ソードアート・オンライン −電詞都市DT−   作:ラナ・テスタメント

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はい、テスタメントです。
早くも第五話前編をお届けします。
しかし、展開を早く持っていきすぎかな? ちょっと気をつけよ。
では、第五話前編どうぞー。


第五話「流星の紋章を持つ男」(前編)

■「キリト様のサイトモード『DT憲兵師団にて』」

 

「っおおお……!」

 

 字呼召喚と共に、高速四連撃ソードスキル、バーチカル・スクエアがライトエフェクトを纏って発動、剣閃は迷う事なく放たれる――が。

 

「甘い!」

 

 ――我が前に墜ちぬものはない。

 

 横合いから放たれた鋼鉄の手甲つきの拳が、刃が身体に届く前に叩き墜とす。

 ぐっ、と呻き、しかし再び字呼召喚! スキル・キャンセラーと同時に叩き墜とされた剣を強制的にソードスキルで持ち上げる!

 

 ――速く、もっと速く……!

 

 水平四連撃、ホリゾンタル・スクエア! 高速で走る優緒さん特製の剣がモーションに従い、走る。

 だが、それすらも真上からの打撃が瞬時に迎撃してのけた。くそ……!

 

「どうした、キリト君。そんなんじゃ、俺の迎撃は抜けられないぜっ」

 

 ご丁寧にサムズアップして彼は笑う――あ、ムカつく。

 

「絶対、泣かせてやる……!」

「それは一度でも、俺にダメージを与えてから言うべきだなぁ」

「赤街、油断は禁物じゃぞ」

 

 腕組みしながら、そう言うのは青江さん。ちょうど、俺と彼、赤街・大悟(あかまち・だいご)の中間で審判のような立ち位置にいる。

 いっそ、二刀を使うか――と、左手を動かしながら、しかしあえて片手剣のみで俺は彼に挑む事にした。

 スキル・キャンセラーと片手剣ソードスキルでいけるとこまでいってやる……!

 

 ――まだ、俺の技は終わりじゃない!

 

 ――そうこなくては、面白みがないと言うものだよ!

 

 同時に字呼召喚! 俺の両手に一瞬だけ黒い光で二刀が交わる剣の紋章が浮かび、赤街の両腕にも赤の光で流星を思わせる紋章が浮かび上がる!

 片手剣ソードスキル、十連撃、ノヴァ・アセンション。高速でライトエフェクトを纏った剣閃が放たれ、赤街の拳が次々と迎撃を開始する――!

 

 さて、何故、俺がDT憲兵師団訓練室で赤街氏とデュエル――ならぬバトルをしているかと言うと、話しは数分前に遡る。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

■「キリト様のサイトモード『DT憲兵師団にて』」

 

 テライさんと菊岡ことクリスハイトの会談こと、交渉が終わり、俺は青江さんに連れられ、憲兵師団の訓練室に向かっていた。

 この間の約束――稽古をつけると言う約束を果たす為だ。ちなみに、テライさんとクリスハイトはちょっと話す事があるとかで置いて来ている。青江さんは、フーブリッキーさんと入れ代わっていた。

 

「そう言えば、青江さんがあそこに居たのって、テライさんの護衛ですか?」

「そうなるな、なんせ侵入された後じゃからなぁ」

 

 ああ、そう言えば自衛隊員が攻め込んで来てたんだっけ。

 しかし、自衛隊を出動出来ると言う事は、やはりクリスハイトは防衛省の人間と言う事か――?

 と、そこまで考えて、ふと疑問が浮かんだ。

 

「そう言えば、こっちに攻め込んで来た人達って、アバターどうやって作ったんですかね?」

「む……? そう言えばそうじゃな。優緒あたりにでも聞いてみるか」

「装備類まで陸上自衛隊装備と同様のものを用意出来てたあたり、どうやったんだか……」

 

 適当なVRMMOを作り、そこからキャラデータを作ったにしても、コンバートする際には装備類は持ち込めない筈だ。そもそもDT用にアバターを改造するなりする必要もあるだろうし……。

 そんな事を考えていると、訓練室に到着した。中に入ると、憲兵師団制服を着た人達が居る。どうも、武器や装備によって、それぞれ別々に訓練しているようだった。

 その中で、一カ所だけ装備が混成されている場所があった。模擬戦用の戦闘区画だ。

 へぇーと、物珍し気に見ていると、青江さんが苦笑する。

 

「ほら、キリの坊。興味津々なのは分かるが、とりあえずこっちに来い」

「あ、はい――うん?」

 

 言われ、そっちに目を向けると一人の青年が椅子に座って居た。

 歳は恐らく二十歳前後――いや、アバターなんで本当はどうだが分からないけど、本体を基準にアバターは作られる筈だから見た目どうりなんだろう。

 何やら雑誌を広げている――て、あれは……?

