あけおめ更新
「ふむ」
現れた黒髪の女は止まり木の上で器用に片足を膝に乗せた姿勢で肘をつき、縦穴を望んでいた。
仏像の完成度をじろじろと確かめると、今度は首からさげる大きな写真機を手に取り仏像を見上げる構図で写真を撮影し始めた。
先の口調といい、この妖怪は諜報を目的に行動しているのだと予想できる。今も手元の手帳に目まぐるしく何か書き残しているのが良い証拠だ。
「おおっとぉ? そこにおわすのは地霊殿の主ではありませんか」
妖怪は目の前の光景に満足がいったようで、くるりと振り返ってわざとらしい声を上げた。さとりを捉えた深紅の瞳は、好奇心によって輝いている。
「違います」
「嘘おっしゃい」
露骨な面倒事の気配を察知して臆面もなく言い放ったさとりの嘘は、残念ながら即座に看破された。
「地霊殿の主が悟り妖怪であるという調べはついています。あなたが古明地さとりで間違いありませんね。これみよがしに第三の目を構えておきながら、何をおっしゃいますやらですよ」
「めんどくさ」
「まあまあ、そう邪険になさらずに」
額に手をやって重苦しいため息を吐くさとりの前に、黒い少女がにこにことした表情で飛び降りる。二人の機嫌の温度差は歴然だった。
「知り合いか」
「まさか。こういう手合いが面倒でここに来たんです」
仏師の問いに、さとりは人一人呪えそうな声色で答える。
ろくに会話も交わしていないというのに、さとりは既に心底辟易とした表情をしていた。どうやら相当うんざりしているらしい。
休ませていた第三の目も、今は前の妖怪を確かに射抜いている。
「お初にお目にかかります、鴉天狗の射命丸 文と申します。どうぞよしなに」
「嫌です」
「どうぞ、よしなに!」
全身全霊で拒絶するさとりに負けじと、射命丸も笑顔の押し売りを続行する。敬った言葉使いではあるものの、射命丸は引き下がるつもりなど毛頭ないようだ。
「天狗は思考のスピードが速くて疲れるんです。それで、新聞を書くための取材? 協力したくありません、帰ってください」
「それは無理な相談ですね」
天狗の思考回路は人間とは大きく異なり、またその思考速度も人間より数倍早い。
そういえば、さとりの十八番の思考を先読みした会話とも呼べぬ会話の調子が出ていない。第三の目の疲労もあるだろうが、種族的な相性の悪さがあるのだろう。
それから、新聞を書くための取材といっていたか。やはりこの妖怪は諜報、ひいてその広報を目的としているらしい。
この地底に訪れたのも、新たに解放された地底世界の様子を世間に喧伝するのが目的ということだ。
さとりへの挨拶を済ませたと判断した射命丸は、次に仏師の方へと視線を向ける。
しかし、浮かべる笑みは凍り付き、その口元は引きつっていた。
「それから、えっと。その、隣のーお方ぁ……なん、ですけども。あのう、スゥーッ……鬼、ですよね……?」
「他の何に見える」
「ですよね、ですよね! この射命丸、これほど大仰な鬼はお目にかかったことがないもので! いやあお見それしちゃうなぁははは!」
射命丸が萎縮して不自然な息継ぎを挟みつつ、揉み手擦り手をしながら乾いた笑い声を上げる。その頬には、一筋の冷や汗が流れていた。
妖怪の山に住まう天狗は、高度な文明社会を有し、明確な縦社会の集団を組織する妖怪である。
上司は絶対。逆らうことは許されぬ。それが全ての天狗の胸に刻まれた鉄の掟だ。
千年を超えて生きる射命丸は、鬼の支配があった古き時代を知る数少ない妖怪である。
