新たな仲間を……あら、葉巻?   作:上新粉

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はぁ、今日は随分と色々な事がありましたね。

 憂鬱な気持ちで艦長と提督の待つ執務室へと入った私は検査完了の報告を行いました。

 

「検査自体は概ね滞りなく完了致しました。ですが……」

 

「なんだ?またなんかしでかしたのか」

 

ちょっと言い淀んだだけで決めつけるのは早計ではないでしょうか?

 

……まぁ、間違いではありませんが。

 

「明石に兵装で質問されまして……虚偽を述べて後々拗れるよりはと光学兵器の幾つかを伝えてしまいました」

 

「おまっ…………はぁ」

 

報告を聞いた艦長は案の定頭を抱えて呆れていました。

 

ですがこちらでやっていく以上隠しきれるものではないですし、明石にも確りと口止めを……あ。

 

「えと、光学兵器がどうかしたの?」

 

失敗しましたね。そう言えば提督も聞いていらっしゃるんでした。

 

「あ……ええと、ですね」

 

「俺が説明するから黙ってろバカ葉巻」

 

「……はい」

 

う、うっかりしてただけですよ?

それにさっきも言った通り隠しきれるものではないから私は悪くありません。

 

ああ……艦長の目がお説教を決意しています。

 

「まぁ、行っちまえばコイツが積んでる光学兵器の類は此処にあるもんより少しばかり高性能なんだ。だからそれが他所の鎮守府に伝われば要らん火種を撒き散らす事になるのは解るだろ?」

 

「え、ええ。今日の事もあるし言いたいことは分かるわ」

 

「ああ、コイツの性能を知れば強硬手段にでるバカは少なからず出てくる。だから上と話を付けるまでは必要以上の情報は送らないで貰えると助かるんだが」

 

灰瀬提督は新人でそこまで頭が切れる感じはしませんが、決して愚鈍な人ではありませんでした。

 

「その話、お受けしますよ。私もあなた達とは共にやって行きたいし、態々鎮守府の皆を危険に晒すような事はしたくないですから」

 

「ああ、そうしてくれると助かる」

 

そうして提督と艦長は互いに固い握手をしました。

 

まだ出会って一日も経ってないのに仲良くなり過ぎではありませんかねぇ?

別に私がどうという事はありませんが……別に?

 

「灰瀬提督。恐れ入りますが今後の私の待機場所はどちらになるのでしょうか?」

 

「あ、そうよねっ!まだ伝えてなかったわね、ちょっと待ってて」

 

私が訊ねると提督はハッとしたように電話を取り、どこかへと繋ぎました。

 

「──うん、じゃあお願いね」

 

提督の連絡から暫くした後、一人の少女が執務室へ入って来ました。

 

「秘書艦朝潮っ!建物巡回からただいま戻りました!」

 

「ありがとう。早速だけどアラハマキさん達を戦艦寮の空いてる部屋に案内して貰える?」

 

「はっ!任務了解!ではアラハマキさん、私に付いてきて下さい!」

 

朝潮さんは洗練された動きで提督に敬礼を返すと私達に来るように促す。

 

「あ、今日の実務はそれで終わりだから直接部屋に戻りなさいね?」

 

「はい、司令官っ!それでは失礼します!」

 

「灰瀬提督、明日からもどうぞよろしくお願い致しますね。それでは失礼します」

 

朝潮さんに続いて敬礼を向け提督へ一言伝えると、執務室を後にしました。

 

はぁ……やっと一日が終わるのですね。

 

「おい、あら、葉巻?。まさかそのまま寝れるなんて思ってねぇよな?」

 

う……そう言えばまだ残ってました。

 

「はい、覚悟しております」

 

朝潮さんに部屋を案内して頂いた後、床に正座するよう指示を出した艦長は腕を組みベッドの上から見下ろす様に仁王立ちをしたまま訊ねて来ました。

 

「で?実際の所明石には何処まで説明したんだ?」

 

「うっ……はい、荷電粒子砲とクリプトンレーザーの名称と超兵器機関についてを少々……」

 

「…………」

 

うぅ……やはり超兵器機関の事だけでも隠し通すべきでしたか。

 

「も、申し訳ありませんでした……」

 

「はぁ、全くよぉ……まあいい。どっちにしろ此処を通じてこの世界の日本とは友好関係は結んでおきたいからな。下手すりゃ海軍と深海棲艦って奴の双方から標的にされる事態にもなりかねんからな」

 

なるほど、確かに超兵器と言えど補給も修復も無しに戦闘を続けられるものではありません。

 

「ま、上との会談の時まで明石と提督の二人が黙っていてくれればそれで十分だ。提督には光学兵器としか言ってないしな?」

 

「その言い方ですと会談の時に伝えるおつもりの様に聴こえるのですが……」

 

「ああ。ま、それは当日になってからのお楽しみって奴だ」

 

艦長が随分と悪い顔をしていますが……本当に大丈夫なのでしょうか。

大本営相手にとんでもない事をやらかしそうな気がしますが、私がどうにか出来るとも思えませんので艦長を信じるしかありませんね。

 

「了解しました。では私はそれ迄にこちらの服を正しく着付け出来るようにしておきます」

 

「あ?そういや帰ってきた時と服が違うと思ってたが……なんだ、自分で着れねぇのか?」

 

意外そうに訊ねる艦長に申し訳なさから頭を下げて答える。

 

「はい……艦長の艦でありながらこの様な体たらくをお見せしてしまい反省しております」

 

「いや、そんな特殊な服の着付けなんて普通知らねぇよ。特についさっきまで服にすら縁が無かったなら尚更だろ」

 

「艦長……寛大な措置、感謝致します」

 

「つうかさっきから硬ぇっつうの!そんな肩肘張ってたら疲れちまうぞ?」

 

艦長を敬って居るのは本心なのですが。

後は朝から叱られてばかりなので少し自重はしていましたが……。

 

「自重しなくて良いのならそうさせて貰いますね?」

 

「あ、ちょっと待て!それとこれとは話が──」

 

「ふふ、では艦長?明日は早いのでおやすみなさいませ」

 

「おいっ!?」

 

さて、艦長の許しも頂きましたしこの世界では勝手気ままに闘争と平穏を楽しむとしましょう……ふふっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




少しは自重して下さらないと世界が大変な事になってしまいます。

あら、葉巻?「前向きに検討します」

それって自重しませんよね?

あら、葉巻?「現時点での回答は差し控えさせて頂きます」

汚い!汚い大人の対応だぁー!
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