極指揮官道   作:瑚椒

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極主夫道第4巻発売おめでとうございます!


第九話

 ハロゥインの一見から数ヶ月。それから特に何事もなく、指揮官はがバ子と共に車両販売店に車を見に来ていた。

 ガバ子は一度指揮官から離れ車を見ていた。

 するとこの店の店員がニコニコと笑顔を浮かべながら話しかけてくる。

 

「お客様~何をお探しでしょうか?」

 

「えっと、あー……指揮官の自家用車です」

 

 そう言うと、名前を呼ばれたと思ったのだうか指揮官がスッと現れる。

 指揮官の顔を見た店員はそっと表情と目のハイライトを消す。

 

「で……したら黒塗りの高級車ですよね?」

 

「「えっ?」」

 

 それから一度店員と離れて指揮官達は二人で車を見定め始める。

 まず一台目。

 

「おぉ、フォルムがカッコイですね指揮官!」

 

「うーん……荷物の出し入れがなぁ……」

 

 どうやらスポーツカーは気に召さない様だ。

 次に選んだのは大型のSUV。

 

「大きくてカッコいいですよ! これとか良いんじゃないですか!」

 

 ガバ子はこの車を気に入ったようだ。彼女の中に潜むアメリカンスピリットに火がついたのだろうか? いつも以上に興奮している。

 

「スーパーとか小回り利かへんで」

 

 だが指揮官はお気に召さない様だ。

 次に選んだのはステーションワゴンタイプの車だ。が、どうしてガバ子は大型車両をこんなにも推すのだろうか? 

 

「これどうです!! いいですよねこれ!!」

 

「う~ん、燃費が家計にちょっと……」

 

 これも駄目。なら何が良いのだろうか? そうして次に指揮官が選んだのは軽トラであった。

 

「おっ、これええやん。小回りも利くし、何でも載るし、まぁ燃費も……うん?」

 

 ガバ子は指揮官の肩に手を置き今まで見たことのない表情をして拒否する。

 

「嫌っ!!」

 

 これ程否定されたのは初めての事だったので流石の指揮官も困惑する。

 流石に哀れに思った店員がそっと助け船を出す。

 

「あの~よければこちらは如何でしょうか?」

 

 そう言って指揮官達を一台の車へと案内する。

 その車はボックスワゴンタイプの軽自動車だった。

 

「こちら家庭用として大変人気でして」

 

 店員は後部座席の扉を開け座席を倒す。

 その隙に指揮官は車の後ろに回りトランクを開ける。

 

「こうすればトランクも広くなりまして」

 

 その時、指揮官はとある事に気が付いた! 

 これ、いけるんとちゃうか? と! 

 そう思った指揮官の行動は素早いものだった。

 靴を脱ぎ音も立てずにトランクに乗り膝を曲げて寝転ぶ。

 するとどうだろうか、高身長の指揮官が横に寝転べるではないか! 

 

「これ……人ひとり分軽く積めますねぇ……」

 

「そ……う、ですね」

 

 それを確認した瞬間に指揮官はトランクを出る。

 

「よければ試乗されますか?」

 

「いいんですか!? やったやった! 乗ります! ね! 乗りましょうよ指揮官!」

 

 指揮官はガバ子のキラキラとした楽しそうな表情に負け試乗する事となった。

 指揮官はまず運転席に──乗らずに車の下を確認し、次に窓を軽く叩く。

 

「これ、防弾ですかねぇ?」

 

「防弾──ではないです、はい……」

 

 それを確認した指揮官はようやく運転席へと乗り込む。

 座席の位置や高さ、バックミラーやドアミラーを調整し、運転を開始する。

 

「ほなまず特売の店にカチコミかけよかぁ」

 

「あ、あの。他の店舗にはちょっと……」

 

「そうですよ指揮官。あまり他の人に迷惑をかけちゃいけませんよ。それと、周りをよく見て【かもしれない運転】を気をつけてくださいね!」

 

「【かもしれない運転】ねぇ……」

 

 指揮官はそっと車を走らせ誘導員の支持に従い道路へ出ようとする。

 だが! その誘導員は懐から拳銃を取り出し指揮官に発砲する! 

 

「死ねやぁ! 縛られざる者(ハイウェイスター)!!」

 

 ──かもしれないと思った指揮官は急いで後ろに下がる。

 

「アカン! 下がるぞ!」

 

「えっ!? なんで!?」

 

「あのハゲはヒットマンかもしれへん!」

 

「そんな訳ないでしょう!」

 

 後ろに下がる。すると今度はビール腹の中年男性が通りかかる。そして勢いよく腰からナイフを取り出して刺しに来る。──かもしれないと思った指揮官はまた車を前に走らせる。

 

「後ろもアカン!」

 

「何!? 何何何!?!?!」

 

 そして歩道を手押し車を押して歩く一人の老人が視界に入る。その老人は手押し車からとある物を取り出す。

 それはRPG-7と呼ばれる携帯式対戦車擲弾発射器である。

 それを躊躇なく構え指揮官の乗る車に発射する。──かもしれないと思った指揮官はガバ子に覆いかぶさる。

 

「伏せろォ!」

 

 だが老人がRPG-7を発射する訳もなく手押し車を押して歩いていく。

 指揮官は疲れ果てた表情をして車から降りる。

 

「ガバ子……悪いが……今回の取引、俺は降りる」

 

 この後一応車は買いました。




皆も買おうね!!!!!

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