え、人は誰かって?
うん。
あの選択は間違っていた。
私は、自分を騙してでも、許さないべきだった。
今だからこそ
理解できる。
『あいつに人並みの善意や悪意を持ってると思うな、あるのは凡人で居たいとする無気力と争いや妬み、復讐を己の悦と分かりきった本人だ』
あの人に人を助ける善意はない。
あの瞳の先に写っているのはその先で得られる無数の死という事実と狂気だけだった。
あの人にそれをする悪意という動機もまた、存在しない。
『当然』なのだ。
『子供が玩具で遊ぶように』
ただ
『どうでもいい生物』を『己の快楽のための玩具』にしているだけ。
あの人は口では『人の願いを叶えるしかできない哀れな奴隷』といっているが。
それは真実ではあるが『その人』が『人類』ではない。
当然と言えば当然だ。
『人』とは『人』でしかない。
そこらに散らばる『人間』まで『人』に出来るわけがない。
あの人の行動の全ては『なんとなく』と『犠牲が増える』の二つだけだ。
それが『狂帝』であれと言われた提督の決断。
本人はただ全てを終えたからのんびりと過ごしたい。
だが、『人間』は『昔の提督』を望んだ。
『奴隷』でしかない提督は『自分の願望』と『人間の願望』を持った。
どっちも叶える
それがあの人の全てだった。
だから『作った』
偽りであり真実の仮面を。
無にして有
陽にして陰
『提督』であり続ける『自分』と『願望』を叶える『自分』
簡単なことだった。
ただ自分を増やせばいい。
狂っている
壊れている
でも、喜んでいる。
それが『可能性』だからだ。
フィジカルなんてものをいくら鍛えても
同じような技をいくら鍛えても。
『目的』がなければ『不要』
でも知ってしまった。
『可能性』を
あの人に善悪は不必要だった。
そんなものは下らなかった。
ただ『己の感情』と『他人の願望』の為だけに動く装置。
自分さえよければそれでいい。
人間が万単位で死のうが
地球が滅びようが
人類が発展しようが
『自分の楽しみさえあればそれでいい』
簡単な答えだった。
それ故に私は、あの人を誤解しきっていた。
あの人は純粋に
欲しいものは殺してでも奪い、全ての財をその傍らにおき
ただ美しい景色を眺めていたいだけ。
誰も理解できるはずがない。
狂っていて正常。
『諦めろ』
今思えばその言葉は私に無駄だと教えるわけではなかった。
本当に自分に素直な人だった。
ただ『離れてほしくないけど無抵抗なのは嫌』
実におかしい話だ。
素直に言えば良いのに自分の願いを持ちすぎてあぁもなるなんて。
だからこそ私は、許されない。
私は、『怪物』を中途半端に受け入れてしまった。
全て過ぎたことだからだろうか。
だからあのときは全て進んだ。
「加賀さん・・・抱き付かないでよ・・・もう終わったんだから」
あの戦いで全て終わらせばよかった。
でも私は、『許せなかった』
いや違う
『間違えた』
『ただ、独占したかった』
『誰も見たくなかった』
『綺麗なもの以外は全て無くせばいいと思った』
「そうなんだ、それが許さなかった君の決断か」
あの優しく冷たかった声
それは永遠の闘争を望んでしまった私への答え。
銀色の雨が黒の月を溶かし
『怪物』は本当の意味で目覚めた。
欲望が身を滅ぼす
それは誰がいったのだろうか。
「さいっこうに愉快な戦争だよ加賀さん!!、見て横の無数の残骸、死体に弱者、赤い血の雨がここまで綺麗なんだ!!ねぇ?ねぇ!?もっと殺し合おうよ!!この地獄を作り続けてさぁっ!」
「あーあ、もう何度虐殺したかなぁ10億ぐらいかなぁ~?あーサイコー!!次もそのまた次も殺戮のパーティーだぁ!!アハハハ」
「えーと今日で多分100億突破でーすパチパチパチぃ。そろそろ飽きてきたから別の殺しかたしようか、ね、か が さ ん ?」
あれはただの殺戮装置
ただただ、殺しを楽しみたいだけの怪物
それを望んでしまった私が悪かった。
でももう止まらない。
止めれない。
誰もが止めた。
『あの人』を知る全員が警告した。
どのループでも
どのタイミングでも
必ず誰かが忠告した。
でも。
始めたのは
進めてしまったのは
全て私だった
だから止まるわけにはいかない。
途中で逃げるなんて許されない。
絶望を乗り越える
それが希望であり
救いだと思い
私は絶対に
あの『怪物』を許さない。
いや。
『作った奴ら』を許せない。
ここからだっただろうか。
完全に狂い始めたのは
次回 暗い運命の輪の中で