ちゃんとポピパの皆んなが出てきます。
「見てみて、これさあやちゃんがくれたガンプラ。お父さんにも手伝ってもらって、カッコよく作れたよ」
そう言って、作ったガンプラを見せてくれた。
「すごーい、すごくカッコいいよ」
私はあまりガンプラを知らなかったから、実際にあげたやつも零がずっと欲しいそうに見ていたからあげたもの。でも、そんな私でさえ、零が作ったガンプラはとても良く出来ていると思った。
「やったー!」
私に褒められて、はしゃぐ零。
「それでね、このガンプラを使ってガンプラバトルをするの。さあやちゃんがくれた、このガンダムサバーニャで、始めてのファイトをするの」
「ガンプラバトル?」
私が分からず首を傾げると、すっと私の手をとり、
「説明するより、見てもらった良いや」
「あ、れいくん。ちょっと待ってよ」
颯爽と走っていく。
走る零に必死に付いていくように走っていくと、目的地に付いた。そこは、私がガンプラを買ったお店だった。
「おじさーん、ガンプラバトル始めたいんだけど」
「お、坊主か。どうだ、ちゃんと出来たかガンプラは?」
「うん、これ」
どうやら、この模型店の店長さんとは知り合いのようだ。
「どれどれ、おー。しっかりスミ入れも出来てるし、つや消しまでしてるとは、中々よく出来てるじゃねか」
れいのガンプラをじっと見つめる店長さん。
「それで、坊主…」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる店長さんが、こちらを目を細めて見てきた。
「その一緒に居る、嬢ちゃんは彼女か?」
少し怖くて零の背中に隠れてしまった。
「おじさん、怖がってるんじゃん」
「おぉ、すまんすまん。だって、ガンダムやらヒーローのロボットばっかり見てたお前が途端に友達を連れてくるから。それも女の子の」
「そうだっけ?だって、ガンダムはカッコいいし、ヒーローは僕が成たいものだし」
零は楽しそうに言った。
それを聞いた店長さんは、溜息を付いていた。
「はぁ、全くこいつは…。あぁ、怖がらせてごめんよお嬢ちゃん」
ひょこっと、顔を出す。
「大丈夫です…」
「そうかい、それなら良いんだけど」
最初はびっくりしたけど、以外に良い人なのかな?
「ねぇ、それでバトルしたいんだけど」
零が店長さんの言葉を遮る。
「わかったよ、じゃぁ今準備するから。ほら、こっち来な」
「やったー、ほら行くよ」
店長さんに付いて行くと、大きな機械が部屋の真ん中に置いてあった。
「GPベースは持ってるのか?」
「あるよ、お父さんに買ってもらった!」
「よし、じゃあセットしておけ。今回は初めてだから、最初のお試しプレイのモードにしておくから」
「分かった」
「良し、準備も整ったし。良いぞ」
すると、機械から青くて綺麗な光が出てきた。それが、形を変えて街を作っていく。
「綺麗…」
「お嬢ちゃんも、初めてだったか。これはね特殊な結晶・粒の塊で出来ているんだよ」
準備を終えた店長さんが話しかけてきた。
「そ、そうなんですか」
「そう、そしてその特殊な粒がガンプラを動かしているんだよ」
「へぇ〜…」
良くは分からなかったけど、すごいことだけは分かった。
「さあやちゃん、見ててね」
ガンプラをセットした零君が手を振っていた。
そっと手を振り返し、零が「暮宮零 ガンダムサバーニャ行きます」と声を掛けるとガンプラが実際に空を飛んでいた。
「すごいよ…、やったー。俺のガンプラが飛んでるよ」
凄いはしゃぎっぷりで、飛んだり走ったりを繰り返していた。
「あいつ、いっつもこの店に一人で来てたんだよ」
「え?」
店長さんが楽しそうにガンプラを操作する、零を見ながらそう言った。
「毎日、学校帰りやって来て一人でショーケースのガンプラを眺めてるんだよ。そうかと思いきや、今度は全く違うヒーロー物のロボットのプラモデルの箱をじっと見つめてるんだよ。ずっとだよ、ランドセルを椅子にして色んな物を眺めていたよ」
「れいくんがそんな事を?」
思わず尋ねてしまった。
「あぁ、ある時尋ねてみたんだよ。『友達は連れてこないのかい』って、そしたらなんて答えたと思う?」
思わず息を飲んだ、その答えを聞くのをどこか怖いと思ってしまう自分が居たから。
「『みんな、おにごっことかの方が良いんだって。でも僕、そういうのあんまり好きじゃないから…。それにこの事を話すとみんなから笑われるから…』
『なんでさ?』
『みんなヒーローを見るのを辞めて、他の物を見てるのにまだ見てるから馬鹿にされるから。それに…』
