できるだけ早く執筆できるよう努めております‥‥。
さて、話は変わって、今回は那田蜘蛛山のお話です。なるべく原作沿いにはしていますが、少しストーリーを変えています。
それと、まだ判明していない花の呼吸の型はオリジナルとして自分が考えたものです。
自分がオリジナルとして考えたものは☆印をつけていますのでご了承ください。
それでもまだ出切って無いものは後々出して行くつもりなので不明とさせていただきました。
それと、少しネタバレを含みます。アニメ勢、単行本勢の方はご注意ください。
そして、最初から長男のところを三男と表記していたりと、欠陥だらけな作品ですが引き続き見ていただけると嬉しいです。
誤字、脱字等があった場合、報告していただけると嬉しいです。
さて、長い話もここらにして、本編をどうぞ!
キャラ紹介
○胡蝶優月(前回載せ忘れた技、特徴など)
階級は乙(今の所)。花の呼吸を使用する。
力は一般男性と比べると少ない。だが、その分とてつもない速さと機動力を備えている。
しのぶと色違いである薄い紫色の羽織を着用し、頭には蝶の飾り、腰には紫色の日輪刀を差している。
鬼とは仲良く出来るという姉であるカナエと同じ考えを受け継ぎ、それを実現させようとしているが、いざ鬼と戦うと、両親、姉を殺された怒りが募り、鬼は絶対斬るという思考に至ってしまう。
それ故か、鬼に挑発されたりすると、すぐに乗ってしまう癖がある。
好物
菊の生姜和え
嫌いな物
怪談話、幽霊
型一覧(花の呼吸)
☆壱ノ型
一瞬にして相手に近づき、鋭い一太刀で斬りかかる。
弐ノ型 御影"梅" 花言葉 ・高潔
自分を中心とした周囲に向けて無数の連撃を放つ。
☆参ノ型
ただ立っているように相手に見せかけ、相手がこちらに向かってきた瞬間、斬撃を放つ。
自分のダメージが少ない程威力が増す。
肆ノ型 "紅花"衣 花言葉 ・化粧
前方に向けて大きな円を描くかの様に斬り付ける。
伍ノ型 徒の"芍薬" 花言葉 ・恥じらい
最大で九連撃の攻撃を放つ。
陸ノ型 渦"桃" 花言葉 ・天下無敵
空中で体を大きく捻りながら斬り付ける。
漆ノ型
不明
捌ノ型
不明
玖ノ型
不明
☆拾ノ型 乱れ咲 百花繚乱(はなやかに美しく、いろいろな花が咲き乱れること)
優月だけが使用可能。
左右に激しく移動を繰り返し、目に見えない速さで相手に多くの斬撃をお見舞いする。
終ノ型 彼岸朱眼(カナヲが使用可能)
使用すると失明する可能性すらある強力な技。目がいいカナヲだからこそ使用できる技。
__________________________________
カナエ姉さんが亡くなってから数ヶ月が経った。
姉さんが亡くなってから、しのぶ姉さんは変わった。
今までのしのぶ姉さんは少し気が強く、元気に喋る人だったのに、今はゆったりとしたカナエ姉さんの様な口調で喋る。
そして、一時も笑顔を絶やさない。これだけを聞いたら、別に良いじゃないかと思うかもしれない。
でも、そのしのぶ姉さんの笑顔は多分本心じゃない。
あの笑顔は自分で作っている、仮面のように貼り付けた笑顔だ。
きっと、カナエ姉さんみたいに笑顔を絶やさないようにしているのだろう。
僕はその笑顔が痛々しく見えた。
しのぶ姉さんには前のように戻って欲しいと思う自分がいる。
でも、カナエ姉さんが死んだ重みは相当なものだった。
最愛の両親、姉を殺されて平常心でいられるほど、僕達は優秀じゃない。
僕だって、鬼にはとてつもない大きな怒りの感情がある。
だが、僕はその感情だけでは動きたくない。
いや、怒りだけでは動いちゃダメだ。
僕は誓ったんだ。
みんなで平和に暮らせる世界。
その夢を叶えるために、姉さんの思いを受け継ぐために、そう誓ったのだから。
しかし、カナエ姉さんが死んだ悲しみはとてつもなく大きかった。
そして、姉さんが死んだ悲しみを大きく感じたのは僕達だけじゃない。カナヲも同じだろう。
カナヲにも姉さんが死んだと伝えた時は、口を半開きにし、
「嘘‥‥嘘、ですよね‥‥」
と瞳から涙を流しながら小声で言っていた。
僕達も嘘であって欲しかった。
だが、これは紛れも無い現実。受け入れるしかないのだ。
