他の連載や、諸々の事情を含めて遅くなりました。
はぁ…、小さく溜め息をこぼす。今これから自分が編入するクラスでは、担任の紅葉谷先生がホームルームを行っている最中である。予定では、先生の合図と共に教室に入るという予定なのだが……、中々来ない。
「それでは、知っているとは思うが転校生を紹介したいと思う。入って来て」
入室の合図が出たので、緊張で震える手で、扉を開けた。
中に入ると、一斉に視線が向けられる。それも女子のほうが多いため、背筋が凍るような気がした。突き刺さる視線を感じながら、黒板に名前を板書していく。
「く、
教室を見渡すと、沙綾とりみが同じ教室に居た。こちらに小さく手を振ってきた。
「それじゃあ、暮宮の席は…。あ、弦巻の隣が開いているからそこな」
「わかりました」
沙綾の隣じゃなかった……。心の中でしょぼくれながら、先生が指名した席に座る。
「貴方が、新しいクラスメイトね!」
席に着くと共に、すぐさま隣の席の人に話しかけられた。
「私は、弦巻こころ。宜しくね!」
話しかけてきた弦巻さんという少女は、ひと目見てイメージとして湧いてきたのが『太陽』だった。
黄金色に輝き光を反射する髪、宝石のように輝く髪と同じ色をした目。そしてそれを、有無も言わさぬように整った顔。
現実でこんな人に出会うことがあるんだと、
「……」
思わず見入ってしまっていた。
「あら、どうかしたのかしら?」
心配そうに弦巻さんが見つめてきた。
「あ、何でも無いよ……。こちらこそ宜しく……、弦巻さん」
そう返事をすると、
「こころで良いわ、みんな私をそう呼ぶから」
「あ、じゃあ、こころ。宜しく……」
「うん、私も宜しくね。零」
こころの笑顔が眩しくて、それでいて不思議と温かった。
それから授業が始まった。教科書は持って来てはいたが、内容が前の学校と大分違っていて殆ど解らないままに進んでいった。所々こころに聞きながら、なんとかして授業にはついていった。
「終わった〜…」
最初から苦手な数学だったこともあり、疲労が溜まっていた。それを癒やすためにカバンから音楽プレイヤーを取り出し、イヤホンを耳に付け音楽を流す。先程の疲れが、どっと癒やされる。
「……」
それにしても先程から、やたらと視線を感じて仕方がない。イヤホンを外し、目を開けると、机の目の前で机越しにこころがじっとこちらを見ていた。
「あの……?何か、御用でも?」
あまりにもじっと見てくるので、視線に耐えきれずに尋ねた。
「さっきから何を聞いて居るの?」
こころは先程から、聞いている曲に興味が有ったらしい。
「えーと…、カッコいい曲?」
「どんな風にカッコいいの!?」
輝く瞳で更に尋ねてくる。
「何ていうか、激しいって言うか……。こう、歌詞と曲の合わさった感じが良いっていうか……」
何て説明したら良いんだろう、カッコいいって、結局人それぞれ違うから説明しろって言われても……。
悶々と頭の中で、考えを張り巡らさせたが。説明の仕方が解らずに、結果、
「聞いてみる…?」
右耳のイヤホンを外し、こころに手渡す。
「良いの?だって零が聞いていたじゃない」
「構わない、口で言うよりも早いから……」
「じゃあ、試しに聞かせてもらうわ!」
こころはイヤホンを手に取り、自分の耳に付ける。
音楽を最初の方まで戻して、再生した。
ちなみに聞いていたのは、『仮面ライダー仮面ライダーオーズ/OOO』のオープニングテーマ曲『Anything Goes!』であった。
「透き通るような綺麗な女の人の声で、力強く歌っていてカッコいいわね。それに歌詞もとっても良いわ」
