言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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サクサク進めたいのに作者には時間が無い・・・(;ω;)

そんな作者の事情など空の向こうに放っておおくりします。

では第什話の始まり始まり。


第弐章 闇に沈む友、希望を宿す友   
什ノ葉 廻る歯車、鳴動の音


 

 

砂に帰れば、大騒ぎになっていた。だって、風影様が行方不明だもの。

ぼくは少し休んだ後、札を量産して探した。大量に出血した後だったのでチャクラを練るのも辛かったけど、友達のためだから躊躇いはなかった。それに我愛羅も動けるようになってすぐ探すのに参加したし、ぼくが寝ているわけにもいかなかったからね。

一番先に見つけたのはぼくの式神だった。空から探す鳥型と、砂の中でもスムーズに探す百足型を使っていたんだけど、鳥型がそれを見つけた。

中忍試験より前に殺されていたらしく、見るも無残な状態だった。

みんなの案内は式神に任せて、ぼくは病院から抜け出してその場所に向かった。・・・大蛇丸さんに殺意が湧くけど、今は押さえる。本当に悲しいのは我愛羅たちだから。

すぐに三人が到着したので、ぼくは一歩下がる。・・・ぼくは、部外者だからね。

その後に来た上忍方には事情を話して(しばら)く三人だけにしてもらった。ぼくが居る事も後回しにしてもらうことに成功。・・・後で強制送還されたけど。

 

 

「・・・まあ、こんな状態で抜け出したこはくがいけないんだからね」

 

「わかってるけど、さ」

 

 

ぼくの状態と言うのは、入院物の傷や喉など呼吸器の状態が出歩くのを禁止されるぐらい酷かったからなのだが、それでもぼくはいかなきゃいけなかったんだから仕方がない。

まったく、と溜息を付くテマリ姉に申し訳なく思いながらもぼくはゆっくり目を閉じた。

我愛羅やテマリ姉、カン兄は知らないけれど、ぼくは風影様が死ぬ前、一度だけお話していた。・・・ぼくの利用を考えるのはいいけれど、自分の息子ぐらい愛してやってくれと。既に暗部として働いていたぼくにとって、その人と会う機会は多かったから、一度でもいいから言っておきたかったのだ。

でも、あの人は思ったより不器用でぼくの声は届かなかった。そして、そのまま殺されてしまった。後悔ばかり考えてしまう。

・・・ポンと頭を撫でられて、目を開く。そこには苦笑したテマリ姉が居た。

 

 

「バカだね。こはくの所為じゃないのに、そんな辛そうな顔をするんじゃないよ」

 

 

そう言ってクシャクシャとぼくの頭を撫でるテマリ姉の目元は少しだけ赤くて、テマリ姉が泣いていたことがわかったから、ぼくは何もいえなくなった。

ぼくに、慰める権利なんてなかったから。

数日後、我愛羅のお父さんの葬儀が行なわれた。・・・ぼくは安静にしていないといけなかったために葬儀には出られなかった。もう、無理していたにも関わらず、また無理したからだけど・・・無理してでも見つけなきゃいけなかったからね。

あの日、話したのが最後になっちゃったなぁ、と悲しく思う。あの人も里のことを考えながら悩んでいた人だからもっと話して置けばよかった。

我愛羅がやってきて、ぼくの寝ているベットの傍に腰掛けた。何も言わないからぼくも何も言わなかった。いや、言えなかった。

 

 

「こはく」

 

「なんだい、我愛羅」

 

「・・・もっと父様と、話したかった」

 

「うん。ぼくも、話したかった」

 

 

小さな声で我愛羅はそう呟いた。たった一人の親だもの。もっと話して、認めて欲しいと思うのは当たり前だ。だって、ぼくもそうだったし、その気持ちはわかる。

もう少し、もう少しぼくが速く気付いていたら・・・。

ぎゅっと手を握り締め、ぼくは我愛羅の傍で黙っていた。

ぼくに出来たことなんて・・・一握りもないって気が付いたから。

 

 

 

 

 

~ ■ ☆ ■ ~

 

 

 

 

 

「・・・この里、案外チョロイな」

 

 

ぼそっと呟く。でもオレは悪くねえ。暗部しか知らない、なら暗部に聞いちまえば簡単って訳で木ノ葉の里に不法侵入した訳だ。

あぁ? オレが誰か?

