ソードアート・オンライン −電詞都市DT− 作:ラナ・テスタメント
と言っても前編ですが(笑)
基本的に四千〜五千文字で切るのを目的に致します♪ ……出来るかなぁ(汗)
では、第一話(前編)どうぞー♪
テライ氏の言葉に、思わず俺は息を飲む。そんな俺を見てか、彼がふっと笑うのが見えた。
「まず最初に。このDTは君にとって、異世界にあたる」
「へ……?」
<そう言えば、さっきも俺を異世界からの来訪者とか言っていたような……?>
そんな疑問が当然のように黒枠のウインドウで頭上に浮かび、テライ氏が苦笑したのが見えた。……便利なんだか、不便なんだか。
「犯罪者設定状態なのもそうだが、いきなり過ぎたな。私の悪い癖だ。最初からいこう。このDT――電詞都市デトロイトは、君が元いた世界とは、全く別の世界のものだ」
「それって、ここがVRMMOの中って意味じゃなくて?」
「違う。……我々も最初は信じがたかったのだが、間違いなく君にとって異世界だ」
きっぱりとテライ氏は言う。……いきなりそう言われても――と、戸惑う俺にテライ氏も頷く。
「なんと説明すればいいか、少し分かりにくいがね。このDTは過去の事件により、現実の都市が丸ごと電子化されてしまった都市だ」
「え……? じゃあ、ここはVRMMOじゃ――」
「それも、残念ながら違う。君の言う、VRMMOは仮想電子世界とも言うものだったろう? だがこの都市は全てが電子に置き換えられた実在のものなのだ。言わば、実在電子世界と言うべきか」
実在電子世界――つまり、本当に異世界なのか……。
未だ実感が湧かないが、ならこのDTをインストールしてVRMMOのように入れたのは何故なのか――と、これも黒枠ウインドウで表示されてしまう。
「疑問を一つずつ解消して行こう。まず、DTの入市状をメールで送ったのは私だ。君がインストールしたゲームは、私が作ったプログラムでね。あれは、ナーヴギアと言ったか? あの端末を用いて、君を遺伝詞分解し、電子情報化した上でネットワーク回線に乗って、こちらに来てもらう為のものだった」
「…………あの、いろいろ専門用語が――」
《ヘルプ:遺伝詞とは? 流体(エーテル)と呼ばれる、全てのものを構築するものに、詞形式で個性を与えているもの。遺伝詞分解とは、騎の記上技術を応用し、該当者の実体を流体に変換するもの》
――なんか、ヘルプが出て来たけど、それにも専門用語たっぷりなんだけど……。
ともあれ、ようは生物の遺伝子のようなものなのか。それが、生物だけじゃなく全てを構築していると……。
「まぁ、そう言う事だ。そのヘルプも、我々の世界からDTに来たと言うのが前提だからな。君には、ちょっと使いづらいだろう。そんなものか、程度で構わないよ」
「はぁ……」
我ながら気の無い返事をする。しかし、これでよく分かった。ゲームのような設定に見えるけど、”これがこの世界の物理法則や概念なのだとしたら”。それは、確かに、異世界だろう。
漸く、観念して認める。ここは、異世界なのだと。
「……君は、わりと一人で結論を出すタイプだな。我々が君を騙してる、とは思わないのか?」
「あなた達にメリットがありません。……それに、騙そうとするなら、もっと”らしい”話しをするでしょう?」
きっぱりとそう言ってやると、テライ氏は再度苦笑と共に肩を竦めた。その上で、こちらを見据えた。
「さて、ではもう一つの疑問を解こう。君を、何故、この異世界に連れて来る事が出来たかと言う事と――このDTの、今の状況をね。話すと長いので、メールに纏めておいた。愚痴も含まれているが、そこは許してくれ」
「メールはどうやって受け取るんですか?」
「既に送ってる。……君の常駐端末(マウス)はまだ優緒君が調整中か。なら、メールウインドウ表示と意識したまえ」
《メールウインドウを展開します》
■「テライのメール『キリト様へ』」
異世界大使、キリト様宛。
