言の葉紡ぎの日常   作:惰眠貪り隊

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さあさあ、言霊のターンはつづくZE☆


什玖ノ葉 新たな同胞

 

 

 

 

~ ■ ☆ ■ ~

 

 

 

 

どーも、ルリでーす☆ さてさて、可愛い可愛いこはくがお外でヤロウ共に追われた数日後のお話を致しましょう。

簡単に言えば木ノ葉の上忍に囲まれた角都と飛段。最終的には札の抑制力を自力で解いたものの、手遅れで殺されてしまったらしいわ。飛段は確か奈良家の森に封じられて、角都はサックリ五つの心臓を突かれて御臨終。哀れ初代火影と戦ったお爺さんは首と胴体が泣き別れと言う訳。傲慢になっていた彼らの痛恨のミスは嘗めた態度をしていたこと。一人は不死に胡坐を掻いたし、一人はその長い時間を生き抜いてきたという事実が死へと追い詰めた。

・・・なーんか、アタシ達に通じそうなことよね。いくら記録(ログ)があったとしても、それは誰かの記憶でしかない。だから、アタシ達は忘れてはいけない。全ての事実と、その記録を過信することで死んだ“わたし達(・・・・)”が居ることを。

 

 

「デーイちゃーん。まぁだー?」

 

「まだかな、うん。そんなにすぐ出来ないぞ」

 

 

鼻歌でも歌いそうなくらいに上機嫌なデイちゃん。キラリキラリとその青の瞳を輝かせながら粘土を複雑に形作っているデイちゃんは、小さい頃のデイちゃんに戻ったみたいでこちらも嬉しくなる。全く、デイちゃんは無意識にでも可愛いんだから~。そう思いながらデイちゃんの横顔を眺めた。随分と大きくなってしまったが、デイちゃんはデイちゃんだから微笑ましくなる。

でも、昔は嬉しそうにはにかんでくれたのに、今は「な、なんだよ。オイラに何するつもりなんだ、うん!」と顔を青くしてくる。ちょっとお姉さん悲しいよ・・・。でも、デイちゃんなので悪気は無い。なんでも許すよ、アタシは。

 

 

「なんにもしないよ。・・・デイちゃんと一緒に居られて嬉しいなぁ~って。だって、もう会えないかとおもってたから・・・」

 

「・・・っ。あー! 集中できないぞ、うんっ。ルリ姉は黙ってて!!」

 

「はーい。お姉ちゃんは黙りマース」

 

 

顔が真っ赤なデイちゃんを弄るのもとても魅力的なコトではあるのだけれど、それだと作業が遅れちゃうし、デイちゃんのやる気が落ちても困る。アタシは静かにその芸術が出来るのを眺めた。

その時間は静かで、でも苦痛ではなくて。アタシの顔は自然に笑顔になった。なんだかんだ言って優しいデイちゃん。難しいことでも、頑張って努力して、考えて、ソレに近づけるように手を伸ばし続けるのは彼の美点で、アタシの大好きなところ。その姿は他の人には無い輝きがあるから、アタシは好きなんだ。

 

 

「・・・よし。出来たぞ、うん」

 

「じゃ、行こうか。デイちゃん新作のお披露目に」

 

 

新しいアジトのアトリエから外へと出て、自身満々の笑みを浮かべたデイちゃんの作品であるデフォルメされた(おおとり)に乗せてもらい、アタシは空へと飛び立つ。今から行く所は波紋伝いが使えない。だから、デイちゃんに頼らせてもらうことにした。どうだ、凄いだろう! と言いたげに輝く彼の瞳を横目に、アタシは笑う。

・・・デイちゃん、あと何回、アタシはアタシで居れるのだろうね。

そう、心の中で問いかけながら。

 

 

 

 

 

~ □ ☽ □ ~

 

 

 

 

 