 

「ふぅ……」

「何がふぅじゃ、赤街。またエロ本読んどんのかい」

 

 そう、赤街氏が広げているのは日本製の18禁書物だったのである……! てか、公衆の面前で何読んでんだこの人!

 

「むぅ……? 青江さんじゃないか。なんだ、俺に用件でもあるのかなぁ? いや、分かってるよ! 勿論、あるに決まっている! Yes? もしくはYes!? どっちだ!」

「やかましいわい」

 

 青江さんが容赦なく都市制圧力の二十五パーセントとか言うめちゃくちゃな威力の拳をぶっ放す!

 しかし、それは赤街氏から放たれた拳により弾かれ、僅かに横に逸れていった。

 

「ち、相変わらずツッコミを入れさせん奴じゃ」

「いやいやいや、何するかな青江さん!? 君の拳なんてまともに受けたら、俺死んじゃうからね……?」

「死ねぃ」

 

 何故か身体をくねらせて訴える赤街氏に、青江さんはこめかみに怒りマークを浮かべて連撃開始。

 だが、その尽くを弾き(パリィ)で逸らしてのける。いくら字呼召喚してないとは言え、とんでもない精度だ。

 やがて舌打ちして、青江さんはツッコミと言う名の打撃を諦めた。

 

「くそ……! いい加減、鬱陶しい奴じゃ。変態のくせに」

「本人目の前にして変態言うかな普通! それに、青江さんに言われたくはないな!」

 

 ……いや、だから何故決めポーズ? ともあれ、赤街氏の気持ちは分からなくも無い。しかし、変態ばっかだなぁここ。

 

「キリの坊……貴様、相当に失礼な事考えとるじゃろ」

「いやいやまさか」

 

 はははーと笑って誤魔化すが、青江さんはジト目のままである。……アスナやユイにも言われたけど、そんなに分かりやすいんだろーか。あ、そう言えば。

 

「青江さん、ユイ知りませんか? DTに来た時から居ないんですけど」

「む? ああ、あのちびっ子マウスか。確か優緒が連れておった筈じゃが――お」

「パパー!」

 

 噂をすればなんとやら、ユイが優緒さんと共に訓練室に入って来ていた。

 そのまま、俺の前に小さな羽でホバリングする。

 

「お待たせです、パパ。会談は、何もありませんでしたか?」

「んー、どうだろうな。あったと言えば、あったと言えるけど」

 

 あれは会談なんて生易しいものじゃなかったような……。それはともあれ、今度はこっちから聞いてみる。

 

「ユイは優緒さんと一緒に居たのか。何してたんだ?」

「あ、そうです。パパ! 優緒さんに、パパの剣のプログラム組んで貰ってたんですよ」

 

 ……なぬ? 剣士として聞き捨てならないユイの台詞に、優緒さんへと振り返る。すると微笑んで、プログラム・トライゴンを渡してくれた。

 

「お久しぶりです、キリト君。ユイちゃんに、キリト君のパラメータと好みを聞いてデータ拾得用に設定組んでみたんですよ。どうぞ、使ってみて下さい」

 

 そう言われたら是非も無い。すぐにユイにインストールして貰う。

 

《兵装展開:”アニールブレード”:詞速》

 

「っこれ……!」

 

 表示されたウインドウと、手に現れた剣のデザインに息を飲む。

 飾り気の無い、無骨然とした片手直剣。それは、SAO――アインクラッド第一層から三層まで振るった剣であったから。

 アニールブレード。一層のクエストの報酬だった剣だ。しかし、何故これが?

 

「パパのアバターに残ってたメモリから長期間使ってた剣のデータを抜き出したんです。本当はエリシュデータやダークリパルサーを再現したかったんですけど、あれを元のパラメータでDT上に再現するには、ちょっと無理があったんです」

「そうだったのか……」

「一応、コンバート機能に手を加えて、ALOでしたっけ? そちらの装備テクスチャをこちらに変換して持って来れるプログラムを組んではいますけど……向こうの人に使われちゃいまして」

「向こう? あ! 自衛隊!?」

 

 俺の問いに、優緒さんは微苦笑して頷く。クリスハイトに入市状を送った時に、プログラムも一緒に送ったのか。しかし、なんでまたそんな。

 

