架空戦記~東洋海戦争1941~   作:鈴木颯手

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第二十一話「東洋海海戦・1」

1941・9/14・10:00

~イハワ王国side~

「見ろ!合衆国海軍だ!」

 

その報告を聞いた誰もが笑みを浮かべた。アビン合衆国は神星ルドワ帝国を除けばブリテンタニア連合王国、葦原中国に続く海軍大国であり神星ルドワ帝国海軍を真っ向から倒す事の出来る数少ない海軍であった。とは言え世界一の海軍保有数を誇るブリテンタニア連合王国と世界最強の海軍を保有する葦原中国に比べれば質、数の両方で及ばない。だがブリテンタニア連合王国より強い海軍、葦原中国より数のおおい海軍を保有するのがアビン合衆国であった。

 

「あれが合衆国海軍ですか。我々(イハワ王国海軍)では逆立ちしても勝てそうにないですね」

 

「だが、神星ルドワ帝国よりは楽だろう…。今からでも寝返るか?」

 

「冗談はやめてください。それ、笑えないですよ?」

 

タツミは双眼鏡を使い遠くにいる合衆国海軍を見ながら冗談を言うが状況が状況なだけに誰もが苦笑いを浮かべる。唯一隣にいたジョージが突っ込みを入れる程度だった。

 

「さて、冗談はここまでだ。我が艦は合衆国と並行して進むぞ」

 

「はっ!」

 

タツミの命令を聞いて慌ただしく動く乗員の気配を背中に感じながら前方の大海原に視線を向ける。今だ敵艦隊の姿形も見えないが確実にこちらへと向かってきているのだろう。タツミは自然と気が引き締まっていた。

 

 

 

 

 

~神星ルドワ帝国side~

「!レーダーに多数の影!敵艦隊と思われます!」

 

アビン合衆国とイハワ王国が合流した頃神星ルドワ帝国の連合艦隊ではその影を既に捕えていた。他国より一歩、分野によっては二歩も三歩も進んでいる神星ルドワ帝国にかかればこの位造作のない事であった。

 

「接敵はいつごろか?」

 

「互いの速度からして恐らく一時間後には」

 

「よし、艦長。各空母に通達。艦載機を発艦し敵艦隊へと攻撃に向かわせろと」

 

「はっ!」

 

「その後空母は後方に待機、艦載機で翻弄し一気に敵艦隊を叩く!」

 

「了解しました」

 

ミリアの命令に従い空母から艦載機が飛び立っていく。流石に夜間奇襲の時の様な戦果は揚げる事は出来ないだろう。アビン合衆国には空母がおり艦載機も同等に戦える程度には技術とパイロットの練度が高かった。

 

 

 

 

 

 

 

~アビン合衆国side~

「レーダーに多数の機影!敵の艦載機と思われます!」

 

アビン合衆国艦隊の司令長官を務めるキンメル大将の元に敵機襲来の報が入る。既にミリアの命令によって艦載機が飛び立ってそれなりの時間が経っていた。

 

「空母に通達!急ぎ戦闘機を上げさせろ!今展開している護衛戦闘機だけでは足りないぞ!」

 

「はっ!」

 

アビン合衆国とイハワ王国の艦隊を守るように護衛戦闘機が展開していたが燃料の消費を避けるためにそこまで飛んでいる訳ではなかった。キンメル大将の指示に従い護衛戦闘機隊が次々と発艦していく。そして、全ての機が飛び立ち編隊を組んだところで敵機を目視で視認するのであった。

 


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