かつて妖怪の山は、鬼の支配下にあった。鬼を頂点として、その下に無数の妖怪が属していたのだ。
やがて鬼たちが地上を捨てたとき、妖怪の山の支配権はなし崩し的に当時のNo.2に当たる天狗たちへと推移していった。故に、現在の妖怪の山を牛耳るのは天狗である。
ここで間違えてはいけないのは、天狗が下剋上を果たした訳ではない、という点。
天狗が鬼を敗り権力を奪ったのではなく、鬼の捨てた権威を天狗が拾ったに過ぎないのだ。故に、当時から数百年と経ってなお、天狗は未だに鬼に頭が上がらない。
「つまらん世辞はよせ」
わかりやすく下手に出た射命丸に、仏師は冷たく吐き捨てる。
射命丸は鬼の機嫌の損ねてはたまらぬと、慌てて言葉を重ね始めた。
「世辞だなんてとんでもない! 私はただ強大である鬼を、ひいてはあなた様を心から敬服しているだけで──」
「──その猿芝居、いつまで続けるつもりじゃ」
芝居は、その下手に出た態度のことではない。この射命丸という妖怪は、そもそも目の前の仏師を自らよりも上の存在などとは欠片も思っていなかった。丁寧な言葉は相手を乗せる手段に過ぎない。仏師はそれをこそ咎めていた。
「薄っぺらい言葉と振る舞いで実力を隠し、内心で見下す。これが天狗の在り方か」
仏師が厳かに呟く。
天狗は、仏師が敬服してやまない恩人、葦名一心のもう一つの顔であった。剛毅朴訥にして剣術無双、たった一代にして国を落とし、葦名を興した剣聖。
それが、葦名一心という男だった。
仏師はきっと期待していたのだろう。天狗という妖怪が、葦名一心の如き傑物であることを。
一心がどうして天狗を己の分身に選んだかは、仏師には分からない。だが、いざ見えた本当の天狗はどうだ。
高い実力を持ちながら、相手に悟られぬように適度に力を抜く。明晰に思考を張り巡らせておきながら、何食わぬ顔で惚ける。
相手と同じレベルまで自分を落としながらも、その心の内で相手を侮蔑する。
狡猾で人の神経を逆撫でる振る舞いは、仏師の記憶にある葦名一心という男とは似ても似つかなかった。
「……これはこれは。鬼にしては、蒙昧じゃあないんですね。慧眼をお持ちでいらっしゃる」
「抜かせ、二枚舌」
仏師の発言に、低頭平身にへりくだっていた射命丸の気配が変わる。仏師の言葉に含まれた落胆の色を見抜き、それを侮辱と見なしたのだろう。
もう射命丸に先ほどのような気後れして縮こまるような素振りはない。意図的に隠蔽していたのであろう、長寿故に生まれる貫禄と威厳を遺憾なく発揮し、獰猛に仏師を射抜く瞳は猛禽の如き剣呑さを帯びていた。
「口の利き方に気を付けろよ、元人間風情──とでも言ってほしいんですか?」
「ああ、気に喰わん」
「教育が必要ですね」
目の前の射命丸の姿が、烈風と共にかき消える。現象としてはこいしの際と酷似しているが、原理は大きく異なる。これは、純粋に隔絶した速度によるものだ。
速さに秀でる天狗の中でも、鴉天狗は随一である。
実力による極端な縦社会を形成する天狗は、鬼を忌避する。それは真実だ。
だが、何事にも例外というものが存在する。
鬼は恐ろしく、比類なき妖怪である。
だが、それと同時に彼女は元人間の妖怪を、この上なく見くびっていた。
天狗は極めて高い観察力を持つ種族である。人外の視力に論理的な思考力を持ち合わせ、妖としての寿命が大量の経験則の蓄積を可能とする。