僕達は姉さんが死んだ悲しみを引きつりながら各々過ごしていた。
そしてある日、僕は縁側で座り、緑が深まってきた木々達を見つめ、休息を取っていた。そうしていると、自分の鴉が空から飛んで来る。何やら伝言があるようだ。
僕は鴉の伝言を耳に通す。
鴉によると、お館様がお呼びだという事だった。要件は分からないが、お館様がお呼びなのだ、行くに決まっている。
僕はお館様の居る産屋敷邸に向かうために歩き出した。
__________________________________
何分か歩き続け、産屋敷邸に到着した。
門をくぐり、庭に入る。
そうすると、奥に誰かが居るのを発見した。
右半分が無地・左半分が亀甲柄の特徴的な羽織を着用した人物だ。
僕は誰だか把握し、呼びかける。
「冨岡さん、お久しぶりです。お元気でしたでしょうか」
「‥‥‥‥胡蝶か」
少し無愛想な口調で言葉を返すこの人。
この人は冨岡義勇さんだ。
冨岡さんはしのぶ姉さんと同じ柱でもあり、姉さんとは意外と接点が多いのか、何度か家に訪れて来ていた。
僕は姉さん達が柱ということもあり、他の柱の人達とは何かと話す機会があった。そのため、柱の人達とは接点がある。
そのなかでも、冨岡さんは柱の中では一番接点がある人なのだ。
そして、冨岡さんは姉さんから天然ドジっ子
と認識されている。その事からか、姉さんからは
「良いですか?この人と喋ろうとするとろくに会話にならないので注意してくださいね」
という、もはや悪口と言えるものを間近で言われる程だった。
そんな冨岡さんを僕は少しかわいそうだとと思ったりしている。
だが、その冨岡さんはよく感情の起伏がわからないので、確かに困った人‥‥なのかもしれない。
そう言えば、冨岡さんもここにいると言うことはお館様に呼ばれたのだろうか。
そう考えていると、冨岡さんが口を開いた。
「‥‥胡蝶はどうしてここに来たんだ」
「へっ?あ、いえ、お館様に呼ばれて来たのですが‥‥冨岡さんは違うんですか?」
「‥‥俺はただ考え事をしていただけだ」
「は、はあ、そうですか。ちなみにその考え事とは?」
「‥‥何処の店で鮭大根を食べようかと考えていた」
「へえ、鮭大根を‥‥‥って、え!?そんなことですか!?」
思わず、僕は声を大きくしてしまった。
しかし、それだけ衝撃的な事だった。
柱の人が屋敷にいると言うなら、てっきり任務のことでも考えていると思っていたのだが、まさかそれが鮭大根の事とは予想だにしなかった。
でもまあ、それが冨岡さんだ。
と言えば納得できることかもしれない‥‥。
「ああ、そうだ‥‥」
「そ、そうですか」
僕は若干苦笑いをしながら言葉を返す。
すると、冨岡さんが閃いたのか、ハッと立ち上がる。
「‥‥よし、決まった」
と言い、冨岡さんは、ヒュン、という音が聞こえるほど素早く移動し、あっという間に姿が見えなくなった。
「さ、流石冨岡さんと言ったところ‥‥なのかな?」
僕は冨岡さんの行動に困惑しながら、屋敷の庭に立っていた。
すると、突然障子が開く音がする。
僕は瞬時に跪き、顔を下げる。
「やあ、優月。久しぶりだね。元気にしてたかな」
この、心が安らぐ声。お館様の声だ。
僕は顔を上げ、言葉を発する。
「はい。お館様も御健康の様でなによりです」
お館様の顔には上半分が焼けただれたような痕が見られる。
以前よりも広がっているように見られた。
「うん、そうだね。さて、それじゃあ早速だけど本題に入るよ」
「優月には今日から那田蜘蛛山に向かって欲しいんだ。前から隊士を送っているのだけど全然帰ってこなくてね。恐らく十二鬼月がいるかもしれない。そこで優月にも行って欲しいんだ」
「御意。‥‥ですが十二鬼月がいる可能性があるのに柱じゃなく、僕で良いのでしょうか」
「うん。もし、それでも状況が悪化し続けるようなら柱を送る予定だよ。でもね、優月はもう柱と言って良いほどの実力がある。だから私は優月で大丈夫だと思ったんだ」
「たしか、優月の階級は乙だったかな。もし、今回の任務で十二鬼月を倒してきたら甲にあげようと思っているんだ。優月はもう鬼を50体以上倒しているようだしね。と言ったところで、改めて優月、行ってくれるかな」
「御意。必ずやご期待に応えてみせます」
