言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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遅くなって申し訳ないです!

あと急展開。

付いていけなくなったらもう一度読んでもらえると・・・嬉しいな!

|ω・)ノシ


什参ノ葉 動き出した闇に

 

 

 

サスケ君の里抜けから約二年。歪な月がまた漆黒の空に昇る。

ぼくは病院の屋根の上でそんな月を眺めていた。タイムリミットがもう少しだったから、一人で居たかった。そう、最後ぐらいはこの里の風景を焼き付けておきたかったから。

 

 

「・・・こはく」

 

「我愛羅、来てくれてありがとう。疲れているのに、こんな所に呼んじゃって・・・」

 

「いや。そこまで疲れていない。それに・・・友達の頼みだ。断る訳が無い」

 

 

後ろに降り立った我愛羅に振り返らず礼を言う。微笑みながらそう言い切ってくれる我愛羅に、顔が綻ぶ。我愛羅が最初の友達でよかったと思った。きっと彼と友達にならなかったら、ぼくはぼくで無くなっていた。こんな風に幸せだと思う日などなかったに違いない。

我愛羅のお蔭でテマリ姉と知り合えた。カン兄と知り合えた。ナルト君と知り合えた。サスケ君と、サクラさんと・・・沢山の人と知り合えた。

隣に座った我愛羅の方を見ずにぼくは今日の結果を聞く。我愛羅はそんなぼくの様子に疑問を抱いたようだが答えてくれた。

 

 

「ねえ、我愛羅。結果はどうだったの?」

 

「オレは風影になれるらしい。・・・今日はテマリとカンクロウが祝ってくれるそうだ。こはくも来るといい」

 

「うん。ありがとう。ありがとね・・・我愛羅」

 

「・・・こはく、どうした? 何かあったのか」

 

 

そんなぼくの様子に耐えかねたのか、我愛羅がそう聞いてきた。でも、ぼくはそれに答えない。いや、答えられない。

消えそうな自分の意識に耐えながらぼくは言葉を紡ぐ。ゆっくりと感謝の言葉を。

 

 

「・・・我愛羅と会ってから、いろんなことがあったよね。ぼくは我愛羅のお蔭で世界を知れた。友達が出来た。ぼくが・・・ぼくでいいって教えてもらえた。

 

――――本当に、ありがとう。キミが最初の友達で、ぼくは幸せだったよ」

 

 

ゆっくりと我愛羅の方を向いてぼくはそう言う。ぼくはもう消え入りそうなぐらいに追い詰められていた。

我愛羅の驚いた声が遠くの方でする。もう、ぼくは答えられなかった。

 

・・・そう、(・・)が目覚めていたからね。

 

ぼくの代わりに僕が告げた。彼に、別れの言葉と、謝罪と――――眠りを。

 

 

「さよなら。そして、ごめんね?」

 

「こはく? 何を――――」

 

『サァ、眠レ』

 

 

かくり、と我が友である我愛羅の身体から力が抜ける。当たり前だ。僕たちの絶対なる力にはどんな血継限界の持ち主であろうと平伏す。耳を塞ごうとも、“言霊”はその物に作用するからね。

我愛羅の身体を受け止めて僕は札を取り出した。自然と口が笑みの形を作る。やっと待ち望んだ時間が来たのだ。嬉しくて仕方が無い。

札が赤黒い炎に包まれるのを眺めながら僕は嗤う。

 

 

「さぁ、始めようか。我が友たちの為に!」

 

 

世界の終わりを見たいとバカな事を始めた人の子に、平和を壊させないためにも、ね。

 

 

 

 

 

~ □ ☽ □ ~

 

 

 

 

・・・何時まで経っても我愛羅が帰ってこない。こはくの事だから、すぐウチに来ると思ったのに・・・。カンクロウもおかしいと感じ始めているのかそわそわと落ち着きが無かった。

 

 

「・・・カンクロウ」

 

「あぁ。見に行った方がいいじゃん」

 

 

私も席を立って念のために扇を取り――――轟音と共に起こった地響きにバランスを崩しかけた。

音がした方向は病院。つまり、我愛羅とこはくが居るはずの場所である。変な胸騒ぎがしてカンクロウと共に駆け出した。

もしや、また守鶴が暴走したのか・・・? でも、こはくが傍にいてそんな事はあるまい。あの子は封印術も心得ているし、暴走しかけても自分の事を顧みずに止めるような子だ。早く、早く向かわなくては!

