ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 〜 氷雪の融解者(上巻)   作:Edward

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ファイアーエムブレムの聖戦の系譜、当時この世界観が大好きで何度もプレイしていました。
なんといっても親子二世代にわたるドラマが大反響でしたね、なにもわからずカップリングして悲惨な結果に、何てことも今はいい思い出です。
私の悲惨はエーディン×デュー(スキルが貧相)とかクロード×ティルテュ(バルキリーの杖がお飾り&スキルが貧相)などなど・・・。
あまり更新は早くないですが、ゆるりといきますのでお願いします。


序章
始まり


ユグドラル大陸、この大陸はかつて暗黒神が降臨した呪われた地である。

降臨した暗黒神ロプトウスの化身は、当時最大の王国であったグラン共和国を瞬く間に滅ぼしてロプト帝国を建国、人々に永き苦しみを与え続けていくこととなった。ロプトウスは宿主の肉体が滅んでも直系の子供に憑依し永遠の圧政を引き続け、絶望の底へと誘った。

近隣の国もその圧倒的な軍事力の前に取り込まれ、全土を支配する直前まで侵食された。人々の期待する反乱軍も壊滅寸前まで追い込まれ、唯一の拠点となったダーナで決死の戦いに挑もうとしていた。

戦いの前に祈りを捧げる12人の若者の前に奇跡が起きる、12の神が彼らの前に降臨し暗黒神へ対抗する能力をお与くださったのだ。その奇跡により反乱軍は息を吹き返す。

拠点を取り戻し、各地より人々が反乱軍に加わりロプト帝国打倒に拍車がかかった。

それでも長い長い死闘の末、ロプト帝国とロプトウスの化身を打ち倒す事に成功する。呪われた地はたくさんの犠牲の中でようやく平和を手に入れたのであった。

その後、神々の力を手に入れた若者達は荒れ果てた大陸の復興を行い約100年の時が流れる。

ロプト帝国とその暗黒神の闇は歴史の中の存在となり、聖戦の逸話と共に脈々と受け継がれる系譜と聖遺物のみが現代に伝わり続けるのであった。

 

 

ユグドラル大陸の最北端に位置するシレジア王国は一年の半分が雪に覆われた厳しい地域、大戦に活躍した12の聖戦士の1人で風使いセティが故郷に戻り興した国である。

セティからその能力を受け継いだ現国王は聖遺物である風の奇跡を駆使し、内外の脅威から救い出す者として永くこの国を平定し続けていた。

 

その国王統治の元、風の魔力を扱う魔道士とシレジアで育つ天馬を操る騎士は古来より国を護ってきた。

世継ぎには国王の息子であるレヴィンもセティの力を継承し、この国は安定するとすべての国民が安堵していた。

しかし国王の兄弟であるダッカーとマイオスは次期国王にレヴィンが即位する事に異論を唱え、王宮から離れて機会を伺い出したのである。

レヴィン王子は実力者ではあるがまだ若い、各々の息子と変わらない年齢の男に指示される事に抵抗があるのだろう。

それに現国王は数年前より病を患いその力が低下した事により軍部をダッカー王弟が指揮し、執務をマイオス王弟が握らせてしまった事がシレジア王国にとって痛手となっていた。

 

そんなシレジア王国のマイオス王弟には多数の子供が存在し、その中に異端児とも言える者がいた。この物語の主人公である。

名はカルトといい、青年と呼ぶにはまだ幼い印象を残す男子が父マイオスの元を離れシレジア城にて魔法の訓練に明け暮れていた。

 

 

 

 

「ウインド!」

魔道書を右手に抱き、左手を前に突き出して初歩の風魔法を使用する。放たれる一撃は真空の刃となり対象の人形を切り刻む、最近は威力がましてきているのか王宮の上位魔道士が使うエルウインドと同等に近い物になってきていた。セティの血が俺の風魔法の力に作用しているからだ。

 

親父にはセティの聖痕は一切でていない、伯父貴も同様である・・・、その事も現国王に強く劣等感を抱いて反発心を産んでいるように思えた。

その親父達には出ていない聖痕が、何故か俺には出現した。レヴィンほど顕著でないので、風の奇跡であるフォルセティは使用できないが他の魔道士よりも成長速度が速く、魔力も日々増してきているように感じた。

ダッカーの伯父貴にも子供が何人かいるが聖痕を見かけた子もいた、ムーサーとか言ったかな?出来ればダッカーのようにならないで欲しい。

 