「ありがとう。期待しているよ」
そして、お館様は中に戻られた。
那田蜘蛛山、一体どのような鬼がいるのだろう。
中には十二鬼月が居る可能性が大きいのだ。もしかしたら、あの鬼が居るかもしれない。
僕は気を引き締める。お館様の期待に応えるためにも。
僕は那田蜘蛛山に行く準備を進めるため、一度、家に戻るのだった。
____________________________________
家に戻り、那田蜘蛛山に行く準備を進める。
姉さんと色違いの紫の羽織を着用し、刀を腰にかける。
「あ‥‥兄さん。任務に出かけられるのですか」
そう準備をしていると声をかけられる。
その声の主はカナヲだった。
「ああ、カナヲ。うん、これから任務なんだ」
「そうですか。お気をつけて」
「ありがとう。カナヲも留守番よろしくね」
「はい、お任せください」
「それじゃあ、行ってくるね」
そうカナヲに言い、家の庭に出て歩き出す。
カナヲはこちらをじっと見つめていた。
その瞳は何処か、心配しているような瞳だった。
僕はそれを把握し、カナヲに向けて言った。
「カナヲー!大丈夫!絶対に帰ってくるから安心してー!」
僕は笑顔でカナヲに手を振りながら言った。
すると、カナヲも微笑み、手を振り返してくれた。
僕は安心して、前を向く。
カナヲは最初と比べると、随分話してくれるようになった。
今では兄さんと呼んでくれるほど仲が深まり、信頼できる家族としてカナヲは居る。
カナヲはいつも物事を判断する時に姉さんからもらったコインを使う。
姉さんと僕に話すときは使わないが、僕ら以外と話す時にはいつも使う。
僕はそんなカナヲを咎めはしなかった。
カナヲはカナヲらしく生きていけばいい。
物事の判断をコインで決めても構わない。
でも、いつかカナヲも自分で判断できる時が来るだろう。
カナヲが必ず守りたい物。それが出来れば、コインでなんて決めてる暇はない。
カナヲは自分で動くことができる。
そう願って、僕はカナヲにずっとそう言ってきた。
カナヲが成長する日。それは必ず来る。
だってカナヲは強い子だから。
そう信じ、僕は那田蜘蛛山に向けて歩を進めていた。
<那田蜘蛛山>
那田蜘蛛山に到着し、僕は森の中へと進んでいた。
此処は外からでもわかるぐらい、禍々しい雰囲気が伝わってくる。
森の中にはいくつもの蜘蛛の巣が張ってあり、とても邪魔臭い。
お館様が言うには、先に隊士も数人きているようだ。
隊士を助ける為にも、僕はさらに奥へと歩みを進めた。
「た、助けてくれーー!!」
森の中へと進んでいる途中、助けを求める叫び声が聞こえた。
恐らく隊士が襲われている。
僕は鬼の気配が感じる場所に近づく。
そこには男の隊士と鬼がいた。僕は刀を鞘から抜き、刀に手を掛ける。
「花の呼吸 肆ノ型 紅花衣」
鬼の首はスパッと切れた。
襲われそうになっていた隊士は僕を見て固まっていた。
「大丈夫ですか?」
僕は心配になり、声をかける。
「は、はい‥‥あ、貴方は‥‥」
「僕は階級
「乙の方ですか‥‥。今のを見ると乙の強さではないような気がするのですが‥‥」
「いえ、僕は乙ですよ。っと、それよりも、ここら辺には貴方しかいないのですか?」
「い、いえ‥‥さっき額に傷のある奴と猪の皮を被った奴が居て‥‥」
「ふむ、その人達は何処へ?」
「‥‥あっちの奥に」
「そうですか。ありがとうございます。貴方はここで休んでいてください。怪我もしているようですし、薬を置いときますね」
「は、はい!ありがとうございます!」
「いえいえ、礼には及びません。そう言えば貴方の名前は?」
「あ‥‥村田です」
「村田さんですね。それでお気をつけて、僕は奥の方へ行ってきます」
「わ、わかりました。優月さんもお気をつけて‥‥」
僕は隊士に別れを告げ、さらに深くへと進む。
隊士によると、まだ奥に人が居るようだ。
それに、大きい圧が奥から伝わってくる。
早く行かなければ。
僕はスピードを上げ、さらに奥深くへと進んで行く。
○
「(さ、さっきの女の人綺麗だったな‥‥それに強かったし‥‥)」
○
「はあ‥‥はあ‥‥」
苦しい、体が動かない‥‥。
もう、駄目だ‥‥‥。
諦めるな!!