曲を全て聞き終わると、こころは満面の笑顔でそう言った。
「でしょ…、この曲を聞くと心から元気が溢れてくる感じがする…」
「他にはどんな曲が有るのかしら?」
「え?」
言われた言葉が頭に入ってこなかった。
「私もこの曲が気に入ったわ。だから別の物も聞いてみたいわ」
こころは反応が無いことを気にして、もう一度言ってきた。
こころは今『この曲が気に入ったわ。だから別の物も聞いてみたいわ』そう言ったんだ。
「気に入ったの?これ、特撮ヒーローだよ?しかも、割と男子小学生を対象にした作品の曲だよ」
改めて曲について話すと、
「それがどうしたの?『男子小学生を対象』って零は今言ったけど、ならどうして零はこの曲を聞くの?」
「それは……、好きだから。カッコいいって思うから……」
「そういう事よ!自分で好きだと思ったから聞くのでしょ?私も今好きになったから、もっと教えほしいわ!」
変わらずこころは笑顔でそう言っていた。何だこの人……。
「ふっ……」
思わず口から笑みが溢れる。
「一曲聞いただけで好きなったって……、じゃあこれ貸してあげる」
聞いていた音楽プレイヤーを、こころの手のひらに乗せる。
「良いの?だってこれは、零が使っていたんじゃないのかしら?」
「家にはちゃんとCDが有るから…、それに好きになったんでしょ…」
気恥ずかしくてこころの顔を見れずに、机にうつ伏し。
「そんな風に言ってくれたの…、こころが初めてだから…」
「……」
一瞬だけ、こころの顔が赤く染まり、
「ありがとう、零。今度必ず何か、零が笑顔になるようなお返しをするわ」
「そうか……、なら頼む……」
零はうつ伏して見ていなかったが、周りにいた人は皆、『弦巻さんのあんな笑顔、見たこと無い』と思うほどの笑顔を向けていた。
その後も、こころと机を合わせて授業を受け昼休みになった。昼休みの鐘が鳴ると、こころは教室を出て何処かに行ってしまった。
「何処で食べよう…」
消え掛けそうな声で呟くと、
「れ〜い!お昼ご飯、一緒に食べない?」
「沙綾、でもみんなと食べたりしないのか?」
誘ってくれたのは嬉しいのだが、沙綾はバンドのメンバーと食べたりすると思うのだが。
「あれ?零も一緒に食べるんだよ?」
決まっているかの如く、答えを返す沙綾。
「え?だって、香澄やおたえやりみや有咲は良いの?」
「私は、零君が一緒の方が楽しいと思うよ」
沙綾の隣に居たりみもどうやら賛成のようだった。
「じゃあ、俺も一緒にたべ……」
二人からの承諾から、いざお昼を食べに教室を出ようとしたその時……。
「暮宮君……、探したよ……」
「ど、どうも工藤先輩……」
何故か息が荒く、肩で呼吸をする工藤先輩が教室の扉に立っていた。立っていたと言うより、走っていたのを急ブレーキを掛けたようだった。
ようやく呼吸が整った所で、
「なぁ、暮宮君」
俺の手をとり、
「我が模型部にぜひ入部して欲しい!」
部活動の勧誘をされた。
「……え?」
「いや、昨日の君のバトルを体験して思ったんだよ。君なら、我が模型部に新たな風を巻き起こせるって!」
工藤先輩、こんなキャラだったけ?それとも昨日のバトルの所為で、とち狂ったのか?
「それにきっと夏の『全国ガンプラバトル甲子園』の優勝も目じゃないって!だから、頼む!」
「えっと……先輩……」
目の前で凄い勢いで頭を下げられてお願いされている所なんですけど……。
「取り敢えず、その話は後日で良いですか?」
「え?まぁ、返事は早いほうが良いけど、考える時間も必要だよね」
いや、何一人で解釈してるんですか?
