ソードアート・オンライン −電詞都市DT− 作:ラナ・テスタメント
第三話(前編)をお送りいたします♪
今話は、キリト君の”あれ”が判明します。ええ、あれが(笑)
そんな第三話。どぞー♪
――これは、夢だ。俺はそう思う。そう信じる。
「はい、パパ♪ あーん♪」
「ほらキリト君、こぼしちゃダメですよぉ♪」
ああ、そうさこれは夢さ夢だとも! ちくしょう……!
「まぁ、気をしっかりもって生きるんじゃな、キリの坊。……ひょいっと」
「あ、先輩! 取り上げちゃ可哀相ですよぉ!」
「ほらパパ泣かないで、よしよしです♪」
遊んでるだろ皆ちょっと――! てか、青江さんあんたは本当に極道だ!
《キリト様の熱量備蓄規定量に達しました。SD化から復帰、ボードモードに移行します》
●「キリトのボードモード」『デトロイト王城にて』」
《キリトのオーバーリロード》
:ここらはDT北区、デトロイト王城内です。
:キリト様の前に、優緒様とユイ様がいらっしゃいます。その後ろに、青江様がいます。
:三人はそれはもう生暖かな視線と表情です。
キリト「俺を……! 俺を弄びましたね……!」
青江「台詞だけ聞くと、なんか、わしらが悪い事したみたいな言われようじゃの」
優緒「先輩は悪い事してたじゃないですかぁ。お皿取り上げたりして」
ユイ「本当です。パパ可哀相でした! ……でも、可愛いかったです♪」
キリト「皆嫌いだ……!」
優緒「まぁまぁ、落ちついて下さいキリト君。あの後、ここまで連れて来るの大変だったんですから――可愛いくて」
ユイ「ええ、本当に大変でした――もっとナデナデしたかったです」
キリト「だ――! もう、いいですって! それより状況はどうなってんですか、青江さん!」
青江「なんで、わしに聞くんじゃ……」
青江「まぁいい。市民に被害はゼロ。ただ、市街区はいつくかの家屋が破壊されておったな。そちらは、補償されるんじゃろ?」
優緒「ええ。市民に死傷者が出なかったのは幸いでした。なんとか事後処理も終えてます。キリト君の治療も完了してます」
キリト「あ、本当だ。痛くない」
優緒「わりと死ななかったら、どうにかなりますからね。この世界は」
キリト「そうですか……」
キリト「あの、いろいろ聞きたい事あるんですが、いいですか?」
優緒「はい、構いませんよ。なんでしょう?」
キリト「俺、字呼召喚や大召喚で、ソードスキル――ゲームのシステムアシストを利用した技なんですけど、それが使えたんですが、なんででしょう?」
優緒「あ、それは私がやっときました」
キリト「優緒さんが?」
優緒「はい。キリト君のPC――アバターを作る際に、向こうのゲームのアバターをコンバートして貰ったじゃないですか」
優緒「コンバートしたアバターを改造して、キリト君のアバターを作ったんですが、その時にアバターの中にソードスキルやバトルスキル、マジックスキル等などのプログラムがあったのを発見しまして」
優緒「削除されてたのも含めてサルベージして、キリト君のアバターにインストールしておいたんですよ」
キリト「削除されたのもって――あ、二刀流……!」
ユイ「はい。今のパパのアバターは、SAO、ALO、GGOで培って来た、全てのスキルをプログラムとして持ってます」
キリト「そりゃもうチートだなぁ」
優緒「向こうに帰る際に、いくつかのプログラムを凍結しておきますんで安心して下さい」
キリト「そ、それはどうも、ありがとうございます」<ちょっと勿体ないなぁ>
ユイ「……パパ、また思考ウインドウ出てますよ」
キリト「う……!」
優緒「各スキルを使う際には、字呼召喚か大召喚の使用が前提になってますんで、注意して下さいね」
キリト「分かりました」
キリト「……それで、これは本命の質問なんですけど。俺、最後に変なソードスキルを使ったんですが。何をやったかちょっと覚えてなくて」
キリト「よかったら教えて貰えると……」
優緒「あー、私からはちょっと難しいですねぇ」
優緒「なんで、ここは専門家にお願いしましょう♪ せんせーいお願いします♪」
青江「誰が先生じゃ誰が」
青江「やれやれ。さて、何をやったか――か、多分、ソードスキルとか言う奴じゃとは思うがな」
青江「キリの坊。お前は、あの時。”DTの描写フレームを遥かに超えた速度”で数百もの斬撃を放ち、イノシシ共をまとめて屠った」
キリト「描写フレームを超えた速度……?」
優緒「大召喚時は、DTのシステム限界を超えた力も行使可能です」