「(っ‥‥そうだ、諦めるな)」
痛くても、苦しくても、楽な方へ逃げるな。
爺ちゃんにも、炭治郎にも怒られる。
「(少しでも呼吸を使って毒の巡りを遅らせるんだ)」
「‥‥‥‥すか」
「‥‥‥‥じょうぶですか」
「(誰‥‥誰かの声が聞こえる‥‥)」
「大丈夫ですか」ヒョコッ
「(お‥女の人‥‥?)」
「酷い傷‥‥しかも毒を喰らっているのですね。では‥‥」キュポッ
「(んぐっ!?何か飲まされてる!?)」
「ああ、安心してください。これは毒を抑える薬ですから。ですが、まだ安静にしてくださいね。僕の鴉に救援を頼みましたので、恐らくもう少しで人が来ますから」
「それでは」ヒュン
「(あっ‥‥行ってしまった)」
「(それに、さっきより身体が動かせる。本当にあの人の薬が効いたんだ‥‥)」
○
「獣の呼吸 参ノ牙 喰い裂き」
バキン!
なっ、刀が折れっ‥‥
ヒュン
「ごふっ!」ドガァ
しまった、呼吸で受け身を取り損ねた。
グッ
首を掴まれた‥!
「オ"レの家族に"近づくな"アァア!!」メキメキ
「俺は、俺は死なねええぇぇえ!!」
「獣の呼吸 壱ノ牙 穿ち抜き!!」グッ
ゲッ!刀が刺さっちまった!
硬ェェェ!
刃が動かねえ‥‥畜生!
ミシッ
「ゴフッ‥‥」
タッタッタッ
キンッ
「花の呼吸 壱ノ型
ヒュン!
「ギャウ!」
な、何だ?
斬ったのか?アイツが?
「グガアァァ!!」ドッ
速ェッ‥‥。
「花の呼吸 参ノ型
バラッ
「ハア‥‥ハア‥‥ハア」
す、すげぇ。
一太刀の威力が違う。そんでもって滅茶苦茶速い。目で見えなかった。
しかも、あの硬い化け物を豆腐みたいに斬っちまった。
すげぇ‥‥すげぇ、すげぇ!!
何なんだコイツ!!
わくわくが止まらねえぞオイ!!
「あ、大丈夫ですkーー」
「おい!俺と戦え!そこの女!」
「は、はい‥‥?」
「あの十二鬼月にお前は勝った。そのお前に俺が勝つ!そういう計算だ!そうすれば、一番強いのは俺っていう寸法だ!!」ババ-ン
○
「おい!俺と戦え!そこの女!」
「は、はい‥‥?」
襲われていた人がいて助けた途端、何故かいきなり勝負を挑まれた。
その勝負を挑んできた人は頭に猪の皮を被った人‥‥。
あっ、さっき村田さんが言っていたのはこの人の事かな?
「あの十二鬼月にお前は勝った。そのお前に俺が勝つ!そういう計算だ!そうすれば、一番強いのは俺っていう寸法だ!!」ババ-ン
な、何を言っているんだ‥‥。
そんな大きな傷を負って戦う?しかも人間同士で?いやいや、そんな事をするよりも早く鬼を倒さなくちゃいけないでしょ。
しかも、考え方が頭の悪い人の考えだ。
後ね、大事なことが1つ。
僕、女じゃない!僕女じゃないから!