「いえ、今から沙綾と、沙綾の友達とお昼ご飯食べるので、そういう話は今無しでお願いします」
「「「……」」」
俺の解答を聞いて、沙綾、りみ、そして先輩の三人が固まった。
「ほら、沙綾もりみも行こう?香澄達も待ってることだろうし」
そんな先輩を他所に、何食わぬ顔で沙綾の手を取る。そしてそのまま、工藤先輩の横を通ろうとする。
がしかし、
「いや、え、あ、あの……。暮宮君、そ、そのそういう理由なら今でも答えは……」
動揺が抜けないながらに、カタカタと震えながら再度質問してくる。
流石にこれには少しばかり、苛立ちを覚えた。
「あの先輩、俺にとって相棒と沙綾は同じくらい大事な存在なんですよ……。
『相棒が立つ戦場は俺が望む場所』、『沙綾が何か俺と行動をするならそれを優先する』、
これが俺の理念なので。ですから……、これ以上言うなら俺先輩の誘い蹴りますよ」
多分だけれど、アディルゲンで戦っている時と同じくらいの負のオーラを滲み出しながら睨みつけていたと思う。
「そ、そうだよね……。だ、大事な彼女さんとのよ、用事だもんね……。ご、ごめんよ〜!」
じゃなきゃ、工藤先輩が若干涙目で俺の前から走り去っていかなかっただろう。まぁ、これで問題も解決したのでお昼ご飯が食べられる。
沙綾とのご飯久しぶりだな、と胸を弾ませていた。
「さ、沙綾ちゃん……。い、今のは……」
零から滲み出ていた負のオーラをりみも感じてようで、少し泣きそうになっていた。
「だ、大丈夫だよ……。ほ、ほら…、零の冗談だろうし…」
正直な事言えば、私も今の零はちょっと本気で怖かった……。あんな周りが黒く見えるオーラ出せるんだと……。
あと、私が零のか、彼女って……。
「沙綾、顔赤いけどどうした?」
零が負のオーラをしまい、普段通りに戻る。そしてそのまま、顔を覗き込んでくる。
「べ、別にどうもしないよ!」
「なら良いけど……」
はぐらかした事が不満なのか、ちょっと拗ねる零。
「じゃあ行こうか」
「おう」
「うん」
こうしてようやく、教室を出て香澄たちの居る中庭に向かった。
「え、零くん部活の勧誘断っちゃったの?」
「一応保留にしてるけど、多分入らないと思う」
中庭には既に香澄、おたえ、有咲がお弁当を広げていた。俺達が遅れてくると、『あ、遅いよ〜』真っ先におたえが理由を聞いてくるので先輩との一件を話した。
「でも、うちの学校の模型部『ガンプラバトル』で強いって有名だよ」
「お前、それさっき私が言ったことだろうが」
香澄が復唱するように、この花咲川学園はほぼ毎年全国大会に出場している常連校らしい。有咲が言うには……。
「でも、俺には関係ないし。バトルは俺にとっては目的が有るわけだし、それに部活入ったら昨日みたいに絡まれるし……」
「零、絡まれたって?」
事情を知らない沙綾が聞いてくるが、
「俺も知らない?俺にバトルで負けたって言ってたけど、俺には記憶がない……」
自分で解らないことなので、どうとも言えない。
「そうなんだ……」
「俺の中で記憶に残るような奴は……、何でも無い……」
その場で言おうとしたが、やっぱりこの場で言うべき話題では無いので控える。
その後も話をしながらお昼ご飯を食べていたわけだが、
「ねぇねぇ?」
「どした?」
「零のお弁当って、何か独特だよね」
俺の弁当に視線を落としながら話すおたえ。
「そうか、生憎飯には金を掛けない主義なんだよ」
そう言って弁当を食べる。
ちなみ俺の弁当は、山吹ベーカリーのクロワッサン、茹でたモヤシ『食○るラー○和え』、後豆乳のスムージー。
「零、ちゃんとご飯は食べなきゃ駄目だよ」
予想はしていたけれど、やっぱり沙綾に怒られた。
「分かってる……、けど俺には相棒の修復の方で」
「零……」
言い訳をしているつもりは無いのだが、反論しようものなら容赦なく睨まれた。
「りょ、了解です……」
「よろしい、一応聞くけど家でもそんな感じ?」
流石に昼飯の一件で怒られて、家の方でも怒られるのは勘弁したい。
「そ、そんな事は無いぞ…」
「零の目がどんどん違う方向に向いてるよ」
おたえ!お前、さらっと裏切ったな!