「前交渉とは言え、向こうから来てもらうのに、何もなしとは行かなかったんですよぉ」

「……あー、そういやクリスハイト。鞄持って来てたっけ」

 

 契約書類やら何やら色々いるのかも知れないな。

 けど、それを逆用されたと。

 

「うぅ、武装関連をロックしておくべきでした……」

「まぁ、いきなり攻め込んで来るとは思わんからのフツー。ともあれ、過ぎた事はもういいじゃろ。それで? キリの坊、どんな感じじゃ?」

「そうですね……」

 

 頷き、アニールブレードを上から下へ。そこから斬り上げ、全力の振り下ろし、とまで振ってみて、ふむと頷く。確かに、俺好みの重い剣だ。いや、正確にはバランスが俺好みと言うべきか。

 

「いい感じですね。ユイ、優緒さん。ありがとな」

「はい、パパ♪ 気に入って貰えて嬉しいです」

「あくまでデータ習得用なんで、好きに使っちゃって下さい。次来る時は、ALOの装備をこちらに反映させますんで」

 

 となると、リズが鍛えてくれた長剣と新生アインクラッド十五層でドロップした直剣。そして、エクスキャリバーか。どれも最高レベルの武装である。それをこちらに持ち込める、と言うのはいろいろな意味で嬉しい。

 

「ふむ、調子は良さそうじゃな。じゃあ、キリの坊、赤街と仕合ってみろ」

「「……は?」」

 

 あ。赤街さんと被った。それはともかく、どう言う事?

 

「キリの坊、お前のアバターのメモリをわしも見せて貰った。対ヒースクリフ戦のものをな。奴は防御主体のカウンター型の戦法のようじゃったな。なら、わしより赤街の方が稽古になると思っての」

「えっと……て、事は……?」

「うむ。赤街は、防御主体じゃ。例のモンスター共が来た際、こいつが援軍に来る予定でな。あの時、本来なら全部の防御を任せるつもりじゃった」

 

 ……それは、また。青江さんがそこまで言うとは、赤街氏はどれ程の使い手と言うのか。

 しかし、肝心の赤街氏に全く許可取ってないように思うんだけど。

 

「青江さん! 急は困るな……! 俺にだって色々予定が――」

「おっと、憲兵師団男子寮に届けられた日本からの大量の荷物、どうするべきか」

「――よっし、さぁやりましょう。キリト君と言ったな? 覚悟はいいかな!?」

 

 展開早ぁ!? 何? 寮に届けられた荷物が何なんだ?

 

「青江さん、まさか開封はしてないでしょうね……!?」

「わしも鬼じゃないわい」

 

 返答になってない返答だけど、赤街さんは頷いて決意に満ちた視線を俺に向ける――。おいおい。

 

「キリの坊」

「分かりました。やりますよ」

 

 嘆息交じりに頷いて、アニールブレードを構える。まぁ、正直渡りに舟だ。

 擬似的な字呼召喚を使った練習はしたけど、実際DTでやってみないと分からない事もあるし。

 青江さんは優緒さんに振り向くと、優緒さんもため息を吐いて管理ウインドウを展開、何かしらの設定変更を行う。

 

《設定変更→アニールブレード、刃非有効。赤街打撃、一部非有効:詞速》

 

「これで、そこそこ派手にやっても大丈夫です。死にはしないですけど、立派に痛いし怪我の可能性はあるので十分注意して下さい」

 

 どうも、アニールブレードを斬れない設定にし、赤街氏の打撃も致命傷にならないようにしたらしい。ここら辺、便利だなぁ。

 青江さんが、俺と赤街氏の中間に陣取る。そして、手をスっと上げた。審判のつもりか――俺達、両方の顔を見て頷く。

 

「準備はいいな? お互い遠慮は無用、では――」

 

 一拍、息を吸い。

 

「はじめ!」

 

 号令と共に、飛び出した俺は字呼召喚! 挨拶代わりのソードスキルを見舞う――!

 

 

 ――試す、気に入らなければ止めろ!

 

 片手剣ソードスキル:ホリゾンタル。

 

 基礎も基礎のソードスキルだ。鮮やかなライトエフェクトを纏って、横一線に放たれた斬撃は――。

 

 ――ならば、そうしよう。

 

 字呼召喚した、赤街氏の打撃に叩き落とされる!

 軽いノックバックをバク転して勢いを殺し、俺と赤街氏は不敵に笑いあったのだった。

 

 

(後編に続く)

 




はい、第五話前編でした。
次回はバトルオンリーになるかな? お楽しみにー。
ではではー。
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