さて、君が大使となってるのに、何故犯罪者設定なのか気になるだろうから、最初に言っておこう。手っ取り早かったからだ。この街は、基本的に長期犯罪者か長期入院者でないと入市できないからな。
では、前置きはここまでにして本題に入る。現在、DTは本来の世界と切り離された状態だ。元々それに近かったのだが、今ではDTそのものが異世界化してると言えるだろう。この原因が、そう。ヒースクリフだ。
彼は、如何様な手段を用いてか、DTに不正入市した挙げ句、基幹OSにハッキング。今は亡き管理者である十三亜神の一人、エダムザの亜神プログラムと管理者権限を奪ってのけたんだ。全くしてやられたとしか言えない。
そして、彼が行ったのがDTと現実世界――我々の、だが。それとの切り離しだ。正直、どうやったのか、全く見当もつかない。しかも、DTを丸ごと別の異世界に転送したのだ――君達の世界のVRMMOにね。
このDTは外の世界の百倍速の世界だ。なので、外の三分は三百分となるのだが、その時間を用いて、我々はDTを何とか再転送。我々の世界と、君達の世界の中間辺りに留める事に成功した。……そう、このDTは今や本来の世界とも隔絶した状態にある。入市窓口は何とか設けられたがね。食料他を全て輸入で賄ってるので、危ない所だった。
そして、そちらの世界にハッキングし情報を集めた所、異世界である事やヒースクリフの事を突き止めた訳だ。……もちろん、君の事もその時に分かった。SAO事件についても、そこで君がヒースクリフを打倒した事についてもね。日本政府に不正ハッキングで訴えられない事を祈ろう。
ただ――何故、死亡した筈のヒースクリフ、茅場晶彦がDTに居るのか、そして何をしようとしているかは全く分からない。
亜神プログラムや管理者権限を奪った事も含めてね。正直、嫌な予感しかしないが。
君にご足労願ったのは、ヒースクリフの目的を看破する為に、意見を聞きたかったのが一つ。次に僅かとは言え、異世界に来たのだ。その理由をそちらの世界にも知ってもらう為。最後は、君がヒースクリフに対する切り札であると判断した為だ。
とは言っても、君に戦闘しろと言う訳じゃない。君は、異世界大使と言う扱いだ。出来れば危険に晒したくないんだ。外交問題にも程があるからな。
だが、逆に君とヒースクリフとの関係を鑑みるに、君の判断を尊重すべし、と言われてな。たまに、あの馬鹿は本質を突くので困る。
我々は君に意見協力を願うつもりだ。その上で、君がヒースクリフを追うならば、協力を惜しまない。我々の切り札とも言える団員を二人出そう。
一人は、私と同じ十三亜神――管理者の一人で、このDTの姫でもある憲兵師団少尉、優緒・ナタス君。そして、馬鹿――いや、拳聖位所有者であり、DT内最強の攻撃力の担い手、青江・正造君だ。ちなみに、憲兵師団員補佐、つまりパートのようなものなので、青江君についてはコキ使ってくれて構わない。以上だ。
《キリト様のボードモードに戻ります》
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
●「キリトのボードモード『DT憲兵師団にて』」
:オウガ・テライ様が前にいます。
:表情は眉をやや潜めているものです。真剣と判断します。
キリト「ヒースクリフ……」
テライ「彼が本物かどうか――については、我々には分からない。多分、君にしかね。その真贋を含めて意見を聞きたい」
テライ「どう思う?」
キリト「分かりません」
《キリトのオーバーリロード》
:テライ様がため息を吐きました。しかし、失望ではないと判断します。
テライ「率直に言うね、君は」
キリト「目的や手段については皆目見当もつきません」
キリト「ただ……本物かどうかなら。多分――いや、間違いなく本物です」
テライ「何故、そう言える?」
キリト「DTを転送したのが、俺達の世界で、しかも《ザ・シード》連結体のVRMMOだからです」
キリト「あれを作って、俺に渡したのは茅場――ヒースクリフですから」
テライ「……成る程な」
テライ「彼は本物か。我々のような不滅型不老不死ではあるまいに」