「やってるな!」国王の子であるレヴィンが声をかけてきた、翠珀の髪が美しくウェーブがかかり整った顔は王宮に描かれている絵画の聖戦士セティとよく似ている。俺とはえらい違いだ。

隣には天馬騎士のマーニャが護衛に就いている。彼女は常に王子の身辺警護を担当しており、その実力は天馬騎士団の四強の一角を担う程の実力者である。

 

「レヴィン、久々だな。親父さんのお加減はどうだ?」

俺は口が悪い、隣のマーニャはいつも顔をしかめるがレヴィンは俺の口調に一切気にしない。奴も俺と同様に口が悪いからだ。

レヴィンは少しうつむいた、思ったよりよくないようだが彼は気丈に振る舞う。

「親父も聖戦士の末裔、簡単にくたばらないさ。」

「そっか、大事にしろよ。お前の親父さんは偉大な国王なんだからな!・・・それと余計な心労をかけてすまんな、うちのバカ親父があんな体たらくで。」

「・・・。」

レヴィンは黙って俺の続く言葉を待っていた、それまでは聞いてくれるかのように髪と同様の瞳が俺の心を射抜いている。

「レヴィン、俺は近いうちにシレジアを出ようと思う。」

「祖国を捨てるのか?」

「・・・国王が弱体している中で親父は国王派を力で押え込む為に兵力を増強しているらしい、このまま放置すれば国内は乱れてしまうだろう。

親父の性格を考えれば、俺を引き込む算段もしていると思われるしな。それならいっそ国を出て力をつける旅に出たい。親父もまだ数年のうちは行動に出ないだろうから、その間に見聞を広げておきたいんだ。」

 

親父には正直会いたくなかったが、何度も説得しに行ったが一向に考えを改めない。戦力差があるがゆえに今は静かにしているが近隣諸国に使いを出して傭兵を雇い、新兵を採用して訓練を怠らない。

まだ数年は行動に出ないだろうが何を引き金に事を起こすかわからない状態である、その膠着状態のうちになんらかの止める手段を手にしなければならない。

 

「そう言う事か、シレジアで今までのような訓練ではお前の能力は伸びきれないだろう。世界は広い、見聞を広げてシレジアの力になってくれると信じているぞ。マーニャすまないが手伝ってやってくれ。」

 

「・・・しかしレヴィン様、そのようなご勝手な真似をされては困ります。ラーナ様を困らせないで下さい。」

予想通りマーニャは納得はしていなかった。もしかしたらマイオスの息子として寝返り、直接傭兵達に交渉する可能性もあると彼女は考えているかもしれない。

 

「カルトは俺の親友だ、親友の言葉を疑うような事はよしてもらおう。母上からは私から言っておく。だからマーニャ、カルトに協力してくれ。」

マーニャはしばし沈黙を続けていたが、レヴィンの性格は熟知しての結果だろう。無言で頷くのであった。

「感謝する。」俺は深く頭を下げて一礼し、レヴィンとマーニャに感謝の意を伝えた。

 

 

 

 

俺はレヴィンに近日に出ると言ったがこの日の夜に旅立つ事にした。

マーニャの助けを貰えば、シレジアからの脱出は簡単な物である。彼女達の天馬に乗り、空からの脱出になれば山でも川でもひとっ飛びで越えられるのだ。

しかし徒歩での脱出となると話は違ってくる。平地で他国に渡れる手段はザクソンからイード砂漠方面しか抜ける道はないからである。だがこの苦難の道を俺は敢えて選ぶ事にした。

脱走者の手助けをマーニャが幇助したとなればレヴィンの立場もないだろう、親父が因縁つける理由を増やさないためにもここは黙って独断で出た方が無難だった。

出立する直前に親父宛ての手紙を使いに出して同じ文面を宿舎にも置いてきた、これでなんとかなるだろう。

冬の時期は時化が酷くて残る手段の海路は期待できない、予定通りザクソンから抜けてイード砂漠へ、そしてイザークへ行こうと思っていた。

イザークは聖戦士であり剣聖オードが興した優秀な剣士が多い国、マージファイターを目指す俺にはちょうどいい所だろう・・・。

そう、俺はここからこの世界が暗黒に向かう計画に巻き込まれていくのだった。




カルトとシグルドを合流させるならどの辺りがベストでしょうか?今の所はイザークに向かっているのでひと悶着の後ゲーム一章のあの女性剣士で合流させようという案ともっと始めに序章の槍の聖戦士と共に合流させようか考えています。
もし、詳しい方がいらっしゃいましたら別案をお待ちしております。

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