言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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変わって行く物・・・変わらずに残る物。

前者は多いけど、後者は少ないですよね。

早くギャク回が書きたい作者が玖話をお送りします。

ではどうぞ


玖ノ葉 変わっていく物、変わらずに残る物

 

 

はあ、と溜息を付いて私こと言霊リョクはその戦場を眺めました。

ヘンタイ大蛇丸に「・・・わけがわからないわ」と呟かれたんですけど、あなた私が寝てた時に何をしたんですか!? と言ういろんな恐怖から起きている事がバレて、言う事を聞くことを条件に部下にされました。とても不愉快ですが仕方がありません。シナリオには従わないと。

で、今の状況ですが、暴れまわっているのは砂瀑の我愛羅・・・つまりこはくさんの唯一の友達です。彼女が彼を大切にしたように、彼も彼女を大切に思っていたのでしょう。自分がこはくさんを傷つけたという事実により守鶴に飲み込まれかけているようですね。

ちなみにこはくさんはテマリさんに抱えられて離脱しています。・・・完全に無理しすぎですね。でも、彼女が動かなかったらテマリさんは確実に死んでいた。彼女はそれが見逃せなかったんでしょう。

そんな砂勢VS木ノ葉勢。我愛羅くん一人に対し、劣勢なのは木ノ葉・・・つまり、ナルトくんとサスケくん、サクラさんです。

サクラさんを砂によって貼り付けにされ、サスケくんは無理して千鳥を使ったために呪印が暴走し動けない状態。そしてナルトくんは同じような境遇で、しかも壮絶な過去を背負った我愛羅くんに気圧され・・・。

私が助けるというのは最終手段です。リスクが高い。・・・今は呪印のコントロールで精一杯なので、遠慮したい所です。

唯一動けるナルトくんは何度も我愛羅くんに挑みます。ですがその度に弾き飛ばされ、ボロボロでした。

ボロボロなのに彼は諦めません。多分、こはくさんの言葉が、波の国の白さんの言葉が、彼の中に残っているようです。

 

 

『人は、大切な何かを守りたいと思った時・・・本当に強くなれるものなんです』

 

『ねえ、大切な人を、たった一人の友達を守るために、身体を張ることはいけないことかい?』

 

 

・・・彼と彼女は真っ直ぐに『守りたい』と思っていた。だから、強かった。

その真っ直ぐな気持ちは、どこか白さんに被ったんでしょうね。そうしてこの言葉が蘇った。

と、怯えた目をしていたナルトくんの目が変わりました。『負けたくない』と言う気持ちが目に映ります。

流石は英雄の子。勇気と度胸は素晴しいぐらいにある。

今さっきも起爆札で千年殺しやってましたからね。色々とセンスはあるでしょう。笑いを取るセンスは兎も角、学んだことを実行に移す力とか。

と、弾き飛ばされたナルトくんを受け止めて、サスケくんが喋ってます。微かに聞こえるのは、サスケくんの「もうオレの目の前で・・・大切な仲間を失うのはみたくない」と言う言葉。私のことを言っているんですね・・・。何か申し訳ない気持ちになります。でも、姿を現すわけには行きません。私も命がかかっていますからね。

その言葉にナルトくんが俯きました。続いて手を握り締め呟くようにいいます。

 

 

「そうか・・・。そうだってばよ。

自分に似てるから、おんなじような寂しさとか悲しさとか、感じて生きてきたから・・・。

そんな孤独の中で自分のため生き続けてきたアイツをオレは強いと思った。

でも本当に強いってそんなことじゃなかったはずだ。自分のためだけに戦ったって本当に強くなんかなれねえんだ・・・」

 

 

「オレが絶対守りきってやるってばよ!!!」とナルトくんが膨大なチャクラを練りだしました。

・・・昔からは想像できないぐらいに、彼は成長しています。それこそ、“記録(ログ)”でも類を見ないぐらいに。少しだけ自分の友達が誇らしくて、私は口元を緩めました。流石は私の友達です!