というか、今の十二鬼月でもなんでもないよね?
「あのー‥‥今の十二鬼月じゃないですよ。後、僕、男ですから」
「はあっ!?男!?嘘つけ!どう見ても女じゃねえか!」
イラッ
「男です!貴方なんなんですか。失礼ですよ、初対面の人に向かって」
「そんなん知ったこっちゃねえ!それよりも俺と戦え!」ブンブン
「はあ‥‥‥」
そんな酷い怪我で戦えるわけないでしょう。
仕方がない。黙ってもらう為にも‥‥。
「おいっ!聞いてんのーー」
ヒュンヒュン
「か‥‥‥なっ!?」
「すいませんが縛らせてもらいました。怪我が悪化すると悪いですし、ここに置いていきますね」
「はあっ!?何言ってんだ!早く解け!」
「その口の利き方、どうにかならないでしょうか‥‥まあ仕方がないですね。さて、もう一人の隊士を探しに行きますか」ザッ
「おい待て!待てって言ってんだろ!おい!待ちやがれ!クソ女ー!」
く、クソ女ー!?
女でもないしクソでもないですから!!
もう聞こえないふりをしてさっさと行きましょう。
○
森の中が騒めいている。
しかも、先程なかった大きな圧が身体に伝わる。
鬼の気配から感じるに、もう少しで対面出来る距離まで来た。
すると、1人の少年と鬼を見つけた。
少年は倒れている。
まずい、鬼が少年を攻撃している。糸のようなもので囲まれそうだ。
僕は全速力で駆け抜け、刀を鞘から抜く。
「花の呼吸 陸ノ型 渦桃」
少年を囲おうとしていた糸を全て斬る。
そして、僕は少年の前に立った。
○
「花の呼吸 陸ノ型 渦桃」
パサッパサッ
「(な、何だ‥‥誰か来たのか‥‥もしかして、善逸か‥?)」
俺はそう考え、顔を上げる。
すると、そこには紫の羽織に、蝶の飾りを頭につけた女の人が居た。
「大丈夫ですか?」
「は、はい!あ、貴女は‥‥」
「僕は胡蝶優月。応援に来ました」
「お、応援‥‥」
「次から次へと僕の邪魔ばかり‥!」バッ
「血鬼術 刻糸輪転」
ま、まずい。あの硬さの糸を切るのは‥‥。
「全集中・花の呼吸 拾ノ型
乱れ咲 百花繚乱」バッ
は、速い‥!速すぎて何処に行ったのか‥‥
「なっ!?何処だ!どこに行った!」
「(あの速度の糸を避けたと言うのか?‥‥そんなはずはない!)」
ヒュン!
「がっ‥‥(何だ‥いきなり手が‥‥斬られたのか?)」
ヒュンヒュン
「(えっ‥‥首が‥‥落とされた?)」
「(くそっ、くそっ‥‥!殺す、殺す。あの兄弟は必ず‥‥殺す!)」
アイツは必ず‥‥。
‥‥アイツ、妹に覆い被さっている。
そこまで妹の事を‥‥。
「ッ‥‥‥‥‥」
○
『累は何がしたいの?』
答えられなかった。
人間の頃の記憶がなかったから。
本物の家族の絆に触れたら記憶が戻ると思った。
自分の欲しいものがわかると思った。
そうだ、俺は‥‥俺はーー
__________________________________
俺は体が弱かった。生まれつきだ。
走ったことがなかった。
歩くのでさえも苦しかった。
無惨様が現れるまでは。
「可哀想に。私が救ってあげよう」
だけど、両親は喜ばなかった。
それは、強い体を手に入れた俺が、日の光に当たれず、人を喰わねばならないから。
「何てことをしたんだ‥‥累‥‥!!」
昔、素晴らしい話を聞いた。
川で溺れた我が子を助ける為に死んだ親がいたそうだ。
俺は感動した。
何という親の愛、そして絆。
川で死んだその親は、見事に"親の役目"を果たしたのだ。
それなのに、何故俺の親は俺を殺そうとするのか。
母は泣くばかりで、殺されそうな俺を庇ってもくれない。
偽物だったのだろう。
きっと、俺たちの絆は。
本物じゃなかったーー
だから俺は両親を殺した。
「‥‥‥‥‥」プツプツ
何か言っている。
まだ生きてるのか‥‥。
「丈夫な体に産んであげられなくて‥‥ごめんね‥‥」
「っ‥‥‥‥‥」
その言葉を最後に母は事切れた。
死んだ。
『大丈夫だ、累。一緒に死んでやるから‥‥』
殺されそうになった怒りで理解できなかった言葉だったが、父は俺が人を殺した罪を共に背負って死のうとしてくれていたのだと。
その瞬間。
唐突に理解した。
本物の絆を、俺はあの夜。
俺自身の手で切ってしまった。
無惨様は俺を励ましてくださった。
「全てはお前を受け入れなかった親が悪いのだ。己の強さを誇れ」
俺はそう思うより他、どうしようもなかった。自分のしてしまったことに耐えられなくて。
たとえ自分が悪いのだとわかっていても。
○
俺は‥‥毎日毎日、"父と母"が恋しくてたまらなかった。
偽りの家族を作っても虚しさが止まない。
結局俺が一番強いから、誰も俺を守れない。庇えない。
強くなればなる程、人間の頃の記憶も消えていく。
自分が何をしたいのかわからなくなっていく。
俺は何がしたかった?
