絶望したヒーロー志願者と愛を望んだ少女   作:龍宮院奏

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今回はガンダム要素がかなり入っています!


第四話絶望の始まり

こんな大勢の人に囲まれて見られて、バトルするのは正直好きではない。が、今はそんな事を気にしている時間は無かった。

 バトルフィールドは宇宙空間で、コロニーの残骸や撃墜されたモビルスーツの残骸のオブジェクト無数に存在するサンダーボルト中域を思わせるフィールド。

 しかしそれがこちらの狙撃を行うのには最適で、場所を選んで準備する。

「GNロング・バスターライフル起動」

コロニーの残骸の一部に身を潜めて、敵の出現を待つ。静寂が支配する擬似的に再現された宇宙空間で、ただ一人動きがある時を狙う。

「居た…」

スコープから敵・ストライクフリーダムの機影が映る。GNロング・バスターライフルから、一直線に赤いビームが放たれる。

「ちっ、やっぱり交わしてくるか…」

だが、そんな事は計算済み。その避けた先に向けて、もう一度赤いビームが放たれる。当たったはずだが、何処か違和感が拭えない。

「その距離からの的確な射撃、相当やりこんでいるね」

爆風の中現れたのは、工藤烈の世界の穢を知らない純白雪のようなストライクフリーダムガンダム。

 ストライクフリーダムガンダム・クロイツェンが此方を睨んでいた。

「僕が思っていた以上に楽しめそうだよ、それでこれはさっきのお返しだよ」

そう言って高エネルギーライフルからビームを連射してきた。先程の射撃で位置がバレてしまっているため、避けることに集中する。

 昨日戦った奴らとは大違いだ、この街にも面白いやつがいるじゃねぇか。

「楽しませてくれよ、なぁ…部長さんよ」

 

 明らかに口調が変わっている、先程の会話からは思いつかないほどに変化している。これがもしかして、暮宮くんの本性なのか。なら、なおのこと面白い。

「良いだろう、なら僕の本気を見せてあげよう」

その宣言どおりに、工藤先輩のストライクフリーダム・クロイツェンの機体速度が上がっていく。

 

 このまま至近距離戦闘に持ち込まれたら厳しい、そう判断しスコープの中から機体の動きに合わせていく。それも機体が次に向かうであろう進路に向けて撃っていく。

 しかしそれを紙一重で、僅かにすり抜けていく。そして遂に徐々に距離を詰められていき、

「ようやく出会えたね、君のガンプラ。ガンダムアディルゲンに」

そう出会ってしまったのだ、この時はまだ彼があの『絶望の旋律者』だとも知らずに。

「ガンダムサバーニャがベースだね、君の機体は」

「そうですよ、まぁだいぶ改造はしましたけど」

「それにしても、黒と赤のサバーニャか。随分とイメージが変わるね、原作はもっと明るいから」

「良いんですよ、俺の相棒なんですから」

今現在こうして会話を理路整然と行っているが実際は、視界で確認できる範囲にまで接近してきたストライクフリーダム・クロイツェンをGNピストルで狙撃し、アディルゲンへとさらに距離を詰めようと狙撃を交わしながら近づいているのだ。

 そして、遂にストライクフリーダム・クロイツェンが距離を詰めビームサーベルで斬りつけた。それをGNピストルのブレード部分で受け止めながら、至近距離でさらに撃ち込んでいく。

 ここまで近づけたのだが、思ったように取り付けない。ならば、これで…。右手に備え付けられた攻盾システム・トリケロスの細長い槍状のミサイル・ランサーダートを撃ち尽くす。

 が、やはり次々とアディルゲンの狙撃で撃ち落とされていく。しかし実際にはそれが目的だった。

「何だこれ、前が見えない。煙幕…」

咄嗟のことで状況が分からずに混乱するが、冷静になり気づいた。

「ミラージュコロイドか…」

攻盾システム・トリケロスが採用されていた機体は全て、隠密行動・潜入などに特に能力を発揮するものに使われていた技術。それの実態が暴かれないように、こうして煙を発生させ視界を潰しその間にミラージュコロイドを発動させるって考えか。まんまと相手の思う壺だ…。

 すぐさまにミラージュコロイドに対抗するためにレーダーを熱源探知に変更する。ミラージュコロイドは視覚・電磁的な探査の追跡を不可能にするが、機体のスラスターから吹き出される熱や音は隠しきれない。そこをついていけば、勝機は有る。