ボウンと音を立てて数多のナルトくんが辺りに現れました。私は慌ててその場を音もなく離れました。見つかっては大変じゃないですか!

不敵な笑みを浮かべているナルトくん。うん。これぞナルトくんです。

ナルトくんは全員で我愛羅くんへと突っ込み、高らかに叫びます。

 

 

「う!」

 

「ず!」

 

「ま!」

 

「き!」

 

「ナルト二千連弾・・・の巻ぃ!!」

 

 

千人のナルトくんの拳が砂の身体に突き刺さります。そして最後の仕上げとばかりに二人のナルトくんが我愛羅くんの顔面を殴り飛ばしました。

たまらずに我愛羅くんは地面へと吹き飛ばされました。その後を追従するようにナルトくんの群れが殺到し・・・弾き飛ばされて消えます。

ギリギリ私はセーフ。押しつぶされませんでした。

大きなタヌキ?になった我愛羅くんがチャクラが不足しているらしいナルトくんに砂を纏わせはじめます。あれ、ヤバイかな?・・・そう思ったのは杞憂でした。

 

 

「口寄せの術!!」

 

 

・・・ナルトくんの大きな声と共に、蝦蟇がボン!っと出てきました。あ、圧巻ですね・・・。

でも一緒に戦ってくれ!とナルトくんに言われて嫌じゃ!と即答した所はズッコケそうになりましたけど。そこはプライドがあるというものでしょう。口寄せの蝦蟇ですし、ガマブン太殿ですからね。

ガマブン太殿の子供が先に口寄せされていたらしく、戦う気を起こしてくれたのでよかったですが、最初に子供が口寄せされていなかったらどうなっていたんですかね? 私、まだ出て行きたくないんですけど。

獲物を引き抜き、ガマブン太殿が飛びました。瞬間、凄まじい風圧と飛び散る大木。いや、味方まで殺すつもりですか!?

必死に雨霰(あめあられ)のように降り注ぐ、人と同じぐらいの岩や私より大きな大木を避けながら戦況を見守ります。・・・ですが、飛んできた守鶴の腕に中断せざる負えませんでした。

危ない所でしたが、なんとか避けれてよかったです。

と、タヌキの額辺りに我愛羅くんが出てきました。・・・なんかマズイ予感がするので大鷲の姿の式神を使い、空高く舞い上がります。ついでにインストール風遁の結界も張っちゃいます。まあ、全て保険なのですが。

我愛羅くんが狸寝入りの術を使いました。こはくさんの“記録”によれば、自分が近くにいない時や完全体のときにそれを使えば――――守鶴が出てくるんだそうです。

 

 

「・・・シャハハハハ! やっと出てこれたぜェ!! 邪魔もねえしなぁ・・・」

 

 

・・・いきなりファンキーですね。まあ、知ってますけど。

だって、大昔の“記録”で、こっち見た瞬間に「殺したい奴はっけ~~~ん!」とか言ってるんです。記憶に残ってて当たり前ですよね。

まあ、現在も同じこと言ってるんで、変わってないです。もちろん悪い意味で。

よく考えたら、ずっと封印されているんだからしょうがないともいえます。こんな性格だから封印していなきゃいけないって言うのもわかりますけどね。・・・とは言え、もう少しで外に出れるでしょうけど。

そんな事はどうでもいいとして、水と風って相性悪いですよね。どうみても良くは無いですよね。

守鶴が練空弾を放ちます。人がやってもあそこまで強力なものは作れないでしょう。流石は尾獣と言った所です。

ガマブン太殿は飛んで避けましたが、守鶴との直線状にあった木々が木の葉のように薙ぎ倒されて行きました。凄まじい威力です。

次に空中のガマブン太殿の水遁・鉄砲玉と守鶴の練空弾がぶつかりました。・・・一つ、取りこぼしてますね。仕方ありません。助太刀しましょう。

 

 