どうやってももう手に入らない絆を求めて。
必死で手を伸ばしてみようが届きもしないのに。
「(っ‥‥小さな体から抱えきれない程、大きな悲しみの匂いがする‥‥)」
スッ
ポスッ
「(っ‥‥温かい。陽の光のような優しい手。思い出した、はっきりと。)」
「(僕は、謝りたかった)」
ごめんなさい。全部全部俺が悪かったんだ。
どうか許して欲しい。
「でも‥‥山ほど人を殺した僕は‥‥地獄に行くよね‥‥父さんと母さんと‥同じところへは行けないよね‥‥」パキパキ
○
スッ
『一緒に行くよ。地獄でも』
『えっ‥‥・』
『父さんと母さんは累と同じところに行くよ』
『っ‥‥‥‥‥』ポロポロ
『全部僕が‥‥僕が悪かったよう‥‥ごめんなさい』ダキッ
『ごめんなさい、ごめんなさい‥‥ごめんなさい‥‥!』
○
ザッザッザッ
僕は少年に近づく。
「君は‥‥鬼に情けをかけてくれるんですね。‥‥君は鬼が醜いとは思わないのですか?」
「鬼は‥‥人間だったから。俺と同じ人間だったんだから、鬼は醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい生き物だ。悲しい生き物だ」
「そうですか‥‥。僕はそう思えない時がありますがね‥‥」
「えっ‥‥‥」
「でもね、気になることが1つ」
気になること、それは、少年の下にいるのが鬼ということ。
「その下にいる鬼はどういうことですか」チャキッ
「い、いえ!違うくて!あ、違うくは無いんですが‥‥これは、俺の妹なんです!」
「そうですか‥‥それは可哀想に」
確かに可哀想だ。
しかし、鬼は斬らなければいけない。
「では、早く解放してあげなくてはね」
「くっ‥‥‥‥」ガバッ
タッタッタッ
キンッ
ヒュン!
「っ‥‥‥‥!?」バッ
どうしてこの人が‥‥。
しかも、この人‥‥この2人。いや、鬼を庇っている?
何故だ‥‥。
「(冨岡‥‥さん?)」
「‥‥冨岡さんがどうしてここに‥‥というのはまず良いでしょう。大事な事は何故鬼をかばうのか、ということです」
僕は冨岡さんに刀を向け、威嚇するように言葉をかける。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥ここでだんまりですか。というかこれ、隊律違反では無いのでしょうか。鬼殺の妨害、ですからね」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
まただんまりか。
本当にこの人は口下手というか‥‥。
まあ、そんな事よりも。
「まあ、良いです。冨岡さんが鬼殺の邪魔をしようが僕は必ずそこの鬼を斬りますから」
「‥‥それは無理な話だ。胡蝶1人では俺を倒せない」
「確かにそうですね。‥‥ですが、僕1人だけでは、ですよね?」
「‥‥‥?っ‥‥!」チャキッ
タッタッタッ
ヒュン
キーーーン!!!