ざわざわと里の人たちが病院の方を見ている。突然起こった異変に不安を抱いているのだろう。

病院まであと少しと言う所で次の異変が起こる。砂が空に浮び始めたのだ。それは病院を中心に渦巻くようにして集まっている。守鶴にしては集まり方がおかしい。何が、起こっているか予測が付かなかった。

屋根の上を駆け、病院の上に着いた時には砂も治まっていた。そこに居たのは横たわる我愛羅と、そこにへたり込んでいるこはく。

その身を案じて声をかけようとした時、こはくが顔を上げた。

 

――――ぞくっと背筋に寒気が走った。

 

冷たい、冷たい・・・守鶴の瞳がそこにあったのだ。

だがそれは一瞬で消えて、元の色へと戻る。だけど、冷たさは変わらずにそこにあった。

 

 

「・・・あれ? もう着いちゃったのかぁ。やっぱり早いナァ、テマリ姉は」

 

「こはく、じゃないね。アンタ、誰だい?」

 

 

そう私が言うと、ソイツはにぃっと嗤った。三日月のような笑みがそこに浮ぶ。どう見ても、私の知るこはくじゃなかった。

カンクロウも戸惑いをその顔に浮かべてこはくを見る。ゆらりと立ち上がったこはくは三日月のような笑みのまま手を広げて言った。

 

 

「ふふふ、僕はこはく。まぁ、中身が違ったりするかもしれないけど、僕が“言霊”である事に変わりはナイのさ」

 

「我愛羅に何をしたじゃん!」

 

「ん~、彼にとってはイイコトだよ? そう、守鶴をちょいと抜かせてもらっただけさ」

 

「守鶴を・・・抜いた?」

 

「おっと、死んでいないよ? だけど、急いだ方がいいかもね」

 

 

口に指を当てて嗤うその姿は、確かにこはくだった。蜂蜜みたいな色をした柔らかそうな髪も、白い肌もこはくその物だ。

だけど、だけど目だけが違った。冷たい、温度を感じさせない目。そう、守鶴の目のような冷たい目。そして、昔の我愛羅みたいな目。

驚きで固まっている私たちなどに目もくれず、クルリと身体を反転させてこはくが歩き出す。声を掛ける前にソイツは肩越しに口を開いた。

 

 

「色々聞きたいこともあるだろうけど――――サヨウナラだよ」

 

 

つぅっとソイツの、こはくの目から涙が零れ落ちて行くのを私は眺めていた。コイツは、今なんて言った? サヨウナラ? こはくは、この里から居なくなるというのか。

なんで、こはくは泣いているのか。

手を伸ばして口を開く前に、こはくは札によって消えて行った。そう、嘘みたいに消えてしまったのだ。

何がどうなっているのだがわからない。ただ、一つだけわかっていた。こはくは嘘をつかないから。

 

 

――――こはくが、砂の里から居なくなったと言うこと。

 

 

 

 

 

~ ■ ☆ ■ ~

 

 

 

 

よお、現在岩肌剥き出しの山奥を歩いているシイロだ。ヒョイと大木の陰を覗けば大人であれば通れそうに無いの穴が開いていた。・・・集合場所、ってこの洞窟だったなぁ。木ノ葉や霧の暗部をかわすのは骨が折れたが、ココに指定してあるんだから仕方がねえ。

袖から札を取り出して破く。破れた札を放り捨てて屈む事なく進む。まぁ、ここで見えている物は全て幻術だからな。実際は広い穴だから、オレ程度なら立ったまま入れる。

奥へ奥へと進むと、段々と声が聞こえてきた。少女のような、少年のような中性的な声。まぁ、知ってる奴の声だが。

開けた場所に出るとそこに声の主が居た。蜂蜜のような色をした癖毛のこはく・・・いや、大地を司る“テーレ”だ。

 

 

「ふふふ、久しぶりに会ったねぇ。“ヴェン”」

 

「・・・まだ表に出てんのか、“テーレ”」

 

「いいじゃないか。僕は16年も出て来れなかったんだから、そのぐらいは見逃しておくれよ」

 

 

クスクスと笑い声を漏らす“テーレ”。だが、その瞳は微塵も動かない。底冷えのする冷たさを宿したままだ。まぁ、オレの身に宿る、空気と風を司る“ヴェン”もそういう奴だがな。

と、傍にあった水溜りが淡く光り、勢いよく宙へと舞い上がって人の形を作る。段々と形が定まっていき、見知った顔となった。

青い髪を二房の三つ編みにした女。勝気な光が宿った目をしたソイツの名はルリ。薬品をそこら中に撒き散らす危険人物である。ちなみに言うと水と海を司る“メール”を宿した奴。

