白兎が魔王の義息なのは間違っているだろうか(細部設定訂正中)   作:クロウド、

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本日2本目、やっべ、アイディアが尽きないんすけど……。



怪物祭改め化物祭

(客足が大分減ってきたな……まぁ、そろそろ『怪物祭』の本番が始まるし当然か)

 

 ベルは店の前に並ぶ客が大分減ってきたのでそろそろ休憩に移ろうかと思っていた。ベルは正直、調教なんぞに興味はない。そんなもの自前の"変成魔法"でいくらでもできるからだ。

 

 因みに他の者達はそれぞれ交代で休憩を行い、出店を回ったりしている。

 

 材料の在庫もそろそろ無くなるし、あとは売るだけなのであとは他のメンバーに任せて自分も休憩に入ろうかと思っていると。

 

「すみません……。」

 

 いつの間にか店の前にいた人物に声をかけられた。

 

 そこにいたのはボロボロのコートを着て、顔が見えないくらいフードを目深かに被ったベルの腰くらいの身長の人物ーーー声からして少女だろうーーーが立っていた。

 

「いらっしゃい、ご注文はなにかな? お嬢さん?」

 

「……このたこ焼きというのを一つ」

 

「毎度、100ヴァリスだよ」

 

 ベルは代金を受け取ると丁度他の者も接客中だったので自ら、たこ焼きを渡そうとしたがなぜだか彼女の纏う空気から自分に似た何かを感じた。

 

 そう、【グリューエン大砂漠】で友が死んでいく中、それでも生き残こることを諦められなかったときの……そんな自分に。

 

 ベルはたこ焼きの他に焼きそばやベビーカステラも袋に入れて差し出した。

 

「……リリはこんなに頼んでません」

 

「サービスだよ、もっていって。よければ来週オープンする喫茶店の方にも顔を出してくれると嬉しいかな」

 

「……変な人」

 

 少女はそう言いながらも袋を受け取りそのまま通りの方へ消えていった。

 

(変な人、か……。まぁ、自覚はあるさ。さて、そろそろ本当に休憩に入ろうかな)

 

「嗚呼っ! ベル君だっ!!」

 

「ん?」

 

 再び馴染みのある声が聞こえたかと思うと、今度は【ロキ・ファミリア】の幹部、ティオナとティオネのアマゾネス姉妹がそこにはいた。さらに、そこには、

 

(彼女は確か……『豊穣の女主人』にいた……。)

 

 山吹色の長い髪の少女。横長の耳を見るにエルフなのだろう。あのときの記憶はしっかり消しておいたのでベルと彼女は今、初対面ということになるだろう。

 

「アンタ、こんなところで何やってんのよ?」

 

「見ての通り、出店ですけど。喫茶店を開くにもネームバリューがなければどうにもならないのでこういうタイミングを利用するのは経営者の基本です。」

 

「ティオネさん、この人と知り合いなんですか?」

 

「ええ、まぁね。」

 

「ベルく〜ん、オススメは何?」

 

「そうですね……女性にはこのベビーカステラとか人気ですかね。そういえば、アイズさんはいないんですか?」

 

 先程店を訪ねた金髪の少女がその場にいないことに鎌首をもたげるベル。しかし、それに反応したのはエルフの少女だった。

 

「『アイズ』さん? 貴方、アイズさんとどういう関係ですか?」

 

「どういう関係って……偶に家に料理を食べに来るくらいの関係ですかね?」

 

 ベルが何気なくそう答えると少女小刻みに震えだした。

 

「料理を食べに来る? そそそそれって……。」

 

「え、大丈夫ですか?」

 

 明らかに普通じゃない少女に心配の声をかけようとしたが、

 

「ぜ……」

 

「「「ぜ?」」」

 

「絶対、認めませんからァァァァァァァ!!!」

 

 大声で叫ぶと何故か涙目で走っていってしまった。

 

「ちょ、レフィーヤ!! どこ行くのよ!?」

 

「ベル君、ゴメンまた今度ね!!」

 

「あっ、ちょっと待ってください。ティオナさん」

 

 ベルは近くにあったベビーカステラの袋をティオナに投げ渡した。

 

「サービスです。もっていってください」

 

「ありがとー! またお店によるからねー!」

 

 こちらに手を振りながらティオナも走り去った少女を追いかけていった。

 

「どうしたんだ、あの人?」

 

 ベルは自分が盛大な勘違いをさせたことに気づかず、首を傾げた。

 

「何かあったのか?」

 

「あ、桜花さん。さぁ、僕にもちょっと……。」

 

