ソードアート・オンライン −電詞都市DT− 作:ラナ・テスタメント
いょっしゃ、ようやくバトル書けた♪(笑)
書けたはいいけど、自信無いなぁ……。
そんな第二話後編どうぞー♪
■「オウガ・テライのメール『全DT憲兵師団員へ』」
DT憲兵師団全分団に下令す。
中央区市街地にて違法贋作外殻(NPC)からの侵略、攻撃が確認された。該当地域周辺の分団は、ただちに出動部隊を出場させるべし。
《送り先個々のボードモードに戻ります》
●「キリトのボードモード『DT中央区デトロイト地区にて』」
《キリトのオーバーリロード》
:ここは市街中央区住宅地域の記常頁(トップページ)2629−E大通りです。
:キリト様、青江様、優緒様は高速で移動中です。
:優緒様は重量軽減処理を行って青江様の右肩の上に乗っています。
:左右には民家が並んでいます。
キリト「こんな市街地に……!」
青江「向こうからしたら関係なかろう」
青江「優緒、住民の避難状況と、憲兵師団員の集合状況は?」
優緒「この周辺の住民の避難は三割完了。中央区の憲兵師団が避難誘導を行ってます。ただし、こちらに援護に来れる憲兵師団員は一人に限られるそうです」
青江「誰が来れる?」
優緒「えーと、赤街さんが」
青江「奴か。まぁ、防御は任せられるのう」
青江「後、どれくらいで来れるか分かるか?」
優緒「四、五分程度だと思います」
《キリトのオーバーリロード》
:違法NPCは数を増やしながら、中央区を北上しつつあります。
:警告。このままでは、後一分で違法NPCと接触いたします。
優緒「キリト君。現場に着いたらサイトに切り替えて下さい。そこで、君にモンスターを確認して貰います」
優緒「それが終わったら、撤退して下さい!」
キリト「な……!」
キリト「出来る訳ないでしょう!? 俺も戦います!」
ユイ「パパ! 違います。今のパパは犯罪者設定ですから、攻撃出来ないんです!」
優緒「その通りです。一応、私から解除出来ますが、時間も数十秒になります」
優緒「なので、君に戦闘はさせられません!」
キリト「そんな事言っても……!」
優緒「分かって下さい! それに、万一があります。ですから――」
青江「おしゃべりはここまでじゃ、坊主! 撤退が嫌なら救助を手伝え。攻撃出来ずとも、それくらいは出来よう」
優緒「……先輩!」
青江「腹を決めろ、優緒。現場に連れて来た以上、何が起こるか分からん」
《キリトのオーバーリロード》
:違法NPCの大群が突っ込んで来ます。接触まで、後三秒。
優緒「――皆さん、サイトモードに切り替えて下さい! 状況を開始します!」
《キリト様のボードモードを終了します》
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
■「キリト様のサイトモード『DT中央区デトロイト地区にて』」
一気に、視界がクリアになる。同時、視界内いっぱいに”懐かしい奴ら”が見えた。あの青いイノシシは――。
「キリト君、覚えありますか!」
「はい……!」
――ああ、間違いない。散々、見た。そして、遥か過去に置いてきぼりにしたモンスターだ。あれは……!
「SAO、アインクラッド第一層、はじまりの街付近に湧いた低級モンスター『フレンジーボア』です」
言いながら、ようやく確信した。ああ、こいつらを作ったのは、間違いない。
茅場晶彦――ヒースクリフ!
「これで確定ですね。……先輩!」
「この程度なら、大召喚するまでも無い……!」
優緒さんに、そう応えると、青江さんは疾駆開始。
二十数体はいようかと言う青イノシシの内、一体へと凄まじい速度で走り抜け、そのままの勢いが乗った拳を叩きつける!
それは迷う事無く青イノシシの胴体に着弾! 一撃の元に粉砕し、ポリゴンの固まりに変じさせながら、その中を突っ切るように駆け抜け。
「おぉ……!」
――威の鳴る音を聞くといい……!
詞が響き、青江さんの両腕から硝子が砕ける音が連続。直後、凄まじいラッシュが開始された。一撃、一撃が馬鹿みたいな威力で打撃が放たれているのが、ここからでも分かる。
DT内最強の攻撃力の担い手って、ああ言う事か……!
「いえ、違いますパパ。あの人は、大召喚をしてません」
「大召喚……?」
「本体の遺伝詞を百パーセント召喚する事です。つまり、あの人は本来の五十パーセントの攻撃力しか使ってません」
「五十……!」
さすがに絶句する。『フレンジーボア』は一階層の雑魚中の雑魚モンスターではあるが、まさかヒースクリフがそのまま使う訳が無い。ある程度の強化――レベルの底上げがされてる筈だ。多分、四十から五十くらいのレベル相当の強化がされてる筈。
それを苦も無く屠るとは、どんだけ攻撃力カンストしてると言うのか。
「優緒、ここはいい。坊主の所へ行け」
「――はい!」
打撃を放ちながら言う青江さんに優緒さんが頷くなり、腰に手を当てる。そこにある端末らしきものを叩くと――。
《優緒:座標固定設定解除:詞速(ラン)》
そんな表示が出て、優緒さんはひらりと青江さんの肩から下りた。そして、こちらへと走って来る。
「キリト君、大丈夫ですか?」
「あ、はい。俺は何もしてませんから――」
そこまで言った。直後、俺は優緒さんの真後ろで、とんでもない光景を見た。
光と共に『フレンジーボア』が出現する光景、これは再湧出(リポップ)!