「今君は、『ミラージュコロイドの弱点である熱源や音を利用すれば勝機が有る』と思ったはずだが…。そんな弱点を僕が見逃すわけ無いだろ」

声を辿るがやはり姿はおろか、レーダーにも反応がない。

 その場を脱出しようと、機体のスラスターを吹かす。が、それをさせまいと何かが足を掴んでいた。

「亡霊か何かかよ!このフィールドの?」

掴まれた足の周りをGNピストルで狙撃で牽制する、すると今度は掴まれていた足が突然離されバランスを崩し宙を舞う。

「少しばかり、動揺し過ぎなんじゃないかな?操作に精細さがかけているよ」

宙に浮き出た瞬間に、狙撃の嵐にあった。

「っく…、行けビット」

ガンダムサバーニャに搭載されているGNホルスタービッドを展開し、シールドして利用して狙撃を防ぐ。そこに連続して次々と放たれるビームや、ストライクフリーダム特有のレールガンの弾、ドラーグーンから放たれる攻撃を、GNピストルで撃ち落としながら防いでいく。

「凄いよ…ほぼ全ての攻撃を防ぎ来るなんて。でもまだ僕の事を見つけ出せていなんだろ」

声はしていても、やはり何処に居るのかが掴めてこない…。先程の弾道からある程度の予想は着くけれど、今となってはもう移動しているはずだから意味がない。

 こんなにも分かり易く敵の策略にハマって戦うのは、初めてだ。

「はぁ〜…、すぅ…はぁ〜…」

一度呼吸を整えて心を落ち着かせる。確かに言われたとおりに焦っていた。

 周りは見ず知らずの人が観客として見ていて、そしてさらには思ったように戦えていないことへの苛立ち。それも少しずつ収まっていく、心を沈めて周りを見渡していく。

「…、そこ」

傍から見たら何もない宙に向けてライフルを撃っているようにしか見えないが、実際には…、

「ようやく見つけたようだね…」

攻盾システム・トリケロスが爆発する寸前で切り離す、ストライクフリーダム・クロイツェンが居た。

「えぇ、先輩が言っていたとおり。少し集中に欠けていました…、でも今からは違いますよ」

姿を表したストライクフリーダム・クロイツェンに対し、GNビットを展開し、胸部のGNミサイルポッドからもミサイルで攻撃を放つ。

 ビットから来るビームを交わしながら、ミサイルを撃ち落として行く。

「やっと見つけてくれたようで、それじゃあここからは小細工無しでやらせてもらうよ」

背中のバックパックから槍・オキツノカガミを手に接近戦に発展した。ピストルをビッドに戻し、腰のアーマーからビームサーベルを抜き出しオキツノガミを受け止める。

「遠距離戦向けの筈なのに、近接戦闘にも対応するだなんて」

「別に弓兵が剣を使っちゃいけないだなんて、そんなルールは無いですから」

連続した突きを繰り出されながら、ビームの刃で受け流していく。繰り出される槍術の空きを縫っては、レールガンを撃ってくる。これには避ければオキツノカガミの方で装甲を貫かれてしまう為、避けることが出来ずに装甲を破壊させるしか無かった。

 しかし、それを連発されては困るので、こちらも再びピストル撃って右のレールガンを破壊する。この時かなり距離を詰めてピストルを撃ったために、爆風に覆われて左手の装備の脅威を見抜けなかった。

「やはり、弓兵は剣を握るべきではないよ…。弓兵はやはり狙撃に専念するべきだったね」

サバーニャの胸部を鉤爪状の手甲・ツムハノタチで貫いたのだ。胸部の装甲を貫通し、その刃は中で引っ掛かりを作り離さない。

「楽しかったよ、君とのバトルが…。でも、もう終わりにしよう」

中身を掻き乱すうようにねじ回しながら、ツムハノタチを引き抜いた。そして、引き抜かれたアディルゲンに対して使える砲撃を全て使用し破壊した。爆発が巻き起こり、ギャラリーの生徒たちもその光景に歓声が上がる。

 けれどその歓声を嘲笑う声がしていた。

 

「っくく…、くっハハハ…。そうだよ…、そうでなくちゃ…」

 

「何?今ので勝負は決まったはず…。まさか…まだ」

爆風が消え去ると、アディルゲンは装甲の殆どを失いながらもそこに存在していた。

 

「俺と相棒はこんなものじゃ、死にはしないさ…」

誰にも見えないコックピットで不敵な笑みを零す。

 

「さぁ、ここからが本当の絶望の幕開けだ。その身にとくと刻むと良い」




オリジナルの機体を投入させてもらいました。武器名はそのまま使わせてもらってます。
原作機をリスペクトです、本当は機体の方で精一杯でした…。
今回も楽しんで頂けたら、何よりです。それでは次回に…。
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