漏れ出す妖力の質か、あるいはその一挙手一投足か。根拠は不明だが、射命丸は仏師が初めから鬼として生まれた純粋な妖怪ではないことを見抜いていた。
仏師の姿が鬼以外なら、侮辱されたとて射命丸はそれを甘んじて受けていただろう。天狗にも誇りはあるが、それに固執して大局を見誤るほど愚昧ではない。
だが、仏師は鬼だった。
──鬼を己の手で下してみたい。
射命丸には、そんな魔が差した。
それは、長きに渡って鬼に顎で使われてきた天狗の境遇を思えばこその発想でもあった。
悲しい事に射命丸は当時から不思議と鬼たちの覚えめでたく、散々辛酸を舐めさせられてきた過去がある。文句の一つでも言ってやりたくとも、それができないのが天狗の性。
故に、鬼にはぶつけようのない欝憤が溜まりに溜まっていた。
そこに現われた図体ばかり大きい、如何にも鈍臭そうな元人間の鬼。
たとえ鬼とて、所詮は隻腕の元人間。ならば恐るるに足らず。鬼となって傲慢になったその鼻を叩き折ってやろう。射命丸は、そういう腹積もりだった。
天狗は弱者とみなした相手には、好戦的に喧嘩を売る。なぜなら、相手が自分に敵わないと知っているから。
千年分の恨み、晴らさでおくべきか。
「へぶっ!?」
だが、姿を現した射命丸は、仏師の背後で顔面から勢いよくずっこけていた。
理由は単純。神速で大地を駆ける射命丸に、仏師が足をやって転ばせたからだ。
「疾さ自慢は、たいがい初めに相手の背後を取る。狡猾な性格なら尚更にな」
「マ、マジですか……」
「おお、お見事」
呆けた声を上げる射命丸をよそに、さとりがぱちぱちと小さな拍手をする。この拍手には、初めて仏師の忍びの技術をみたことによる感動が半分、射命丸が起こした暴風によって巻き上げられた礫が肌を打つ痛みの恨みが半分込められている。
一方の地面に転がされた射命丸は驚愕の中にあった。
この射命丸は、己がこの幻想郷において最速であるという自負があった。そしてそれは誇張表現などではなく、まさしく事実である。
少なくとも射命丸の生において、その速度に比肩された試しはない。誰の目にも追えぬ速さを持つ自信があったのだ。
これは戦闘に満たない、ほんの戯れのようなものだ。無論全力で戦おうとしたわけではない。だが、速度においては妥協はなかった。
──にも関わらず、見切られた。
己の速度に絶対の自信があったが故に、その衝撃もひとしおである。
射命丸は慌てて身を起こし、すかさず仏師に頭を下げる。
「い、いやあ見事でした! ふ、不肖この射命丸、差し出がましくもあ、あなた様のお力をお目にかかりたくって、スゥーッ、げほっ、ぅ˝ん˝ん˝! こ、このような真似をですね、ええと、はい! さしもの私も自慢の速さを見切られたのは前代未聞でして、ええ! いやあ凄いなぁー憧れちゃうなー!」
教育などと抜かして力を振るおうとした事など無かったかのように、また射命丸が擦り手揉み手をしながら調子の良い言葉を並びたてる。その表情はいつか見たように引き攣ったままの凍り付いた笑みで、今度は滝の様な汗を浮かべていた。
一回目と違うのは、それが演技ではないことくらいだろうか。
実をいうと、人が妖怪になるケースはままある。それは恨みであったり、倫理を外れた呪いであったり、ともかく原因は多岐に渡る。
だが、その先が鬼ともなれば話は別。
物の比喩で鬼と呼ばれることはあろうと、本当に人が鬼になるなど尋常では考えられないことだ。
鬼は最強の妖怪である。そこに特別な能力はない。鬼は強い。故に最強。Q.E.D.