うーん、暇だなぁ。そんな事を考えながら不定形なボクは円筒型の機械の中で漂っていた。

ボクは水月(すいげつ)。大蛇丸に実験台にされてる哀れな被験者の一人さ。・・・なぁんてね。暇過ぎて自分のカタチを忘れそうだよ。ここから出られないというのが一番暇だと思う一因だよね。ボクの友達の一人であるリョクはどこへ行ったのやら。どうやら大蛇丸が死んだという噂だけは聞いてるけど、リョクの噂は全くと言っていいほど入らない。・・・まさか、消されちゃったとかないよね? あのヒト、面白いから死んでいてほしくないかなぁ。

 

 

「・・・? ここ・・・」

 

 

なにやら声がするなぁ。誰だろう。また実験だったらもう嫌なんだけども。そう考えていたボクだけれど、ヒョコリと顔を出したその顔たちに度肝を抜かれた。それは意外に絵の上手いリョクが描いていた絵の人物によく似ていたからだ。

だから、ボクは驚きの声を上げる。だって、ここに居てはおかしい人物二人だったからだ。敵対しているヒトの陣地の真ん中に二人だけで乗り込んできているなんて、頭のおかしい奴か、それとも実力の伴った頭のいい忍くらいしか存在しないから。

 

 

「これは・・・なんでいるんだ?」

 

「あら? この人かなぁ。リョクに頼まれた、と言えばわかるかしらねー」

 

「話には聞いてたけど・・・凄いな、うん」

 

 

そこには青い髪の言霊ルリと金髪碧眼の男、デイダラの姿。デイダラはあの派手派手しい黒地に赤い雲のマントは脱いで、羽織と立ち襟のシャツを身に纏っていて驚いた。あれ? デイダラというのは暁の一員じゃあなかったのかなぁ? 

困惑中のボクなんて気にせずに「ちょっと待っててね!」とルリさんの方が声をかけてきて、ボクの入っていた円筒型のソレへとフラスコの液体をかけた。ジュっと音がして溶ける。けれど穴は開かなかった。それはそうでしょう。だってボクの入ってた特製・・・らしいからね。と、ルリさんが取り出したのは小さなメス。ブゥン、と振動音が響いて、メスはチャクラを通した武器となった。

 

 

「ちゃっちゃと終らせるわ」

 

 

と声がかかる。さっくりと豆腐でも切るみたいに丸い穴が開いて、ボクもズルリと円筒から這い出た。水のような状態から上半身だけ戻して、二人を見上げた。ボクは裸のまんまで女のヒトの前に出るほど恥知らずじゃあないもの。ボクはこの二人のことを本当に信用していいのか分からないけど、リョクは言っていた。「言霊は各里に散らばってる。けれど、わかるんですよ。彼女や彼の優しさが」なんて、彼らしい言葉を。

リョクは友達だよ。けれど、全てを鵜呑みにしてはいけないとボクは思う。騙されたり、騙したり。人間なんてそんなものだ。・・・でも、リョクに騙されるとは思ってない。リョクは、よく見ていると感情豊かだ。だから、嘘を付けばわかる。けど、一応聞いてみた。だって、只従うのは癪じゃないか。

 

 

「・・・で、君らはボクをどうしたいわけ。まさか無償なんて言う訳ないでしょ?」

 

「んー。実はリョクに頼まれたんだよねぇ。キミのコト」

 

「またまた・・・。リョクは確かに優しいかもしれないけれど、ボクのこと、そこまで評価してるとは思わないなぁ」

 

 

彼は、元の仲間を気にしていた。話す事は外の小難しい情勢なんかだったけど、木ノ葉の事が多かったし。それだけトモダチが多いらしいから、心残りもあると思う。お人よしだし、トモダチのためなら何食わぬ顔で嘘を付いて演技するような奴だし、何より自己犠牲を是とする奴なんだから、すぐには断ち切れないだろうねぇ。

なーんか、言霊と一緒に行くことへの旨みがもう何個か欲しい。ボクは多分接近戦だったらこの二人に勝てる。・・・とは言え、この二人と戦って無事とは言えないだろうけど、水鉄砲で先手を打てれば大丈夫。早さが勝つとはこのことだよね。