後で自己紹介だろうがなんだろうが周りでネタバレしてくれるだろうよ。

オレは今忙しいんでな。そういうのは後回しだ。

感知結界を薄く広め、座って地図を書く。こういう情報もよく売れる。金儲けのためなら手間も惜しまないんだ、オレは。世の中金だろ。

・・・っと、あの人が里の中に入ってきた。まぁ、木ノ葉の元暗部と一緒に居るんだから簡単か。

オレはお汁粉を啜りながらぼーっとしていた。あの人も甘味好きだから気が付くだろうと考えて団子を追加注文する。黙々と団子を頬張りながら、赤い雲が描かれたコート着用の二人が入ってくるのを眺めた。てか、アレでバレないと思うところが凄い勇気だと思う。

まったく、オレなんて普段着から替えてるっつーのに、この組織は・・・。

と、目が合ったのでオレとわかる物をテーブルに置いて団子を食べる。ま、あの人以外はわかるはずが無い。だってオレがあの人に貰ったもんだし。

オレが座ってるテーブルの隣に座った人が口を動かさずに「・・・お久しぶりですね。この里には何をしに?」と聞いてきたので、こちらも口を動かさずに「いやぁ、甘い物が食べたくなっただけですよ。鬼鮫先輩こそ、オレらと人柱力追いかけるなんて大変っスね」と返しておいた。

ちょっと警戒したらしい二人組みを無視して「ご馳走様~」と店員に声をかけてその場を後にする。

っげ、上忍一人いんじゃん。でも、オレには目もくれなかったので二人を警戒してみているらしい。よかった。贖罪の山羊(スケープゴート)って奴か。ありがとう先輩。

でも、後で逃走の手伝いはしとくよ。敵だけど。

早速持ち帰った団子(代金はしっかり置いといたから大丈夫。いくら守銭奴のオレだって代金は払う)を食べながら戦いを観戦。やっぱ上忍ともなると鬼鮫先輩だけじゃキツイよな~。だからツーマンセルなんだけど。

オレが串一本食い終わった頃にカカシとやらが登場。オマエはお呼びじゃないぞ~!

 

 

「・・・二対三(ただし増援有り)ってのも不公平だよなぁ? 仕方が無いからオレも参戦しますよ~、鬼鮫先輩」

 

「「「!!」」」

 

「・・・言霊シイロ。なぜ、オレたちに?」

 

「だって、鬼鮫先輩には個人的に返したい恩があるし。オマエはどうでもいい」

 

 

船の上から水に降り立てば木ノ葉勢は驚いた顔をした。今さっき幻術解いて黒い道服にしたし。もう誰か丸わかりだね!

まあ、ここら辺で自己紹介。オレの名前はうちはの奴が言った通り、言霊シイロ。(まじない)屋シイロとはオレのことだ。金を貰えば誰だって呪う。裏切ればそいつも呪い殺す。それがモットー。

言霊の名を持つものとして暁に狙われるし、抜け忍として狙われるし、面倒な人生真っ只中だ。

オレはさらさらっと地図を書くと先輩に投げ渡す。

「そこにお探し物があるはずです。今回は無料ですから御気になさらず」と言えば鬼鮫先輩はちょっと不服そうに去っていった。多分、戦いたかったんだろうなーと思う。あの人、戦闘狂な所もあるからなぁ。

 

 

「さて、こちらさんはどうする?」

 

「・・・コッチは大物逃がしちゃったから、キミだけでもと思ってるんだけど・・・」

 

「はは! 笑えるジョークだな。オレを捕らえたかったら億越えの金を持って来い」

 

 

・・・でも、負傷した上忍二人に少し戦っちゃった上忍一人に・・・あと一人、体術バカで戦えるのかね?