青イノシシは、現れるなり優緒さんへと突撃して来る!
「この……!」
「きゃっ!?」
「パパ!?」
優緒さんを突き飛ばし、俺はSAOの体術スキルを発動するように右拳を固める。
体術スキル『閃打』。しかし、犯罪者設定されているので、このままでは殴れない――ならば!
――失わせない! その為の力を使わせろ!
字呼召喚。同時、手の甲から硝子が割れる音が響き、拳にライトエフェクトが発生した。やはり、ソードスキルがこのアバターは使える。これならいけるか……!
拳を青イノシシの鼻面に叩き込んだ、瞬間。俺はまた絶句させられた。
「な……!?」
だ、打撃の感触が無い……!
当たっている筈なのに、感触が無い。反動が無い。つまり、それは向こうにも衝撃が届いていないと言う事だ。攻撃出来ないって、こう言う事か……!
そう思った直後、全身に衝撃がぶち撒けられた。
「っ……が……っ!」
――痛い。凄まじく痛い。青イノシシに轢かれたのだ。
そのまま吹き飛び、地面に転がる。その衝撃が、またえらく痛かった。
「パパ……! パパ!」
「う、く……!」
何とか、地面に手をついて起き上がる。すると、血の味が口内に広がった。
――ああ、そうか。今更ながらに理解した。テライさんが言った意味。「この世界にHPは無いんだ」その意味を理解する。
SAOは、遊びではなくともゲームだった。だが、DTは違う。ゲームですら無い。ただの、リアルだ。
どんなに格下だろうと、格上だろうと関係無い。ここでは、一撃致命を受ければ死ぬんだ……。
倒れている俺に影が射す。言わずもがな、『フレンジーボア』だ。止めを刺さんと、こちらを見据え。
「させん……!」
横合いからぶち込まれた拳が、一撃の元に青イノシシをポリゴンに変えた。青江さん……!
「坊主――キリト! 早く起き上がらんか! 怪我は大した事なかろうが!」
「ぐ……!」
無茶言いやがる。けど、冷静に身体を見下ろすと、大した怪我はなさそうだった。さっきのは衝撃のショックで動けなくなっただけだったんだろう。
ぐっと痛みを堪え、立ち上がる。やっぱり激烈に痛いが、耐えられなくは無い……!
「起き……ましたよ……!」
「ハッ。上等じゃ――優緒!」
「ハイっ!」
呼ばれ、優緒さんが頷くと肩を貸してくれた。
「こっちです、キリト君。……先輩!」
「判断は任せる」
短くそう言うと、青江さんは再び再湧出し続ける青イノシシへと飛び掛かった。
俺は優緒さんに近くの道路脇へと連れて行かれる。
「大丈夫ですか……?」
「……はい」
「パパ……無茶しすぎです!」
ユイからの怒りの声にも渇いた笑いしか出ない。
街路樹に背を預けるようにして持たれかかると、優緒さんが軽く身体を触った。
「ユイちゃんの言う通りですよ、もう。……けど、ありがとうございます。私を庇ってくれたんですよね?」
「いや……」
否定する、が。頭上に浮かぶウインドウは、はっきりと肯定していた。優緒さんは、それに微笑を一つ。
「意地っ張りなんですから」
「はは……」
無理矢理な笑いをどうにか絞り出す。そして、青江さんの方へと目を向けた。
『フレンジーボア』は凄まじい勢いで再湧出している。SAO時代にこれくらい出てくれたら、随分楽だったろうに――そう思わせる程だ。そして、一人で戦う青江さん。
その姿を見て、ぐっと息を飲む――そうしないと、泣いてしまいそうだった。
死を感じて、怖くて、そして、悔しくて。
そんな俺を見て、優緒さんは一つ頷いた。
「キリト君、まだ戦いたいですか……?」
「…………」
「もし戦いたくないなら、ここにいて下さい。後は、私と先輩で殲滅します。もうすぐ援軍が来る時間ですし、問題ありません」
けど、と彼女は続ける。そして――。
「キリト君が戦いたいと、そう願うなら。戦う力を渡します。どちらがいいか決めて下さい」
優緒さんはそう言うと、後は俺を見つめた。
死――その恐怖は確かにある。さっき味わったばかりだ。だけど、そう、だけど……!
「ここで逃げたら、俺は俺じゃなくなる……」
「…………」
優緒さんは、黙って聞いている。俺は、そんな彼女の肩を掴んだ。そう、”だから”!
