は気にしてませんでしたがこれ全部私が着ていた服ですか?

 

「明石、これはどうしても着なければ行けませんか?」

 

「えぇ〜……はぁ、艦長さんも気の毒ですね」

 

艦長が気の毒?それは私が服もまともに切れないから艦長の品位が問われると言うことでしょうか?

 

「聞き捨てなりませんね……」

 

「え?」

 

確かに着方はさっぱりです。

ですが私が至らぬばかりに艦長が貶められるなんて事はあってはなりませんっ。

 

「明石、こちらの服の着付けが分かる方は鎮守府にいらっしゃいますか?」

 

「うーん……それは俗に十二単と呼ばれる装束でしょうか。そうですねぇ……あ、もしかしたら鳳翔さんなら知ってるかも!」

 

鳳翔さんですか。あちらでは他の方同様お会いした事は有りませんが、日本初の空母という事で有名な方ですから私も名前くらいは知っております。

成程、こちらではどうやら博識な方でいらっしゃるようですね。

とはいえ、本日はもう夜も遅いですし明日にでも伺うとしましょう。

 

「取り敢えず今日はこれだけ着て後は手に持って戻ります」

 

「ええと、まあ裸で出歩かれるよりはマシですが……ってああちょっと!?」

 

白い衣服と赤い袴だけを身に着けて他を手に持ち工廠を離れました。

 

明石が何か言おうとしていましたが色々あってなんだか疲れましたので早くゆっくりしたいです。

とはいえ艦長に報告も必要ですしそもそも何処で休めば良いのかも聞いてませんから先ずは執務室に行きませんと。

 

艦長に怒られるでしょうか……はぁ、夜も遅いですし説教会は明日にして頂けると有難いです。

 

 

 




あら、葉巻?の艦娘姿(暫定)

身長:大和より少し大きい(長門の4-5倍とかじゃなくて良かったです)
体重:凄くおぐふっ!?(元が元なので……)

スリーサイズ
B:着物が似合うね!(膨らみはありました)
W:まあくびれてる……かな?(着物を着たら分かりません)
H:良い感じ(少し目立ってる気がします)

髪型・色:黒のストレートロング(腰上あたりまで伸びて邪魔です)

服装:十二単(赤系の着るのが面倒そうな奴です)

追記
カスタムキャストにてあら、葉巻?のイメージを作って見ました。

あら、葉巻?工廠にて

【挿絵表示】


十二単?いえ、知らない子ですね?

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