「零、ちょっとそれはどういう事かな……?ゆっくり、オハナシシヨウカ?」
「や、その、ご、ごめんって……、だからその……」
この後盛大に沙綾からの説教が繰り広げられ、俺のメンタルはもうズタボロでした。途中、そんな俺と沙綾を見て、『なんか夫婦みたいだね』と香澄が笑顔で言っていた。
今日は先輩には『恋人』、香澄には『夫婦』と、何かと関係を疑われたりするけど、俺と沙綾はただの幼馴染なだけだからな。付き合ってないし……。
「じゃあ今日は零の家でご飯作るから、帰りにスーパー寄ろうね」
お説教の執着点が何とか定まりはしたのだが、
「スーパー……高いから嫌だ……」
「もう、そんな事言わないの」
「だって、食費が浮いた分他の事に使えるし!」
「その結果がバイクなの?」
「「「「バイク!?」」」」
そうだ、沙綾は知ってるけど他の皆は知らないんだった。だからそんなに食いつくな、おたえと香澄は近い。
「そうなんだよ、零ってばバイトでお金が溜まったからって高そうなバイク買ってるし……」
なんでそこで沙綾が溜め息をつくんだよ、良いだろうがちゃんとした報酬と値引きで買ったんだから。
「別に良いでしょ、カッコいいんだから……」
「そういう問題じゃないの!」
そう言いながら俺の両頬を引っ張る。
「全く、一人暮らしなんだから。しっかりしてよね」
「りょ、りょうはいひひゃ」
やっと頬を引っ張るのを止めてくれた。
「でもバイクはバイトの金で買ったけど、ガンプラは一部違うぞ」
このまま怒られっぱなしも嫌なので、少しは弁明を試みよう。
「まさか……闇取引……」
「そうそう、闇取引。俺、腎臓の片方売ったんだよな、って違うわ!怖すぎだろ、闇取引って」
「違うの?」
「違うわ!」
おたえのとんでも発言に乗っかったけれど、発想が怖すぎだわ。あと、香澄とりみは怖がりすぎ。有咲と沙綾その『もう手遅れ』みたいな顔をしないで。
「仕事の依頼の報酬とか、バイト先でのご褒美で貰ったりするんだよ。あとは、安売りで買ったりとか」
「ほんとに?怪しい仕事とかしてないの?」
「おたえは俺に何を求めてるんだよ!俺のバイト先だってちゃんとした店だからな!」
本当におたえの考えにはついて行けないし、あからさままでにがっかりされるし……。もう、踏んだり蹴ったりだな。
「零くんのバイト先ってどんな所なの?」
だからさ、そんな怯えながら聞かないでよ。りみの質問には、
「簡単に言えば、『戦場』、よく言えば『憩いの場』で働いてる」
「ど、どんな所なの〜?」
「抽象的すぎる例えで解りずれぇ!」
言うと沙綾がまた起こりそうなので濁しておいた。
その後はお昼休みの予鐘がなるギリギリまで、俺の『バイト先当てゲーム』が開幕された。何でか知らないが、『探偵事務所』、『マフィアの管理人』とか、物騒な物がオンパレードだった。
特にびっくりしたのは『現代版・必殺仕事人』って言われたこと、しかも香澄に。正直、沙綾の友達関係が少しだけ怖くなった。
午後の授業もこころと机を合わせて臨んだ。帰りに香澄達にバイク通学がバレて、一騒ぎが起きた。香澄は興奮、おたえは撫でるし、りみは驚き、有咲は頭を抱える。今日こそは沙綾と二人乗りをしたかったのだが、沙綾の分のヘルメットが無いことに気づいて断念した。
「ねぇ、今日何か食べたいものある?」
スーパーに着き、沙綾がカートーを押しながら聞いてくる。
「そうだな……、特に思いつかないから沙綾のおまかせで」
何時ぶりかのスーパーに、目を様々な所に向けながら答える。
「それが一番困るよ〜」
「そうか?沙綾の作る料理だ、不味いはずが無い」
「何その自信は、何処から来るの?」
「幼馴染の勘と、戦場の経験から」
「最初の方は分かるけど、二つ目のはちょっと分からない…」
「ひ、酷い……」
「もう、冗談だよ」
沙綾は笑いながらに、料理に使う材料を選んでいく。その光景を見ていて、『彼女』という工藤先輩の言葉がフラッシュバックする。
けど、今の俺じゃ……、何処かで諦めるような声がする。十年の中で俺が変わってしまったように、沙綾にもきっと好きな人くらいは居るだろうし……。
「長かったな……」
小さく不安な思いが言葉に溶け出てしまう。