「・・・インストール火遁・華煉(かれん)

 

 

ガマブン太殿に迫っていた練空弾の真ん中に紅蓮の炎が現れて、彼岸花のような華を咲かせました。もちろん、私の得意分野ではないので“記録図書館(ログライブラリ)”の力を借りています。

すぐに気配を絶ち、逆光になるよう空高く太陽の真下あたりを飛びます。雲に突っ込んだりもするのですが、この際仕方がありません。バレないためです。

ギャアギャア喚いているようですが私の存在はばれていないみたいです。一安心、と言った所でしょう。

すぐ「霊媒(我愛羅くんのことです)を起こす」と決め、コンビ変化をするみたいでした。ちょっとワクワクしています。一生私たちはそういうことをしないでしょうから。

ガマブン太殿が走り出し、煙が上がって・・・中から九尾が現れました。多分、大きくて爪があって牙があって・・・と言うのがそれしか思いつかなかったと推察されます。

九尾の牙と爪が深々と守鶴の身体に突き刺さりました。その間にガマブン太殿の額あたりに居たナルトくんが守鶴に飛び移り、拳を握り締めます。

 

 

「起きやがれ、この野郎ォ!!」

 

 

・・・バキッとナルトくんが我愛羅くんを殴り飛ばしました。絶対こはくさん怒るよ・・・。

気を取り直してまたナルトくんが我愛羅くん目掛けて走り出します。ですが、そこは砂の上。我愛羅くんの本領が発揮される場所です。

砂の攻撃を受ける前にガマブン太殿が舌を巻きつけて防御しましたが、次は足元から攻撃が来るでしょう。それは舌では防ぎようがありません。

そんな攻防の間に、徐々にガマブン太殿が後ろへと押され始めました。それをみたナルトくんのチャクラがまた闘志を燃え上がらせています。・・・どれだけタフなんでしょう。

ナルトくんが印を切ります。目を閉じて行なわれたそれは、九尾のチャクラを呼び寄せました。・・・すごい。私のような感知タイプでなくても見えるチャクラに、私は(おのの)きます。

決意を浮かべた目を、我愛羅くんへと向けます。ナルトくんは走り出しました。

拳を、足を砂に捕られたとしてもナルトくんは諦めません。

 

ガツン! と額を打ち付けました。

 

やっぱ凄いです。その発想はなかったな~。

それが最後の一押しになったようで完全体は崩れ落ち、ただの砂になりました。ナルトくんと我愛羅くんは落ちていきます。・・・でも、彼らなら大丈夫。

がさっと木に着地した二人は最後の戦いにするみたいです。

・・・そして、彼らは交差しました。

 

結果、勝ったのはナルトくん。

でも二人ともチャクラ切れで、そのまま地面に落下しました。私が助けるわけにも行かず、そのまま文字通りに落下。でもナルトくんが動きます。もう手足が動かないから顎などを使って・・・。

 

 

「・・・一人ぼっちの、あの苦しみはハンパじゃねーよなぁ・・・。お前の気持ちはなんでかなぁ、痛いほど分かるんだってばよ・・・」

 

 

・・・そう。彼は孤独を、大切な人のありがたさを知っていた。そして、我愛羅くんも気付かないフリをしているだけなのです。

だから、ナルトくんは我愛羅くんに声を掛けます。

 

 

「でも、オレにも、オマエにも、大切な人が出来たんだ。オマエにも、守りたい人がいるんだろ? なら・・・オレの気持ち、わからないってことはないはずだってばよ・・・」

 

 

我愛羅くんが目を見開きます。なぜなら、ナルトくんがそう言ったときに、こはくさんが現れたからです。

あんなにもボロボロで傷ついているにも関わらず、こはくさんは我愛羅くんをみて駆け寄ってきました。

我愛羅くんの傍にへたり込むようにして彼女は彼の無事を喜んでいました。

・・・ああ、我愛羅くん。羨ましい限りです。

 

 