 ベルは話しかけてきたガタイのいい青年、【タケミカヅチ・ファミリア】団長を務める、カシマ・桜花が騒ぎに駆けつけて戻ってきた。

 

 因みに今日はプライベートなので皆武装していない。

 

「ベル君、君もそろそろ休憩に入ったらどうだい?」

 

 続いて、戻ってきたヘスティアがベルに言う。

 

「そうですね、神様、桜花さん。店番頼んでいいですか?」

 

「ああ」

 

「任せとけ!」

 

 二人の言葉に甘え、ベルは頭のタオルを外し昼食用のたこ焼きを手にとって休憩用に置いておいた椅子に腰掛ける。

 

 その視線は隣にいる少女へと向けられた。

 

 その少女、ヤマト・命は自身の主神であるタケミカヅチが老若男女問わず眩しい笑みを浮かべながら商品を渡す姿を頬を赤くさせながら見ていた。

 

(はは〜ん)

 

「いやぁ、モテモテですね。タケミカヅチ様」

 

「うわぁッ!! べ、ベル殿いつの間にそこに!?」

 

「さっきからいましたよ……。随分と熱い視線をタケミカヅチ様に送っていたようです、気づいてなかったようですが」

 

「なっ、なな……!」

 

 ベルの的確な指摘に命は慌てふためいて言い訳も思いつかないようだ。

 

「好きなら好きって言ったらどうですか?」

 

「そっ、それは……。」

 

「命ちゃん、そろそろ仕事に戻って……。」

 

「はっ、はい、ベル殿自分は仕事に戻りますので!」

 

 彼女の友人であるヒナタ・千草に言われてハッとし、ベルに敬礼して慌てて仕事に戻っていった。

 

 先は遠そうだと、野次馬気分で眺めながらたこ焼きを口に運ぶべる。

 

「ベル、お前も休憩か?」

 

「タケミカヅチ様? さっきまで商品売ってませんでしたっけ?」

 

「命の奴が休憩するように言ってきてな。顔が赤かったが、何かあったのか?」

 

「さぁ、熱に当てられたんじゃないですか?」

 

(まぁ、恋にお熱だけど)

 

 神の嘘が効かない力への言葉遊びで誤魔化すベル。

 

「しかし、思ったより盛況ですねぇ。これならバイト代上乗せしていいかもしれませんね」

 

「それは助かるな。ウチはいつも赤字だからな、喫茶店へのバイトも受けさせてもらおうと思っているんだ」

 

「それは僕としても助かります」

 

 これでようやく喫茶店をオープンできると安心してたこ焼きを口にほうろうとしていると、

 

「しかし、ベル。お前は何者だ?」

 

 ベルはたこ焼きを入れようとしていた口を閉じてタケミカヅチを見上げる。そこには真剣な表情を向ける武神の姿があった。

 

「どういう意味でしょう?」

 

「とぼけるな、俺とて武神と呼ばれた神だ。あの身のこなし、そしてお前から溢れる闘気を感じられなくなるほど耄碌はしてないさ」

 

(ロキ様め、厄介な神様を紹介してくれたな〜。)

 

 頭をかきながらどうしたもんかと悩むベル。なので、試しに一つ質問してみることにした。

 

「……貴方には僕が悪に見えますか?」

 

 タケミカヅチは一瞬面食らうが直ぐに優しげな表情を浮かべて答える。

 

「……いいや。少なくともお前は悪い人間ではないだろう。これでも、子供を見る目はあるつもりだ」

 

「残念、ハズレです」

 

「なに?」

 

 ベルはたこ焼きを口に放ると呆けているタケミカヅチにニヒルな笑みを浮かべる。

 

「僕は外道ですよ。身内以外には特にね」

 

「それは誰もがそうだろう。だが、お前はヘスティアの眷属だ。アイツがただの外道を眷属にするわけがない。あれは良くも悪くも真っ直ぐなきらいがあるからな」

 

「それには激しく同意しますけど……。聞いちゃっていいんですか、僕の秘密?」

 

 食べ終わったたこ焼きの紙箱を閉じて立ち上がり、タケミカヅチを見据える。その目は真剣そのものだった。

 

「このことを知ってるのはヘスティア様と、オラリオでも名のある数人の神と冒険者くらい。下手に知れば、貴方の眷属にも被害が及びますよ?」

 

「そこは心配ないだろう」

 

「? どういう意味です」

 

「お前の秘密とやらがどんなものかは知らんがヘスティアが無事なのが何よりの証拠だ。」

 