肘をついてルリさん達の言葉を待つ。そんなボクの言いたいことがわかったらしくルリさんは目線を合わせるように屈んで微笑んだ。デイダラの方はなんとなくやれやれ、と言いたげな表情をしている。・・・彼もスカウトされたのかもしれない。ついでに言うとルリさんはやり手のベテラン店員みたいな笑顔をして、ボクは「あ、選択を誤ったかもしれない」と後悔し始めていた。なんか、逃げられそうに無い感じがする。

 

 

「ねえ、貴方は忍刀七人衆の再興とリーダーになる事が夢なのよね?」

 

「あー、リョクから聞いたんだね。・・・うん、そうだよ。ボクの夢だ」

 

「アタシたちが全て集めてあげる。他にも名刀が沢山あるわ。全て貴方に使わせてあげちゃうわ!」

 

「うーん・・・。確かに美味しい話だけど、もう一声」

 

 

どう? と魅力的な申し出が彼女の口から零れる。確かにボク一人で集めるのは骨が折れる。名刀と言うのだからそれなりのモノだろう。・・・もう一押し、かなぁ。持っているだけでは意味が無いもんね。もっと、もっと。この場所から一人で抜け出せれば、ボクは自由になれる。彼女たち言霊から刀を奪うのは集めるよりもっと骨が折れそうだけれど、それはそれで楽しそうだ。

 

 

「ふふふ、刀を持つだけじゃあ、貴方は満足しないでしょうから対戦相手なんかも用意しちゃう! 鬼鮫さんとかつれてこれちゃうわよー!」

 

「・・・暁、内部崩壊してない?」

 

 

おかしいなぁと考えているとこんな爆弾が落された。曰く「秘密の取引があったのよ♥」と。・・・あの犯罪者組織の幹部達を手玉に取れるこのヒトはなんなのだろう。ちなみにコレは秘密なことらしいので仲間になったら口止め料として首切り包丁を貰うこととなった。・・・これは仲間になった方が身のためかな。美味しいことあるし、この人に逆らったらどうなるかわからない。

 

 

「了解。ボクは君達の仲間になる。・・・いつかは寝首を掻くかもしれないけどね」

 

「それでもおっけー! 返り討ちにしてこそ強い忍でしょう? じゃ、タオルと服ね。着替え終わるまでアタシは裏工作してくるからよろしく~」

 

「・・・裏工作って、大っぴらに言うもんじゃないぞ、うん」

 

 

そう笑顔で言いながら白衣を翻して走っていくルリさんと呆れ顔で掌の口から生み出した粘土でネズミのようなものやウサギのようなものを放って後を追うデイダラ。アンタも工作しているじゃないか。丸分かりじゃん。まぁ、表立っては言ってないからいいのかな?

貰い物の服はなぜかボクの好みだけど、コレもリョクに言ったっけ? アレ・・・なんだか恐ろしくなってきた。考えない方が身のためなので思考をストップして、違うことを考えよう。頭を振ることで掻き消して、着替えを完了させた。・・・そのすぐ後にルリさん達が戻ってくる。「アタシの見立て通りでばっちり!」なんていってるのでこの服とか外套は彼女の見立てらしい。・・・複雑な気分ではあるけど、貰い物だからなんにも言わないよ。

 

 

「さて、後は重吾くんかなぁ。付き合ってもらっていい?」

 

「え、大蛇丸のアジト、全部回るつもりなの?」

 

「分担はしてるって話だけどな、うん。大蛇丸に捕らえられた全員解放するんだって言ってた」

 

 

面倒そうに言うデイダラと対照的に元気一杯に笑顔なルリさん。・・・まぁ、香燐の方じゃなくてよかっただけいいかー。と考えて二人の後に続いた。

なんだか、面白い毎日が始まりそうな、そんな予感がボクの心を占めていた。なんだか外れなさそうな、強い予感が。

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました。
相変わらず主人公は空気です。
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