そんな知性の欠片もない証明がまかり通ってしまうほどには、鬼は荒唐無稽な存在だ。
何の議論の余地もない力の象徴こそが、鬼を鬼たらしめる。
例え元人間でも鬼は鬼。射命丸はそれを痛感した。
振りだしに戻ったように見える射命丸の態度も、その内心は異なる。それは、かつての山の支配者に向けるものと同一のものだ。裏側に嘲笑はない。
この一瞬で、射命丸の仏師に対する認識は元人間風情から、鬼へと変わっていた。
それもそうだ。射命丸は今、絶対強者である鬼に"見逃された"。愚かにも鬼を相手に喧嘩を売った結果、最も信を寄せる速度という武器を完全に取り押さえられ、そのうえで足を引っかけるだけで済ませてもらった……というのが射命丸の認識である。
いや、足を掛けただけではない。射命丸の速度に足を"合わせた"。順当にいけば、超越的な速度で移動していた射命丸の下半身は、衝突の際のインパクトで弾け飛んでいたはず。
にも関わらず、受けたダメージが転倒によるものしかないのがその証拠。こんなもの、ただ鬼になっただけの凡夫に可能な芸当ではない。
ちなみに受けた鬼の足についてだが、鬼の身体はその程度で傷つくほど柔ではない。
今のが蹴りなら、張り手なら、拳なら。天狗の妖力をしても復活がままならない程、全身が霧のように粉微塵となって絶命していただろう。
幻想郷最速のスピードで手の平を返してご機嫌を窺いに行くのも、射命丸としては当然の行動である。
「足が速ければ変わり身も早いんですね」
「何だろうと構いやせんわ。さとりの前で腹の探り合いなど、ほとほと意味が無い」
「で、では私の言葉が嘘偽りではないこともわかっていただけますよね!? 射命丸嘘つかない!」
「この天狗嘘ついてます」
「ちょっとォ!?」
無論、この場で嘘をついているのはさとりの方である。だが、僅かでも目の前の鬼からの好感度を上げておきたい射命丸としてはたまったものではない。
射命丸は確信した。この悟り妖怪、性格が悪い。
「あまり虐めてやるな」
「私の安息を侵害したからには、これくらいの報復は許されると思うんですよ。それで取材でしたっけ? ええ、引き受けます。引き受けましょうとも。なにせ、楽しい時間になりそうですからね」
「い、いやー……。今日はちょっと都合が悪いようですし? お二人の時間をお邪魔してしまったようですし? また日を改めて、特に今度はさとりさんが地霊殿でおひとりの時にお邪魔しようかなーなんて……」
「まあまあ、そう邪険になさらないで」
やっぱり鬼がいるような場所はダメだ。まして、悟り妖怪が一緒じゃ隠し事ひとつできやしない。私は地上に帰らせてもらう。もう捨て台詞だけ残してこの場から飛び去ろう。
そう思い立つも、さとりの第三の目から伸びた触手が射命丸を捕らえ、それは叶わなくなった。
「あ、あのぅ。私そろそろ帰ろうかなーって……」
「まぁまぁそう言わずに。これからもう一人、あなたの知己の来客がありますよ」
「わ、私の?」
誰かが近寄ってくる様子は見受けられないが、さとりの能力で察知したのだろうか。
それならば、やって来るのは誰だろう。さては妖怪の山の天狗仲間だろうか。だったらそいつにこの状況を全て押し付けて帰らせてもらおう。
「ほら、上を見てみてください」
「上……?」
見上げた射命丸に映ったのは、たなびく金髪。深紅の一本角。
「ひょっとして」
射命丸の背筋を、嫌な汗が伝う。
思い出したくもないこの妖気。もしかして、もしかするのか。
次の瞬間、遥か上空から落下してきた一人の女が、轟音と共に縦穴の底に着地した。
「よう、仏師! さとりも一緒か。約束通り、極上の酒を用意したぞ!」
開口一番、耳を塞ぎたくなるような大声を出した一角の女が、嬉しそうに仏師らに顔を向ける。
その肩には大きな酒樽が担がれていた。
射命丸は思わず息を呑んで、顔色を青ざめさせる。
この妖怪と射命丸が最後に顔を合わせたのは、果たして何百年前だったか。その顔を、いったいどうして忘れられよう。