「あら?」ザッ
「(だ、誰だ‥‥?)」
「冨岡さんと優月が鬼の目の前で何をしているかと思えば、これはどういうことですか?冨岡さん?そんなんだからみんなに嫌われるんですよ?」
ゆったりとした口調で喋るこの人。
そう、僕の姉、しのぶ姉さんだ。
「胡蝶か‥‥」
「あのですね‥‥胡蝶は2人いるんですから名前で呼んでくださらないと」
「‥‥‥‥‥‥‥」
まただんまりですか‥‥。
この人耳あるんですかね?
「まあ、まずそれは置いといて。鬼を庇うとはどういう事ですか?しかも、見た感じ優月の邪魔をしているようですし?」ゴゴゴ
あ、これやばいやつだ。
なんか姉さん怒ってる‥‥。
怖いとは言えない‥‥というか言ったら殺されそう‥‥。
「走れるか。いや、走れなくても根性で走れ。ここは俺がやる」
「は、はいっ!ありがとうございます。冨岡さん」ダッ
むっ、逃げてしまった。
「優月、貴方は追ってください。ここは私が
食い止めますから」
「わ、分かりました‥‥」ダッ
何故か敬語で返し、僕はあの少年達を追おうとする。
「‥‥行かせない」キンッ
ヒュン!
「‥‥‥‥‥‥‥」ダッ
「貴方の相手は私ですよ?冨岡さん。無視しないでもらえるでしょうか。そんなんだから嫌われーー」
「俺は嫌われてない」
えっ‥‥。
少し聞こえたけど、嫌われてる自覚なかったんですか‥‥。
「ああ、それ‥‥ごめんなさい。嫌われている自覚がなかったのですね。申し訳ないです」
う、うわあ‥‥。流石姉さん‥‥。
っと、そんな事よりも早くあの人達を追わないと。
○
何処だろう。
結構進んで来たのだが、見つからない。
っと、奥から声が聞こえてくる。
「‥‥‥げろ!禰豆子!!」
ガッ
「がふっ!」
あれは‥‥さっきの少年と、カナヲ?
カナヲも来ていたのか。
「カナヲ!」
「あ‥‥兄さん」
「カナヲも来ていたんだね。そ、それと一回立とうか。下の少年が可哀想だから‥‥」
「は、はい」
「っと、あの鬼が逃げてしまう。俺は左から追うよ。カナヲは右から」
「はい、わかりました」
「うん、それじゃあ行こうか」ダッ
それにしもあの少年も気の毒だ。
カナヲに思いっきり踵で頭を打たれるという‥‥。
そして、あの少年‥‥鬼を連れているということは何か事情があるのだろう。
先程は感情が先に出てしまって、全然考えていなかったが。
それに、あの少年は妹だと言っていた。
妹が鬼になった。
そんな辛い事があってもなお、鬼殺隊として戦っている。
本当にそんな子の妹を殺して良いのだろうか‥‥。
そう、迷いが出てしまう。
いや、迷っている暇はない。鬼は斬らなければならない。例えどんなことがあっても。
僕はそう決断し、鬼を追う。
「っ‥‥‥しかし、この鬼‥‥」
この鬼は姿が小さくなったりして、なかなか攻撃が通らない。
それなら、僕かカナヲのどちらかが抑え、そこを斬るしかない。
そう考え、僕は鬼を取り押さえる。
「カナヲ、今だ!」
そう言い、カナヲが斬りかかろうとした瞬間ーー
「伝令ー!伝令ー!炭治郎及び、禰豆子両名を拘束し、屋敷へと連れ帰れ!」
「炭治郎、額に傷あり!禰豆子竹を咥えた鬼!」
鴉の甲高い声が森一帯に響き渡る。
竹を咥えた鬼‥‥もしかして、この鬼のこと?
カナヲと僕は見つめあい、ポカンとしていた。
そして僕は聞いてみる。
「君、禰豆子?」
そう聞くと、この鬼はフンフンと鼻を鳴らしながら、頷いたのだった。
そして、僕らはこの禰豆子という鬼を伝令ということもあり、連れ帰ることにした。
やっぱり、この2人には何かがあるようだ。
屋敷に連れ帰るということは、お館様も知っているということだろう。
それに、この2人からは何かを変えてくれるような感じがする。
そんな感覚を持ち、僕は
「此処には、あの鬼はいなかったな‥‥。
絶対、絶対にあの鬼は‥‥あの鬼だけは‥‥」
満月が照らす夜の下、そう呟いたのだった。