「俺に戦う力を」
そう言うと、優緒さんは黙って頷いた。そして、青江さんの元に一緒に走る。
「いいですかぁ、キリト君。今から、君の攻撃管理を直接こちらで解除します! 急ぎのプログラムなので制限時間三十秒。召喚紋章を大召喚して下さい」
「大召喚……?」
「はい。キリト君の百パーセント、潜在能力も含めて遺伝詞召喚し、アバターに宿らせるんです。やり方は、字呼召喚より強い意思で願うだけです。他諸々の処理は私が行います」
そう告げると、優緒さんは自分の前に透過鍵盤(スケルトン・キーボード)を展開。高速でプログラムを組んでいく。
「いきますよ――――!」
《キリト:ASB詞族特徴展開:限定解除:高速動作への耐性入ります》
配られる列は複数の皆、変じる数は皆の集合。
出る力の先は、対象の清し腕、清し足。
其は制限なく、この街の赦し有り、我が赦し有り。
これら全ての赦しをもって、我は己動の疾駆を合図するなり――。
優緒さんが歌いながら、手や足を動かし、球型鍵盤の表面に触れていく。踊るように、舞うようにして、声と動作の流れに応じて、文字列が宙に生まれて流れ出した。
指運と唱和によるプログラム作成。通常の倍の速度でプログラムが発され、天球起動で文字が広がっていくのが分かる。
「綺麗です……」
ユイが呆然と呟く。俺も一瞬見とれていた。そして、優緒さんは光で描かれた天球図の中で、告げる。
「キリト君、攻撃管理を解除します! 即座に大召喚お願いします!」
《セイフティアンロック:対象の全攻撃を許可:行動可能とします:三十秒》
「――パパ!」
ユイの呼びかけに頷きだけで応える。そして。
――我は、戦う。その為に今一度、剣をこの手に――!
《電詞空間内、200メートルの遺伝詞達に展開許可を与えます》
《召喚紋章:展開開始:詞速(ラン)》
一瞬で、数百枚のウインドウが周囲に展開した。それは、偽物の世界に本物を召喚するプログラムと承認確認の羅列――!
そのことごとくを否定する理由は無い。大召喚が実行成立する……!
まず、両手の甲から肘の後ろまで字が走った。
■TYPE―AA0777:神級(ゴッド):BlackSword(ブラックソード)■
《キリト様の反射神経関係を中心に大召喚発動:全遺伝詞召喚、反応速度の上限を解除します》
肘に当たる■の部分に、円いプログラムが三枚重なって高速回転開始。紋章の中心に、黒の長剣が二つ重なった紋章がくっきり映る――!
「これが、大召喚……!」
次の瞬間、全身に衝撃が来た。そしてアバターと生身の身体の齟齬が完全に消失。どこまでも、どこまでも、意識がクリアになっていく。全ての速度が遅く感じられ、代わりに俺の知覚速度が無限に加速されていく……!
「キリト君! 憲兵師団から剣を二本預かってます! ユイちゃん、己動詞角錐体(プログラムトライゴン)を送りましたから、インストールして下さい!」
「優緒さん、来ました! パパ、長剣二本展開します!」
《兵装展開:憲兵師団正式長剣:ラン》
表示が出ると同時に、二本の長剣が足元に突き刺さる。それを難無く引き抜いた――軽い。そう思うが、今はどうでもいい。
久しぶりに二刀流の構えを取り、モーションを起こす。ライトエフェクトが、二本の長剣を走り、同時に俺も駆け出す!
――先程までの自分の速度が嘘のような速度だった。青江さんの脇を一瞬で潜り抜けざまに、青イノシシを一刀両断! ポリゴンに変わるのを待つまでも無く、次の標的に移り――かつて、ソードスキルを使ったように身体が動き出す。それは、全く未知の技だった。こんな技があるなんて、俺は知らない。だが、身体は動いてのけた。
二刀流、全周全包囲極限技:EX・ジ・インフィニティ。
−斬!−
――全ては、一瞬で決着した。その場に居た、数百の『フレンジーボア』全てを斬り捨てて、謎のソードスキルが停止する。
そして、一気に全ての『フレンジーボア』がポリゴンに変わり、消滅した。
「なん……だったんだ、今の……?」
「分かりません……! あんな技、無かった筈です!」
それはそうだろう。あんな技があったらバランス崩壊どころの騒ぎじゃない。
青江さんや、優緒さんまで目を丸くしてるのが分かる。一体、今のは――?
《警告:キリト様の熱量備蓄が僅少となりました。早急に熱量を補給しない限り、SD化は免れません》
……え、ちょ、待――――っ!
《キリト様をSD化します》
「パパ! 大丈夫です♪ 私がお世話します♪」
直後、待ったとも言えず、俺は二等身になったのだった――。
(第三話に続く)
はい、第二話後編でした♪
キリトの謎ソードスキルですが、これについては後々をお楽しみに、て事で♪
ちなみに大召喚したキリトは、潜在能力までアバターに宿るので、数値化がそもそも出来ない戦闘能力になります(笑)
反射速度においては、DT限界速度をぶっちぎってしまいまする。まぁ、これは青江も優緒も同じなんですが。
そんな訳で、第三話もお楽しみに――♪