『それに、何だ?』
『僕にされることを、僕以外のその連れてきた子が、僕と同じように馬鹿にさせるのは嫌だから』」
「れいくん…」
「驚いたよ、まさかそんな事考えてるだなんてよ。なぁ、坊主は本当に小学生か?」
「れっきとした小学生です、私と同じ」
「そ、そうか。そう怒るな、ほらアメちゃん」
「ありがとうございます…」
ちょこんと手の上に、小さなアメの包み紙が。
「良いってことよ、それより坊主とよく一緒に居るのか?」
「?一緒だけど?」
もらったアメを、口の中で転がす。
「坊主が友達の事で、もう一つだけ言っててよ。『ずっと一緒に居てくれる子が居て、女の子なんだけど。小さい頃から二人ずっと一緒で、最近じゃ、学校であんまり声掛けられないけど。休みの日とかに、二人で遊ぶんだ』って、今みたいな笑顔で話してたぞ」
「そうなんですか?」
「あぁ、そりゃもう。俺と、ガンプラの話するときより目が輝いてるぜ。でも、『学校』でってなった瞬間に泣きそうな顔してよ。なだめるのが大変だったよ」
「確かに、学校じゃやっぱり女の子の友達が多いからどうしても…。
それに『あの子いっつも一人だし、それにずっと何か絵を描いてるよ』
『何か、他の男の子が遊びに誘っても遊ばないんだって』
『なんだか、感じ悪いね』って、女の子の中でもそういうのばっかりで…」
「そうか…。坊主も好きな事してるだけなのに、大変だな…」
店長さんと話をしていたら、いつの間にか暗くなってしまっていて零のバトルを見ることが出来なくなっていた。
「おーい、さあやちゃん。見てた?今の狙撃!すごくない!一発だよ、全部一発で倒せたよ!」
そんな事を知らない零は、夢中でバトルしていた。
「ご、ごめん。な、何?聞き逃しっちゃった」
慌てていつもどおりにしようとするが、零はコマンドを選択肢バトルを辞めていた。
「あ、れいくん。バトル止めちゃってもいいの?」
「だって、さあやちゃんが悲しそうなんだもん…」
「え?」
「俺たちずっと一緒に居たんだから分かるっての、何かあったんでしょ?」
零がこちらを心配そうに見ていた。
「ううん、何でも無いよ。だから、ほら続けてよ。私、れいくんのバトルみたいな…」
「分かった…」
心配させないと誤魔化したが、零には余計に怪しまれた。
「あのさ…」
「何?」
突然振り向き、
「『れいくん』って呼ぶの、もう辞めて…」
「え、どうして…なんで…」
「これからは『れい』って呼んで…これがもう一度見せる条件」
「分かったよ…れ、れい…。でも、急になんで…」
「何となくっていうのと、俺は強いから…。周りから馬鹿にされても、自分の好きを貫き通せるから…」
「れい…、聞いてい…」
「だから、学校では気にしないで…。俺のこと気にしてれば、さあやちゃんにきっと何か言われるから…」
零は、頬に涙を流しながら、微笑んでいた。
「だから…、そんなの見たくないから…。だから、学校では他人のふりをして…。家とか、ここで遊ぶときは前と変わらないから…」
このとき、行動は自分でもビックリしていた。口よりも先に手が出ていたんだから、初めて零を引っ叩いた。
「馬鹿言わないでよ、何でそんな風にれいが苦しまきゃいけないの。ねぇ、どうして?」
「それは…、だって俺が学校で耐えていれば、こうして学校以外でさあやちゃんとまた過ごせるから」
「私は、学校でもれいと過ごしたいの。れいと笑っていたいの、それに昔言ったよね『俺が、さあやちゃんを守るって』だったらその言葉通り守ってよ」
零の胸の中で、ぽかぽかと握りこぶしを作って殴る。
「痛いよ、さあやちゃん、痛いって…」
「馬鹿、れいの嘘つき。あのとき約束を守ってよ…」
次第に殴る力が弱くなり、しがみついて泣いてしまっていた。
「なぁ、坊主…。その子はさ、坊主が思ってるほど弱くはないんだ。ちゃんと嬢ちゃんなりに考えているんだよ、だからさそれを受け止めてやれ」
おじさんが頭を、わしゃわしゃと雑に撫でる。
「そんな事言ったって…、だって俺はさあやちゃんが傷つくの見たくないし…」
「でも、嬢ちゃんは坊主が傷つくところが見たくないんだよ」
「それは……」
「坊主、じゃあ一つだけアドバイスだ。よく聞けよ」
おじさんがいつもの優しい顔ではなく、厳しい顔で見つめてきた。
「うん」
「ヒーローはいつもどうやって戦っていた?お前が好きなガンダムのパイロットは、どうやって戦っていた?その事をよく思い出せ」
ヒーロがどう戦うか?ガンダムのパイロットがどう戦うか?どういう事?