妖怪の山の首魁、鬼の四天王が一人。全ての胃痛の元凶。かつての上司。
「ほ、星熊勇儀……!」
「あん? お前──私の知り合いか?」
無数のトラウマが脳裏をちらつく恐ろしい眼光を向けられたことで思わず震えあがる射命丸だが、ここで一筋の光明を見出した。
さてはこの鬼、私を覚えていない……? 大いにありうる話だ。基本的に鬼という妖怪は他者に興味がない。遥か昔に顔色を窺って媚びへつらっていた無数の妖怪の一人など、覚えているほうが奇妙なくらい。ならばまさしく千載一遇のチャンス。
ここはしらばっくれて赤の他人という事でこの場を逃れるしかない。射命丸はそう考えた。
「人違いです」
「いいえ、知り合いです。名を射命丸 文。千年以上前、当時の妖怪の山からのお付き合いのようですね」
この悟り妖怪、絶対許さねぇ。射命丸はそう心に誓おうとするも──
「やっぱりそうか。いやあ、懐かしい顔だなぁ……。
──ところで、お前いま嘘を吐いたか? 吐いたよな?鬼って嘘が大嫌いなんだよ。知ってるかな、知ってるよな? なあ。ええ? おい」
勇儀に有無を言わさぬ怪力で肩を組まされる。そのままずいと顔を寄せられ、凄まれたことで直前の思考は全て吹き飛んでしまった。
掴まれた肩は軋み、悲鳴を上げて激痛を訴えている。
もうおうち帰りたい。許してほしい。どうしてこんなことに。癒えたはずの胃にまた穴が。
射命丸にできるのは、必死に目を逸らしながら小声でうわごとのように「ちがいます」と繰り返すことだけだった。
「縁ってのは不思議だよなぁ。昔、世話したやつとこう都合よく再会できるんだからさ。でも、嘘はよくないよなぁ嘘は。昔の恩なんてとっくに忘れちまったかな? おい、どうだ?」
昔世話をした? 冗談はよせ。世話を焼いてもらったの間違いだろう。私たち天狗が、当時お前ら鬼のせいでどれだけ迷惑を被ったと思ってる。どれだけ振り回されたと思ってる。
恩だって? もらったのは山盛りの厄と不幸と仇だけだ。
そう声を大にして言えたらどれだけ楽か。どうして天狗はこんなしがらみまみれなんだろう。
射命丸は土気色の表情のまま両目に大粒の涙を浮かべて、そんなことを考えていた。
次に考えるのは、辞世の句の内容だ。
「その辺で許してやれ」
それは、救済の声だった。
仏師が勇儀を制止しようとしてくれたのだ。鬼が耳を貸すのは、基本的に同じ鬼の言葉だけだ。射命丸もまさか仏師が己の身を庇うような発言をしてくれるとは思ってもみなかった。
だがそれでも、勇儀は納得がいっていないようだった。
「そうは言うけどね、私にだって気に喰わないこともあるんだ」
「まあ聞け。その天狗の服が、なぜ土に汚れていると思う」
「うん? 確かに妙だ。天狗が転ぶわけもないが……。まさか、こいつが仏師に喧嘩を売ったとでも?」
「その通りです。ええ、それはそれは威勢良く」
自分でも疑うような回答を口に出した勇儀の言葉を、さとりが肯定する。
「本気かい!? 天狗が鬼に喧嘩を売ったって? そりゃあ……傑作だ! 何だよお前、意外と面白いやつじゃないか!」
「きょ、恐縮です……」
おかしい。なぜだか助かった気がしない。勇儀に肩を組まれたまま、一層体を縮こまらせた射命丸は、より沼の底へと沈み始めているような錯覚さえ感じていた。
「それでどうなった!? 仏師に何をされたんだ。仏師は無傷だな? それで、お前も不思議と無傷ときた。聞かせておくれよ。 丁度いい、お前もこの後の酒盛りに混ぜてやる!」
「えっ、いや、あの、私はちょっと」
「どうした?」
「今回は遠慮──
ゴキャ。
「いえ、何でもないです」
「よろしい」
断ろうとした瞬間、射命丸の組まれていた肩が粉砕された。
鬼に睨まれた天狗に、選択肢などあろうはずもない。
このあと滅茶苦茶酒盛りした。
主人公が鬼だと、射命丸が小物になるという気付きを得た作者でした。
これを書いて射命丸が更に好きになったりなどした。
かわいそうはかわいい。すなわちこれ真理である。