「零?また考え事?」
カートを停めて近づく沙綾。言われてから意識を戻すと、目の前に沙綾の顔があってびっくりした。
「え、あぁ……、うん」
「先輩の誘いの事考えてたの?」
その事も考えなくちゃな、どうやって断ろうか。
「俺としては、やっぱり入ろうって気はしない」
「それって、『絡まれた』って件があるから?」
不安そうな沙綾に、そのままの答えを返す。
「俺が『絶望の旋律者』として名前が知られて、機体も知られているから……。あの部活に入っていれば、また面倒ごとに巻き込まれると思う」
あの場で工藤先輩と沙綾が、俺の『化け物』を否定してくれていたけど、やっぱり……。
「あともう一つだけ理由がある……」
「そのもう一つの理由は?」
「十年越しに再会した沙綾との時間が……、減るのが嫌だから……」
俺と沙綾が過ごせなかった時間、変わってしまって取り戻せない時間、今の『俺』が今の『沙綾』の隣に居て良いのかすら判らないけど……。
「そっか……。やっぱり零は昔のまんまだね」
あぁ……、やっぱりこの笑顔なんだと思う。離れ離れになっても、思い続けていた笑顔があるんだと……。
「沙綾がそう言うのなら、きっとそうだと思う……」
本当は理解ってる、いや理解ってるつもりだ。零が、昔の零とは明らかに違うっていうことは……。
だって私が多分一番変わってしまったと思うもん……。零が居なくなったあの日から……。
だけど、今こうして零ともう一度一緒に過ごせる。同じ学校で、同じ街で、学び、暮らせる。願うことは、案外間違いじゃないのかも。
「じゃあ、今日は零の好きな生姜焼き作ってあげよっか」
「良いのか……。てか、沙綾いつの間にそんな料理出来るようになったんだよ」
「零が居ない間に、色んな料理作れるようになったんです」
「へぇ〜、昔は叔母さんと一緒じゃなにも作れなかった沙綾がね」
からかい混じりに言うと、
「ちょっと、そんな言い方は無いんじゃないの?」
「だって本当だったじゃん」
「あんまり言うとご飯作ってあげないよ」
ぷいっと、そっぽを向いてカートを押されてしまった。
「え、いやごめん。俺が悪かったからさ、沙綾」
「知らないもん」
すぐに謝るも、中々機嫌は治らないようで、このまま険悪な雰囲気が続くのは避けたい。何か、何か良い方法は……。
「あのさ、今度の土曜日出掛けた時に何か奢るから……」
本当は物で許してもらう気は無いのだが、今回は仕方がない。
「ふ〜ん、バイク買ったり、ガンプラ買ったりで、ご飯にお金を使わない零が私に何か奢ってくれるの?」
不機嫌そうな口調で言ってきながらも、どこか顔は緩んでいるような気がした。
「それ位は別に……。会えなかった分の諸々も含めて……」
「そっか〜……」
すると今度は急に此方に近づいてきて、
「じゃあ出掛けた時に、零には何か頼んじゃおっかな」
俺の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。俺の方が少し身長が高いため、沙綾が背伸びをする形で。
「ちょ……沙綾……、恥ずかしい……」
「何急に照れちゃって、本当に変わってないんだから」
顔からオーバーヒートで日が吹き出しそうなのに、沙綾は満足そうに頭を撫でてきた。
でも沙綾は変わってないって言うけど、
「沙綾の前だから、変わらない俺を出しているんだよ」
決して言えない言葉を胸に押し込みながら、沙綾の温もりを感じていた。
改めて作品を読み返して、書き方を変えさせてもらいました。
前のは詰めすぎたと思って(行間が)。
こころの描写に悩んでいたのを、放って置いったというわけでは無いですが……。
こころんの絡みとか、今後の展開について考えたりしていたら止まってしまいました。
本作品は、途中で止めることはありませんので、宜しくお願いします。
他の作品の方も。
コロナで本当に様々なアニメが放送の延期、自宅待機が続いている現状ですが、
今此処で耐え抜けば、また仲間と笑顔で再開を果たせると思います。
ですので、皆さんでこの困難を乗り越えていきましょう。
今回もご閲覧していただきありがとうございました。
感想などお待ちしております。