「難しいか、じゃあヒーローのロボットをよく見てみろ」
言われてショーケースに飾ってあるヒーローのロボットを見る、一体どういう事…。
「おじさん、そういう事なの…」
正解かどうなのかは分からない、けどそれが今俺が出した結論ならそれを信じるしかない。
「さあやちゃんはさ、俺が傷つくところが見たくないんでしょ。でも、俺もさあやが傷つくところも見たくないんだ」
「でも、私はれいが傷つくのを見たくない…」
「分かってる…だから、さあやが俺を守ってよ」
「え…」
「俺はさあやちゃんを。さあやちゃんは俺を。お互いがお互いを守る、助け合い」
「……」
泣いて赤く腫れてしまった目で、見つめてくる。
「おじさんの言葉で思い出したんだよ、ヒーローは一人で戦ってるんじゃない。仲間と戦ってるんだって、まぁさあやちゃんは仲間って言うよりは家族だけど」
「れいの…家族…」
「だって今までずっと一緒に居て、普段からやることは二人一緒で兄妹みたいなんだから。でも、俺のほうがお兄ちゃんな」
「むぅ、それは違う。私のほうがお姉ちゃんだから」
「いや、そこは俺だって」
「私だって」
「「ぐぬぬぬ」」
おでこを合わせて睨み合っていると、自然と笑いが溢れた。
「ははは、やっぱり楽しいな。さあやちゃんと居る時は」
「ははは、それはこっちのセリフだから」
そして、改まって言おうとすると恥ずかしくなってきたが、
「俺がお前を守る、だから俺を支えてくれ」
「分かった、私がれいを支えてあげる。そのかわり、私をまもってね」
「「うん」」
そして、もう一度仲直りでハグをした。
「いや〜、若いっていいなぁ。おじさんも、子供のころそんな事したかったな」
「おじさん、それ…今言う…」
色んなものが一瞬にして崩れ去ったよ。
「あはは、悪い悪い。よし、それじゃあ感動の印にガンプラバトル、ちゃんと始めるか」
「おじさん…、まぁ良いけどやるけど」
「れい、今度はちゃんとれいのバトル見届けるから」
「ちゃんと見ててよ」
そう言って、再び零のガンプラが空を駆け抜けていった。
「零…。ふぁ、夢だったのか」
昨日は結局、零との思い出を思い返しているうちに寝むってしまっていたらしい。時計を見ると、お店に出なくては行けない時間だった。
「やばっ!これは流石にやばいよ」
慌てて寝間着から制服に着替えて、階段を駆け下りてお店の方に出た。
「あ、さーや。おはよう〜、どうしたの〜?今日は遅かったけど?それに髪もボサボサだよ?」
するとそこには我が山吹ベーカーリの常連の一人、羽丘女子学園の青葉モカが居た。
「おはよう、モカ…。いや、ちょっと昨日遅くまで練習してて」
その場で適当な言い訳をする。
「そうなんですか〜?本当ですか〜?」
モカはこういう観察力は本当に鋭いのだ、
「本当だよ、最近どうもスランプ気味だから」
「ふ〜ん、そうなんだ〜。でも、あんまり夜遅いと体に悪いよ〜」
納得してくれたようで、今回はこれ以上の探りを入れてこなかった。
「うん、気をつけるね」
「ホントですよ〜、それじゃあこれください」
トレーに乗った大量のパンを今日も買っていくモカ。毎回思うのだが、これだけの量を食べて何で太らないのか…モカのお腹の中はブラックホールなんじゃないかと思う。
「はいお釣りね、いつもありがとう」
「いえいえ、山吹ベーカーリーのパンはモカちゃんの生命線ですから」
「そんな重要な役目を果たしているの、うちのパン」
「そうで〜す、あ、そろそろ行かないと〜」
「もうそんな時間?」
「それでは、モカちゃんは学校に行ってまいります」
「いってらっしゃ〜い」
モカを見送って、しばらして私も学校に行くことにした。
「お父さん、行ってくるね」
お店をお父さんに任せて、学校に向かった。
学校への道を歩いていると、少し行った所に同じバンド(Poppin'Party)のギター・ボーカルの香澄とキーボードの有咲が歩いていた。