「む!? 二人じゃなかったか?」とか言いながら登場した珍獣にオレは思いっきり嫌そうな顔をしてやった。コイツ、嫌い。見ただけで嫌い。

戦う気が0,5まで落ちたので、札で済ませることにした。

 

 

「あー、もうヤル気失せたー。じゃ、さよならってことで」

 

「待て! 逃げる気か!!」

 

「置き土産に二つ。まず、うずまきナルトくんが狙われてますよってことと・・・『札遊び・壱段』!」

 

 

袖から札を引き抜いて飛ばす。向かう先はオレの敵!

弾くのも避けるのも悪手。火遁しか効かないからなぁ。上手く正解を導き出したカカシとやらに笑いながら言う。

 

 

「早くオレに攻撃する前に他を助けたらどうだ? 溺れ死ぬぞ?」

 

「っ!?」

 

 

壱段はチャクラ封じの札。指先、足などに付いた途端にチャクラコントロールを無にして戦闘不能に仕立て上げる札だ。術は勿論、チャクラ吸着なんて出来ない。ついでに身体も硬直させる便利な札だ。

だから・・・こういう川の上では効果を発揮する。しかも相手のチャクラを使って巨大化する機能付き。いずれ身体に纏わり付いて溺死する。

オレはそんな仲間を取ったカカシとやらに背を向けて、さっさと立ち去るのだった。

面倒だし。そもそも、オレは“どうしてうずまきナルトが狙われているか”なんて一言も言ってないので勝手に解釈してくれるだろう。

それに、なんでオレがこの里に来たかも言ってねえからなぁ。この里の闇、ダンゾウを殺した・・・なんていったらオレ、逃げられねえだろ。

あーあ、また懸賞金跳ね上がっちまうよ・・・。

なんでこんな面倒な一族に生まれちまったんだろうねぇ。本当めんどくさい。

オレは悠々自適に山奥で金を数えて暮らしたいっつーのに。

 

 

 

 

 

 

・・・さてやって来ました賭博場! 急に賭け事がしたくなった。

今日も今日とてオレは自由気まま、賭博好きなのさ。

幻術を使って一般庶民に化けて町に乗り出す。カランコロンと下駄の音を響かせながら歩くのは、個人的に好きなのだが・・・忍が居場所を知らせながら歩くのはアウトなのでこういう時ぐらいしかできない。だから今この時を楽しむことにする。

目に付いた賭博場に入る事にして、買ったタイヤキを頬張る。・・・うん、ここのは尻尾がカリカリしてて美味い。

最後の一口を食べ終え、最初に宣言した通りに目に付いた所へと足を踏む込む。後ろから女性の声がしたが・・・なんか聞き覚えがあるなぁ。どこで聞いたんだろう?誰かが呟いた『伝説のカモ』でわかったけど。

持っている金の半分をチップに変えてもらい、くつろぐ。オレの必勝法は自分の勘に頼ることなのだが・・・今回は凄く簡単になっちまうことが予想できた。だって、『伝説のカモ』こと綱手さんの反対に賭ければいいのだから。

さてさて、今日はどれだけ稼げるかな?

 

 

~ 一時間後 ~

 

 

いや~! 儲けた儲けた!!

オレが儲けるのとは逆に、綱手さんの方は素晴しい勢いで負けに負けていた。もうあれは賭け事の神様に嫌われまくってるとしか言いようがないね。

なんかオレ、『賭博屋潰しのムラサキ』って名前が付いてるみたいだ。なんだこのカッコ悪い名前は。確かに何度もムラサキとは名乗ったが・・・もっと何かなかったのか?

今回も着流しに羽織り姿で悠々と帰る。後ろで誰が涙を流してようが知ったこっちゃねえ。「あんなのイカサマだー!!」と叫んでいても知らん。石が飛んできても・・・って危ねえ!?

慌てて横に飛べばメコッと音がして文字通りに石が地面に突き刺さった。・・・いや、一般人とかに向ける威力でないよ? 普通に死ぬよ?