「ほら、オマエにも、一人ぼっちの地獄から救ってくれた奴がいんじゃんか!」

 

 

にっと彼は笑顔を浮かべます。敵だった人に笑顔を向けられるって言うのもナルトくんクオリティですよね。

それに何かを感じたらしい我愛羅くんはすっと泣きそうな笑みを浮かべているこはくさんを見ました。

「・・・愛情」と呟いた彼の顔からは、憑き物が落ちたようでした。

っと、私は大蛇丸のとこに行かないとキレられますから、ここまでということになります。

拾っておいたナルトくんの額当てを上空から落とし、私は旋回してその場を後にしました。

また、会う日まで・・・大切な友達が無事で居ますように・・・。

 

 

 

 

 

 

~ ■ * ■ ~

 

 

 

 

 

 

目を醒ましてカンクロウさんと合流。止血をして、増血丸飲んだので落ち着いてきた。

ぼくが目を醒ます前にテマリ姉が色々と話しちゃったらしくて、カンクロウさんにくしゃっと頭を撫でられたよ・・・。なんか改めて今までの態度を反省した。ゴメンナサイ。

「テマリだけ姉さん扱いなんて不平等じゃん!」と言っていたので今後は気をつけることにする。

・・・と、我愛羅の気配が弱くなった気がして慌てて我愛羅のところへ駆けていた。テマリ姉が何か叫んだ気がするけど、聞こえなかった。だって、我愛羅が死んでしまったら意味がないもの。

弱りきった我愛羅に駆け寄って安心した。死んで居なければ癒せる。だから、ぼくは安心したのだ。

と、サスケ君が現れてナルト君にサクラさんの無事を告げる。そうしてナルト君は安心して気を失ってしまった。まぁ、今まで気力で持っていたんだ。しょうがない。

警戒しているらしいサスケ君に「・・・こっちも戦う気も、体力もない。だから、安心していいよ・・・」と言う。これは本当。テマリ姉も、カンクロウさんもそんな体力ないよ。

すっと印を組む。身構えたサスケ君だけど、呪印が引いていくのを驚きながら眺めている。

 

 

「ぼくが封印したんだ。だから何が出来たって不思議じゃない・・・そうだろう? 印は辰、馬、丑だから、憶えておくといい」

 

「・・・礼を言う」

 

「そんな、礼なんていいよ。・・・じゃあ、ぼくらは帰るよ。さようなら」

 

 

やってきたテマリ姉とカンクロウさん・・・じゃなかったカン兄に我愛羅を頼んで、ぼくたちは砂へ帰るために地面を蹴った。

そんな中、我愛羅がテマリ姉とカン兄の名前を呼んで「・・・すまない」と一言謝った。それだけでも、彼が一歩前に進んだことがわかって、ぼくは嬉しかった。やっと、我愛羅が前に進めたんだ。

・・・ぼくの言葉は、彼に届かなかった。だから、その分嬉しかった。

 

 

「こはく」

 

「なんだい、我愛羅」

 

「ありがとう」

 

「・・・うん、どういたしまして」

 

 

その言葉にはいつもと違う響きがあって、ぼくは少しだけ言葉に詰まってしまった。

けど、いつもより笑顔でそう言えたと思う。

木ノ葉にきたことは無駄じゃなかった。我愛羅と分かり合える人がいて、我愛羅が変われた。

 

 

 

・・・変わるのが怖かったのは、ぼくだけなのかもしれないけど。

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!

今回もオリジナル忍術紹介


火遁・華煉(かれん)

チャクラでマーキングしたところに火の華が咲く美しい術。元々のチャクラ消費量は少なめだが、籠めるチャクラ量で多大なる被害を及ぼす術にもなる。


リョク君初登場。結構サバサバしているけど、苦労性です。主にナルトの所為。
彼は初恋の人に「自分より綺麗な顔の人と付き合うわけないじゃん」と言われてブロークンハート。女性が怖い。女の子なら大丈夫。年上怖いと言った具合です。
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