「おはよう、香澄、有咲」
「おはよう!さーや」
「おはよう沙綾。なぁ、香澄をどうにかしてくれ。朝からうるさくて仕方がないんだよ」
「だって、今日は転校生が来るんだよ」
香澄の言うとおり今日は、転校生が来るらしい。それも、同じ学年の。
「それにして、2年の5月の半ばだぞ。なんで、こんな時期に転校生なんだよ」
「ミステリーな予感」
「うわぁ、どっから現れるんだよ」
「おたえ〜、おはよう」
「香澄、おはよう。沙綾もおはよう、有咲もおはよう」
「おはよう、おたえ。それにして、突然現れるからびっくりしたよ」
ギター担当のおたえが、有咲の背後からむくっと現れたのだ。さすがに、これはびっくりした。
「でもそうだよね、この時期に転校してくるって中々聞かないもんね」
ましてやここ数年で共学になったばかりの女子校であるなら、尚の事おたえが言うように『ミステリーな予感』だ。
そうして4人で仲良く登校こうしていると、校門のところで先に来ていたらしいりみりんが慌てた様子で駆け寄ってきた。
「おはよう…、はぁはぁ…」
「おはよう、りみりんってどうしたの?」
「何かあったのか?」
香澄と有咲が尋ねる。
「はぁはぁ、何だかよく分からないけど体育館に…」
「体育館?何かあったけ?」
おたえが頭を悩ませる。体育館か、何かあったけ。
「あ、もしかしてあの機械?」
香澄が思い出したようで、それに反応しておたえが。
「あ、あれだ。何か、プラモデルの戦う機械だ」
「バトルシステムだ、それくらい覚えろ」
「何で有咲は覚えてたの?」
「アレの管理は、一応生徒会が管理してるんだよ」
生徒会ってそんな事までするんだ。
「なんだか、何でも屋だね」
ちょっと面白そうだったのからかってみた。
「ちげぇし、生徒会はそんなんじゃないから」
「はいはい、ごめんて。それで、体育館で何があったの?」
体育館に何が有るかわかったので、本題に戻った。
「体育館にすごい人混みが出来てて、さっき見に言ってきたの。そしたら、模型部の部長さんが戦ってて」
「それなら、良く有るんじゃないの?模型部、ガンプラバトルもするって言ってたし」
そう言うが、大きく首を横に振られた。
「そうじゃないの、確かによくバトルはしてるらしいけど。相手が問題なの」
「どういう事?」
「さーやちゃん、昨日チャットのグループで男の人助けたって言ってたよね」
「うん…、怪我もそんなにで退院したけど」
昨日の事件はあまりのびっくりしたので、ついグループで話してしまってみんなは知っている。
「よく見えなかったからなんとも言えないんだけど、さーやちゃんが言っていた人と特徴が似てる気がして…。それにもしそうだったら、その人包帯とか巻いていたりする…?」
「いや、分かんないけど。たぶんまだ着けてると思うけど…」
「さーや、どうしたの。急に黙って?」
香澄が心配そうに声をかけてきた。
「香澄、もしかしたらりみりんが言ってるの昨日私が話していたの本人かもしれない」
「え、じゃあその人体にまだ傷が…」
「それってかなり危険じゃねぇかよ」
おたえと有咲が焦り始める。
「間違いだとは思いたいけど、断片的に聞く限りそうとしか…」
「なら、早く行かないと。その人かどうか確かめないと」
香澄は走り始めていた、体育館に向けて。
「私達も行こう、この目で確かめないと」
香澄の後追うようにして、体育館に向けて走り始めた。
初回投稿からお気に入り登録してくれた皆様、そして読んで頂いてる読者の皆様、
いつも有難うございます。
今回はポピパのみんなを出させてもらいましたが、何かあんまり出番が少なくてごめんなさい。
零の小学生時代の思い出が、だいぶシリアスチックに書かせてもらいましたが、小学生らしさが段々なくなってしまって…。
それでもこれで零と沙綾が再び出会います、次回は本格的にバトルを開始したいと思ってます。