優緒「先輩と私が合一召喚紋章を大召喚した攻撃力は、DT限界を超えた威力を使えますし」
キリト「成る程……。ん? 合一召喚紋章ってなんですか?」
優緒「あー……そのですね、何と言いますか」
優緒「DTでは、設定共有化する事で二人一つのオリジナル召喚紋章を設定する事ができるんです」
優緒「で、先輩と私はそれを設定してると」
キリト「えー、それは、つまり?」
優緒「……はい」
《キリトのオーバーリロード》
:優緒様はうつむいています。顔は真っ赤です。
:青江様はそっぽを向いてます。
ユイ「もう、パパったらデリカシーがありません!」
キリト「わ、悪かったよ」
キリト「でも、そんな事も出来るんですね」
ユイ「あ、パパ。ママの事を思い出してます♪」
キリト「う、別にいいじゃないか……!」
青江「そこまでにしとけ。キリの坊、そろそろサイトに切り替えろ。アカラベスのおばはんの所に行って、赦免してもらいに行くぞ」
キリト「あ、最後に一つだけ。……キリの坊って?」
青江「何じゃ嫌か?」
キリト「……いえ――」
<ちょっと、嬉しいです>
青江「キリの坊、見えとるぞ」
《キリト様のボードモードを終了します》
■「キリト様のサイトモード『DT中央区、デトロイト王城内にて』」
再び視界がクリアになると、俺は苦笑を一つした。
どうも医務室のベッドに寝かされていたらしく、そこから立ち上がる。
「それじゃ、お義母さんの所に行きましょうか」
そして、青江さんと優緒さんに連れ立って歩き始めた……て、お義母さん?
「ああ、テライさんから聞いてませんか? 私、DT女王のアカラベス・チューブズリーブの義娘なんですよ」
「そう言えば、優緒さんの事、お姫様とかメールであったような」
なんか、優緒さんのイメージがお姫様って感じじゃないからつい、忘れてた。
優緒さんは、俺の頭上に浮いたウインドウを見て微笑する。
「自分でも分かってるんですけどねぇ。庶民派でしょ?」
「えーと……」
「お前の場合は初対面からあれじゃったからからじゃろ」
「あ、ひどー」
……うん、その通りです。
とはさすがに言えないけど――て、ウインドウに出るから意味が無い……!
「その厄介な犯罪者設定も終わりじゃな。ちと、惜しい気もするが」
「……俺はちっとも惜しくありません」
なんせ、この設定のせいで恥はかくは、死にそうになるわと散々だったのだ。
これ以上は何も無いと信じたい。
「ふ。甘いのぅ、キリの坊、お前は犯罪者設定を甘く見とる」
「な、なんですって……! まだ、この期に及んで何かあるんですか!?」
バカな! これ以上、何があると……!
「あー、先輩?」
「黙っておれ、優緒。……同じ男として、わしはこの事実をキリの坊に告げねばならん。そう、これは義務じゃ!」
そこまで言う程とは、一体何が……。すると、青江さんはくるりと振り向き、こちらの肩をがしりと掴む。手に、力が入っていた。ごくり……。
「キリの坊、今のお前はな――」
そこで一息つき、そして。
――お前は今、”去勢”されとるんじゃ……!
――な、なんだって――――!
ぴっしゃーん! と、雷が落ちたように衝撃が身体に走ったのを自覚する!
そ、そんな馬鹿な……!
思わず、そろりと手を当てる――な、無い! なんにも無い!
――そ、そんな……!
「あのー、二人とも詞使ってまで何やってんですか」
「パパ、大袈裟です」
な、何を言うかなこの二人は! 男にとって、これはショック以外の何ものでもないぞ! しかし、これが分かるって事は、青江さん。あんた、まさか――。
「そう、わしもかつて犯罪者設定じゃった。わしの去勢が発覚したのは、優緒と事に及ぼうとした時でな」
「て、わ――! 何ぶっちゃけてんですか先輩!」
今度は優緒さんが騒ぎ出すが、俺はそちらには構わない。今や、青江さんに同情と共感を覚えるばかりだ。
「あ、青江さん……!」
「安心せぃ。赦免して、管理設定から去勢は戻せるわい」
それを聞いて、俺はどっと安心する。よかった……! 本当によかった!
「もー……二人とも、恥ずかしいからやめて下さい。もう到着ですよ」
顔を真っ赤にしながら、優緒さんは扉を開ける。
俺も続いて、女王の間に入ったのだった。
《キリト様のサイトモードを継続します》
(後編に続く)
はい、第三話前編でした♪
ちなみに、青江が発覚した時は、マジで事に及ぼうとした時です(笑)
しかし、さすがエロい先輩。去勢されていても、高スペック過ぎるぜ……!(笑)
では、第三話後編でお会いしましょう♪
ではではー♪