キリト「不老不死……?」
《ヘルプ:十三亜神について。九家十三亜神と呼ばれる者達。彼等は、第一神触実験の失敗によって、DTの都市遺伝詞ではなく、表層OSの一部として半融合した不滅型不老不死者のことです。
彼等はDTOSプログラムの外部関数として切り外し可能であり、DTが滅びない限りは消滅することがありません。
よって彼等は現DTの実質的管理者となっています。
なお、彼等はDTOSからそれぞれ強力なマスタータイプのプログラム、《亜神プログラム》を与えられており、その力でDT内の問題に対処します。
この亜神プログラムは本人以外が使用する時はDTOSの加圧援助が入らない為、膨大な熱量(カロリー)を消費します。
この事から、基本的に亜神プログラムの貸し借りは行われません。九家十三亜神の内訳は別枠でお調べ下さい。
また、十三亜神の一人、エダムザ・アーコン氏は、去年の事件中に言障(ワーズワーン)にて焼滅(アッシュ)、死亡しています。言障についても、別枠でお調べ下さい》
キリト「……て、事は貴方達は――」
テライ「DT時間で二千四百年前に不老不死になっている」
テライ「とは言っても、外部からのダメージで死ぬ事は死ぬんだがね。……記憶を第二神触実験前まで初期化されて復活するが」
キリト「なら、エダムザって人は?」
テライ「彼は別だ。と言うより言障が別だと言うべきだが」
テライ「言障は不滅型だろうが、不老不死者だろうが、容赦なく滅ぼす病でな。……彼は、それで死んだ」
キリト「…………」
テライ「まぁ、昔の話しだ。それより、ヒースクリフは間違い無く死んだんだね?」
キリト「ええ。肉体は、と言う注釈がつきますが」
テライ「それはどう言う事かね?」
キリト「ヒースクリフは、電子情報化して存在している可能性があるって事です」
キリト「アバターでは無く、純粋に電子生命体として……」
テライ「……成る程。我々より、よほど怪物じみてるな、それは」
テライ「そんな怪物が、DTで何をしでかすつもりなのか……やはり分からないか?」
キリト「それはさすがに」
キリト「ただ、ヒースクリフの夢についてなら」
キリト「彼の夢は、SAO――アインクラッド、と言う”異世界を作る事”でした」
テライ「……真に、異世界であるDTを見て、彼はどう思ったんだろうな」
テライ「ともあれ、君の話しは参考にさせて貰おう。十分助かったよ。礼を言わなければな」
キリト「いえ、それより――」
キリト「さっきメールで、俺がヒースクリフを追うなら協力するって書いてましたよね?」
テライ「先に言う。止めておけ」
テライ「SAO――デスゲームを体験した君に言うのも何だが、ここはある意味では、それ以上だ」
テライ「傷を受ければ、君自身も傷付くし、最悪死ぬ。再び死の恐怖を受け入れるつもりかね?」
テライ「この世界に、HPは無いんだ。”ゲームじゃないんだ、この世界は”」
キリト「……分かってます。分かってる、つもりです」
キリト「だけど、ヒースクリフがDTで何かをしようとしてる。それは、俺達の世界にも関係がある筈なんです」
キリト「だから――」
テライ「……もういい。あの馬鹿の言う通りだったな。明らかに君はマイナス側の人間なのに、どうしてプラスの彼と意見が合うんだ」
テライ「協力を約束しよう」
キリト「ありがとうございます!」
テライ「礼を言うのはこちらだよ。謝罪もね」
テライ「一応、君を憲兵師団員臨時補佐とする。青江君と同じ、優緒君の助手扱いだな」
テライ「まずは二人に引き合わせよう。その後で――」
キリト「その後で?」
テライ「まず、君の赦免手続きに行こうか。犯罪者のままでは、窮屈だろう?」
《キリト様のボードモードを終了します》
(後編に続く)
事情説明だけで終わってしまったぜ前編……!(笑)
まだエロい先輩やら長耳後輩やら出てないぞ、くそぅ(笑)
まぁ、大事なパートだと思うんで文字数使ったんですが(笑)
大目に見たって下さい(笑)
では、後編にてお会いしましょう♪
ではでは♪