 

 

「・・・アンタ、私に酒を奢るわよね?」

 

「いやはや、痛いのは嫌なんで・・・迷わず奢りますよー」

 

 

振り返れば握り拳の隣には綺麗な笑顔の綱手さんがいらっしゃいました。はい。仕方が()えんで従いますとも! と言うことで居酒屋に行きました。美人の笑顔は凶器だと思う。

昼間から賑わっているところを選び、とりあえず色々と頼んで呑む。ついでにお連れさんの分も頼んでおく。どうせ奢りなんだ。どれだけ頼まれようと稼いだあとだから大丈夫だ。オレの命もかかっているからな。

酒が来たので酌をする。ま、年上だし、ここは年下のオレがやるべきだろう。

慌ててお連れさんがやろうとするので「毒なんて盛らねえよ。ここはそう言うとこじゃねえし」と言っておく。そもそも毒だったらクレイとルリが専門だし。おっと、この二人は後で出てくるんで聞くんじゃねえぞ? オレに説明させたかったら金を寄越すんだな。

自分にも注いでチビチビ飲んでから用件を聞いてみた。用が無かったらこんな脅迫紛いなことしないだろ。

そう言えば綱手さんの目が鋭くなった。ガラッと雰囲気が変わる。

 

 

「・・・アンタ、こんなとこで何してる」

 

「ま、暇つぶしだからなぁ・・・何してるって言われても困るんだが」

 

「暇つぶし?」

 

「ビクビクしてんのは性に合わねえから、遊んでるんだよ。自分の運勢占いみたいなもんだ」

 

 

笑いながら「アンタも賭博が好きなんだろ? それと同じようなもんよ」と言ってまた注ぐ。

まだ怪しんでいるらしい綱手さんは放って置き、酒を飲み干して席を立った。

代金をきっちり頼んだ分だけ置くとヒラヒラ手を振ってその場を後にした。ケチ? オレの金はオレのもんなんだからどう使おうがいいだろ。

それに、一本貰ってきたから後で楽しめばいいし。

カランコロンと言う音を楽しみながら、オレは雑踏に紛れていく。今日は儲けさせてもらったんだから、その分は返したぜ?

 

 

 

 

 

~ □ ☽ □ ~

 

 

 

 

 

「・・・フン、わかってるじゃないか」

 

 

代金と一緒に置かれていたのは『美人と飲ませてもらった代金。大蛇丸がアンタの力を欲している。大切な人を生き返らせるとか言うだろうけど揺らぐんじゃねえぞ?』と書かれたメモ。

・・・ガキに心配されるとは、私も落ちたもんだねぇ。

もう一本酒を頼んで肘を付く。シズネが「・・・綱手さま?」と聞いて来たので「なんでもないよ」と答えておいた。もう、この子は心配性だからねえ。アイツが毒を盛ったら私だって飲みゃしないよ。

霧の里最大の英雄『言霊シイロ』。数多の人を呪い殺し、数多の呪いを解いて来た『呪屋』にして四代目水影・やぐらの洗脳を解いた天才。だが、いつの間にか消えていた自由奔放な言霊。

隠遁や幻術は一流どころか他の追従を許さない。だから、いまでも霧隠れは彼を探し続けているのだ。ヤツの才能はソレほどまでに惜しい。

私でも、あの幻術を見抜くのに時間が掛かった。気を緩めた瞬間に見せた一瞬のチャクラの揺らぎですら気が付くのに遅れたぐらいだ。

 

 

「・・・さて、次の町に行くよ!」

 

「ええええ! まだやるんですか!?」

 

「なんか文句でもあるのかい?」

 

「・・・イエ」

 

 

メモを懐に仕舞うと私は立ち上がる。なんにせよ、今の私には関係のないことだ。

次の町は・・・短冊街か。

一回大負けしたからって諦める訳が無い。賭博って言うもんは一回で止めるもんでもないしね!

泣きそうな顔のシズネを引き連れて私は店を後にした。やっぱり賭博と旅はいいもんだ。

気兼ねなく歩けるこの時間を楽しみながら私は歩き続けるのだった。

 

 

 

 

 

 




今回も読んで頂きありがとうございます。

ありがたいご指摘があったのであらすじを変えました。

この場をお借りして、この作品を読んで頂いている皆さんに感謝を。

これからもよろしくお願いします。
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