「要するに僕が守ってくれると? 言ったでしょう、身内以外には僕はそれほど興味がないんです」

 

「ならば、俺達もその身内とやらになればいいのか?」

 

「サラッとしてるなぁ〜。」

 

「お前達との同盟ならウチとしても歓迎だからな!」

 

 豪快に笑いながら言うタケミカヅチにベルはもう話したほうが楽かもしれないと思い始めた。

 

 だが、

 

「ーーーッ!」

 

「どうした?」

 

「タケミカヅチ様……怪物祭って、ここまでモンスターが来たりしますか?」

 

「? いや、今までの怪物祭は必ず闘技場で行われていた筈だが……。」

 

「今すぐこのあたりにいる市民を避難させてください! 急いでッ!」

 

「なんだと?」

 

 突然叫ぶベルに驚くタケミカヅチ。その理由は向こうから近づいてきていた。

 

『ウワァァァァァァァ!!!』

 

『キャァァァァァァァ!!!』

 

 路地の向こうから聞こえてきた悲鳴、そして逃げ惑う人ともに現れた狼のような魔物。

 

「なっ!? 何故モンスターがここに!!?」

 

 驚くタケミカヅチを他所にベルはそのモンスターに向けて手をかざす。

 

「"禍天"!」

 

 瞬間、モンスターの体が地面にへばりつくように叩きつけられる。"重力魔法"の基本、対象の重力を増やして動きを縛る魔法だ。

 

「これは、命と同じ……いや、それ以上の」

 

「神様、タケミカヅチ様、桜花さん、命さん、千草さん、モンスターは僕が抑えておきます。なので、市民の避難誘導を」

 

 騒ぎを聞きつけて駆けつけた桜花、命、千草にベルが指示を飛ばす。

 

「ベル殿、一人では無理です!」

 

「俺達も残る」

 

「武器もねぇ奴らが寝ぼけたこと抜かしてんじゃねぇ!」

 

 命と桜花の言葉にベルが厳しい口調で叱責を飛ばした。先程までの柔らかな口調からのギャップに驚くタケミカヅチ達。

 

「そもそも、この程度()一人で十分だ」

 

「ーーー任せてもいいんだな?」

 

「答えるまでもないね……!」

 

「桜花、命、千草、市民の避難誘導に行くぞ」

 

「タケミカヅチ様ッ!? しかし!」

 

「行くぞ、命」

 

「桜花殿、貴方まで!」

 

 命はなおも残ろうとしたが、タケミカヅチと桜花の説得により、避難誘導に向かっていった。

 

「ベル、後できちんと話してもらうからな」

 

 さり際にタケミカヅチはそう残していった。

 

「ベル君ッ!」

 

 ヘスティアが今も"重力魔法"でモンスターを縛り付けているベルへと声をかける。

 

「神様、すみません。どうやら、身内がまた増えるみたいです」

 

「構わないさ、タケのところならむしろ歓迎さ」

 

「それと、一つ聞いていいですかね?」

 

「なんだい?」

 

「この場合、モンスター倒したら賠償金とか取られませんよね?」

 

「ああ! だから、やっちゃえ!」

 

 サムズアップしてそう言うヘスティア。任せろとばかりにサムズアップして返すと、ヘスティアも避難誘導に向かっていった。

 

「さて、と。"壊劫"」

 

 ベルがかざしていた手を握りつぶすように拳を作ると、モンスターの周りに空間が黒いなにかに染まり、モンスターごと消滅した。

 

「気配を探る限り、ここだけじゃねぇな……。しかも、ったく、中途半端な殺気飛ばしやがって」

 

 ベルは舌打ちをしながらブーツの"天歩・空力"を利用して空中を歩いて、一つの裏路地へと入る。

 

「この馬鹿騒ぎはテメェ等の仕業か? なぁ、『オラリオ最強』さんよぉ?」

 

「……………。」

 

 そこにいたのは猪人の大男。オラリオ最強でその名を知られる【フレイヤ・ファミリア】所属。オラリオ唯一にして、最高のLv7オッタルがそこにいた。

 

「我が神のため、お前の力を試させてもらう」

 

「要するに神の言いなりかよ。……気に入らねぇな。

 ぶっ飛ばす前にもう一度聞いとく、これはテメェらの仕業か?」

 

「そうだ」

 

「OK、それだけ聞ければ十分だ…………死ね」

 

 Tシャツ姿からトータスを旅していたときのハジメをイメージして作った戦闘着にクイックチェンジしたベルはオッタルに向けてドンナーを発砲した。




次回、ついにベル君無双!
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