 

 

「あっ、まだ戻ってなかったの!? こはくちゃんは一番身体弱いんだからさっさと戻りなさいよ!」

 

「相変わらず元気だね、今代の“メーレ”。もう少し待ったっていいだろう?」

 

「・・・戻れ」

 

「おっと、“フランム”も到着したみたいだね。・・・しょうがないナァ、僕は寝る、とする・・・よ」

 

 

いきなり上がった炎の中から現れた炎を司る“フランム”ことクレイは“テーレ”の方を見もせずにそう言う。つまらなそうな顔をした“テーレ”であったが三人から同じことを言われたので渋々戻っていった。

慌てて揺らいだ体を受け止め、溜息を付く。こはくの身体は無理な術式を使用した形跡があったからだ。面白い事ばかり考える“テーレ”は一番性質(たち)が悪い。そんなヤツを身体に宿しているこはくは尊敬に値する。

思った通り軽い身体を抱え、二人の方を向く。これからの予定を決めなきゃな、と思ったからだ。

 

 

「で、これからどうする? 暁にも各里にも狙われてんだろ」

 

「いい隠れ家があるから提供してあげる! この札持って転移してね」

 

「・・・先に行ってるぞ」

 

「あ、待って・・・って行っちゃった。もう、クレイったらせっかちよね~」

 

「まぁ、元が喋る方でもねえし、人と関わりたくないやつだからな」

 

 

札を受け取った後、すぐに印を組んで炎の中へと消えてしまったクレイの事を考えながら苦笑する。実際は人と関わることが苦手で、自身が最も得意としている傀儡の事ばかり考えているだけなのだが・・・まあ、どうでもいいだろう。ルリもわかっていてそう言っているのだから。

オレはこはくを抱えたまま飛ぶ。オレの使い易い物なんて風遁系に決まってるだろ。前も言ったし。

旋風が起こり、辺りが一気に明るくなった。目を細めて慣れるのを待つ。パチパチと目を瞬かせていると見えてきたのは小さな部屋。シンプルだがオシャレで落ち着いた家具が揃ったその部屋はどうやら個室の一つのようだ。とりあえずベッドにこはくを寝かせ、部屋を出る。どこに何があるのかぐらいは確認しなきゃならないからな。

ドアから覗くと柔らかい光の降り注ぐ空間に繋がっていた。木で出来た円状で広めの部屋にはカラフルな扉が何個かあり、同じような部屋があるのだろうと思う。

オレが出て来た扉は蜂蜜のような色。こはくの部屋に変化したようだ。クレイの部屋は白の混じったやさしい赤。向かいには緑の扉や青の扉、白っぽい扉がある。

広めの部屋には本棚が幾つもあり、ソファーが並んでいる事から資料室もかねているのだろう。多分薬学などの専門用語がズラリと並んでいる本ばかりなので一生ついていけない気がした。

 

 

「・・・あ゛ぁ゛~、疲れた」

 

「おっ、来たか。お疲れさん」

 

「うぁ~、お久しぶり、です・・・」

 

 

スルリ、と木の壁から抜け出てきたのはリョク。そのままパタンと倒れた体からは少しだけ血の匂いがしていた。記録図書館(ログ・ライブラリ)を覗けばサスケと共に実験をされていた事がわかった。

動きたくないと全身で表現しているリョクを担ぎ上げ、緑の部屋に入る。ここの家具は木目を生かした優しい色が多い。多分、ルリが全部そろえたのだろう。よく好みを知り尽くしている。

ベットに寝かせると「ありがとぅ・・・ござ、ぃ」と礼を言う前に寝てしまったリョクに苦笑する。それだけ大蛇丸はハードな実験を繰り返しているだろう。その後に術の研究までしているのだから疲れるのも当たり前だ。まぁ、そのお蔭で呪印を外すことが出来たのだからそれはいいとする。

 

 

「・・・さぁて、オレは工作しに行きますか」

 

 

伸びをしてめんどくさいことをしにいくことにする。全ては我が一族のため、この世界に生きる人のため・・・ってね。

 

 

 

 

 

 




アンケート結果

2、恋愛ルート(カンクロウは独身w)・・・一票

ファイナルアンサーですか?

コレでいいんですか!?

と言うことでまだまだアンケートは続けるのでよろしくおねがいします。
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